去年の伊勢崎オートGII稲妻賞で優勝。今回はディフェンディングチャンピオンとして登場。しかし、成績は振るわず危うく準々決勝で敗退の危機も。諦めかけたところ32位で準決勝戦へ。そこから連勝で優勝!優勝戦は最後まで目が離せない息を飲むレースに見入った方も多かったと思います。崖っぷちの予選道中から連覇へ、お話をうかがいました。
(取材日:2024年6月22日)
AKI:GII稲妻賞連覇おめでとうございます!やりましたね!!
荒尾:ありがとうございます!伊勢崎は優勝できないというジンクス、去年の稲妻が伊勢崎初優勝だったんですがまさか連覇できるとは思ってもいませんでした。伊勢崎はお客さんが熱いから楽しい!勝ち上がりのインタビューも盛り上がって良いですよね。なので、お客さんの前に立つのはテンションが上がります。しかも、去年配られた"荒尾うちわ"もいっぱいあるし(笑)いまだにいっぱい掲げてくれました。公開勝ち上がりインタビューでは「去年よりうちわが減った(笑)」と言ったんですがそれでも沢山のうちわを振ってくれていました。
AKI:ただ、予選道中はかなり苦しんでましたね。
荒尾:そうなんですよ。初日12Rイナズマエイトは3着も手応えはそこまでなく。2日目もダメ。3日目もダメ。予選で漏れたと思っていました。なので、「もう宿舎に戻ろう!」と周りにも言っていました、拗ねて(笑)もちろん3日間毎日何か扱って整備をしていたんですが全く良くならず。けど、全レースが終わってみたら32位で滑り込みセーフ!「ラッキー!」という感じ。頑張っていたら良いこともあるよねと思いましたね。
AKI:どの辺りを扱っていたんですか?
荒尾:まずは伊勢崎に入ってシリンダー交換をしようと思ったらロッドに不具合が見つかって。前検にエンジンをバラしてロッド、シリンダーを交換しました。初日は普通で調整次第かなぁくらいに思っていたら2、3日目どんどん悪くなっていて。シリンダーまで外してチェックしたら、シリンダーが傷だらけだったんです。仕方なく交換する前のシリンダーに戻してセッティングしてみたら「あら?良くなったんじゃね?」という感じが出てきて。準決のレース前の音も「意外と良い感じの音が出たな」と手応えはかなり変わっていました。凄く良いわけじゃないけど今節の中ではまともじゃない?という感じ。そして、レースに行ったら全体的に上積みがあったし乗りやすさもありました。ただ、"優勝"なんて思ってもなかったですよね。あんな状態で。けど、同期27期が4人優勝戦に乗っていたし「みんなで頑張ろう!」と話をして。ただ、試走の手応えは凄く良くて準決以上の感じだったのにレースの時間になってピットから出たら「うわ、全然変わった!やばいなぁ」と思っていたんです。そんな感じでもスタートは切れたので頑張ってみようと思って走っていました。8周回長かったですね~!!長かったし頭も目も使ったし。後ろからは1人の選手ではなくいろんな選手が仕掛けにきてたので大変でした。けど、上手くハマったね。1対1だと抜かれないけど、一気に2、3人きてたらやばかった。いろんな人が後ろにつけたけど1対1だから対処できた感じですね。エンジンもそれなりに良くなってたからしのげたと思います。ただ、雅人(川口28期:中村雅人選手)の出来は良かったですね。準決から凄かった。なので、優勝戦は雅人が2番手にきた時が1番やばいなと思いました。周平(伊勢崎31期:青山周平選手)と清太郎(伊勢崎29期:早川清太郎選手)ならしのげるかなと思ったけど、雅人は「捲られる、内からでも行かれるかなぁ」と思いましたね。自分が思う選手の完成体は雅人。乗り方から、技術面、エンジンの伸ばし方、直線の伸ばし方も上手いしレースが危なくない。なんていうか、競走車をブレさせない柔らかさ。自分がオートレースに1番求めてるのは柔らかさ。それが突き抜けて上手いのが雅人。レベルが違う。全盛期の貢さん(伊勢崎22期:高橋貢選手)も柔らかかった。説明が難しいんですけど、どうしたら競走車が伸びていってくれるか分かってる感じ。なので、後ろにつけられた時はやばいと思いましたね。
AKI:大型ビジョンは見てるんですか?
荒尾:見ますよ!ちら、ちらっと。音でも判断しますが誰がどこからきてるのか確認してます。全然余裕はなかったですね。次から次に後ろからきてたので。
AKI:ゴール線切った時はどんな思いでしたか?
荒尾:「優勝!」よりも「疲れた~!!」が先にきましたね(笑)道中も張ったり滑ったりして雅人にも迷惑かけたし、審議になって失格もあると思ってるくらいだったのですぐに優勝だ!という感じには全くなっていませんでした。その後すぐに確定が出たけど、申し訳ないという気持ちが大きかったですね。その後、お客さんの前に出た時に嬉しくなりました。沢山のお客さんが残ってくれていて、伊勢崎の人は自分に優しいです(笑)
AKI:優勝戦のレース面白かった!と色んなところで聞きますよ!
荒尾:それが嬉しいよね。選手からも面白かったと結構言ってもらえて嬉しかったです。レース後に永冨さん(飯塚17期:永冨高志元選手)からもLINEがきて「いいレースだった、面白かったよ!」と言っていただけて。何回も見て何回も面白いと思ってもらえたみたいで本当にありがたいなぁと思いましたね。自分にはスピードがないのであの展開しかないです。昭和のレースを(笑)みんなそれぞれ持ち味を出さないと!
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
荒尾:優勝もですがお客さんにレースが面白かった、良かったと言ってもらえたことが1番嬉しかったです。レース後インスタグラムのフォロワーも一気に100人も増えてびっくりしました!ありがとうございました。飯塚No. 1に返り咲きできるように頑張ります!
※ロッカーに賞金ボードがあったので聞いてみると、賞金ボードはお子さんに見せるために持って帰るそう。いつも喜んでくれるとのことです♪
(写真は伊勢崎オートSNSより)
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2024年5月26日、GII川口記念で女子レーサーに新たなグレード覇者が誕生しました。さらに、女子レーサーデビュー最短グレード優勝記録を樹立!デビューから2年5ヶ月17日。佐藤摩弥選手が持っていた記録を2年5ヶ月も更新しました。今年はSGオールスターでも1着を取るなど著しい成長を見せる小椋選手にお話をお聞きしました。
(取材日:2024年6月8日)
インタビュー / AKI
AKI:グレードレース初制覇、おめでとうございます!優勝してお気持ちいかがですか?
小椋:ありがとうございます!私なんかが記念獲っちゃって...みたいな。そういう選手なのかな?とまだそんな感じです。この感じはずっと変わらないですね。けど、とにかく嬉しかったです!運を持ってるというのもあると思います。これは少し前のオールスターから始まってて、開催4日目にSGの舞台で1着。しかも1着条件の最終予選で準決に進めたのは嬉しかったです。SGへ万全の状態で臨んだとしても8着の可能性はある。それでもオールスターという大会はファンの方に選んでもらって出られる大会。いつも以上に気持ちを入れて頑張ろうとは思っていましたが、自分の今の全力を出してまさか準決に行けるなんて思ってなかったのでびっくりです。
AKI:オールスター前からの着取りも良かったですが、車の状態はどうだったんですか?
小椋:SGの前の節は予備車のノアの方に乗っていて、SGはルナをオーバーホールしてピストンなどを交換して良い状態に合わせて輸送しました。飯塚で乗ってみたらセットもずれることなく凄く良い状態。うちのルナが優秀なんです(笑)けど、ノアの方もめちゃくちゃ良くって。GII川口記念を勝てたルナは一度休ませて、今後はノアを出していこうと思います。去年も夏場はノアで冬場はルナにしてという感じでした。まだまだ人間が成長しないといけない。競走車以前の問題なので夏場は苦手ですが頑張りたいですね。ルナもキャブを合わせるくらいで動いてくれてるので人間が頑張ります。うちの子はとにかく優秀です!
AKI:良い車が2台あるというのは気持ちにも余裕が持てますね。
小椋:そうですね。同期の佐藤励(川口35期:佐藤励選手)が空ぶかししても「これはずるい!」というくらい。励って凄くてパーツ変えたりかなり手を動かすタイプなんですけど、自分はセッティングをちょこっとというタイプ。部品は定期交換部品くらい。後はキャブレターの調整くらい。なので、競走車の素材が良いんだなといった感じです。本当に運が良いですね。
AKI:車も良い状態、オールスターでは準決まで進み良い経験になったんじゃないですか!?
小椋:レース前に準決に乗ってる選手を見て「準決の前はこういう整備をするんだ。」とかそういう面で凄く勉強になりました。私だと、「準決乗れたしエンジンステイで!」となっちゃうんですけど、SGになるとそこから大きなパーツ交換をしたり新品のパーツを入れたり、「こういう整備するんだ!」とびっくりしました。こういう時こうやって整備するんだと本当に勉強になりました。
AKI:SG終わった後も着を残して、そしてGII川口記念が始まりました!
小椋:変わらず動いてくれていましたね。基本的に大きなことはしないのでリング交換くらい。後はキャブのセッティングを詰めていくという感じ。大体この感じでどこのレース場でもバチっと合うのでルナが凄いんです(笑)ルナがこれだけ凄いので私が頑張らないと。後は、エンジンよりフレーム周りを扱ってとにかく乗りやすく、人間が全力を出せるようにしています。なので、準決が終わってからフォーク周りを新品にしたりしました。バック修正だったりフレーム周りをとにかく自分が乗りやすいように。車が良いのでグリップを開ければ速い、開けられるように乗りやすい車を意識して作っています。
AKI:川口記念初日から1着とやはり良い状態でしたか?
小椋:エンジンは凄く良かったです。SGの時に走るコースを自分なりに分析して試して勉強したらそれから格段に抜かれなくなったんです。後は同期にも相談して。以前はレース後半が苦しかったですし、今も自分が崩れていってしまう感じがあるんですが、ステップや膝当ての位置を色々研究してだいぶ乗りやすくなりました。ちょっとずつちょっとずつ頑張ってます。
AKI:3日目の特別予選は7着と惨敗しましたがどうされたんですか?
小椋:初乗りのタイヤで行ったらものすごいドドドがきちゃって全く扱えませんでした。タイヤの失敗ですね。試走からドドドがきていました。次の日は初日、2日目使った残り1走のタイヤで。2着を取れて優勝戦に進むことができました。
AKI:優勝戦が決まった時はどんなお気持ちで、優勝戦までどのように過ごしていたんですか?
小椋:まさか優勝戦に行けるなんて思ってなかったので「ええ?私?」みたいな感じ。優勝戦の日はリングを交換したりバック修正したりといろんなことをしていました。ただ、一緒に走る選手のレベルが違うので、いつものように「ステイ」にしたって勝てる相手じゃない。だからこそ色々やってみようと思い手を動かしました。
AKI:初のグレードレース優勝戦の舞台。スタートラインに立つ時はどんな思いでしたか?
小椋:お客さんの声援が凄くてそれに感動しました。自分がオートレースに惹かれたキッカケがお客さんの声援。なかなか気づかない時もあるんですが、さすがグレードレース!という感じで凄かったです!私の名前を呼んでるのも聞こえてそれだけで泣きそうでした。「うわ~これこれ!!」という感じ。
AKI:レースはスタートしてから8周回逃げ切りましたが振り返っていかがですか?
小椋:いや~長かったですね(笑)「次のコーナー来るな。きっと入ってくるな。抜かれるな。」ばかり考えていました。ビジョンを見たらコースが狂ってしまうので見れなくて。後は、誰が後ろにいるとか分かっちゃうと緊張しちゃうので見ないように、ひたすら走っていました。そうしていると最終コーナーに入って「え!?まじで!?」みたいな。「嘘でしょ!!?」と。優勝の意識はなかったですね。自分の目標は3連単に絡むこと。それを意識して走ってるんで優勝できるとは思ってなかったんですが「3連単には絡みたい!」と思っていました。応援してもらえるようになるにはお客さんにどんどん還元していくことだと思ってるので「3連単に絡む」という目標はデビューしてからずっと考えながら走ってます。
AKI:結果、"優勝"という最高の形になりました!
小椋:いや~本当にびっくりですね。まず試走3.29ってなに!?となってました(笑)冬に試走3.29は出したことあったんですが、この時期に出せたのはびっくり。間違ってない?と(笑)けど、エンジンの手応えはかなり良く、初乗りのタイヤもハネもなく。後は人間がやれることだけ頑張ろう!という気持ちで走っていました。とにかくグリップを開けて開けてを意識して。車が良い分余裕を持って突っ込めるし、車が帰ってくるし凄く乗りやすいバイクでした。ルナが最高に仕上がってくれてました。なので、私は開けて頑張るだけ。今最高に良い状態なので、この良い時期に人間が成長していかないとという気持ちです。
AKI:改めて、ゴール線切った時の気持ちはどんな感じだったんですか?
小椋:「え!まじ!!?そんなことある!!!???」です(笑)あの日は風が強く試走後に励が「風が強くてうまく乗れない。」と言ってたんですが自分はその風を感じなくて。風を感じないくらいエンジンが良かったんだと思います。
AKI:「え!まじ!!?」からのウイニングランはいかがでしたか?
小椋:優勝してのウイニングランは初めてで。お客さんが誰もいなかったらどうしよう!と思っていたんですがすっごい声援、「おめでとう!!」と聞こえて泣きそうでした。「うわ~感動!!!」と。本当に嬉しかったです。その後の表彰式でもたくさん「おめでとう!」と言ってもらえて「こんなに言ってもらえるんだ、嬉しい!!」となっていました。本当に凄かったです。
AKI:さらに同じ日には弟の小椋藍さんがスペインで行われていたMotoGPで優勝!凄い1日になりましたね!!
小椋:そうなんです!!自分が優勝して戻ってきてヘルメットを脱ぐ前に岩田さん(川口31期:岩田裕臣選手)が「藍も勝ったよ!!!」と教えてくれて。「嘘でしょ!!?」とここでもびっくり。こんなことがあるとは!自分のつなぎのお尻の部分には「姉っち」と入ってるんですが実はロードの世界では「姉っち!」とみんなから呼ばれています。オートの方では全く浸透してないし、オート選手になったこともロードの方には基本言ってないんです。というのも弟が恥ずかしくないくらいの選手になったら"オートレーサー"と言えるかなぁと思って。それこそこの間まではB級で速くなくって。そんな中、「世界ランク2位のお姉ちゃんです!」とは言えない。けど、こっそりとという感じでツナギにも入れてみました。ただ、自分の評価凄く低いんですよね。自分でも評価を高くしたんですけどそれが分からなくて。成績が良いのも競走車のルナのお陰なので。なのでこっそり(笑)
AKI:競走車のお陰と何度もおっしゃっていますが、自分自身の今後の課題や目標はなんですか?
小椋:今後、ハンデが下がっていくと思うんですけど、とにかく3連単に絡めるようにを絶対に意識してレースをしていきたいです。これはずっと目標なので。今まで人を抜くレースをしてきてないので、人を捌くということが大きな課題になっていくと思いますが、この目標を意識して走っていればおのずと上にもいけるのかなと思っています。
AKI:女子レーサーグレード初制覇最短記録を大幅に更新しましたがいかがですか?
小椋:後輩たちが大変ですね(笑)けど、私の記録を全部すずちゃん(川口37期:菅原すずの選手)に抜いて欲しいと思ってるんです。グループは違うので直接教えることはないんですが、すずちゃんから私の記録を抜きたいと直接言ってくれて。だから「私ができることはなんでもするから絶対記録を抜いてね!」と言っています。そしたら今回また新たに記録を作ったので「増えちゃったね(笑)」という話になりました(笑)けど、後輩がこうやって目標にしてくれるのは本当にありがたいです。なので、すずちゃんが今度乗るエンジンは私が初優勝したエンジン。2級車のクルミです。それに乗ってドカーンと記録を超えてくれたら嬉しいですし楽しいですね。たまたま今の記録を私が持ってるだけで執着はないですし、速い女子選手が増えると業界が盛り上がって良い流れができると思うので頑張って欲しいです。
AKI:ところで、可愛い車名が多い気がするんですが何か意識されているんですか?
小椋:全部女の子の名前にしてます。ルナはスペイン語で月という意味なんですが、私が初優勝した時に綺麗な月が出ていて。優勝戦のスタートラインに立った時に「今日月がめっちゃ綺麗!」というのを覚えていて。その流れで「ルナ」にしようと考えていました。車名を女の子の名前にしようと思ったのは愛着が湧くかなと思って。対人くらいの気持ちでバイクに接しています。最初の「ベローチェ」はお世話になったチームからとって、後は女の子の名前にしています。これからも女の子の名前でいくつもりです。
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
小椋:これからも3連単に絡んで、観てて面白いレースができるように頑張ります!
(写真は川口オートSNSより)
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伊勢崎オート所属の34期・石川哲也選手にお話をお聞きしました。
(取材日5/22)
―オートレーサーになったきっかけは?
きっかけは父親ですよね。じゃなければ知らなかったですもん。自分はずっと栃木に住んでいたので。栃木の人はオートレースを知らないですもんね。森さん(川口25期・森且行選手)と言えば分かりますけど。近くにレース場がないと馴染みがないですもんね。
―いつ頃からなりたいと思ったのですか?
高校を卒業して、すぐになりたかったけど、ちょうど船橋が廃止になるかどうかの騒動があって、1回諦めたんです。でも、オート見てたらやっぱりなりたいなと思って勝手に応募しました。最初は受けることをお母さんが止めようとしたんですよ。やっぱりお父さんを見てると怪我をしたりなんだり、それが嫌だと言って。
―養成所生活はどうでしたか?
もう嫌でしたね。バイクに乗るのはいいけど、朝早いし、消灯もあるし、規律が...。それがすごく嫌だった。バイクに乗っている時だけです、良かったのは。車もバイクも好きで、乗り物が好きなんです。バイクは乗ってなかったけど、最初はカート乗っていて、ずっと車とかバイクは好きで。自分、野球をやっていたので体力訓練とかは大丈夫でした。ただ、ホントに朝が苦手だったから、いつも起こしてもらってました。乗る訓練では最初、うまく乗れなかったですよ全然。ただ、グリップを開けていればいいと思っていたけど、バイクは寝ないし、曲がらないし、なんなら最初は(グリップが)全開にならなかったし。これはすげーなって思ったっすよ。周りから見てるのとは全然違ったですね。押しがけの練習もめっちゃ嫌だった。最初、全然エンジンがかからなかった。
―デビュー戦のことは覚えていますか?
覚えてますよ。デビュー戦は8着。緊張はそんなにはしなかったです。オートを見ていたから自分の試走タイムと周りの試走タイムを見比べて『これは無理じゃないか』と思って全然、緊張しなくなっちゃった(笑)。試走タイムがちゃんと出た方が緊張したでしょうね。
―初勝利を迎えた時はどうでしたか?
良かったですね。ひと安心というか。
―ここまででオートレーサーとしてやってきて苦しかったことはありますか?
いやあ~常にですよ。やっぱり成績が良くないと。あとは結果が良くてもレースで人に迷惑をかけたりすると、それはそれで嫌だし。迷惑かけないようにレースしないといけないから。最近だとハンデが後ろにいったり、前にいったりしているけど、一番後ろで安定したいんですよね。この10メーターの差って大きいんですよ。全然違うんですよね。
―ご自身の中で今、課題ってありますか?
最初の1周目じゃないですかね。最初の1周目と、あとは綺麗に抜くことって言うかレースすることですよね。危なくないように。自分も生活かかっているけど、みんなも生活かかってますからね。危ないレースはしないように。
―ここまでで嬉しかったことはありますか?
それはやっぱり、優勝した時は嬉しかったし、記念の優勝戦に乗れた時も嬉しかったし、まあ、いろいろありますね。あと車を買えたことが嬉しかったです。選手になったらずっと買いたいと思っていた車があったんですよ。それを買えたから嬉しかったです。【ちなみに何ていう車ですか?】カマロっていうアメ車です。維持費も高いんですけど、乗っていて楽しいですよ。排気量が6200ccでパワーがあるから、ポーンってアクセル踏むと(車内の)荷物が全部後ろにいくんですよ(笑)。
―体調面で取り組んでいることはありますか?
変な乗り方をしてるから腰とかすぐ痛くなるので、体が痛い時はなるべく医者に行きます。他はストレッチをするぐらいですかね。体力はそんなにいらないだろうし。自分は体重もそんなに増えないですから、一応は気をつけてますけど、増えないように気をつけるだけで。元々、あまり食べないので。
―今後の目標はありますか?
とりあえず最重ハンになって安定したい、安定して成績を出したい。今はばらつきがあるので。ハンデも前にいったり後ろにいったりで、前にいっても苦戦して、とかなので、いろいろあるから安定したいですね。伊勢崎はみんな速い先輩たちが多いから見習っていきたいです。
―同期との仲はどうですか?
同期はみんな仲いいですよ。同期の34期だったら今は、稚也(飯塚34期・長田稚也選手)が一番速くて、あいつも良いヤツだから聞けば教えてくれるし、いろいろやってくれるから、頑張って追いつこうと。追いつけ追い越せと思って、いい刺激になります。すごいですよね、ほんとにすごく綺麗なレースするから。人もできていますよ。
―最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
お客さんがオートレースを応援していただいているから僕が育ったようなものなので、親父はそのお金で僕を育てたので。今度は逆に僕が信頼できる選手になってお客さんに還元できればという気持ちで走ります。
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川口オート所属の28期・武藤博臣選手にお話をお聞きしました。
(取材日5/22)
―この前(5月18日川口オートにて)の優勝、おめでとうございます。エンジン状態は良かったのですか?
最近、ずっと良かったですけどね。結局、体重を絞っただけですよ。最後に痩せてた時が、10年ちょっと前に優勝した時です。ここ半年くらいで9キロぐらい落としたんです。【どんな方法で体重を絞ったのですか?】食わなきゃいいだけですよ。お腹が減ったらプロテインを摂取していました。お腹に溜まるので食わなくなるんですよね。それでプロテインを飲んでいたら、だんだん体重が減ってきて。更に続けていたら今のようになったんです。
―体重が減ったことで、レースしていてどの辺に影響が表れるのですか?
タイヤの持ちが違うし、掛かりも違うし、まあ直線も(車が)行きますよね。体重が軽くなった分。今までタイヤが滑ってたような所で滑らなくなったり。後半キツかったのが、そんなにキツくならなくなったり、とか。タイヤのペース配分が楽になったなって思います。ちゃんと昔からそうやっておけば良かったです。
―改めてですが、オートレーサーになろうと思ったきっかけは何ですか?
みんな言うように、ちっちゃい頃から見ていただけですよ。親父に連れていってもらって。
―本格的に目指そうと思ったのはいつ頃ですか?
小学校くらいだと思います。卒業文集か何かに『なりたい!』て書いたと思うんですよ。それで、高校3年の時に受けて、受かって、うまい具合にいきましたね。3月に卒業して、6月に養成所だったので。28期の中では一番下っ端でした。
―養成所生活はどうでしたか?
最初はキツかったけど、養成所のことはそれなりにって感じです。体力の訓練はキツかったです。バイクに乗る訓練になってから、憧れのバイクにまたがって、みんな感動してましたよ。
―デビュー戦の事は覚えてますか?
デビューする少し前に落車して、デビュー戦と2走目はタイヤがハネたりしてよく分からなくて、デビュー節の最終日にアタマ取ったんですけど、タイムアップしちゃって...。デビュー戦は勝ってないですけど、最終日に勝てて良かったです。
―ここまで選手をやってきて、一番印象に残っているレースは何ですか?
なんだかんだ、GI(2009年船橋オート祭)じゃないですか。怪我した後だったし、嬉しかった。SGよりも、そっちの方が嬉しかった。SGの時はエンジンも良かったし、自分がヘマしないで乗っただけだから。GIの方が...。しかも怪我をしたGIで優勝できたので、よけいに良かった。(武藤選手は2007年船橋オート祭で落車し、長らく休養を余儀なくされました)2年前のGIで怪我して、同じGIで優勝できたので、うまくいったよなあと思って嬉しかった。そんな感じです。落車した時はあまり記憶がないんです。ところどころは覚えているんですけど...。まあ、そりゃね、出血しましたからね、脳が(笑)。分かんないですよね。
―ここまででつらかったことはありますか?
なんだろう、怪我して思うように体が動かなくなっちゃったことがあって...。今は別に大丈夫なんですけど、復帰した直後とかはきつかったですね。
―日々、オートレーサーとして取り組んでいることはありますか?
特にないですね。休みの日ぐらいは完全にオフにしたいですね。結局、家の仕事とかやらされて終わっちゃうんですよ(笑)。このあいだも優勝したと思ったら、休みの日に冷蔵庫を買わされておしまいですよ(笑)。いい値段の。今、けっこうするんですよ、冷蔵庫って。あと、息子に電動自転車を買って終わりですよ(笑)。
―近い将来の目標とか考えていることはありますか?
せっかく痩せたので、これでどこまでいけるかって感じですね。とりあえず体重は元に戻ったので。体重を落としただけで、エンジンは何もなくてもこんなん(5月18日の優勝)なったから、ここからまたエンジンを扱えば、もう1ランク上とかも行けるだろうし。
―課題みたいなのはありますか?
なんだろうな、歳取っちゃったからね。昔みたいな勢いもなければ、オートレースへの取り組み方もないですけど痩せてきたし、もっと上を目指して、アレをやろうとかコレをやろうとかって感じになればいいですね。
―歳を取っちゃったってお話もありましたけど、若手の中で巧いと思う選手はいますか?
長田君(飯塚34期・長田稚也選手)とか巧いんじゃないですかね。素人からなのに。バイクの経験がある人はある程度、乗りますしね。最近の中じゃ、あの子が一番じゃないですかね。抜けると思ったら行くし、オートレースを見て育ったからじゃないかな。ロードレースじゃなくて。飯塚だったら、みんな巧い人がいるだろうし。
―最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
僕だけじゃなくて走っている人はいっぱいいるので、僕から買わなくてもいいので楽しんで買ってくれたらと思います。
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今年度最初のSG開催、オールスター・オートレース。今年も飯塚オートで行われました。ファン投票で選ばれるメンバー。青山周平選手がSGオールスター久々の優勝に輝きました。しかし、初日のスターセレクションでは3着。消音マフラーはまだまだ掴めていないとコメントが出る中、どのように優勝まで漕ぎつけたのか。オールスターを振り返っていただきました。
(取材日:2024年5月24日)
インタビュー / AKI
AKI:オールスターはあまり慣れていない消音マフラーでどうかな?とお話ししていましたが優勝を決めました!いかがですか?
青山:嬉しいですね。レースが始まる前は自信はあまりないというか優勝する想像はできてなかったけど"勝ちたいな"という気持ちはありました。頑張ろうという感じでした。
AKI:初日はスターセレクションが行われて試走タイム3.30と劣勢。振り返るといかがですか?
青山:まぁこんなもんだろうという感じ。抜かれて3着なのも自分はそんなに速くないしという感じ。周りが「どうしたの?」という感じだったけど自分では「こんなもんだけどな~」という感じでした。エンジンもタイヤもこれが悪いという感じはなく、初日なので分からない部分も多いし。頭で買ってくださった方には申し訳ないんですが、3着だしこんなもんでしょ、という感覚でした。なので、悲観するような感じでもなかったし、自分はあんまり速くないことは自覚してるのでそんなに気にしてなかったです。
AKI:それでも全国ランキングNo. 1という成績があるわけですが、そのことに関してはどう感じているんですか?
青山:あれはたまたまというか、ただの平均得点だから。No.1だからこうじゃないといけないとかはないと思うから、自分でプレッシャーを感じる必要はないし自分は自分かな。速い訳ではないから抜かれても自分自身驚きはない感じです。捌かれても「ですよね。」という感じでした。ランキングも半年間の成績が3ヶ月後に適用されるので、年末を優勝したり下半期の成績が良かったからNo. 1になれたわけであまり深くは考えてないです。
AKI:初日のスターセレクションが終わってからは何か扱いましたか?
青山:初日と2日目は新品ヘッドを入れて行っていました。その前に試したかったんですがタイミングがなくって。なので、初日、2日目に試して。3日目以降はその前に乗ってたヘッドに戻しました。乗って比較して良い方で行こうという感じ。オールスターでは戻しましたが、新品ヘッドも悪くないし今も乗ってるので今は新品ヘッドの良いところを探っていきたいという感じです。消音マフラー自体がよく分からないから、部品を替えてみて比較してみようという感じでした。
AKI:3日目以降の4日間の動きはどうでしたか?
青山:大きく変わらずどんぐりの背比べみたいな感じですね。以前から乗っていたヘッドの方が長く乗っていた分セットが分かるというか。ほとんど差はなかったですね。ただ、やっぱり消音マフラーは違うというか、まず自分が上手く乗りこなせていない。早く適応して、そこからセッティングという感じですね。まずは乗り方なんですけど、それが上手く合わせられないというか、時間がかかってしまう。表現が難しいんですが、消音マフラーだと止まり過ぎちゃったり、上手くレースの流れに乗れないというか。ギクシャクしちゃう感じが常にあるんです。なので、捌く時もギクシャクしてテンポが合わないというか。なんとも言えない感じがあります。まずはそこに自分が慣れていって少しずつ合わせていけられたらなと思ってます。合う時は合うし、合わない時は合わない。まだ特性を捉えきれていない感じですね。マフラー個々の特徴も絶対あるからそこを上手く頭の中で整理できるようになりたいです。たまにしか乗らないから少しの差というのが難しいですが、最近は少しずつ乗る機会が増えました。それでも乗る機会が少ないのでゆっくり経験値を上げていくしかないですね。
AKI:優勝戦は雨なのか、晴れなのか。前日では雨予報ということで湿走路を想定して枠を取っていく選手がいる中、1枠が残っている状態でしたがどんな思いでしたか?
青山:飯塚の雨は外というイメージがあったけど、最近は内も使えるようになっていたから、空いてるなら1枠しかないなという感じでした。一瞬外枠も考えたんですが外を取ったからといって何かある訳じゃないし「1しかないでしょ~」って(笑)ただ、以前のように「ラッキー!」とはならなかったですね。雨の予報だし杏亮(飯塚33期:中村杏亮選手)もわざわざ8枠選ぶくらいだし「明日は雨なんだな。」という感じでした。けど、なるようにしかならないし1枠が取れたけどどうかなぁという感じですね。
AKI:結局雨は上がり走路は回復していきました。
青山:どっちかなと様子を見ながら中途半端なタイヤはいらないかなと思っていました。周回も長いし、雨タイヤはぶっつけでいいかなという気持ち。タイヤ交換が面倒くさいなぁくらい。どちらかというと晴れがいいけどどっちでも良いかなという感じでしたね。エンジンは準決前に下周りをしてマフラーを替えたら試走からタイムが良くなりました。優勝戦も戦えるかなという気持ちも少し芽生えました。本当に焦りなく初日4日目まで来れて、準決勝戦で形になったので良かったです。
AKI:優勝戦まではどんな気持ちで過ごしていましたか?
青山:ギリギリまで雨が降るかも、という情報もあったのでみんな高めの晴れタイヤにしたり色々考えてたみたいなんですが、自分はそんなに沢山タイヤもなかったし晴れは準決のタイヤと決めていたのでそこまでバタつかずいけました。
AKI:優勝戦はスタートして佐藤摩弥選手(川口31期)がすぐに飛んできました!
青山:そうですね。スタートした段階で摩弥ちゃんらしい影が見えて、そこから何周か走っているとピンクが見えて「摩弥かな~」という感じ。ただ、ずっと後ろにいると思ってなかったから結果的に「上手い壁になってくれてありがとう」と思いました(笑)ただ、すごい迫ってきてましたし無我夢中でしたね。摩弥ちゃんだけじゃなく他の選手もいるし難しい。けど、準決からエンジンも良くなっていたし結果として1着でゴールできて最高の形で締めくくることができました。
AKI:早め先頭の10周回はやはり長いですか?
青山:んーやっぱり長いけどだんだん慣れてきたかな(笑)皆さんも見飽きてるかもしれないけど(笑)でも、摩弥ちゃんが面白くしてくれましたね。オートレース業界としては摩弥ちゃんが優勝した方がドッカーン!となってたんだろうなと思いましたけどここは譲れないので。優勝できてすごく嬉しいです。
AKI:SGオールスターは久々の優勝になりましたね。
青山:そうですね。飯塚で取って以来ですね。あの頃は相性抜群でした。ファン投票していただいてスターセレクションから走らせてもらってるので、ファンの方との距離感をより近く感じられる開催。レース自体はいつも通りですが、"オールスター"を久々に優勝できたのは嬉しいですね。抜け切るようなタイムは出せてないんですがエンジンは安定して良い状態で、結果はなんとか残せてるので良かったなという感じです。いつもだと上半期はあまり良くなく夏辺りから調子が上がってくる感じということに今年気づきました。今年は前半からなんとか良い結果が出てるので「良かったなぁ」と思っています。ホッとしてます。ただ、今後もグレードレースが続くのでもう少しエンジンを良くしていきたいですね。パーツ交換も含め考えていこうと思います。
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
青山:沢山のファン投票ありがとうございました。おかげさまでSGオールスターを8年ぶりに優勝できて本当に良かったです。これからもレースは続くので応援をよろしくお願いします。
(写真は飯塚オートSNSより)
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