伊勢崎オート所属の32期・松本康選手にお話をお聞きしました。
(取材日7/29)
―オートレーサーになろうと思ったきっかけは何ですか?
元々プロとしてレースをやっていたんですけど、息が短いというか、自分があと何年続けられるかなって思った時に、他の道も考えていたんですけど、4歳の時からずっとバイクに乗ってレースやってきたので、レースに携わる仕事をしながらやっていけたらなあっとざっくり思っていました。ただ、怪我とか何度も転倒とかしましたし、体もどこかしら調子が悪いところがあったりして、自分の体のことを勉強しようと思って、整体学校にいって整体の勉強もしていて、それで体も少しずつ良くなってきて、そっちの道に行こうかなとも思ってたんですけど、平塚さん(浜松31期・平塚雅樹選手)が以前、自分と同じチームで走っていた時もあったりして、で、平塚さんがオートレース選手になったことも知っていたので、平塚さんがオートレース選手になったんだなと思っていたら、その時連絡を取っていたバイク関係の友達に『受ければいいじゃん』って話になって。お世話になったモタード、スーパーモトにも恩返しがしたかったし、そういう所の関係で働くっていうのも考えていたんですけど、やっぱりまだ自分は選手でいたいのかなって考えたら、やっぱ選手でいたいなあって思って、レースしたいと思って...。いろいろ悩んだんですけど、自分が選手でいられると思ったら(オートレースの試験を)受けずにはいられなかったですね。
―その後、養成所に入ってみてどうでしたか。
養成所はきつかったです。僕らの養成の時って(新しい)防具を開発していて、結局、今はダメになっちゃったんですけど、その防具を付けているとヘルメットが当たって体の重心がズレちゃうんですよね。だから、乗っている間ずっと体幹を使って、ようは耐えているみたいな感じでとにかくきつくて、1日が終わるともうヘトヘトで、疲れ切って何もできなかったですね。途中からもう、これじゃ乗れないってなって、嘆願してなくなりました。なくなったら全然違いましたね。
―時間が決められている規則正しい生活っていうのはどうでしたか?
そういうのは別に、まあ。つらいですけど、でも、自分はそれこそ32歳で養成所に入って、それまでプロ活動をしていて、なんて言うんですか、自分で自分のルールを作ってやっていくので、まあ、スポンサー活動をしたり、トレーニングをしたり、練習したり、マシンの整備をしたり、やらなきゃいけないことがいっぱいあったから、そういった意味では、(養成所では)ただ言われた事をやればいいだけなので楽ですよね。朝起きる時間も決まってて、その後も決まってることをこなすだけだから、自分で考えなくていいし。それまでは全部自分で決めなくてはいけないから、総合して考えたら普通にプロ活動をしてる方が絶対大変ですよ。まあ養成所も大変でしたけど、大変な部分が違いましたね。
―デビュー戦のことは覚えていますか?
覚えてます。前のモタードの時に応援してくれていた仲間がみんな見に来てくれて、最後、5周回で滑らせて、それまでアタマだったんですけど、それでやられて着外だったんですよ。みんな『ええっ!』みたいな感じで。
―そこからレースを重ねて、オートレーサーとしてやってきて嬉しかったことはありますか?
まあ、嬉しかったことはいっぱいありますけど、まず選手になれたことが嬉しかったですよね。それこそ、前のレースの時に、プロとはいえローカルカテゴリーなので賞金も少ないですし、スポンサーさんからもらう額も限られてくるわけじゃないですか。なんだかんだいって生活するのでいっぱいいっぱい。それで、どんどん怪我もして体もボロくなってくるし、いろいろ憔悴していくわけですよね。でも、オートレース選手ってある程度恵まれた環境の中にいるので、まず受かったってことでホントに泣きました。嬉しくて。自分は特例枠で受験して受かることができたので、今までやってきたことがつながったっていうか。人生の中にも仕事としてつながったっていう風に思ったことがすごく嬉しかったですし、それがまず最初ですよね。で、まあホントにこれは建前でもなくて、グループにすごい恵まれたし、師匠が伊藤正司選手(伊勢崎20期)で、なんていうのか大きな人なんですよね。息子のように扱ってくれて、面倒見てくれますし、つきあってくれるから師匠やグループに恵まれたと思いますし、そういう環境の中で自分の選手活動も存分にやらせてもらって。それこそ最初は経験者だからこそ、うまくいかないようなこともあったんですけど、自分の中でちょっとずつ自習して、少しずつそういうことも減ってきて、ちょっとずつそれが手応えとして出て来た時に楽しいなとか思いますし。最近はそうは言っても歳を取ってきたから、体も思うように動かなくなってきましたし、やっぱり家族もいるし、前のモタードをやっていた時は人生の全てをレースに賭けていたけど、今は人生全てを賭けるわけにはいかないじゃないですか。でもオートレースって繊細な競技だから他の人に迷惑をかけることなく無事にゴールっていう方がいいレースができたりするんですよね。でも、そうは言ってもそれだけを考えているとやっぱり足りなくなっちゃう時もあるから、その中で、攻めるところは攻めてっていう駆け引きが自分の中では難しいところというか。行き過ぎちゃうとロスになるし、かと言って守りに入り過ぎると、そんなのはレースとして上には行けないし。その辺が難しいところでもあるし、面白さでもあるし醍醐味でもあるんですよね。
―今、課題としてはどんなことがありますか?
やっぱり歳を取ってきて自分の思うようにいかなくなることも多くなってきて、だから、いかに持続できるかですよね。今のパフォーマンスを長くできるか。ホント、岩田行雄(伊勢崎15期)さんみたいな選手は格好いいなと思いますし、ホントに尊敬するというか、ああいうふうになれたらいいなって思いますし、そのために今やるべきことをやっている感じですね。モチベーションの維持も大変ですから。何かしら目標を決めて、これをちょっとできるようになろうと日々精進してるんで、日々やり甲斐は自分で作っているつもりです。
―レースを離れてオフの日はどうしてますか?
体調を見ながら運動もしますし、休まなきゃいけない時は休みますし、結構ケアにお金を使ってますね。それこそマッサージや整体とかにもよく行きますし、酸素カプセルにもレース終わりには必ず行きます。全然違うんですよ。酸素カプセルに行くとめっちゃ回復するんですよ。なんか『ベッカムカプセル』とか最初言われていて、ベッカムが骨折してすぐ治ったので有名になったんですけど、酸素カプセルに入ると回復がホントに早いですね。疲れが取れますね。普段だったら3日間疲れが残るところが、1日半くらい短くなったりして。開催が終わってもすぐまた始まったりするから、ある程度疲労を溜めすぎないように調整しています。
―最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
オートレースを楽しんでもらいたいので、少しでもいいレースができるように日々頑張ります!
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