2024年10月に飯塚で開催されたGIIオーバルチャンピオンカップ。そこで久々にグレード優勝を飾った中村雅人選手。久々の優勝でもいつもの中村選手の姿がそこにはありました。どんな想いだったのか、お話を聞いていくと中村選手の意外な一面が見えてきました。
(取材日:2024年12月16日)
AKI:10月22日に行われたGIIオーバルチャンピオンカップでグレース3年ぶりの優勝となりました!振り返っていかがですか?
中村:いつしたか分からない、記憶にないくらいでした。3年ぶりかぁ。優勝できて良かったですね。
AKI:GIIの前から安定している感じがしていたんですが、大きな崩れもなく開催に臨めましたか?
中村:そうですね。自分は爆発力があるタイプではないけど基本的には安定してる感じ。無茶苦茶ダメっていうのはあんまりないかな。ここくらいのレベルはっていうのは持っていますね。上手くいかないこともあるけどそれでも最低限と思って仕事はしてます。パーツ交換もそこまでやらないというのもあるかな。一発勝負というのはウチではやってないから(笑)昔はもっと冒険してたけど、今は整備の志向が違うというか自分の仕事量に合わせたやり方にチェンジした感じ。ここ数年で変えていって少しずつ身になってますね。移籍だったり怪我だったりがあって考え方も変わっていったかな。あとは、仕事の仕方もずっと一緒だと面白くないし、考え方も変わるし、年齢も重ねる。結果的に今の所は安定して上手くいってるのかな。いつダメになるか分からないという不安はあるけどね。GIIも大きなことせずセッティングでいけたし、何よりも消音マフラーだと川口でいつも乗ってるし基礎は一緒だから扱うところは減る。初日からまあまあでしたね。
AKI:優勝戦まで負けなしで駒を進めました。1枠に入りましたが枠的にはどう感じていたんですか?
中村:1枠って苦手なんですよね。1枠で勝つことはほとんどないんじゃないかな。隣に行かれるのは想定内。だからと言って1枠を取らないのは嫌だから気にせず1枠入れるなら入ろうと思っています。
AKI:2枠が有吉選手(飯塚25期:有吉辰也選手)でしたがそこはガツっと構えて?
中村:もうそこは先行されるよね(笑)もちろん行きたい気持ちもあるけど「行けたらいいな」という感じ。たまに残す時もあるけど基本は速くないから。ただ、やっぱり内枠の方が我慢して潜り込めたりもするから有利だよね。優勝戦も先行はされたけど1コーナーで有吉さんが張って内が開いてたから入れた。展開が向いたよね。あとは、試走タイムも1番出てたしブチっぽくなった走路というのも車との折り合いがついて全てがいい方向に向いたんだと思います。もちろんエンジンが安定してくれてたに尽きるけどね。
AKI:早めに先頭に立ってから8周回というのはどうでしたか?
中村:後ろにずっと気配はあったけど、自分の走るコースは決まってたからこれでやられたら本望。もうどうしようもないからね。そんなにスピードはないから自分がどれだけミスせずに走れるかということだけだった。8周回は長かったけどほどよく緊張して。ある程度緊張感がないと危ないから、引き締めて走りました。
AKI:逃げ切ってゴールした瞬間というのはどうでしたか?
中村:終わったな、という感じ(笑)自分のことは冷静というか、嬉しい気持ちはもちろんあるけどそこまで大きく喜ぶことはないかな?自分のことで喜ぶのが好きじゃないと言ったら変だけどすぐに水に流せちゃう。初めてSG獲った時とか若い時は「やったー!」てのもあったけどね。クールと言われるけどこれが素。けど、人のことになると燃えるんですよね。ボクシングの試合とか見てたら叫ぶ時もある。応援の方が好きかな。自分が応援してる人が勝つ方が嬉しいかも。そっちの方がアドレナリンが出る感じ。もちろん走ってる時も出てると思うけど、それよりも人を応援してる時の方がテンションも上がってますね。オートレースは"仕事"として向き合ってるからちゃんとやるし、レースが終わった後も「終わった!」の方が強いのかもしれない。趣味じゃないから。だからこそオートレースの一つのレースで気持ちの波はないというか、一喜一憂しない。自分が優勝して祝勝会するのも良いけど、人の祝勝会で飲む方が好きだね(笑)
AKI:久々のグレード制覇になりましたが、獲れない期間はもどかしさとかはありましたか?
中村:それは多少あるよね。たくさん獲れてた時期もあったわけで。10年前は毎月優勝できてたのが年に1、2回できたらという感じになって。ただ、人間の面白い所がたまに勝つ時の嬉しさというか、優勝することが当たり前になくなると嬉しさが増すというか。その方が幸せに思うんですよね。贅沢な話しなんですけど。たまに優勝できたらいいなと思いますね。もちろん手を抜くとかではないですよ。ただ、当然のように若い選手がぽんぽん入ってきて時代が変わっていくわけでそれは凄く良いことで。その中で自分ができることをして勝てたら良いなという感じです。
AKI:中村選手の走りに憧れる選手が多いんですがそういう話を聞きませんか?
中村:もっと雑にしても良いのにね。丁寧すぎるところもあると思う。それでも自分の走りを良いと思ってもらえるのは嬉しいですね。人に迷惑をかけずに走るというのは基本だと思ってるし、怪我もしてるからいかに事故に繋がらないように、事故を減らせるように、綺麗に走るというか、走り方は考えています。それを評価してもらえるのはありがたい。けど、あんまりそう言われると汚いレースはできなくなっちゃう(笑)もちろんするつもりはないけど、事故は0ではないから。毎年1、2回は自分もやっちゃう。毎年フェアプレー賞は狙ってるんだけどなかなか獲れない。あれね難しいんです。獲ったことはあるけど連続では獲れない。「また今年もダメだった!」と思いますね。なので、目標はフェアプレー賞を取ることというのは常にあります。複勝率がある程度ないともらえないので連に絡みながら綺麗なレースをしないといけないんです。
AKI:いろんなタイトルを持っている中でほかに目標とかあるんですか?
中村:パッと思いつくのは「1000勝」することかな。まだまだなんだけどね。目の前の目標は事故をしないこと。そして、1000勝すること。選手をやってる以上はもう一本くらいSGが獲れればとは思うけどそれはまた目標とは違う話かな。ふわっと思ってることですね。だからこそ爆発力がないことは自分でも分かってる。自分のスタイルは地道に仕事して底上げをして高いレベルで安定させる。そこで優勝できるタイミングがあればいいなという感じです。
AKI:年末のスーパースタートライアル戦に出場しますが、そこに向けてはいかがですか?
中村:今はとにかくタイヤを当てて。エンジンはスーパースターだからといっていつもとやることは変わらないですね。とにかく練習でタイヤを当てることに専念してます。
AKI:それでは最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。
中村:一走一走大事に走って、年末も一つでも良いレースが出来るように頑張ります。応援お願いします。
(写真は飯塚オートSNSより)
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