
大井競馬所属の石川駿介騎手は、6月から佐賀競馬場へ遠征し、武者修行を行っています!
修行期間は9月いっぱい。
ラスト2週間の滞在となった、現在の心境をお聞きしました!
:まずは、今回の武者修行のきっかけを教えて下さい。
「大井の先輩である、真島大輔騎手に声をかけてもらったんです。大輔さんのお父さんが佐賀で調教師をしてますから、行ってみないかって。
それまで2年くらい、乗り鞍が少なくなって悩んでいたんです。
同期の本橋孝太騎手(船橋)も、高知で武者修行してから活躍してますし、どこかに行って勉強したいと思っていたので、すぐに決断しました」
:実際に行ってみてどうですか?
「みなさん、温かく迎えて下さいました。
大井では3時に起きていたんですが、こっちでは1時半に起きてます。午後の作業にも出ているので、1日終わるとクタクタになってすぐ寝てしまうんです。
でも、調教をつけた馬はレースに乗れることも多いですし、たくさん勉強出来て楽しいですね。思い切ってこっちに来て、本当によかったと思います」
:佐賀だけでなく、荒尾でも騎乗していますよね。
「はい。佐賀の全休日には、荒尾へ行って調教をつけてます。
今出来ることを精一杯やりたいので。
だから、こっちに来て4ヶ月、休みは佐賀と荒尾の全休日が重なった一日だけです」
:レース自体はどうですか?
「佐賀はとにかく先行有利。スタートで決まるという感じです。
だからかなり先行争いが激しいですね。そこは大井とは違うところです。
荒尾はコーナーもゆったりしてますし、佐賀よりも直線が長いので、乗りやすいですね。
こっちに来て、思った以上にレースに乗せてもらえるし、前よりも自信を持って騎乗出来るようになりました」
:修行期間も残り少なくなりましたね。
「そうですね。かなり中身の濃い4ヶ月でした。
26日までこっちのレースに乗れるので、悔いのないレースがしたいです。
今まで教えてもらったことを全部出したいですね。
今回の修行は、真島大輔騎手に声かけてもらって、お父さんである真島元徳厩舎でお世話になりました。
競馬に対して真剣だし熱い性格なので、親子だな~と感じましたね。
お2人の期待に応えたい!という気持ちも大きいです」
この4ヶ月で、たくさんのことを吸収した石川駿介騎手。
現在22歳。
これからどんなジョッキーに成長していくのか、楽しみです!
4月にレース中落馬して、怪我で休養していた皆川麻由美騎手。
今月に入って、元気に復帰を果たしました!
最初の病院では、頚椎損傷と診断されて入院していましたが、その後腰の圧迫骨折も判明。
2ヶ月近くもギブスを着けて入院していたそうです。
「4ヶ月も休んだのは初めてですね。
当初、復帰は10月くらいかなと思ってたんですが、思いの外早く復帰出来ました。
久しぶりのレースは、すごく面白かったです。
怪我した時は、3コーナー辺りで落馬したんですけど、その時の記憶が全くなくて。
だから、恐怖心もなかったですね。
11月にはレディースジョッキーズシリーズがあるし、そこを目標にしてました。
まずは怪我のないように騎乗することが第一ですが、復帰後初勝利を早く挙げたいです!!」
皆川騎手らしい、明るく元気な声を聞かせてくれました♪
今回の旅では、初めて乳母に会って来ました!
乳母とは...
出産で母馬が死んでしまったり、弱ってしまった時
母乳の出が悪い時
母馬が育児を拒否した時
長く子供を生ませるために、母馬の仕事を軽減したい時
など、母馬の代わりに仔馬に母乳を与え、子育てする馬のことです。
仔馬たちはすぐに本当の母だと思うそうですよ。
乳母の仕事期間は短く、仔馬が生まれてから乳離れするまでの半年以内。
どんな馬でも、秋には乳離れして母馬と別れて暮らすことになりますから。
今回訪ねた牧場は、浦河にある村下牧場。
ちょうど乳母の仕事を終えて、牧場に帰ってきていた母馬に会わせていただきました。
種類はハーフリンガー。
サラブレッドよりも体高が低く、がっしりとした感じ。
乳母には他に、道産子やばん馬などがよく用いられるそうです。
ここで気になるのが...乳母の産んだ仔馬たちの存在。
お母さんがいなくなって、どうするんだろ...と疑問に思っていたところ、2つの方法で育てていました。
1つは、他の乳母に育てさせるという方法。
サラブレッドの場合は、1頭の母が1頭の子供を育てるという図式ですが、乳母に使われる馬たちはサラブレッドよりも逞しく、1度に2頭3頭に母乳を与えることが出来るそうなんです。
乳母を扱っている牧場では、何頭も飼育している所もあり、他の牧場へ貸し出す乳母と、自分の牧場で子供たちを育てる乳母がいるそうです。
もう1つが、ミルクで育てる方法。馬用の粉ミルクもあるそうですよ。
村下牧場では、先ほどの乳母の子供が、別の場所で飼育されていました。
母乳を飲んだことがないそうなんですが、一緒に飼育されている仔馬のおっぱいを飲むふりをして、その感覚を味わっていましたよ。
優秀な乳母は、かなり早い段階で予約が入っているそうです。
料金は、平均して50万円ということでした。
セレクトセールなど、乳離れ前の当歳馬のセリの時には、母馬と仔馬が一緒にセリ場にやって来ます。
この時、どう見てもサラブレッドに見えない馬たちが、少なからずいるのですが...
彼女たちが乳母です。
今度セリを見る時に、ぜひ見つけてみて下さいね。
良血馬や成績優秀だったお母さんも偉大ですが...
代理の母として子育てする、乳母もまた偉大な存在です。
今年も8月23日から5日間の日程で、北海道日高町にてサマーセールが開催されました!
このセリは、上場される頭数が半端じゃないっ!
毎日200頭以上、5日間で1178頭が上場されました。
この数はもちろん、日本最大です。
サマーセールには乗り役だった頃からなるべく顔を出すようにしていました。
日本の競馬の中心である、生産界の動きがよくわかるし、馬主・調教師はじめたくさんの関係者が来場するので、ご挨拶したり自己紹介をしたりと、まさに社交場なのです。
今年は23日・24日の2日間行って来ました。
1日目は、午後に着いた時には大雨で、セリ場に入る前に行われる野外のパレードリンクでの歩行も出来ないほど。
とにかくすごい雨で、馬も人もぐっしょりでした。
後半に入って、少し雨が弱まり、パレードリンク再開。
待機していた厩舎から、番号順に野外のパレードリンクに入り...
そこでしばらく歩行して、次は室内にあるパレードリンクに入ります。
ここでは、体、四肢、歩き方はもちろん、人間に対して従順か、物怖じしないか、など性格も見極められます。
そのため、近年ではコンサイナーといって、セリに上場する時の躾を教える専門の方たちがいらっしゃいます。
まだ1歳馬たちですから、初めての場所でたくさんの人たちに見られると、緊張したり驚いたりして上手く歩くことが出来ない馬もいますが、コンサイナーにきちんと躾けられた馬たちは、お行儀よく、見栄えもよく、セリでいい値段がつくことがあります。
コンサイナーとして有名なのは、昨年の『NHKマイルカップ』を勝った【ジョーカプチーノ】の生産者、ハッピーネモファームです。
今年もコンサイナーとして手がけた馬が何頭も上場されていましたが、私が見た時は、326番に上場された【インペチュアスイメージの2009】が印象的でした。
立派な体と、人間の言うことをしっかりと聞いて歩く姿は目を引きましたね。
【タイキシャトル】産駒の牡馬で、650万円でJRAに落札されましたよ。
順調に行けば、来年のブリーズアップセールに登場するでしょうから、どんな成長を遂げているのか楽しみです♪
セリの流れに戻ると...
室内のパレードリンクを回って順番を待ち、いよいよセリ場に向かいます。
それまでは周りに他の馬たちがいたのに、ここでは1頭になってしまうため、寂しがって鳴いたり暴れたりしてしまう馬もいます。
それに...
値段のやり取りが繰り広げられますので、その声にびっくりする馬もいます。
誰からも声がかからず、主取りになった時は、なんとなく馬の嘶きも寂しく聞こえるもんです。
たとえ主取りになっても、ここで終わらない馬もいます。
セリ場の出口に待ち構えている人たちもいて、ここから値切り交渉が始まるのです。
少しでも高く売りたい生産者と、少しでも安く買いたい購買者の攻防戦。
セリ場は、社会の縮図だと思います。
前にもここに書きましたが、馬1頭1年育てるのに、餌代や人件費、設備投資など約100万円かかると言われています。
サマーセールに上場される馬たちは1歳馬ですから、生まれてから1年以上が経過している。
プラス、種付け料が30万~600万くらい。
種付けする種牡馬でだいぶ変わって来ますが、基本的には200万円で売れても儲けは出ない計算になります。
競馬はギャンブルですが、1番大きな賭けをしているのは、生産者だと思うんです。
どんな馬でも飛ぶように売れた時代は、もう過ぎ去りました。
たとえば...値の張る種牡馬の種を借金して付けたとする。
でも、出産で事故があるかもしれない。
牝馬が生まれれば、売り値は下がってしまう。
無事生まれても、成長過程で怪我するかもしれない。
体質が弱いかも...蹄がもろいかも...
そして、コンサイナーをつけるかどうか、乳母をつけるかどうか...
家族で経営しているような小さな生産牧場は、毎年大きな賭けをしているのです。
そんな中で、現在も成長し続けている牧場というのは、本当に努力の賜物だと思います。
今年のサマーセールは、1178頭が上場され、売却されたのは479頭。
内訳は、牡馬673頭上場で308頭売却。牝馬505頭上場で171頭売却。
この数字を見ると、牝馬がなかなか売れないのがわかりますよね。
昨年よりも売却率は少し上がっていますが、それでも40,7%です。
サマーセールで売れ残った馬たちは、秋に行われるオータムセールに上場してくる馬が多いです。
そのほとんどが、サマーセールの時よりも、更に値を下げて売られます。
これが、生産界の現実。
華やかなドラマの裏で、たくさんの人たちが試行錯誤しながら、日本の競馬を創っています。
今年も真夏の交流重賞が行われました!
12日・門別『ブリーダーズゴールドカップ』
16日・盛岡『クラスターカップ』
18日・佐賀『サマーチャンピオン』
3つのレース共に、新チャンピオンが誕生する、熱いレースとなりました。
まずは、門別『ブリーダーズゴールドカップ』。
1番人気に推されたのは、骨折から復帰して、『帝王賞』2着・『マーキュリーカップ』1着と完全復活を果たした【カネヒキリ】でした。
スタートして先行争いは少しゆったりめに流れます。
岩手の【エイシンイッパツ】が先手を取ると、【ロールオブザダイス】が2番手、【カネヒキリ】はイン4番手に着けました。
勝負所の3,4コーナーで一気に【マイネルアワグラス】が進出。
その後ろから【カネヒキリ】、【シルクメビウス】が追い上げます。
直線に入ると【シルクメビウス】の末脚が爆発!力強く突き抜けました。
2着【カネヒキリ】、3着【マイネルアワグラス】という結果に。
[ホッカイドウ競馬]
【シルクメビウス】、本当に強くなりましたね。
折り合いもしっかりとついていたし、鞍上の田中博康騎手の騎乗も馬の力を信じてのもので、改めてこのコンビの信頼関係を感じました。
正攻法で【カネヒキリ】を破ったことは、とても大きいと思います。
これまでは上がり馬として頂点にいる馬たちを追いかける立場でしたが、今度は追いかけられることになります。
王者として、これからどんなレースをしてくれるのか...人馬ともに、とても楽しみですね。
続いては、盛岡『クラスターカップ』。
地方交流重賞初登場となった【サマーウインド】が1番人気、前走『北海道スプリントカップ』を快勝した【ミリオンディスク】が2番人気でした。
レースは、外から【サマーウインド】がハナを主張すると、2番手に【ミリオンディスク】、内に【メイショウバトラー】が続きます。
3,4コーナーでは、内を突いて【メイショウバトラー】が先頭に。
直線を向くと【サマーウインド】がグイッと伸びて1着、2着【ミリオンディスク】、【メイショウバトラー】は3着に粘りました。
これで【サマーウインド】は、ダート戦10戦7勝2着3回とパーフェクト連対を続行中。
デビューした時は未勝利戦を勝ち切れず、1度は道営に移籍しましたが、そこで2連勝して再びJRAに復帰すると、一気にここまで上り詰めました。
まだまだ、この勢いは止まりそうにないですね。
2着に負けたとはいっても、【ミリオンディスク】も安定して力を発揮していますし、3着だった【メイショウバトラー】は、10歳牝馬ながら果敢に攻めて見せ場を作ってくれました。
新しいスター誕生に、ベテラン牝馬の活躍。
レース的には前に行った3頭の決着でしたが、レコードのおまけもついて、内容の濃いレースになりました。
そして、佐賀『サマーチャンピオン』。
このレースは【スーニ】が断然の人気を集めます。
スタートすると激しい先行争いが繰り広げられ、外から【ユニティ】がハナへ。
【セレスハント】が内枠を利用して楽に2番手につけると、【ヴァンクルタテヤマ】、【スーニ】と続きます。
1コーナーで【セレスハント】がハナを奪い返すと、2番手は【ダイショウジェット】。
向正面から3コーナーで、今度は【ダイショウジェット】が先頭に立つという忙しい展開に。
直線を向いた時にはすでに2頭の一騎打ちの様相で、【セレスハント】がもう1度伸びて初タイトルを獲得。
2着【ダイショウジェット】、3着争いは【スーニ】の追撃を振り切った【マンオブパーサー】、そして【スーニ】は4着に敗れました。
[さがけいば]
【セレスハント】は終始絡まれる展開ながらも、福永騎手の落ち着いた手綱捌きで道中無理することなく流れに乗り、最後まで脚色が鈍ることはありませんでした。
【セレスハント】と同じく、初の地方コースだった【ダイショウジェット】も、早め早めの競馬で積極的に攻め、この馬の力は出してくれたと思います。
地元・佐賀代表の【マンオブパーサー】は、途中の追走でいっぱいか...という場面もありながら、最後までよく踏ん張りましたね。
【スーニ】は59キロを背負っていたこともそうですが、コーナーコーナーで置いていかれ、本来のスピードが出せなかったように思います。
新チャンピオンは【セレスハント】。
ダート界は本当にどんどん新しいスターが誕生しますね。
この結果を踏まえ、秋の『JBC』がさらに楽しみになりました!