今回の旅では、初めて乳母に会って来ました!
乳母とは...
出産で母馬が死んでしまったり、弱ってしまった時
母乳の出が悪い時
母馬が育児を拒否した時
長く子供を生ませるために、母馬の仕事を軽減したい時
など、母馬の代わりに仔馬に母乳を与え、子育てする馬のことです。
仔馬たちはすぐに本当の母だと思うそうですよ。
乳母の仕事期間は短く、仔馬が生まれてから乳離れするまでの半年以内。
どんな馬でも、秋には乳離れして母馬と別れて暮らすことになりますから。
今回訪ねた牧場は、浦河にある村下牧場。
ちょうど乳母の仕事を終えて、牧場に帰ってきていた母馬に会わせていただきました。
種類はハーフリンガー。
サラブレッドよりも体高が低く、がっしりとした感じ。
乳母には他に、道産子やばん馬などがよく用いられるそうです。
ここで気になるのが...乳母の産んだ仔馬たちの存在。
お母さんがいなくなって、どうするんだろ...と疑問に思っていたところ、2つの方法で育てていました。
1つは、他の乳母に育てさせるという方法。
サラブレッドの場合は、1頭の母が1頭の子供を育てるという図式ですが、乳母に使われる馬たちはサラブレッドよりも逞しく、1度に2頭3頭に母乳を与えることが出来るそうなんです。
乳母を扱っている牧場では、何頭も飼育している所もあり、他の牧場へ貸し出す乳母と、自分の牧場で子供たちを育てる乳母がいるそうです。
もう1つが、ミルクで育てる方法。馬用の粉ミルクもあるそうですよ。
村下牧場では、先ほどの乳母の子供が、別の場所で飼育されていました。
母乳を飲んだことがないそうなんですが、一緒に飼育されている仔馬のおっぱいを飲むふりをして、その感覚を味わっていましたよ。
優秀な乳母は、かなり早い段階で予約が入っているそうです。
料金は、平均して50万円ということでした。
セレクトセールなど、乳離れ前の当歳馬のセリの時には、母馬と仔馬が一緒にセリ場にやって来ます。
この時、どう見てもサラブレッドに見えない馬たちが、少なからずいるのですが...
彼女たちが乳母です。
今度セリを見る時に、ぜひ見つけてみて下さいね。
良血馬や成績優秀だったお母さんも偉大ですが...
代理の母として子育てする、乳母もまた偉大な存在です。