NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。
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岩手牝馬三冠の最終戦。
二冠目のひまわり賞は、浦和から転入初戦だったトーセンキャロルが、2着のマルルットゥに10馬身差をつけての圧勝。中団からレースを進めると、4コーナー手前で抜群の手応のまま先行勢をとらえにかかり、うしろから追ってきたマルルットゥも気にしながらという、山本聡哉騎手の落ち着いた騎乗も見事だった。今回、これといった新興勢力もなく、そのレースぶりなら200メートルの距離延長も問題ないだろう。
アップテンペストは名古屋から再転入初戦だったひまわり賞では、逃げたカクテルライトをぴたりと追走したものの、直線一杯になって、なんとか5着。そのときは1000メートル通過が1分1秒4というかなりのハイペース。その次走やまびこ賞では、同じく逃げたカクテルライトの2番手追走という展開でも、同じ盛岡1800メートルの良馬場で1000メートル通過が1分3秒9と落ち着いたペース。直線でカクテルライトをとらえると、後続を振り切っての勝ちタイムが、ひまわり賞のトーセンキャロルとまったく同じ1分55秒3。展開やペース次第では逆転の可能性もありそう。
マルルットゥのひまわり賞は、勝ったトーセンキャロルよりもさらにうしろから脚を溜めるレースをして2着に好走。4月のあやめ賞も先行勢総崩れという展開で、マルルットゥは後方からロングスパートで直線前を飲み込んでの勝利だった。距離にかかわらず後半に脚を使えるような展開で能力を発揮するが、展開に左右されるタイプだけに狙い所が難しい。
カラフルフレスコは浦和から転入し、盛岡で5戦して2着3回。一気の距離延長と重賞初挑戦での相手強化に対応できるかどうか。
ダイヤモンドカップ、イーハトーブマイルでともに5着のグラフィアスレディは、牝馬同士となればもう少し上も狙えそう。
ひまわり賞で9着だったシャローナだが、笠松から転入初戦だった盛岡1600メートル戦でグラフィアスレディに半馬身先着しての勝利。笠松時代は1900メートル戦で3着があり、距離には対応できそう。
◎9トーセンキャロル
○5アップテンペスト
▲11マルルットゥ
△6カラフルフレスコ
△7グラフィアスレディ
△1シャローナ
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旧・競馬場で行われた過去2回は1400メートルで行われていたが、新・競馬場に移転しての重賞では唯一、ワンターン920メートルで争われる。
エッシャーは3年前の5歳時ではあるが、川崎スパーキングスプリント(900メートル)で勝ち馬とコンマ1秒差の4着。その後、浦和1400メートルの重賞プラチナカップでも4着に好走した経験がある。今年4月に高知から転入し、初めて920メートル戦に出走した前走フルダッシュオープンでは2番手から直線抜け出し、2着に2馬身半差をつける完勝。その勝ちタイム54秒4は、今年4月にオープンした新・名古屋競馬場の920メートルでここまでの最速タイム(まだレコードとしては記録されない)。能力を発揮した舞台で8歳での重賞初制覇に期待する。
高知から転入初戦となるサトノグリッターは、昨年の園田FCスプリント(820メートル)には高知C1格付けから挑戦して10着。とはいえ4着ブレイクフリーと0秒7、7着エッシャーとも0秒4差。その後高知で一気にクラスを上げ、今年春にはA-1特別でも上位争いをしていた。エッシャーの今年3月までの高知での格付けがB級までだったことを考えると、能力的には逆転している可能性はある。
人気になりそうなのは、兵庫から転入初戦のブレイクフリー。園田FCスプリントで昨年4着、今年3着という実績は最上位。南関東時代にも川崎900メートル戦でたびたび好走があり、園田820メートルでも5戦2勝、2・3着各1回。昨年の園田FCスプリントではエッシャー、サトノグリッターに先着しているが、その後の成績比較から3番手とした。
金沢・日本海スプリント(900メートル)を制したナムラムツゴロー、前走フルダッシュオープンで逃げてエッシャーの2着だったスノールナらも上位に食い込んできそう。
◎11エッシャー
○8サトノグリッター
▲5ブレイクフリー
△1ナムラムツゴロー
△4スノールナ
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西日本地区持ち回りの西日本ダービーが、各場ひとまわりして第1回が行われた園田に戻ってきた。
ピロコギガマックスは、春の牝馬限定重賞ではのじぎく賞の4着が最高だったが、中央の芝でスピード競馬を経験したのがきっかけとなったのかどうか、その後は古馬C1特別を勝ち、B2特別でも勝ち馬とそれほど差のない2、3着と好走。あらためて同世代相手となれば重賞でも期待できそう。その古馬との対戦では逃げ・先行に脚質転換して好走しており、大外枠に入ったのがどうかだが、地の利もあり、ハナをとってマイペースなら逃げ切りもあるのではないか。
注目はやはり、重賞4連勝を含め目下7連勝中、金沢のスーパーバンタムだろう。9月4日のサラブレッド大賞典に出ていれば金沢三冠の可能性はかなり大きかったと思われる。しかしそれを捨ててここに来たからには、相当に期待はあるのだろう。初めての遠征競馬でどんなレースを見せるか。
地元もう1頭の期待は、一冠目の菊水賞を制したベルレフォーン。中央相手の兵庫チャンピオンシップJpnII(6着)はともかく、その後、同世代同士で結果が出ていないのが気になるところ。兵庫ダービーでは2番人気に支持された期待馬だけに、巻き返しがあるかどうか。
笠松のアイファーエポックは4連勝で臨んだ岐阜金賞が6着惨敗。あらためて実力が試される。
名古屋のアイファーファイトは今年2月のデビューで、ここまで8戦4勝、2着4回と底を見せていない。ただ一気の相手強化と距離延長でどうか。
金沢のスターフジサンは9月4日のサラブレッド大賞典を勝ち、そこから中10日での強行軍がどちらに出るか。
◎12ピロコギガマックス
○9スーパーバンタム
▲4ベルレフォーン
△3アイファーエポック
△1アイファーファイト
△7スターフジサン
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中央オープンから大井に移籍し、南関東の重賞では苦戦していたタイサイだが、園田に遠征した六甲盃では、逃げて直線まで先頭。最後はジンギにとらえられ3/4馬身差で2着だったが、兵庫現役ナンバーワンのジンギを最後まで苦しめた。今回、その六甲盃以来の休み明けがどうかだが、小回りコースの長距離戦で能力を発揮しそう。
ウインユニファイドは前走トリトン争覇が10歳にして念願の重賞初制覇。中央に在籍していた昨年、佐賀記念JpnIIIで5着というコース経験があり、笠松・名古屋では重賞で3戦連続2着など相手なりに走る。旧・名古屋競馬場とコース形態が似ている佐賀コースでも力を発揮する。
エイシンニシパは、今回と同じ佐賀2000メートルのはがくれ大賞典で4勝、2着1回と、佐賀コースにめっぽう強い。ここまで重賞15勝は、兵庫所属馬の重賞最多勝記録を更新中。ただこれまでのはがくれ大賞典が、ほとんど西日本地区の馬たちでの争いだったのが、今回はジンギと好勝負を演じたタイサイ、笠松のくろゆり賞を制したメイショウワザシと、南関東から2頭が遠征。果たしてそのメンバーを相手にどうか。
前述、くろゆり賞を制したメイショウワザシは、中央オープン勝ちがある実績馬。
スマイルサルファーは今年のはがくれ大賞典でエイシンニシパに4馬身差の2着。その差をどこまで詰められるか。
地元勢筆頭は九州チャンピオンシップ連覇を果たしたドゥラリュールだが、ここまで重賞3勝はいずれも地元馬同士の対戦。遠征勢相手にどこまでやれるか。
◎2タイサイ
○10ウインユニファイド
▲4エイシンニシパ
△6メイショウワザシ
△5スマイルサルファー
△7ドゥラリュール
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岩手所属馬にとっては、1カ月後に行われるマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIへ向けての一戦。しかしながら8頭立ての少頭数で、重賞勝ち馬が牝馬のゴールデンヒーラーと、マイネルアストリアの2頭だけというちょっと寂しいメンバー。
金沢の読売レディス杯に遠征して3着だったゴールデンヒーラーは、牝馬同士のビューチフルドリーマーカップではなく牡馬相手のここを狙ってきた。もともと今シーズンはシアンモア記念3着、みちのく大賞典2着と、牡馬一線級相手に互角のレースをしており、そのときよりも相手が楽になったここはチャンス大といえそう。
セイヴァリアントは、今年春に南関東A2以下の特別で2着3着の好走があり、転入後はA級一組戦やすずらん賞の盛岡マイル戦を3戦して2勝、2着1回。いよいよここで重賞タイトルを狙う。
中央3勝クラスから今シーズン転入したマイネルアストリアは、初戦の赤松杯ではヴァケーションをクビ差でしりぞけて勝利。さらにあすなろ賞と、ここまで重賞2勝。とはいえシアンモア記念、みちのく大賞典ではゴールデンヒーラーに先着されているだけに、逆転まではどうか。
ここまで3頭の争いとなりそうで、あとは連下候補。すずらん賞でセイヴァリアントからやや差のある3着だったバスカヴィル、前走盛岡1600メートルのA級二組戦で接戦の1、2着だったホワイトパス、ゼットセントラルなど。
◎1ゴールデンヒーラー
○8セイヴァリアント
▲7マイネルアストリア
△6バスカヴィル
△5ゼットセントラル
△2ホワイトパス
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