
ジュゲムーンは北海道から高知に移籍し、初戦でいきなり川崎の全日本2歳優駿JpnIに遠征。4コーナーでもまだ前とは離れた9番手という位置から直線では大外一気、メンバー中唯一上り3ハロンで40秒を切る39秒3という脚を使って前に迫り、勝ったミリアッドラヴとはコンマ5秒差、3着のソルジャーフィルド(北海道)にはハナ+アタマ差という5着に好走。年明け初戦も再び南関東に遠征し、ブルーバードカップJpnIIIで5着だったが、勝ち馬とは1秒6差。これはさすがに距離が長かったかもしれない。そして地元高知初戦はC2格付けで古馬との対戦となり、単騎で逃げていたピンシャンを4コーナー手前でとらえると3馬身突き放した。この時期の3歳馬が、中央オープン勝ちの実績馬相手に完勝。地方の3歳馬同士で、あらためてどんなパフォーマンスを見せるか楽しみだ。
地元佐賀勢では、2歳時に圧倒的な強さで3連勝のミトノドリームに期待がかかる。九州ジュニアチャンピオン、ネクストスター佐賀、ともに中団追走から4コーナー大外を一気にまくって楽に突き放すという、直線だけの競馬で圧勝。今回はそれ以来3カ月半ぶりの実戦。地元馬以外とは初めての対戦でどんなレースを見せるか。
エイシンハリアーは、門別ではフレッシュチャレンジを勝ったのみだが、2歳オープンでも僅差の好走はあり、兵庫移籍後4戦3勝、2着1回。兵庫ユースカップは1番人気に支持された高知のリケアマキアートと序盤から3番手以下を離して競り合い、直線で競り落とすと、ラピドフィオーレにゴール前で迫られたもののクビ差でしのいだ。レース内容としては共倒れしてもおかしくないような展開で、実際にリケアマキアートが最下位に沈んだにもかかわらず勝ちきったレースぶりは評価できる。
ここまで3頭の勝負で、以下は3着争いに食い込めるかどうか。
地元佐賀のビービーシャルムは、門別未勝利から転入して佐賀では5戦3勝、2着2回とオール連対。1400メートルの持ちタイムでも、ミトノドリームにそれほど見劣らない。
キングスピカは、この世代の兵庫で圧倒的な強さを見せているオケマルと3度対戦して2着、3着、2着と好走。
シャナオウは初勝利が5戦目と遅かったが、2連勝のあとのAB特別で3着と、3歳になって力をつけた。
◎2ジュゲムーン
○7ミトノドリーム
▲3エイシンハリアー
△6ビービーシャルム
△10キングスピカ
△9シャナオウ
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ピカンチフラワーは5月に盛岡ダートのデビュー戦を勝ったのみで、ビギナーズカップでは差のある3着、ネクストスター盛岡では7着と、当初は目立った成績が残せていなかったが、グランダム・ジャパン2歳シーズンのプリンセスカップでは北海道勢上位独占の一角を崩す4着で地元馬最先着。冬の間は大井に一時移籍し、2戦目となった前走3歳戦では勝ち馬からコンマ5秒差の4着とまずまずの好走を見せた。冬季の休み明け2戦目というメンバーが多いなかで、1月、2月にもコンスタントにレースを使われてきたアドバンテージもある。
スノーミックスは9月の新馬戦こそ2着だったが、続く2歳戦では2着に8馬身、6馬身という圧倒的なレースぶりで連勝。年明け初戦となったスプリングカップは、勝ち馬には離されたとはいえ、4着は牝馬最先着。同世代の牝馬同士なら能力上位といえそう。
コニパは、重賞では目立った結果を残せていないながら12月3日の岩手デビュー限定の特別戦で勝ち馬と2馬身差2着。勝ったミヤギヴォイジャーはその後、金杯2着、スプリングカップ3着と世代上位の実力だった。
浦和からの転入初戦となるラグーンは、デビューした高知で2勝を挙げ、浦和移籍後は初戦で3着に好走したのみだが、南関東では5戦とも特別戦で、重賞でも上位争いの馬たちとの対戦も多かった。牝馬同士なら重賞初挑戦でも上位を狙えそう。
サンカリプソは2歳時の重賞では4着が最高だったが、12月には2歳B1戦で3着、1着と、終盤で充実。今回は2カ月半の冬休み明けでどこまで仕上がっているか。
◎6ピカンチフラワー
○5スノーミックス
▲2コニパ
△7ラグーン
△3サンカリプソ
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メイショウタイセツは、中央では4戦していずれも二桁着順だったものの、名古屋移籍後は下級条件から8連勝。転入初戦の3歳戦こそ後方からの追走でクビ差の辛勝だったが、その後の7戦は2着に4馬身以上の差をつける一方的なレースばかり。前走1700メートルのA2特別の勝ちタイム1分50秒1は、同距離の古馬重賞の勝ちタイムとの比較ではやや平凡だが、2着に7馬身差をつけた3走前2000メートルのBC級準重賞の勝ちタイム2分9秒6は、昨年の東海菊花賞や、過去3年の名港盃の勝ちタイムとの比較でも遜色ないもの。初めての笠松コースがどうかだが、ここまでのパフォーマンスからは重賞を狙える器といってよさそう。
中央オープン勝ちの実績で笠松に移籍したのがサヴァ。東海ゴールドカップ3着は、中央での実績を考えれば距離が長かった。1900メートルの白銀争覇は中団から早めに位置取りを上げると直線先頭に立っていたブラックバトラーをとらえ、2馬身差をつける完勝での重賞初制覇となった。さすがに前走JpnIIIのかきつばた記念は相手が強かったが、1600メートルの距離はもっとも能力を発揮できる舞台だ。
マッドルーレットは南関東A級から名古屋に移籍してここまで4戦。重賞では掲示板までだが、A1特別を2戦2勝。名古屋1700、2000メートルの持ちタイムではメイショウタイセツにやや劣るが、埋められない差ではない。
ここまで3頭の能力がやや抜けている感じで、白銀争覇でサヴァの5着だったチュウワノキセキ、笠松でA1特別勝ちがあるコトシロらに一角崩しがあるかどうか。
◎9メイショウタイセツ
◯4サヴァ
▲6マッドルーレット
△8チュウワノキセキ
△2コトシロ
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今シーズン10戦9勝2着。デビュー以来もっとも安定した成績を残したメムロボブサップ。障害などほんのちょっとの失敗で着順が大きく変わってしまうばんえい競馬で、古馬重賞をメインに使われながら、シーズンを通してほぼ完璧な成績というのはめずらしい。そこにはライバルであったアオノブラックが不振だったということもあるのだが。唯一の敗戦となった帯広記念は、他馬と30kg以上の差があってのことだからこれは仕方ない。ばんえい記念は過去3年、2着、1着、2着。高重量での強敵が不在となった今回、障害でよほど苦戦するでもない限り負けることはないだろう。
相手はやはり帯広記念で競り合ったコウテイかコマサンエースか。帯広記念で障害先頭から逃げ切ったのはコウテイだったが、コマサンエースも障害3番手から止まらず歩いた。昨年のばんえい記念では、コウテイが障害ひと腰2番手で越えたのには驚いたが、結果は5着。一方コマサンエースも昨年は障害ひと腰3番手。そこから止まることなく確実に歩き、障害4番手だったメムロボブサップには交わされたものの止まらず歩いて3着。1トンの重量で止まらず歩いた経験からコマサンエースを上にとる。メムロボブサップが障害で詰まるケースも考えてコマサンエースは頭でも買ってみたい。ところで、この3頭の3連複のオッズはいかほどだろう。
5歳馬タカラキングダムが出走してきた。ばんえい記念に5歳馬の出走はめずらしく、近年では2020年にアアモンドグンシンが出走。障害を2番手でクリアし、一旦は前に迫ったが、残り10メートルでヒザをついてしまい競走中止となった。それ以前となると2002年にシンエイキンカイが3着に入った。2000年以降で5歳馬の出走はこの2例だけ。4歳シーズン三冠を制したタカラキングダムだが、古馬重賞ではドリームエイジカップ6着、チャンピオンカップ10着と結果を残せていない。3頭のどれかが崩れたときに食い込む余地はあり印はつけたが、真っ向勝負で馬券圏内まではどうだろう。
と、この予想原稿書き終わったところで、阿部武臣騎手負傷のため、メムロボブサップは渡来心路騎手に変更の情報。その渡来騎手は、なんと!ばんえい記念初騎乗。いまやトップジョッキーのひとりであることは間違いないが、はじめてのばんえい記念でいきなりの断然人気では相当なプレッシャーと思われる。馬券的には縦目も押さえるべきかもしれない。
◎4メムロボブサップ
◯6コマサンエース
▲3コウテイ
△8タカラキングダム
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兵庫のラヴィアンは3歳5月のデビューからほとんど連戦連勝という成績で勝ち上がってきて、重賞初挑戦となったコウノトリ賞を圧勝。牝馬限定戦とはいえ、兵庫の古馬牝馬のトップホースの1頭、スマイルミーシャに4馬身差をつけた。続いて高知のレジーナディンヴェルノ賞に遠征して3着だったが、圧倒的に強いレースをしたサンオークレアがまくってきたところに真っ向勝負を挑み、そのぶん直線で脚が上がって3着だった。初めての遠征で、しかも力を要する高知の馬場でということであれば負けて強しといえる内容。今度は南関東から重賞実績馬も出走しているが、能力的にヒケはとらないと見る。
その南関東から遠征の強敵がローリエフレイバー。2歳時に東京2歳優駿牝馬を制し、その後は東京プリンセス賞2着、そしてロジータ記念を制したように、中距離以上で能力を発揮する印象。東京シンデレラマイルは大井でも小回りの内回りコースで、15番枠から押して押して位置を取りにいったぶんと、忙しい流れもあったか、3コーナー手前で手応え一杯になってしまった。今回さらに距離短縮の1500メートルが気になるところ。ただ、内枠からすんなりハナでマイペースに持ち込めればチャンスはある。
もう1頭兵庫から遠征はプリムロゼ。B級を連勝しての挑戦だが、昨年は園田オータムトロフィーで、その後園田金盃を制するマルカイグアスの2着。牝馬同士なら互角に戦える能力はある。
地元期待のセブンカラーズは押し出される形で△まで。金沢・お松の方賞を圧勝し、前走ブルーリボンマイルでも兵庫のヒメツルイチモンジに半馬身差の2着、前述スマイルミーシャ(3着)には先着して、他地区との交流でも堂々のレースぶりだが、今回はさらにメンバーのレベルが上がったように思える。
近走勝ち切れないレースが続いているブリーザフレスカは復活があるかどうか。
遠征で能力を発揮する高知のアンティキティラも、近走は見せ場がつくれていない。
◎4ラヴィアン
◯2ローリエフレイバー
▲8プリムロゼ
△7セブンカラーズ
△1ブリーザフレスカ
△5アンティキティラ
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