荒尾の2000メートル重賞では無敵の強さを誇ってきたタニノウィンザーだが、3連覇を狙った3月の大阿蘇大賞典ではテットウテツビの大駆けに遭って2着。ならば新興勢力の中からミブロボーイを狙ってみたい。タニノウィンザーが休養に入った6月に転入し、9戦して3着を外したのが1度のみという安定した成績。春にはタニノウィンザーに何度か土をつけていたモエレマジックマンを相手に7月の大阿蘇賞、8月の阿蘇根子岳カップと2度の勝利。前走初めての2000メートルを好タイムで圧勝しているだけに、荒尾では重賞初挑戦でも期待できそう。
とはいえタニノウィンザーの安定したレースぶりも健在だ。大阿蘇大賞典のあとも2着3着には負けたが、もともと2000メートルよりも短い距離では取りこぼしは目立っていた。4カ月ぶりの実戦となった前走のB級特別を叩いて臨む一戦で、得意な距離だけにこのレース3連覇の期待も高い。
テイエムゲンキボは、中央1000万条件から転入してA級特別で2、1着。前走ではミブロボーイを5馬身ちぎって勝った。ここでいきなりがあってもおかしくないが、中央ではダートの1200メートルを中心に使われていた馬だけにあまり強くは推せない。
モエレマジックマンは今年1月に南関東から転入。大阿蘇大賞典ではタニノウィンザーに続く3着だったが、その後の対戦成績ではモエレマジックマンが優位。しかし夏以降は勝ち星から遠ざかり、ミブロボーイやテイエムゲンキボらを相手に分が悪い。ここでは連下候補まで。
タニノウィンザーの牙城を新興勢力が一気に崩す可能性は十分にある。
◎ミブロボーイ
◯タニノウィンザー
▲テイエムゲンキボ
△モエレマジックマン
注目のオオエライジンがここを使ってきた。兵庫ではデビューから7戦全勝で兵庫ダービーを制し、大井に遠征した黒潮盃も堂々の1番人気にこたえて勝利。ここまで地方同士の対戦のみとはいえ文句のつけようがない。黒潮盃を勝ったあとは「中央に挑戦したい」と語っていたが、ダートなら11月6日のみやこステークスGIII(京都1800m)か、11月13日の武蔵野ステークスGIII(東京1600m)あたりになるのだろうか。ダービーグランプリ(11月21日・盛岡)に遠征して地方競馬を盛り上げてほしい気もするのだが。いずれにしても楽しみはここよりも先にある。
遠征はオオエライジンのみで、あとは東海勢同士の力比べ。実績上位は東海ダービーを制したアムロ。金沢のMRO金賞ではナムラダイキチにクビ差で敗れたが、ナムラダイキチはその後ジャングルスマイル相手に圧勝したほどの器。これは相手が悪かった。アムロは前走古馬A3特別を4馬身差で快勝しているだけに、やはり地元の3歳馬同士なら力は上。
マルヨコンバットは4月の新緑賞を制したが、その後重賞では今ひとつの成績。とはいえ2走前には古馬B3戦を勝っているだけに、それなりに力はある。もともとムラ駆けなタイプゆえ、一発の可能性はある。
ミサキティンバーは東海ダービーでアムロにハナ差で2着。前走JRA500万下との対戦では1番人気に推され、地元最先着は果たしたものの、勝ち馬からは1秒2差をつけられての3着。これをどう評価するかだが、アムロにはやや差をつけられた印象がある。
中央未勝利から転入初戦となるのがエーシンイオマンテ。6戦連続で1番人気に支持されるも、2着3着続きで勝ちきれず。最後は大差の最下位に敗れての笠松入りとなった。きっかけさえあれば未勝利の器ではなさそうだ。
◎オオエライジン
◯アムロ
▲マルヨコンバット
△ミサキティンバー
△エーシンイオマンテ
グリーンチャンネル「地方競馬最前線」では登録段階での予想だったのでエミーズパラダイスを◎にしたのだが、残念ながら回避。○にしていたレイモニをそのまま本命に繰り上げる。デビュー2戦目のJRA認定競走で初勝利を挙げて以降は勝ちきれないレースが続いていたが、8月25日のリリーカップでは直線鋭いキレを見せて差し切り、コースレコードで圧勝。前走、JRA札幌の芝では見せ場をつくれなかったが、ダートなら今後が楽しみな逸材だ。
1番人気はJRAのシェアースマイルだろうか。デビューからダートで2連勝。前走の2歳500万下は、スタートで出負けしながら直線では並ぶ間もなく差し切る圧巻のレース。おじに当たるタマルファイターは高崎所属ながら中央芝のオープンを勝った活躍馬。その主戦だった丸山侯彦騎手(引退)は、丸山元気騎手のお父さん。父が中央で名を売った馬の近親でタイトル奪取となるか。
ロクイチスマイルの前走、中央挑戦は、シェアースマイルの4着。4コーナー後方の位置取りから直線追い込み、勝ち馬とは0秒3とわずかの差。上り3ハロン35秒5はシェアースマイルを上回りメンバー最速だった。勝ち星はデビュー戦のみで、これが4戦目と経験も浅いが、スピード能力はかなり高そう。
シーキングブレーヴは、ブリーダーズゴールドジュニアカップ、フローラルカップと重賞で2度の2着。デビュー勝ちは1000メートルだったが、それ以外の好走は1700~1800メートル。門別の1200メートルは3度走っていずれも勝ち馬から1秒以上の差をつけられているだけに、距離適性が気になる。
ダートの新馬戦を勝ったのみのフリスコベイ、リリーカップ2着のあと初オープン勝ちを収めたコテキタイなどが連下候補。
◎レイモニ
◯シェアースマイル
▲ロクイチスマイル
△シーキングブレーヴ
△フリスコベイ
△コテキタイ
2歳オープンのアポイ山荘特別でレコード勝ちのイッシンドウタイに期待したい。1200メートルでもオープン勝ちのスピードがあり、前走アポイ山荘特別では4番手を追走し4コーナー手前から一杯に追われ、逃げ粘るダブルスターを残り100メートルでとらえて勝利。追い比べになれば勝負強そうなタイプだけに、連軸として信頼できそう。
アポイ山荘特別で逃げ粘り3/4馬身差で2着だったダブルスターが相手筆頭。前々走のイノセントカップはゴールドメダルの3着だったが、距離延長で力を発揮した。本命にしたイッシンドウタイとともにグランド牧場の生産で、こちらはラブミーチャンの半弟で、イッシンドウタイはもちろん同年齢だが血統的にはおじにあたる。ラブミーチャンはどうやら1200メートルあたりが適距離のようだが、これは父サウスヴィグラスが出たもの。しかし母系はもともとダートのスタミナ血統だけに、両馬ともにこの距離でこそというタイプのよう。前走に続いて近親同士でのワンツーとなるかどうか。
グッドタイガーは、1700メートルのスーパーフレッシュチャレンジで大差勝ち。イノセントカップはゴールドメダルに敗れこそしたものの、ダブルスターには先着。前走JRA芝のすずらん賞は着順こそ11着だがそれほど負けているわけではない。再び1700メートルの距離で巻き返しを狙う。
ピエールサンダーはデビュー戦3着のあと3連勝。前走ではイッシンドウタイを負かしており、ここでも可能性は十分。
イノセントカップを制したのがゴールドメダルで、グッドタイガーとダブルスターに先着。このあたりまでは勝ったり負けたりという相手関係だけに、条件や展開ひとつでチャンスはある。
テイクザクラウンは1200メートルのフレッシュチャレンジは6着だったが、その後1700メートルで2連勝。タイム的には印上位の馬と比べると劣るが、勝った2戦ともに楽勝なだけに強い相手とやればタイムは詰められそう。
◎イッシンドウタイ
○ダブルスター
▲グッドタイガー
△ピエールサンダー
△ゴールドメダル
△テイクザクラウン
岩手出身で船橋から遠征のリュウノボーイを狙う。昨年3歳時は芝のオパールカップを制し、OROカップでも古馬相手に3着と健闘。とはいえ芝でしか走らないというわけではなく、休養明け後の今年5月以降は南関東の重賞や準重賞で上位争い。1400メートルの距離が微妙だが、今回のメンバーなら実力は上位。今回鞍上の村上忍騎手は目下岩手リーディング。金曜日に川崎で行われたスーパージョッキーズトライアルではトップの戸崎圭太騎手と同ポイントの2位。鞍上の勢いにも乗りたいところ。
地元の大将格はマイネルプロートス。今回と同じ盛岡1400メートルの岩鷲賞を制し、前走青藍賞はゴールドマインに半馬身差の2着。ゴールドマインは東京競馬場の南部杯に遠征しているだけに、その留守をしっかり守りたいところ。ただ、中央在籍時の今年3月、大井B2B3クラスの条件交流で惨敗しているだけに、もしそれが実力ならリュウノボーイが相手では分が悪い。岩手でのレースぶりは中央の500万下で惨敗していたときよりも良化しているだけに地元の意地を見せたい。
北海道から遠征のタイセイアドミラルは今年6月に南関東から移籍し、前走初めてのオープンで4着。勝ち星が右回りの1200メートル以下のみというのが気になるが、実力的には通用する。
トウホクビジンは数を使われているだけに走るときも走らないときもあるが、地方同士の重賞なら展開がハマれば常に大駆けを警戒したい。
青藍賞4着のマイネルビスタ、中央500万下から転入初戦のA級一組を制したファーストメジャーあたりも連下争いに加われそう。
◎リュウノボーイ
○マイネルプロートス
▲タイセイアドミラル
△トウホクビジン
△マイネルビスタ
△ファーストメジャー