今年の福山2歳戦線は、デビュー戦で2着のあと3連勝したコウエイギャルが引っ張って行くのかと一旦は見えたものの、1番人気で臨んだ5戦目にクーヨシンの3着に敗れると状況は一変。たちまちクーヨシンの天下となり、コウエイギャルはあまり目立たない存在となってしまった。
クーヨシンの母ラピッドリーランは、福山にもいよいよサラブレッドが導入された時期の前後に活躍した、いわばアラブ最後の活躍馬の1頭で、牝馬ながら福山菊花賞やタマツバキ記念アラブ大賞典を制して牡馬の一線級とも互角に渡り合った。繁殖入りしてサラブレッドと配合され、産駒はサラ系としてサラブレッドと走るわけだが、まずはクーヨシンのひとつ上の姉、ラピッドリーサン(父レギュラーメンバー)が福山プリンセスカップ3着、福山ダービー5着とそこそこ好走して注目を集めた。そしてさらにすぐそのひとつ下の妹から、福山の世代頂点を狙おうかという活躍馬が出てくるとは驚きだ。デビュー戦は2着に敗れたものの、その後は4連勝。今回のメンバーはほとんどが勝負付けの済んだ相手で、持ちタイムも最上位の存在だけに、これまでどおりの走りをすればまず負けないだろう。ただ、それほど差をつけて勝ちまくっているというわけでもないので、何かちょっとした不利でもあれば...という不安もないではない。ただここまでの成績を素直に評価するなら本命にする以外ない。
穴馬を探そうともしたのだが、クーヨシンの前走JRA認定未勝利戦で2着のトールキング、3着のオブリラブが、どうやらタイム的にも2番手、3番手の評価となる。
クーヨシンのデビュー戦で唯一土をつけたカンピオーネロサが、前走の2歳1組戦でデビュー戦以来の2勝目を挙げたので、狙いはこの馬かとも思ったのだが、タイム的に前記3頭より1秒以上も劣っているだけに、上位に割って入るところまであるかどうか。
コウエイギャルも連下争いまで届くかどうか。
◎クーヨシン
○トールキング
▲オブリラブ
△カンピオーネロサ
△コウエイギャル
すでに何度も書いているのだが、今シーズンの古馬戦線はギンガリュウセイを狙うと昨シーズンから決めていて、前半はまったくの不振だったにもかかわらず決めたことだからと狙い続けていたら岩見沢記念では2着好走してくれた。がしかし。せかっく狙った馬が6番人気で会心の的中も、1着が1番人気のフクイズミで、3着が2番人気のニシキダイジンと、3連単は6810円しかつかないという、配当的にはなんだか煮え切らない結果となってしまった。
今後はきっとギンガリュウセイも人気になってあまり高配当は期待できないかもしれないが、狙うと言ったものは狙う。前走茜空特別はカネサブラックを10秒以上もぶっちぎっての完勝。今回も当然中心。
今回、有力勢ではニシキダイジンが回避。今シーズンはここまですべての古馬重賞に出走しているだけに、ここらで一休みも当然かもしれない。そもそもばんえい競馬ではシーズンを通して重賞を勝ちまくるというのは無理なことだし、あまり賞金を稼ぎすぎると帯広記念あたりで別定重量を課せられて苦労することになる。
代わりに、岩見沢記念を休んだカネサブラックが復帰してきた。復帰初戦の前走はギンガリュウセイにはちぎられたものの、きっちり2着は確保。ばんえいグランプリでは、なんと07年の同レース以来4年ぶりに掲示板を外すこととなったが、再び安定したレースぶりを見せてくれそうだ。
今回はあきらかに格下という馬も目立ち、馬券にからむ可能性があるのは、ほかには北斗賞2着に岩見沢記念4着のフクドリ、岩見沢記念を制したフクイズミ、北斗賞4着にばんえいグランプリ3着のホクショウダイヤまでだろう。
◎ギンガリュウセイ
◯カネサブラック
▲フクドリ
△フクイズミ
△ホクショウダイヤ
荒尾の重賞の予想ができるのもあと何回かだと思うとちょっと、いやかなり寂しい。10月14日の九州記念では地元荒尾勢が佐賀勢を蹴散らしてワンツーを決めただけに、ここでもがんばってほしいところ。が、しかし、いかにもガルホームの力が抜けている。小倉の芝挑戦こそ勝負にならなかったものの、地元佐賀では3戦3勝。いずれも2着馬に1秒以上の差をつける楽勝。そればかりか、レースを重ねるごとに強い相手との対戦となっているはずなのだが、どんどんと着差が開き、前走のアルデバラン特別は2秒の大差をつける圧勝だった。今回は初の1500メートルだが、父ケイムホームはアメリカで2000メートルのGI勝ちがあり、母アイディアルクインは2500メートルの九州大賞典を勝ったという血統。距離が伸びることでさらに他馬とは差がつくのではないか。
相手は、やはり佐賀のイッツマイプレジャ。北海道で5戦して勝てなかったものの、転入後は2連勝。ともに中団や好位から早めに先頭をとらえ、それぞれ4馬身、2馬身半差をつける完勝というレース内容。ガルホームほどの圧倒的な勝ち方ではないものの、まだまだ上が望めそう。
荒尾勢では、中央から転入のシゲル軍団に期待がかかる。シゲルクルミは、転入初戦の2歳4組戦で2着に2秒7の大差をつけての勝利。シゲルバナナは転入初戦を勝ったあと、佐賀でも2着し、前走は若駒特別を制覇。佐賀の実績馬にどこまでせまれるか。
ユメヲアキラメナイは、道営時代も含めて11戦目の前々走でようやく初勝利。それが佐賀への遠征競馬で、シゲルバナナを1馬身差で下してのもの。来年以降も競馬の世界に残るという荒尾の厩舎関係者には、まさに「夢をあきらめない」で、と伝えたい。
◎ガルホーム
◯イッツマイプレジャ
▲シゲルクルミ
△シゲルバナナ
△ユメヲアキラメナイ
重賞勝ち馬が3歳の2頭のみで、力関係を計るのがなんとも難解な一戦。ここは重賞初挑戦でもエーシンブイムードを狙ってみたい。中央時代は地方の条件交流も含めて3勝を挙げ、今年4月に兵庫に転入。8月には牡馬のトップクラスを相手にA1特別を連勝し、前走も2着。牝馬同士なら実力は上位だ。
笠松のマルヨシロワインの前走は、牡馬の一線級に混じっての姫山菊花賞で、勝ったタガノサイクロンからコンマ4秒差の4着。今回、同じ園田の1700メートル戦でもあり、やはり牝馬同士ならあっさり勝ってもまったく不思議はない。
キューティガビーは中央で芝・障害ともに未勝利から転入し、前走B1まで9連勝中。底を見せていない魅力十分。
3歳馬ではリジョウクラウンがどうか。前走レディスプレリュードの惨敗はしかたないが、古馬との対戦では3走前の兵庫サマークイーン賞で3着。勝ったエーシンクールディにはさすがに離されたが、2着のキーポケットには2馬身半差で3着。その結果だけを見れば、このメンバーなら勝負になりそう。ただ今回は前で競り合うような馬がいなさそうなだけに、後半の末脚勝負のこの馬には展開がちょっと厳しいかもしれない。
ミミちゃんは、古馬一線級との対戦こそないものの、6月以降は中央挑戦を除けばいずれも3着以内と安定した成績。連下には押さえておきたい。
◎エーシンブイムード
◯マルヨシロワイン
▲キューティガビー
△リジョウクラウン
△ミミチャン
どう見てもナムラダイキチの力が抜けている。中央2勝で転入し、金沢では7戦5勝、2着2回。先着を許したのは古馬だけ。MRO金賞では東海ダービー馬アムロを下した。アムロと言えば、先日の岐阜金賞でも兵庫の無敗馬オオエライジンに半馬身差で食い下がっただけに、相当な実力の持ち主だ。しかしなんといってもこのナムラダイキチに驚かされたのはオータムスプリントで、あのジャングルスマイルを8馬身ぶっちぎってレコード勝ち。ここはあっさり通過して、ぜひともダービーグランプリに遠征してほしいところ。
相手筆頭はエムザックハーツ。北日本新聞杯を大差圧勝。前走では古馬B1を制した。ナムラダイキチ以外では、古馬格付けとなっているのはこの馬だけ。とはいえ、東海ダービーとMRO金賞ではかなり離されての敗戦だけに、ナムラダイキチとは差がありそう。
タツフレンチは中央未勝利から転入した名古屋で6戦5勝。そして前走金沢転入初戦の3歳A1の1700メートル戦を制した。さすがにナムラダイキチ相手に勝ち負けまではないだろうが、底を見せていないだけに怖い存在だ。
サーストンヴィンスはここ5戦で3勝し、いずれも3着以内と力をつけている。前走では3コーナー過ぎからタツフレンチとの一騎打ちでわずかクビ差及ばず。タツフレンチとの力差はない。
ナムラバンケットは、JRAの未勝利戦で常に1秒以上離されての敗戦が続いていたが、最後のレースとなった札幌ダート1700メートル戦では勝ち馬からコンマ5秒差の3着と、もう少しで勝負になりそうなところまできていた。転入初戦の前走3歳A2戦は1番人気ながら3着。上積みがあれば馬券圏内は狙えそう。
ただ馬券の狙いとしては難しい。エムザックハーツがナムラダイキチに真っ向勝負に行けば惨敗ということも考えられ、断然抜けた馬が1頭いるときは、最初から着狙いの馬が上位に好走したりするパターンがよくあるからだ。ナムラダイキチから堅いところを絞って買うか、それとも薄目に流すか。
◎ナムラダイキチ
○エムザックハーツ
▲タツフレンチ
△サーストンヴィンス
△ナムラバンケット