昨年まで定量戦で行われていたばんえい菊花賞だが、今年はクラス別定となり、720キロのテンマデトドケから670キロのツジノコウフクヒメ、タケノビジンまで上下50キロのハンデ差がついた。テンマデトドケにとってこのハンデはさすがに厳しそうで、狙いは定量戦となる12月のダービーだろう。
そこで狙うのは、ばんえい大賞典で2着だったツジノコウフクヒメ。1着のレットダイヤとは20キロ差だったものが、今回は30キロ差に広がった。3着以下の馬との比較でも、重量差は同じか、むしろツジノコウフクヒメのほうに有利になっている。秋桜賞は4着で、そのとき先着された3頭とは今回重量差は変っていないものの、タイム差は5秒以内とわずか。再び逆転も可能だろう。前走は1番人気で最下位に敗れたが、第2障害でヒザをついて完全にへたりこんでしまってのもので、これは度外視。鈴木勝堤騎手にとってはばんえい大賞典2着以来の手綱となるだけに、ここで雪辱を果たしたいところ。
相手には、秋桜賞でツジノコウフクヒメに先着した3頭のうちの2頭で、ホクショウバトルとダイリンビューティ。ホクショウバトルも前走1番人気で最下位に負けているが、これもやはり障害で転倒してのもの。ダイリンビューティは、ばんえいプリンセス賞でも今回と同じ10キロ差でツジノコウフクヒメを負かしているだけに、逆転の可能性も十分。
△には軽量馬を2頭。タケノビジンは、ばんえいプリンセス賞3着のあと、B4クラスだが4戦連続連対と好調。牡馬ではもっとも軽い690キロのヒカルジャイナーもここ10戦で9連対と、まだまだ上のクラスを狙えそう。
秋桜賞2着のトレジャーハンターも4戦連続2着と勝ち切れないものの好調。しかし前走スピードスター賞の480キロから、今回は一気にプラス220キロの負担となるのが不安なだけに見送る。
◎ツジノコウフクヒメ
○ホクショウバトル
▲ダイリンビューティ
△タケノビジン
△ヒカルジャイナー
4月の福山桜花賞で連覇を果たしたあと、しばらく勝ち星から遠ざかっていたクラマテングに調子が戻ってきた。6月にクラスを落としたA3特別以降、重賞の金杯も含めて5戦3勝、2着2回。昨年のこのレースは6着に敗れているが、昨年と違うのは上り調子で臨めること。古馬になってからは桜のタイトルしかないだけに、菊も奪取といきたいところ。
今年2月に兵庫から転入したハードフォーレルは、当初こそB級で苦戦していたものの、6月27日のB3特別から覚醒したか、9戦7勝、2着2回という成績でA2特別まで勝ち上がった。福山では重賞初挑戦となるが、勢いで突破できるかどうか。
マルサンサイレンスも年明けに中央から転入しての上がり馬。前々走、初のA1特別では勝ったクラマテングから1秒7離される8着で、福山では初めて掲示板を外す結果となった。しかし続く前走のA1特別は好位から抜け出してきっちり勝利をモノにしている。この馬にも重賞で通用しそうな勢いがある。
フジノアリオンは、A1特別では5勝を挙げているものの、重賞では今年の福山桜花賞3着が最高という成績で、もうひと押しが足りない。7歳のグランドコガネは地道にクラスを挙げ、今回が重賞初挑戦。A2、A3特別なら勝てるが、A1だと少し足りないという成績。この2頭は連下に食い込めるかどうか。
◎クラマテング
○ハードフォーレル
▲マルサンサイレンス
△フジノアリオン
△グランドコガネ
春の2冠で1、2着を分け合った2頭に、中央未勝利からの転入馬が挑むという構図。
黒船皐月賞の勝ち馬ナロウエスケープは、高知優駿ではモルフェキープオフに逃げ切りを許したが、その後は古馬を相手に楽勝続きで8連勝。高知での通算成績は13戦12勝で、負けたのは高知優駿のみ。前走、古馬B-1特別でも余裕の勝利なら、同世代同士では負けられないところ。
ファンドリアスカは中央未勝利から転入初戦のB-3戦を圧勝。2番手を追走し、持ったまま4コーナー手前で先頭に立つと、直線を向いて軽く気合を付けられただけであっという間に突き放した。古馬B級でも楽勝ということならナロウエスケープにもヒケをとらない。
コスモグレイスも中央未勝利から転入してC級を4連勝中。その勝ち方からして、この馬もB級まで勝ち進める力はありそう。
ワールドヘリテージも中央から転入初戦のC3-11組を楽勝。ここでも好勝負の可能性は十分。
高知優駿でナロウエスケープに土をつけたモルフェキープオフは、その後2連勝したものの古馬B級で壁に当たった感じ。連下にからめるかどうか。ここ一発の勝負強さには期待したい。
◎ナロウエスケープ
○ファンドリアスカ
▲コスモグレイス
△ワールドヘリテージ
△モルフェキープオフ
連戦連勝という馬がいないメンバー構成だけに、ホッカイドウ競馬から転入初戦のモエレスペクタクルを狙ってみたい。2つの勝ち星はともに1000メートルだが、5頭立てとはいえ1700メートルの2歳オープンではまずまずのタイムで4着。3走前と前走のオープンでは大敗しているものの、ともに勝ち馬はレベルの高い北海道の2歳重賞戦線に出走している馬だけに、今回のメンバーならいきなりのタイトル奪取も可能と見る。
相手にもホッカイドウ競馬出身のブーケノネガイ。門別では4戦していずれも勝ち馬から1秒以上の差をつけられての敗戦だったが、笠松に転入初戦の2歳条件戦で差のない2番手追走から直線で突き放し4馬身差の圧勝。北海道での実績からモエレスペクタクルほどの力はないにしても、上位争いにはからんできそう。
3番手にもやはりホッカイドウ競馬出身場で、フェザージュニア。転入2戦目の秋風ジュニアでは、勝ったマルヨコンバットから3馬身差の2着。重賞級の馬がいないこのメンバーならチャンスはある。
カーリアンヒルは4戦2勝で、前々走の秋風ジュニアは6着。ワイドセンサーは5戦1勝だが、前走の2歳1組戦でフェザージュニアに先着の2着。いずれも連下なら。
◎モエレスペクタクル
○ブーケノネガイ
▲フェザージュニア
△カーリアンヒル
△ワイドセンサー
マヤノリュウジンが中心。前走こそ条件交流でJRA勢に先着されたものの、JRA1戦未勝利で名古屋に転入し、前々走まで8連勝。その中には、金沢に遠征してのMRO金賞勝ちや、古馬格付けのA4B1特別でも逃げ切り4馬身差の圧勝があった。まだまだ上を狙えそうな能力を感じさせ、同世代同士なら負けられないところ。
5連勝中のホウライオーカンもまだまだ上を望めそう。東海ダービーまでの3歳馬同士の対戦では勝ったり負けたりだったが、古馬編入初戦のB1・2組戦で2着のあと5連勝。接戦が多いが、それでいて連勝しているということは、勝負強い証拠だろう。
笠松・クイーンカップを制したメモリーキャップも前々走でA3b組特別を制した実績。前走・秋桜賞は6着に敗れたが、牝馬同士とはいえさすがに古馬一線級との対戦では厳しかった。
今回、唯一の遠征馬、ハイパーフォルテは兵庫チャンピオンシップJpnIIで1、2着の中央馬にこそ離されたものの、3着のフィオーレハーバーにはクビ差に迫る4着。その後この世代では断然と思われたフィオーレハーバーを逆転して兵庫ダービーを制した。ただそれ以来4か月半ぶり、加えて古馬との対戦がないことから評価を下げた。
スマートインパルスは船橋でデビューから2連勝。その後勝ち星に恵まれなかったとはいえ、重賞のクラウンカップも含め、掲示板を一度も外さない堅実な成績。転入初戦の前走がA3b組特別で勝ち馬から1秒差(8着)なら上位争いにからめる力はありそう。
3月の若草賞以来勝ち星がないコロニアルペガサスだが、ダートグレードの厳しいペースを経験して力をつけている可能性はある。ただ8月から月2走のペースで使われているため疲れは心配だ。
◎マヤノリュウジン
○ホウライオーカン
▲メモリーキャップ
△ハイパーフォルテ
△スマートインパルス
△コロニアルペガサス