福山・ファイナルグランプリに遠征したセトノヒット。3コーナーで先頭に立ち、ナムラベンケイを振り切るというレースぶりは見事だった。とはいえ、高知では2月のだるま夕日特別で、勝ったフサイチバルドルから1秒2も離された3着に負けているだけに、素直に中心とは言いがたい。
そこで本命はマリスブラッシュ。二十四万石賞は2年連続2着。今年こそはぜひとも勝ちたいところだろう。年明け以降、黒船賞JpnIIIを度外視すれば4戦2勝で連対をはずしたのは3走前のだるま夕日特別の4着のみ。セトノヒットには先着されたがわずかクビ差。前走マーチ特別はトサローランの2着と引き続き好調だ。
セトノヒットもファイナルグランプリを制した勢いで、高知でも重賞制覇といきたいところだろう。
ロマンタッチは、今回と同じ距離の昨年の珊瑚冠賞で3〜4コーナー一気のマクリを見せ、オリジナルステップの3/4馬身差2着。展開次第では一発がありそうで、まさに単穴タイプの馬。
ビッグインディは、前走マーチ特別では勝ち馬から大きく離された5着に敗れたが、兵庫ではオープンクラスでの4勝に加え、六甲盃2着の実績は侮れない。
アタゴビッグマンは、高知では転入初戦のE級選抜戦しか勝っていないものの、川崎のオープン(6着)、ダイオライト記念JpnII(9着)とハイレベルなレースで揉まれた経験を生かせば勝負になる。
◎マリスブラッシュ
○セトノヒット
▲ロマンタッチ
△ビッグインディ
△アタゴビッグマン
近年、東海地区の2歳〜3歳夏ごろまでの重賞では牝馬が圧倒的に強い。このレースの過去5年を見ても、04〜06年は3年連続で牝馬のワンツー、07、08年は1頭ずつ連対という結果。今年も牝馬の活躍が見られそうだ。
福山で行われた若草賞で圧巻のレースぶりを披露したトウホクビジンが中心。2走前のスプリングカップでも直線目の覚めるような追込みで勝ち馬から半馬身+クビ差の3着。今回の出走馬ではブラックポイントが2着と先着されたが、レースぶりからはトウホクビジンのほうが上と考えていいだろう。
相手筆頭も牝馬でダイナマイトボディ。年明けの新春ペガサスカップまで重賞2勝を含め8戦オール連対。その後は今ひとつの成績だが、園田や中央への遠征に加え、前走は古馬A3特別で勝ち馬から0秒9差の4着。3歳馬同士なら確実に実力上位。
ブラックポイントは年末のライデンリーダー記念から重賞を4戦して1勝、2着3回という安定した成績。牡馬が一矢報いるならこの馬だろう。
以下は、上位3頭とはやや差がある。
エンシェントの半弟という血統のディアボロスは、昨年9月の準重賞・秋風ジュニアが初勝利で、ここまで6戦して1、2、3着が各2回という成績。今回が重賞初挑戦で、好位から抜け出すいつもの競馬ができるかどうか。
同じく重賞初挑戦となるアカイイトは、目下4連勝と未知の魅力がある。
ジュニアクラウンを勝ったブルーベリーは、前走名古屋のスプリングカップは11着と惨敗したが、笠松では好成績を残している。
◎トウホクビジン
○ダイナマイトボディ
▲ブラックポイント
△ディアボロス
△アカイイト
△ブルーベリー
いよいよばんえい記念。今年はドバイワールドCと日程が重なってしまい、ばんえい記念を現地で観戦できないのがなんとも残念。スーパーペガサス4連覇のときも同じ状況で残念な思いをしたのだが、こればかりはしかたない。
今シーズン勝ち星のないトモエパワーだが、3連覇達成の可能性はかなり高いと見る。
史上初の4連覇を果たしたスーパーペガサスは重賞通算20勝というとてつもない成績を残したが、これは700キロ台のそれほど重くない重賞のレースから1トンのばんえい記念までこなせるというオールマイティーな能力があってのもの。
対してトモエパワーは、一昨年のばんえい記念初勝利以降はどんどんとズブくなり、700キロ台のレースではほとんど勝てなくなってしまった。昨シーズンもばんえい記念までは岩見沢記念を勝ったのみ。2度目のばんえい記念では、1トンを意識した特別な調教を重ね、砂埃の上がる乾いた馬場で、史上もっとも遅いタイムでの圧勝となった。
今年もその特別な調教を積んでいるらしい。普通の調教では重り(コンクリートの塊)をソリの上に乗せるのだが、トモエパワーのばんえい記念に備えた調教では、その重りをソリに縛りつけてずるずると引きずるのだという。ばんえい競馬のソリは、通常ならスキー板のような部分が地面と接しているだけだが、コンクリートの塊を引きずることでその重さ以上の負担となる。1トンのレースに特化した強さを発揮するのがトモエパワーなのだ。
7歳の3強がトモエパワーを負かせるかどうかだが、スーパークリントンが最右翼と見る。今シーズンは北見記念を制覇。カネサブラック、ナリタボブサップより10キロ軽かったとはいえ、その後も帯広記念4着、チャンピオンカップ2着と好走。同期の2頭より、高重量戦の安定度は上と見る。
展開次第で一発がありそうなのはナリタボブサップ。昨年は帯広記念を勝って臨み、かなり期待していたのだが6着。今年の帯広記念は7着だったが、その後調子を上げているだけに昨年の雪辱といきたいところ。
昨年2着のミサイルテンリュウも年齢を重ねてズブくなってきているのだが、ばんえい記念というレースを考えれば、それはむしろプラス材料。
トモエパワーと同厩舎のカネサブラックは昨年のばんえい記念は温存。今年はチャンピオンカップを制したあと、1トンにそなえて調教をつんでいるらしい。ただチャンピオンカップを勝ったときの松井調教師は「800キロくらいで力を出す馬」と言っていたので、初の1トンがどうか。
3連複・3連単のないばんえい記念だけに、馬連複・馬連単ならこの5頭の勝負だろう。
◎トモエパワー
○スーパークリントン
▲ナリタボブサップ
△ミサイルテンリュウ
△カネサブラック
GI(JpnI)級のレースで好走しているJRA勢3頭の争い。
スマートファルコンのダートグレード3連勝はいずれも楽勝で強いレースを続けているが、ほとんどが格下馬相手のもの。対してワンダースピードは、名古屋グランプリで振り切ったメイショウトウコンがその前走JCダートでカネヒキリと接戦の2着。平安ステークスでは、その後フェブラリーステークスで接戦の4着と好勝負を演じるエスポワールシチーを差し切っての勝利。厳しいレースを勝ち抜いてきているという点では、スマートファルコンよりワンダースピードのほうが上。今回はワンダースピードを本命とする。
黒船賞では安藤勝己騎手→岩田康誠騎手の決着だったが、今度は小牧太騎手→岩田康誠騎手と、元地方騎手同士で決着という流れを期待したい。
メイショウトウコンは、後方追走でどのタイミングでまくってくるか。展開次第ではこのレース連覇のチャンスはある。
笠松・名古屋に遠征して重賞3連勝のベストタイザン、9歳となって全盛時の力は期待しにくいサカラート、昨年の佐賀記念以来勝ち星から遠ざかっているチャンストウライは3連複・3連単の3着まで。
◎ワンダースピード
○スマートファルコン
▲メイショウトウコン
△ベストタイザン
△サカラート
△チャンストウライ
昨年新設された、年度末に行われるファン投票のファイナルグランプリ。
ナムラベンケイにとっては、当面のライバルであるムサシボーやサムライランボーが不在で楽なメンバーになった。重賞勝ちは昨年4月の福山桜花賞以来遠ざかっているだけに、ここは勝たなければならない一戦。
相手はちょっと難解。A2あたりなら好勝負だがA1特別や重賞だと苦戦というメンバーばかりで迷うところだが、前走桃の花特別(A1)で3着のアナザースターが相手筆頭。中央時代も福山に移籍してからも勝ち星がないが、常に好走はするタイプ。正月の福山大賞典でもレコード勝ちのムサシボーから0秒3差の3着があり、このときはナムラベンケイ(5着)に先着している。一発があってもおかしくない。
クラマテングは、昨年3歳時に鞆の浦賞と福山王冠を制した2冠馬。古馬一線級相手の福山大賞典はさすがに厳しかったが、2月にはA1A2特別を勝った。ナムラベンケイ以外の相手なら十分勝負になりそうだ。
ブラックパワーは昨年の金杯を8番人気で勝ってあっといわせた。今年は重賞やA1特別でいずれも勝ち馬から1秒以上の差をつけられているが、兵庫所属時代から人気がアテにならない穴馬だけに、押さえておく必要はあるかもしれない。
◎ナムラベンケイ
○アナザースター
▲クラマテング
△ブラックパワー