先週5日(日)、盛岡ダート1200mを舞台に今シーズン最後の短距離重賞「第13回絆カップ」が行われ、キラットダイヤが圧勝。早池峰スーパースプリントに続いて絆カップ3連覇の偉業を達成した。
レースはカタナが好スタートを決めたが、キラットダイヤは手綱をしごいて先手を主張。ゲートから100mあたりでハナを奪うとあとはマイペース。快調に飛ばして2着トーセンキャロルに6馬身差をつけ、鮮やかな逃げ切りを決めた。
鈴木祐騎手「スタッフがしっかり仕上げてくれたと思います。返し馬でも背中の感じがすごく良かったので、自信を持って臨むことができた。ゲートを出てからの一歩目二歩目は速くないので、行き切るまで少し時間がかかったが、今回もスピードに乗ってからがすばらしい。あとは馬の邪魔をしないよう、ナチュラルに動かしていった。4コーナーを過ぎても反応が良かったので、勝利を確信した。今回で重賞10勝目ですか。乗り始めて3年目になりましたが、ボク自身を成長させてくれた馬でした。印象に残るレースは今年の岩鷲賞。トーセンキャロルの脚がすばらしかったので負けても仕方ないと思ったが、まさかの3着。非常にショックを受けましたが、きっちりお返しできた。キラットダイヤはポテンシャルが高く、とても強い馬だと思います」
板垣吉則調教師「いつもどおりだけど、スピードに乗るまでかかるが、先頭に立ってからは安心して見ていられた。アクシデントもなく、調整も予定どおり。前回(ヴィーナススプリント)よりさらに状態が上がっていたから、納得の結果。あくまでも予定ですが、今日のレースで引退します。キラットダイヤは体もいいですし、スピードがすばらしい。いいお母さんになってほしいですし、いい仔を生んでほしいと思っています」
コメントにもあったとおり、あくまでも予定だが、キラットダイヤは絆カップで現役にピリオド。繁殖生活に入る。実はヴィーナススプリント後にも板垣吉則調教師がほのめかしていたが、6歳で引退は時期的にもベストだと思う。これも憶測になるが、3年連続で最優秀短距離馬に選ばれる可能性が高く、繁殖牝馬としての価値はさらに上がるのは確実だ。
血統的にも非常に魅力的だ。父がサウスヴィグラス、母父がハーツクライ。母方の3代父がサンデーサイレンスだが、どんな種牡馬ともほぼ配合できるのが強味。キラットダイヤは今回の勝利で短距離重賞10勝目をマークし、仔どもにも豊かなスピードを伝えるに違いない。諸事情により現役続行の可能性がない訳ではないが、まずはお疲れ様と伝えたい。
追記・11月9日、「道営記念」へスポット参戦した山本聡哉騎手は落馬のアクシデントに巻き込まれて打撲、挫傷したが、12日から始まる岩手競馬で騎乗する。落馬の影響は少なくないに違いないが、責任感を優先。頭が下がるばかりだ。
今週の岩手競馬
11月12日(日) 「第50回南部駒賞」(2歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1600m)。
11月13日(月) 「ノベンバーカップ」(B2級 盛岡ダート1400m)
11月14日(火) 「フレンドリーカップ・カシオペア賞」(JRA1勝クラス 岩手B1級以下 盛岡ダート1600m)
文/松尾康司