先週9日(月祝)、盛岡ダート1200mを舞台に行われたJpnIII「第26回クラスターカップ」はリュウノユキナが1番人気に応え、3馬身差をつけて完勝。前走・北海道スプリントカップ2着の雪辱を果たし、東京スプリントに続いて重賞2勝目を手にした。
柴田善臣騎手「前回は疲れがたまっていたが、放牧でリフレッシュ。いい状態で臨めましたし、結果も出してくれました。今回は前にいた馬を見る形でしたからレース運びが楽。内が深いという話でしたが、それほど深くないと思いましたから内からスムーズに抜け出せることができました。ひと頃、精彩を欠いた時期もありましたが、最近はうまくコンタクトを取れるようになったことも大きい」
柴田善臣騎手はこの勝利で2002年サウスヴィグラス、2011年ドスライスに続いて3度目のクラスターカップ制覇。また前日にはメイショウムラクモでレパードステークスを優勝。JRA重賞最年長記録を更新したばかり。2日連続で重賞制覇の偉業を達成した。
管理する小野次郎調教師「東京スプリントを勝つ前(大和ステークス)あたりから、精神面が安定して能力を出し切れるようになった。今にして本格化を迎えたと思う。最大目標はJBCスプリント(金沢)。東京盃を使うか直行するか―は状態を見て決めたい」とのこと。リュウノユキナの今後の動向に注目したい。
16日メインはOROカップ・トライアル準重賞「第44回桂樹杯」。まさにトライアルにふさわしく岩手代表権を決定する一戦となった。
ロワアブソリューは中央芝1400m~芝1800m6勝から昨年4月に転入。当初4戦はダートで4着2回が最高だったが、芝に替わって動きが一変。OROターフ特別、準重賞・桂樹杯と盛岡芝1600m2連勝を飾った。
続くOROカップは5着に終わり、適条件もなかったことから休養。盛岡芝を待って完全リフレッシュに専念し、かきつばた賞(芝1700m)で復帰。9ヵ月ぶりの実戦をモノともせず、6馬身差で圧勝。
驚いたのは走破タイム。2013年、ナターレの持つ芝1700mコースレコードに0秒2差に迫る1分43秒9。今年の盛岡芝は高速決着の連続だが、それにしても文句なしのタイムだった。
櫻田康二調教師「ベストは1600m。1700mは気持ち長いが、鞍上(山本政聡騎手)がうまくのってくれた。トライアルを勝ったけど、せきれい賞の2400mは守備範囲外。OROカップを目指すのでスキップします」
その言葉どおり桂樹杯を使って本番に臨む。しかも今年は1700mが舞台。本番と同じ距離でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみとなった。
ムーンクエイクも中央芝1400m~1800mで6勝だが、2018年にはGII・京王杯スプリングカップを優勝。ロワアブソリューより格上の存在といえる。今年1月1日、高知へ移籍したが、2着4回が最高で勝ち星なし。時計のかかるダートに手こずっていた。
その結果、盛岡芝に新天地を求めて今回が転籍初戦。小回り盛岡をこなせるかがカギだが、全盛期は先行力を武器としており、問題なさそう。先に行われた芝2400m交流・せきれい賞でロードクエストが復活劇を演じ、ムーンクエイクがそれに続くか注目の一戦。
リンシャンカイホウは中央2勝クラスから転入。水沢3戦は着外だったが、芝に替わってかきつばた賞3着、前走・ターフ特別2着。先行粘りが冴え渡っている。ロワアブソリュー、ムーンクエイクがけん制し合えば漁夫の利まで。
ピッツィカートは芝1800m、芝2200m、芝2600mでぞれぞれ1勝。ほかに2着5回3着6回と安定度に定評があった。長距離タイプなら時計のかかる盛岡芝向き。上位争いの一角を形成する。
コスモリョウゲツは前走5着に終わったが、ツーエムマイスターが大逃げを打ち、ペースにとまどったのも敗因。前々走・かきつばた賞2着で盛岡芝巧者ぶりを発揮。前走のみで見限るのは早計だろう。
ナイトオブナイツは中央芝6勝、大井A1を経て転入。かきつばた賞4着、せきれい賞2着と好走。前が速くなれば再現まで。
◎⑫ロワアブソリュー
〇⑥ムーンクエイク
▲⑧リンシャンカイホウ
△⑩ピッツィカート
△④コスモリョウゲツ
△⑦ナイトオブナイツ
<お奨めの1頭>
4R アップテンペスト
盛岡に替わって圧巻の3連勝。コース広い盛岡で持てる能力をフルに発揮している。2走と同じく1400mなら主役は譲れない