大晦日12月31日は岩手競馬の恒例行事「第44回桐花賞」(水沢2000m)。
創設は1975年。有馬記念に倣い、ファン投票によって出走馬を選出。アラブは紫桐杯、サラブレッドは桐花賞の二本立てで行われた。
紫桐杯は開催時期が固定されず、ひと頃は真夏に実施。夏はアラブのグランプリレース、1年を締めくくるのが桐花賞だったが、1990年代は年末年始に実施。
桐花賞が年明けに3度行われていたが、2005年のトニージェントが3連覇を果たした年以外は、紫桐杯との日程的な兼ね合い。同年12月31日の桐花賞以降は毎年、大みそかに固定して実施され、現在に至っている。
2連覇以上はスリーパレード、トウケイホープ、グレートホープ(3度優勝)、トウケイニセイ(3連覇)、トニージェント(3連覇)、ナムラタイタンの6頭。
今回、ファン投票1位で出走するエンパイアペガサスは一昨年優勝。昨年は開催取り止めだったため、1年越しで2連覇の期待がかかる。
もう一つ注目は世代別優勝回数。3歳10回、5歳9回、6歳7回、7歳6回(年齢は現在表記で統一。また年明けで行われた年も統一するため12月31日の年齢にしました)。
過去の最多優勝がなんと3歳馬の10勝。仮にヤマショウブラックが制すると6回ぶり、史上11頭目の3歳優勝を果たすことになる。もちろん今年のテーマはエンパイアペガサスvsヤマショウブラックの2強対決に尽きる。
エンパイアペガサスは例年どおり冬場に南関東へ移籍。金盃9着、報知グランプリカップ10着後、岩手へ里帰り。帰郷初戦を貫禄勝ちし、ターゲットをオグリキャップ記念2連覇に合わせた。
しかし昨年まで1着賞金500万円から1000万円へグレードアップ。その賞金を狙って強豪が参戦。カツゲキキトキトの4着に敗れ、2連覇はならなかった。
続くターゲットは一條記念みちのく大賞典3連覇。こちらはメイセイオペラ以来、史上2頭目の快挙がかかっていたが、ハドソンホーネットのレコード勝ちに屈して3着。以降、3ヵ月の休養に入った。
復帰戦は青藍賞。2連覇がテーマだったが、久々の実戦に加え、体調もひと息。結果4番人気に甘んじたが、超ハイペースも味方してロジストームをねじ伏せ、直線抜け出して快勝した。
南部杯は適性を考えてスキップ。金沢2600m・北國王冠に遠征して3着。北上川大賞典に照準を合わせたが、開催取り止めにより白嶺賞を選択。1番人気はロジストームに譲ったが、2コーナーからロングスパートを決め、ヤマショウブラックの追撃をハナ差しのいで優勝。ロジストームの主戦場1600mで青藍賞、白嶺賞を勝ったのが底力と見るべき。今度のテーマは1年越しの桐花賞2連覇。
ヤマショウブラックは南関東から再転入戦で3歳重賞・不来方賞を優勝。南関東クラシックで揉まれてきた経験を存分に生かした。
続くダービーグランプリは全国の強豪が相手で4着も仕方なし。状態的にもまだ途上の印象だった。しかし、イーハトーブマイルで好スタートを決め、パンプキンズを徹底マークから競り落として快勝。小林俊彦調教師は「収穫多い一戦だった」と語り、桐花賞挑戦を表明。
その後のローテーションは桐花賞から逆算して決める予定だったが、開催取り止めににより白嶺賞へエントリー。岩手では初の古馬挑戦だったが、エンパイアペガサスがまくりをかけたのを見てスパート。直線猛追し、ハナ差2着まで肉薄した。
エンパイアペガサスは自分で動いてレースを作ったが、タイム差なしが成長の証。陣営は桐花賞でも好勝負に持ち込める手ごたえを十分につかんだ。
今度は標的となるロジストームが不在。エンパイアペガサスはヤマショウブラックの動向を見ながらレースを進めるのは確実。展開的には厳しい印象だが、さらに上昇ムードの中間。2キロのハンデ差も生かし、打倒エンパイアペガサスを目指す。
アドマイヤメテオは中央2勝・1000万下から転入。ダート対応がカギだったが、初戦を3着にまとめて上々の滑り出し。
これで通用のメドが立ったかと思ったが、以降は低迷。試行錯誤を繰り返していたが、絆カップ、白嶺賞で脚を貯める競馬に徹して連続3着。自分で競馬を作れない弱点はあるが、決め手は2頭に引けを取らない。
サンエイプリンスは下級条件から着実に力をつけて5勝2着6回。A級昇格初戦も2着にまとめた。上記3頭はいずれも差しタイプ。マイペースの逃げに持ち込めれば漁夫の利を得る可能性も十分にある。
レイズアスピリットは前走は出遅れが致命傷。金沢から再転入初戦の一條記念みちのく大賞典で2着に突っ込んだ実績があり、一発あるならこの馬か。
コミュニティは年齢的な衰えを隠せず今季3着最高だが、水沢2000mがベスト条件。2015年の桐花賞覇者。奇跡の復活に期待したい。
みなさん良い年をお迎えください。
◎⑩エンパイアペガサス
〇⑤ヤマショウブラック
▲⑫アドマイヤメテオ
△⑨サンエイプリンス
△⑦レイズアスピリット
△⑪コミュニティ
<お奨めの1頭>
3R チェスターコート
移籍2戦目から2連勝。強さが際立っていた。好調メンバーがそろったが、地力上位は明らか