昔、岩手競馬のCMで"私はあなたのお母さんを知っています"というコピーがあった。
最近はあまり語られることがないが、競馬はブラッドスポーツ。父母から受け継いだ遺伝子は確実に子孫に伝わっていく。
時に体型であり、時に性格であり、時に距離適性であり。今年、興味深かったのは岩手ダービーダイヤモンドカップ、トライアル・やまびこ賞を連勝したキングジャガーだった。
父がキングヘイロー、母父がファスリエフ。そして母ケージーササニシキは中山ダート1200m1勝後、繁殖入り。どうみてもスプリンター色が強く出ていたかに見えた。
しかし5代血統表を調べるとダンシングブレーヴの2×4。キングヘイローの父、母ケージーササニシキの父コマンダーインチーフがダンシングブレーヴ産駒。
ダンシングブレーヴは1986年の凱旋門賞をレコードで制し、80年代欧州最強馬と言われた歴史的強豪。
キングジャガーが距離対応できる裏付けがインブリードにもあった。しかもキングヘイロー産駒に多く見られる首の高い走法も遺伝した。不思議なものだと思う。
なんで冒頭に血統ネタを取り上げたかというと9日メイン、芝交流「第18回オパールカップ」に2009年、同レースを制したエイブルインレース産駒イントゥゾーンが出走するからだ。
エイブルインレースは北海道1勝、JRA札幌・クローバー賞3着から2歳芝交流・ジュニアグランプリに参戦。1番人気に応えて完勝し、デイリー杯クイーンカップ(GIII)3着。その後、大井へ移籍してオパールカップを優勝。同年10月を最後に引退し、繁殖入り。イントゥゾーンは4番目の仔どもだった。
イントゥゾーンは芝未経験だが、父がスウェプトオーヴァーボード、母がエイブルインレースならむしろ歓迎のはず。史上初のオパールカップ母娘制覇の期待がかかる。
ソーディスイズラヴは北海道1勝、大井1勝から転入。初戦に芝・はまなす賞を選択し、初芝、マイナス17キロの大幅体重減の中、直線一気を決めて快勝した。
父はバトルプラン。エンパイアメーカー産駒で母父がミスプロ系シーキングザゴールド。ダート色が濃かったが、産駒ダズンフラワーがジュニアグランプリ優勝、福島2歳ステークス6着。芝も問題ない血統だった。
岩手ダービーダイヤモンドカップは小柄な牝馬ゆえダート2000mがこたえて6着だったが、芝に戻れば切れを発揮できる。
サンエイジャックは父ジャングルポケット、母父ダンスインザダークは盛岡芝と相性抜群。今季初戦・スプリングカップ10着後、芝に路線を絞ってはまなす賞、サファイア賞連続2着。タイトルは手にできなかったが、内容は上々。今度こそ重賞制覇に燃える。
復活が待ち遠しいダズンフラワー、サファイア賞を逃げ切って芝適性を証明したブラックロード、バトルプラン産駒ヤコウレッシャが押さえ。
◎⑩イントゥゾーン
〇④ソーディスイズラヴ
▲⑥サンエイジャック
△⑤ダズンフラワー
△①ブラックロード
△②ヤコウレッシャ
<お奨めの1頭>
7R サンエイリシャール
重賞3勝馬が3歳B1なら地力の違いが明白。目下2連勝と勢いに乗るメモリーダンスと一騎打ち