昨日に続いて岩手競馬の変更点について報告をしてみたい。毎年11月、水沢2000mを舞台に行われる「ダービーグランプリ」の1着賞金が1千万円に上がった。
ダービーグランプリはかつてGIの称号を得ていたが、2007年、全国にまん延した馬インフルエンザの影響で地元重賞で実施。翌年以降、周辺事情を鑑みて休止していたが、復活を望むファンの声に応えて2010年に再開。
原点に立ち返って地方競馬全国交流に戻り、1着賞金が800万円。ピーク時の1着賞金6千万円を考えれば大幅にスケールダウンだったが、ダートグレードを除く重賞では最高額の賞金を拠出した。
そして復活から今年8年目を迎えたが、年々、出走馬がグレードアップ。まさに1986年に創設され、回数を重ねるごとに強豪が集まった当時と同じような勢いを実感したが、その流れに応えたのが今回の増額だった。
連動して地元トライアル・不来方賞も1着賞金が300万円から500万円に増額され、M2からM1に昇格した。
11月に3歳カテゴリーで交流レースを実施するのはどうか、と疑問に思う方も多いかもしれないが、現場の熱気は相当高い。果たして今年はどんなメンバーが集まるのか。今から楽しみでならない。
19日メインはB1級一組による「花巻ひえカレープロジェクト賞」(水沢1800m)。格を重視するか、上がり馬の勢いを採るかで迷ったが、決断は格重視。トーホウパルサーを主軸に推す。
中央1勝を中京ダート1800mでマークし、金沢1戦(2着)を経て転入。当初は大きな体を持て余していた印象だったが、叩かれながら本領を発揮して終盤に2連勝。しかもA級だったから価値が高い。
それでも迷ったのは大外10番枠に入ったため。水沢1800mは3コーナーカーブにスタート地点があり、内枠が圧倒的に有利。特に先行馬はハナを取るのに脚を使うため、なおさら外枠は厳しい条件となる。
トーホウパルサーは逃げがベストだが、内にアキツシマ、フォールドインがいて同型をさばけるかどうか。無理をすれば終いが甘くなるのは必至。鞍上・高橋悠里騎手の腕にかかっている。
逆転筆頭はコスモタウルス。中央未勝利から転入後、8戦7勝2着1回。移籍4戦目に2着に敗れたが、以降は完ぺきの内容で4連勝を飾った。
1800m戦も3走前の錦秋湖賞1着で適性を証明済み。B1昇級初戦で元A級が最大のライバルとなるが、今の勢いと若さで突破する可能性も十分。
スパンコールは昨年4勝2着5回。着外はわずか1度のみとコンスタントに結果を出し、牝馬特有のシャープな切れが冴え渡った。ここ3戦とも3着止まりと展開に左右される面で若干割り引いたが、流れ次第で単まで。
ロジカロンは中央未勝利ながら芝で3着1回。ダートでも2、3着それぞれ1回。1700m、1800m戦で好走し、南関東C1から転入。今回の水沢1800mは条件ベスト。いい脚を長く使えるのが武器。前が競り合えば勝ち負けに持ち込める。
あとはスンナリの流れでアキツシマ、フォールドインの残り目が押さえ。
◎⑩トーホウパルサー
〇⑤コスモタウルス
▲①スパンコール
△④ロジカロン
△⑥アキツシマ
△⑨フォールドイン
<お奨めの1頭>
2R セイユニコーン
京都ダート1200mで1勝マーク。南関東では精彩を欠いたが、C2では地力が違いすぎる
岩手競馬は毎年、3月の特別開催(18日~20日)から再開する。新年度は4月1日スタートだが、年度ごとの格付け大変動は特別開催から。降級馬、昇格馬が大幅に入れ替わる。A級から最下級C2へ一気に降格する馬も少なくない。
仕上がり状態以上にクラス変動が大きくモノを言い、必然的に馬券検討の大きなファクターとなる。まずは前走クラスをチェックしてほしい。
今年は格付け変動に加え、大きく変わった点がある。C2最低賞金が10万円から20万円と倍増。存廃問題に揺れた2007年以降、厳しい賞金を余儀なくされたが、この倍増は非常に喜ばしいこと。ようやく底を脱したのを実感する。
ほかの条件クラスも軒並みアップ。A級はこれまでも1着賞金が80万円と手厚く据え置きだったが、C1、B2、B1級それぞれの賞金が上がった。これが特別開催から導入される。ファンには直接的には関係ないが、出走手当も一律5千円アップした。
これらへの景気づけでもないだろうが、特別開催初日18日、3歳重賞「奥州弥生賞」(水沢1600m)。特別開催に重賞が組まれるのは今回が初めてとなる。
さっそく注目の奥州弥生賞に好メンバーが顔をそろえた。2歳最優秀馬の栄誉を獲得したベンテンコゾウが始動する。
昨年、5戦4勝2着1回。4勝すべてワンサイド決着で圧勝。南部駒賞、寒菊賞と重賞2連勝も飾った。若駒賞はサンエイリシャールの2着だったが、陣営が唯一不安だったゲート難を出したのが敗因。レースに集中できず、完敗を喫した。
ひとまず南部駒賞、寒菊賞は無事にスタートを切って自身の能力を発揮したが、まだ課題が残っているのは事実。
金杯をスキップし、テンコートレセンの坂路で鍛え直して帰郷。担当厩務員の話では体高はそれほどでもなかったが、幅が出てきたという話。また精神面での成長もあるか当日、パドックでの再会が楽しみでならない。
オールザベストも順調に攻め馬を消化して奥州弥生賞へ駒を進めてきた。北海道2勝2着6回から岩手初戦を圧勝。続く寒菊賞はベンテンコゾウを徹底マークの戦法に出たが、直線突き放されて2着。しかし、ベンテンコゾウ不在の金杯を圧勝し、初重賞を手にした。
父は本家ブリーダーズカップ・スプリントを制したスペイツタウン。産駒がクラスターカップを制したドスライスでも岩手になじみだ。そして母父はアメリカ年度代表馬(エクリプス賞)に輝き、種牡馬入り後も数々の強豪を送り出したホーリーブル。走る素地、成長力も確実にある。芦毛の大型馬がひと冬を越して逆転に転じるか。
ニードアフレンドは入れ込みが激しいタイプ。そのためムラな面があり大敗のケースも多かったが、自分の型に持ち込んだ2勝とも圧勝劇だった。しかも仕上げに手間取らない牝馬。ベンテンコゾウ、オールザベストのラインに割って入る一番手に挙げられる。
ヤコウレッシャは北海道2勝から転入。4戦1勝後、名古屋へ転籍しても1勝マーク。中央の舞台も経験した。上記3頭が久々の実戦に対し、2月28日までレースを使われてきたのが最大の強みとなる。
コンバットパンチにも同じことが言える。冬場に南関東へ移籍して9、5着。激戦区で揉まれた経験が不気味。
◎①ベンテンコゾウ
〇⑥オールザベスト
▲④ニードアフレンド
△②ヤコウレッシャ
△⑦コンバットパンチ
<お奨めの1頭>
1R アンブリッジローズ
昨年A級で走ってきた馬がC2でも最下級へ急降下。冒頭にも記した典型的なケースで、狙わない手はない