30日メインは青藍賞トライアル「第39回すずらん賞」(盛岡ダート1600m)。
すずらん賞で思い出すのはローマンプリンスだった。古い話で申し訳ないが1990年、絶大な強さを誇っていたスイフトセイダイを破った一戦は印象的だった。
ローマンプリンスは中央ダート9勝。1988年、のちにGIへ昇格するフェブラリーステークスの前身フェブラリーハンデ(GIII)を制し、鳴り物入りで転入。
当時の表記で8歳。今でいう7歳馬で岩手にトレードされ、いきなり5連勝をマーク。中央オープンの実力を見せつけたが、桐花賞で1番人気4着。新興勢力のトウケイフリート(トウケイニセイの兄)に屈した。
翌年にはそのトウケイフリート相手にシアンモア記念を制し、待望の重賞制覇。以降、北日本マイルチャンピオンシップ南部杯(当時は地区限定でした)2着が最高。年齢的な衰えを隠せなかった。
翌90年もスイフトセイダイの壁は厚く赤松杯4着、桂樹杯7着(ダート戦でした)、みちのく大賞典4着に完敗。世代交代の波に完全に飲み込まれてしまった。
しかし、すずらん賞(水沢1600m)で鞍上・佐藤浩一騎手(現調教師)は一世一代の勝負に出た。先行するスイフトセイダイに対し、ローマンプリンスは後方でじっくり待機。
満を持して3コーナーからスパートをかけてひとまくり。スイフトセイダイを並ぶ間もなく交わして4角先頭。直線でスイフトセイダイがジワジワと差を詰めたが、ローマンプリンスがクビ差で優勝。見事な復活劇を演じた。
佐藤浩一騎手は語った。「あのすずらん賞は3角まくりをイメージして騎乗した。並んだらスイフトセイダイはすごい根性を出すが、一瞬の脚に弱点があると思っていたら、そのとおりの結果になった。会心のレースでした」
その年で引退したローマンプリンスは張れて種牡馬入り。しもつけ菊花賞、しもつけオークス、高崎オークスなどを制したエビスローマンを出したが、極めつけはイワテニシキだった。
岩手デビュー2戦目から3連勝を飾り、南部駒賞5着後、中央入り。父同様、ダートで活躍して4勝マーク。
さらには1999年、マーキュリーカップにも参戦して5着。名前のごとく岩手(故郷)に錦を飾った。
本題に入りたい。主軸にライズラインを指名する。2歳時から活躍してすでに重賞9勝。昨年もシアンモア記念、北上川大賞典の2重賞を手にした。
ところが冬休み明け初戦の赤松杯で大きく体重を減らしてマイナス20キロ。体質転換を図ったかとも思ったが、粘りなく4着に沈んだ。
続くシアンモア記念も復調途上の印象だったが、ナムラタイタンの2着で意地。2ヵ月の休養をはさんで前回快勝でようやく軌道修正に成功した。
最後が甘くなったのが若干気がかりだが、今度はベストの盛岡ダート1600m戦。すずらん賞を完全復活の舞台としたい。
逆転筆頭はエアカーネリアン。今季初戦の水沢戦を圧勝。苦手意識があったが、それを克服。幸先のいいスタートを切った。しかし好事魔多し。シアンモア記念で脚部不安が発生して無念の出走取消し。
戦列復帰戦も5着に失速して暗雲が立ち込めたが、前回逃げ切りを決めて0秒7差で圧勝。こちらも反撃ののろしをあげた。自他ともに認めるサウスポー。得意の盛岡戦で重賞制覇に燃える。
メテオライトは中央3勝・1000万下から転入。3戦とも2着にまとめ、みちのく大賞典でも連対を確保。マイル短縮がネックだが、安定度上位。
ツクバコガネオーは中央ダート5勝。GIII・武蔵野ステークスでも0秒9差7着。岩手初戦は7ヵ月ぶりの実戦ながら2着。大型馬がひと叩きされてエンジン全開といきたい。
タイセイメテオは園田C1からの転入だったが、岩手の水が合った。特に盛岡での反応がすばらしく早池峰スーパースプリント3着、前回1着。もはや格下のイメージは払しょくしなければならない。
◎③ライズライン
〇①エアカーネリアン
▲⑦メテオライト
△⑨ツクバコガネオー
△④タイセイメテオ
<お奨めの1頭>
9R ツキノピラミッド
短距離をメインに目下4連勝中。前走も1200m戦で逃げ切り圧勝。同じ条件なら再現濃厚と見るべき