現在、岩手競馬の短距離路線が充実している。特に芝1000m戦は毎回、迫力満点のレースが続出。しかも今年は特別だけではなく一般レースでも実施され、これも重賞・OROターフスプリントの創設効果(今年で3回目)と見ている。
OROターフスプリントの道は5月27日、「石桜杯」(C1:優勝・ライフハッカー)を皮切りに、7月27日メイン「姫神賞」(B2)→9月23日、「FM岩手杯」(B1)→10月14日、ハーベストカップ(オープン)。そして最強スプリンター決定戦=10月26日、「第3回OROターフスプリント」へと続く。
その意味でも今回の「姫神賞」は目が離せない一戦となったし、実際、有力候補の1頭トートアフィシオンが出走する。
トートアフィシオンは昨年9月、中央2戦0勝から転入。最下級C2から4勝をマークしてC1でシーズンを終了。芝1000m・五葉山賞を優勝した。
今季はB2へ昇級したが、適性を重視して短距離路線1本に絞って出走。2勝2着1回3着1回とすべて馬券対象。圧巻は前々走、格下から挑戦したB1・芝1000m戦だった。
例によって短距離のスペシャリストが顔をそろえたが、スタート直後から後続を離して一人旅。直線を向いてもスピードは衰えず58秒0の破格タイムで駆け抜けた。このタイムはコースレコードに0秒2差というだけではなく、昨年のOROターフスプリントを優勝したライトマッスル=58秒1を上回るもの。
元々、天性のスピードに定評があったが、これほどのタイムをマークしたのにはビックリ。父サクラバクシンオーの素質が一気に開花した瞬間となった。しかも今回は自己の条件B2。勝つお膳立てはほぼ整った。
とはいえ死角がない訳ではない。サクラバクシンオー自身がそうだったように重馬場になって持てる能力を発揮できるかどうか。おそらくだが、時計がかかる芝なら持ち味半減。
依然、岩手は梅雨明け宣言が出されず、ずっと雨が続いている。それによって芝はかなりの水が含んだ状態で当日までに回復するか不安。トートアフィシオンが負けるとしたら重馬場に泣いたときだろう。
ソヴリンは520キロ前後の大型馬で距離もこなすが、短距離がベスト。特にハイペース模様になった場合は豪快なマクリを披露する。その典型が3走前のジューンカップ(芝1700m)。道中、後方2番手を追走し、直線大外一気を決めた。また昨年の姫神賞でもメンバー最速の上がりで快勝。随一の決め手を誇る。
不安はトートアフィシオンが楽に逃げ、先行競馬となったとき。他の有力馬が2着狙いに徹してペースが落ち着くと切れが不発に終わるケースもある。
シーグランディは昨年までA級格付け。冬場に名古屋へ転籍して4戦を経て再転入。B2へ降格してメンバーが大幅に弱化。2着4回3着2回と抜群の安定感を誇っている。その反面、詰めの甘さがつきまとい依然未勝利。最後の爆発力がほしいところ。
ビュレットライナーはサンデーサイレンス産駒。現役では園田のダークドーンと2頭のみとなったが、今季すでに3勝。11歳馬だが、まったく衰えを見せていない。
トートアフィシオンとの直接対決で4着。今回と同じ芝1000mが舞台だったが、1秒2差4着に完敗した。これをどう評価だが、深追いしたとも解釈できる一戦。ぴったり折り合いをつければ2着争いに参加できるはず。
ビジュアルサポートは芝1000mは未経験だが、盛岡芝4戦2勝と適性はまったく問題ない。1枠を引き当て、包まれない展開に持ち込めれば好走の可能性は十分にある。
◎(6)トートアフィシオン
○(10)ソヴリン
▲(7)シーグランディ
△(4)ビュレットライナー
△(1)ビジュアルサポート
<お奨めの1頭>
5R アメリカンアイドル
C2スタートとメンバーに恵まれて2戦とも圧勝。スピードが冴え渡っている。今回は1400mへ距離延長だが、絶対能力が違う