30日(日)メイン10Rの「がんばろう東北」、最終11Rの「心をひとつに(岩手競馬)」が悪夢の東日本大震災から再開後、2年間のメインスローガンだった。
来期のスローガンは『絆は、人と馬を強くする』だが、『がんばろう東北 心をひとつに岩手競馬』も継承するという。"心をひとつにして、がんばらなければ"岩手競馬の再生はない。改めて肝に銘じる次第だ。
30日メイン「がんばろう東北」はA級二組による水沢1600m戦。出走10頭中5頭が転入馬。カギを握るのは言うまでもなく、在籍馬との力量比較が最大ポイントだが、アッサリか、それとも凡走かの両方を考えられる面々ばかり。頭を悩ませた。
まず実績一番のアロマンシェス。北海道1勝からJRA入り。京王杯2歳Sで3着健闘して朝日杯FSは7着。京成杯6着、アーリントンカップ7着。芝で通算3勝をマークし、準オープンへ在籍した。
ただ中央ダートは2戦のみで、いずれも16頭立て16着。北海道時代を考えると問題なさそうだが、果たして水沢コースが合うか否か。ひとまず実戦を使われてきた強みを加味して▲評価となった。
ロリンザーユーザーは中央ダート1700m3勝、ダート1800mで1勝。こちらも準オープンまで駆け上った。この実績があればトップを張れるが、障害一戦を経て南関東移籍後は5着が最高。道営スプリント遠征で中団から退いて10着。
今回はそれ以来の実戦で5ヶ月半ぶり。能力検査を叩かれて気配アップはあるだろうが、久々が最大ネック。それこそアッサリか、凡走の極端なケースが考えられる。△まで。
ラスリーズは中央0勝ながら2着2回3着4回。芝ダートを問わず安定した成績を残してきた。しかし、いきなりオープン入りが微妙で一戦様子見とした。
コスモプランタンも中央未勝利。2着1回3着2回あるが、ダートは今度が初めてで適性不安。クールスターは2歳新馬(札幌芝1200m)を勝ち、札幌2歳Sにも駒を進めた(9着)が、その後は精彩を欠いたレースの連続。ダート戦は南関東移籍も含めて4戦とも大敗し、強調材料に乏しい。
主軸はシャイニーベストとした。中央から再転入後も着実に白星を重ねて4勝。A級戦でも2連勝を飾り、水沢1600mの信頼度は非常に高い。しかも願ってもない1枠を引き当て、主導権を握ること必至。仕上がりも上々だ。
対抗はスーパーワシントン。重特路線を歩んでシーズンラストの重賞・トウケイニセイ記念でも2着確保。今年10歳の高齢馬だが、衰えは感じられず格で圧倒のシーンまで。
マイネルレーサーも軽視できない。岩手4戦2勝。特にハイレベルのメンバーがそろったB1・銀嶺賞を快勝し、成長一途をたどっている。ここでも勝ち負けなら今後の活躍も間違いなしだろう。
◎(1)シャイニーベスト
○(9)スーパーワシントン
▲(10)アロマンシェス
△(3)ロリンザーユーザー
△(8)マイネルレーサー
<お奨めの1頭>
11R タップシュート
昨年はB1に在籍してソコソコの結果。C1降格で大幅にメンバーが弱化され、待望の岩手初勝利を飾る
23日11時。水沢競馬に蹄音が戻ってきた。第1Rの「春競馬オープングレース」は3歳A級馬による1600m戦。3歳戦線をにぎわす好メンバーがそろい、まさにオープニングレースにふさわしかった。
単勝1・5倍の圧倒的1番人気に支持されたのはセラミックガールだったが、出遅れを喫して最後方からの競馬。これが最後までこたえて3着。課題を残す一戦となったが、春の牝馬路線で巻き返しを期待したい。
1着はラブソング。早め先頭に立ったブラックタイガーに馬体を併せてマッチレースの末、首差でラブソングが快勝。岩手3戦目にしてうれしい白星をマークした。しかし、北海道時代に3勝マークなら納得の結果。食いの細いタイプなので馬体減りが課題だが、維持できればグランダムジャパン3歳シーズン・留守杯日高賞でも期待できるかもしれない。
23日初日前半の傾向はずばり、先行有利。前残りで高配当が結構、飛び出している。どうやら今の水沢は逃げ馬をチェックするのが勝利への道となりそうだ。
24日(日)メインはB1級一組「ホテルニュー江刺賞」(水沢1800m)。絶好枠を引き当てたサーストンサブリナから入る。
中央2歳新馬戦(新潟ダート1200m)を勝ち、絶好のスタートを切ったが、その後は頭打ちのレースを繰り返して2着1回3着1回。今年1月に岩手へ転入し、初戦の水沢1800mを鮮やかに逃げ切って圧勝した。続いて重賞・トウケイニセイ記念に駒を進め、馬群に揉まれながらも0秒7差。結果7着だったが、内容的にはそれ相応の評価ができた。
すでにA級で勝った実績馬が、格付け再編成によりB1へ降格。しかも願ってもない1枠を引き当て、好走条件がそろったのは言うまでもない。おそらくシャークが先手を主張すると思うが、2番手の大名マークから抜け出し濃厚と見る。
逆転筆頭はラッキーサンライズ。北海道0勝から名古屋でブレイク。重賞・駿蹄賞を制し、東海ダービーでも2着。その後、南関東2勝、園田で1勝をマークした。
気になるのはここ4戦が着止まり。勝ち切れないレースが続いているが、岩手で心機一転を図ることができるか。実績を考えればB1は間違いなくフリーパス。今回は非常に重要な一戦となった。
ヴァンエボンは中央0勝2着2回、南関東0勝2着2回。上位で健闘したが、どうしても白星に手が届かなかった。しかし岩手転入戦で待望の初勝利を飾り、その後も2勝。当地の水が合ったと解釈していいだろう。
勝ち切れなかったのは折り合いが難しかったのも大きかった。それで鞍上・阿部騎手は内で砂を被らせてなだめたのが好走につながった。中盤以降は夏負けなどの影響で精彩を欠いたが、冬休みでリフレッシュできれば反撃に転じて不思議はない。
ウイントゥヘヴンはデビューから今まで着外に沈んだのは、わずか一度のみ。安定した取り口が最大のセールスポイント。岩手でも最悪でも4着以上と堅実無比。1800mは若干長い印象だが、仕上がりの良さでカバー。巧みなレース運びで上位を狙う。
あとは昇級戦だが、水沢7戦6勝ナンヨーガンバロー、骨折明けでも馬が良くなったリアルサンボーイも押さえたいところだ。
◎(1)サーストンサブリナ
○(9)ラッキーサンライズ
▲(8)ヴァンエボン
△(4)ウイントゥヘヴン
△(3)ナンヨーガンバロー
△(7)リアルサンボーイ
<お奨めの1頭>
3R アルーリングムーン
昨年A級から一気に降格してC2編入。しかも距離が1400mへ短縮なら全能力を発揮。これまでの分もまとめて
ようやく岩手にも春が到来。2ヶ月あまりの冬休みが終わり、3月23日(土)から岩手競馬がスタートする。新年度は4月6日が開幕日だが、厩舎サイド、我々もこの23日が始まり―が共通認識。本年度も岩手競馬をよろしくお願いします。
実は特別開催が行われるのは3年ぶりのこと。3.11東日本大震災以降、ずっと見送られてきたが、遅ればせながらレギュラーシーズンに戻った感が強い。まだ岩手は雪景色がいたるところで見かけるが、蹄音が一気に冬を吹き飛ばしてくれるに違いない。
メイン10レースはB1級三組による水沢1600m戦「奥州商工会議所杯」、9頭立て。毎年、冬休み明けにクラスの再編成を実施するため、大幅な格付け変動がある。転入馬は前20走、在籍馬は前15走の獲得賞金によってクラスが決まる。
ただ、単純な獲得額ではない。賞金格差の大きいJRA、南関東からの移籍馬は賞金免除(カット)がある。詳しいことは割愛するが、たとえ重賞を勝っていても、たとえ昨年までA級馬でも格付け賞金が"0円"だった場合、一気にC2の最下級へ編入される。この仕組みが岩手競馬の特徴だ。
必然的にこの10レースも昇級馬、降格馬が入り混じっている。昨年の最終格付けがA級だったのがマツリダガッツ。B1級据え置きがカーリーネイト。B2から格上げされた馬が多くセンリライズ、アドマイヤサムライ、ソヴリン、サンデーレクサス、ベルモントディーバ。そしてC1から2ランク上がったのがヤマニンノワゼット。以上のようなメンバー構成となった。
本命にヤマニンノワゼットを指名する。岩手での距離経験が1400mまで。しかもC1からいきなりB1編入で一気にメンバー強化され、不安要素は確かに多い。それでも強気に狙ってみたいのは一連の走破タイムが破格な点。間違いなくB級以上と見て間違いない。
岩手転入後、マイル戦は初めてだが、中央未勝利時代に1800m、2000mを使われており、おそらく大丈夫。何より魅力なのは同型が不在でマイペースの逃げ必至。展開有利は誰の目にも明白だ。自身の連勝を4に伸ばす。
アドマイヤサムライは昨年3勝。B1昇格だが、元々がA級でも勝ち負けの実績を誇り、格負けはまったくない。問題は成績が安定しない点で弱いメンバーでも取りこぼしが多い。理由は折り合いの難しい馬だからだが、それゆえ久々の方がレースに集中できるはず。実際、昨年4月、休み明け初戦を快勝している。水沢マイルもベストの条件。
マツリダガッツは中央3勝1000万下から転入。当初は力のいるダートに戸惑いっぱなしだったが、芝オープン・桂樹杯タイム差なし2着から徐々に岩手の水に慣れ始め、水沢マイル重賞・白嶺賞でも4着を確保した。
それを考えれば主力扱いもできるが、ダート好走は冬場特有の極端な不良馬場だったとも解釈でき、今の水沢が合うかどうか。もう一つ、追い込み一辺倒の脚質にも全幅の信頼を置けないところがある。
カーリーネイトは南関東C1から転入し、4戦目に初勝利を飾った。その後も2着1回3着2回にまとめ、軌道に乗ったかと思った矢先、脚部不安が発生して無念のリタイア。4ヵ月半ぶりの実戦がどうかだが、仕上げに手間取らない牝馬。アッサリあっても不思議はない。
ベルモントディーバは昨年終盤、精彩を欠いたが、歴戦の疲れが貯まっていたか。冬休みでリフレッシュできれば元々が直線で確実に台頭するタイプ。やはりノーマークにはできない。
◎(5)ヤマニンノワゼット
○(6)アドマイヤサムライ
▲(2)マツリダガッツ
△(7)カーリーネイト
△(1)ベルモントディーバ
<お奨めの1頭>
1R セラミックガール
春スタート最初のレースにふさわしい活きのいい3歳馬が出走。中でも注目は昨年、北海道代表で芝重賞・テシオ杯ジュニアグランプリを優勝したセラミックガール。大井では苦戦を強いられたが、岩手で反撃を図る