岩手競馬の名物レースの一つだったのが、この早池峰賞。創設は昭和50年。真夏の旧盛岡競馬場1100mを舞台に、数々の個性派を生んできた。この早池峰賞の発展形態となったのがJpnⅢ・クラスターカップ。お盆の季節固定で実施しているのも早池峰賞の思想を受け継いでいるからだ。
ただ、そのアオリを受けて早池峰賞の位置づけは変わった。クラスターカップ創設と同時にトライアルレースとなったり、水沢1400mに舞台を移し、冬の短距離重賞に衣替えした時期もあった。
現在は元々の趣旨どおりクラスターカップへの道。早池峰賞を皮切りに、岩手のスプリント戦線が始まる。
さて本題。今年は例年以上に混戦模様となった。理由は強力な1200mのスペシャリストが不在だからだ。
距離適性から入ればディスパーロだろう。中央3勝の内訳は東京ダ1400m、福島ダ1150m、中山ダ1200m。名古屋移籍初戦で1400m重賞・新春盃を快勝し、北海道へ転籍後もオープン1200m戦で1着。
この時のレースは強いの一語。内に包まれて厳しい競馬を強いられたが、それをはねのけて2着ポートジェネラルに3馬身差をつけて完勝。他ではちょっと太刀打ちできないような内容だった。
ところが続く一戦で10着に大敗。メンバーが強化させたにせよ、あまりにも不甲斐なかった。成績を調べてみると好、凡走の落差が激しすぎて信頼度がもう一つ。よって単穴評価が妥当となる。
同じく短距離適性が高いのがウメノレイメイ。岩手転入が大成功し、芝ダートを問わず1000m戦で7勝マーク。昨年はオープン特別・きんもくせい賞まで制し、1000mのスペシャリストぶりを存分に発揮した。
今年、岩手競馬は芝1000m重賞・OROターフスプリントを新設したが、これがまさにウメノレイメイ効果。彼の出現によって1000m戦にスポットが当たり、重賞設立にまで到ったのだから表彰状ものだ。
しかしわずか1ハロンとは言え、距離延長が微妙。1000mなら絶対の自信を持っているが、盛岡ダ1200mで行われた新緑賞3着。このレースはB1条件戦で、今回のメンバーで歯が立つかどうか微妙なところ。適性は認めても連下止まりとなる。
主軸はやはりリュウノキングダム。船橋時代に岩手重賞・シアンモア記念(水沢1600m)、北上川大賞典(盛岡ダ2500m)、そして転入後、トウケイニセイ記念(水沢1600m)と重賞3勝。ここでは断然の実績を誇る。
ネックは距離に尽きる。折り合いがまったく問題ないとは言え、2500mを優勝した馬が1200mでも好走可能だろうか。
これが常識的な見解となるが、デビューからさかのぼって短距離成績を調べてみると1400m以下5戦3勝2着2回と連対パーフェクト。いかに条件が甘かったにせよ、これは距離克服できると見る重要な材料となった。
ゴールドマインはリュウノキングダムには劣るが、過去実績で№2の存在。一昨年は桐花賞、昨年は岩鷲賞と重賞2勝をあげ、好調時にはコンスタントな結果を出してきた。
北海道遠征・コスモバルク記念は7着に凡走したが、これはマイナス30キロ!と大幅に体重が減っていたのが大きな敗因。輸送が相当こたえたようでレース以前の問題だった。
これで今後に暗雲が立ち込めたが、帰郷後には徐々に体調も回復。馬体の張りも取り戻し、本来のシャープさも出てきた。1200m戦は昨年の早池峰賞3着だったように短距離適性はあまりないが、そこは菅原勲騎手の腕と総合力でカバーできる。
プレミアムストーンは2歳新馬・札幌ダート1000mを勝ちあがり、ラベンダー賞(札幌芝1200m)3着。その後は泣かず飛ばずに終わっていたが、岩手で大変身する可能性を秘めている。
◎(6)リュウノキングダム
○(3)ゴールドマイン
▲(5)ディスパーロ
△(9)ウメノレイメイ
△(7)プレミアムストーン
3連単は6、3、5を中心に9、7を3着押さえ
馬複は 3-6、5-6、6-9、6-7
<お奨めの1頭>
2レース マイネルフランク
岩手初戦を豪快な直線抜け出しを決めて圧勝。馬格も雄大で3歳上級までノンストップでいけそう