今シーズンの盛岡開催ラストを飾る3歳重賞「第42回不来方賞」はロックハンドスターが6馬身差で圧勝だけではなく、非常に実り多い一戦となった。「意図的ではなかった」と菅原勲騎手は語ったが、前3頭を壁にして4番手インを追走。3コーナー手前でちょっと手が動くシーンもあったが、直線を向いて馬群が開いた瞬間、菅原勲騎手がゴーサインを出すと矢のように反応。3コーナー過ぎに先頭に立ったイシノウォーニングの外から一気に抜け出しと、あとは後続を突き放す一方。2着マイネルリファインに6馬身差をつけて圧勝した。
最大の収穫は馬群の中に入っても気力が衰えなかったこと。ジャパンダートダービー、黒潮盃で強豪に揉まれてきた経験を今回の不来方賞で生かせた。これまで地元同士の戦いではスピード、能力の違いで圧勝してきたが、控える競馬で終いの爆発力を発揮できたことによって今後の展望も非常に明るくなったのは言うまでもない。この勝利でダービーグランプリの道もかなり拓けたに違いない。
今週から戦いの舞台は水沢。期せずして気温が一気に下がり、岩手山も完全に冬化粧。ウインターシーズンに突入した感さえある。30日(土)メインはB1級二組「北の漁場綱おこし体感レース」(水沢1600m)。上位3頭の実力伯仲だが、地元水沢に戻ってスクリームイーグルが反撃。岩手3勝目を飾る。
スクリームイーグルは中央1勝500万下から今年6月に転入。水沢2勝をワンサイドで決め、サドラーズウェルズの直仔が素質開花をうかがわせるに十分の内容だった。ところが盛岡に替わって3戦連続で2着。2ヶ月近くの休養も余儀なくされた。理由は夏負け。ひとまず9月に戦列復帰を果たしたが、水沢で見せた強さは影を潜めていた。
前走もエムアイルシェルに完敗2着。これは急成長をとげたエムアイルシェルだったのも敗因だったが、自身の体調も本物でなかったようだ。しかし今回は輸送のない水沢が舞台。確かに骨っぽいメンバーがそろったが、潜在能力の高さで勝利をモノにすると見た。
逆転筆頭に迷ったが、タニノレジェンドを指名。昨年、佐賀から転入し連対パーフェクトでシーズン終了し、冬休み明け初戦も快勝。幸先のいいスタートを切り、今年も活躍を疑わなかったが、体重減が影響したのか好、凡走の落差が極端になっていた。
それでも3走前の盛岡ダ1600mを快勝し、続いて芝1000m・ハーベストCへ名乗り。未知の芝で適性を掴みかねたが、ウメノレイメイのタイム差なし2着。秘めた適性を発揮し、JRA交流・シリウス賞も強気挑戦。結果は5着だったが、メンバー最速タイの上がりを披露した。懸念された体重減も前走で468キロまで回復した上、地元水沢なら体重維持できるのは確実。自慢の切れをさく裂させる。
逃げ切り圧勝のシーンまで考えられるのがグラスバラード。レース間隔が開いたのはずっと盛岡開催をスキップしているから。転入初戦で7着に沈んで以降、一貫して水沢1本でローテーションを組んできた。シーズン入り当初は精彩を欠くレースを続けていたが、叩かれながら本来のシャープさを取り戻して前回快勝。その後も休まず乗り込まれてきた。しかもこのメンバーなら楽々と逃げの手に出ることができ、展開有利は明白。それでも▲評価としたのは大外がちょっと嫌だったから。先手を取るのに若干でも脚を使ったら、末が甘くなる可能性がある。
以下、追い込み馬ながら水沢1600mがベストの舞台キングバッハ、前走2着で復調の兆しコスモクルトゥーラが続き、あとはモエレアンドロメダも見限れない。
◎(6)スクリームイーグル
○(3)タニノレジェンド
▲(10)グラスバラード
△(8)キングバッハ
△(4)コスモクルトゥーラ
△(1)モエレアンドロメダ
3連単は6、3、10のボックスが本線。あとは8、4、1を3着押さえ
馬複は 3-6、6-10、6-8、4-6
<お奨めの1頭>
11レース サクラアーバン
前走・オクトーバーC4着に敗れたが、初の盛岡芝なら仕方なし。それでも0・1秒差にまとめ、改めて底力を誇示した。ダートに戻れば主役は譲れない