1月11日 第10回トウケイニセイ記念(4歳以上オープン 水沢1600m)
1着 マヨノエンゼル
1枠からロケットスタートを決め、5番手インを追走。レース前から想定したポジションだったようで1周目スタンド前でスローに落とされて掛かる仕草を見せてもジッと我慢する。
追い出しを始めたのは3コーナー手前からだったが、一瞬モタモタするシーンも。その外からスパートをかけたリュウノケンシロウの動きがすばらしくヒヤッとさせたが、3~4コーナー中間からエンジン全開。
その後の反応がすばらしく直線で5頭が馬群を形成したが、間を割ってグイグイ抜け出しラスト50mで先頭。大外を強襲したゴールドマインを0・2秒差封じ、桐花賞2着の雪辱を見事晴らした。
「南部杯のあとは何かイライラしたところがあったが、今回は落ち着いていつもより雰囲気が良かった。思ったよりペースが速くならなかったが、前の馬が4コーナーまで引っ張ってくれるだろうと信じてインで我慢させた。勝因は(ゴールドマインと)3キロのハンデ差もあっただろうが、1年間ずっと崩れなく結果を出してきたことがすごい」と小林騎手。
2着 ゴールドマイン
59キロのトップハンデが影響したのかダッシュがつかず後方2番手からの競馬。前半は無理をせず待機策に徹し、3コーナーから外を回ってスパート。しかし直線入り口でマヨノエンゼルとは5馬身ほどもあり、直線で鋭く伸びてきたが、0・2秒差までにとどまる。
桐花賞は中団5番手をキープし、早めに動いて完勝したが、今度は逆のポジション。直線で見せた末脚はさすがだったが、マヨノエンゼルとの上がりは今回もほぼ同じ。この着順は道中の位置取りの差と言っていいかも。いずれにせよ59キロが最後まで影響した印象だった。
3着 アンダーボナンザ
外からマヨノエンゼルを見る形でレースを進め、早めにスパートをかけたが、上位2頭との脚いろ差は明らか。ひとまず見せ場は作ったが、力差がハッキリ出た。
4着 リュウノケンシロウ
戦前は逃げか先行策に出る予想だったが、スタートで出遅れて後方3番手を余儀なくされる。それでも3コーナーからの反応がすばらしく直線入り口で先陣に並びかけたが、そこで一杯となる。
5着 アルディ
終始3番手インを追走し、勝負どころからペースアップされてもいっしょに進出。3コーナーで一旦先頭。さすがに直線では苦しくなってしまったが、このメンバーで5着確保なら立派。
前回に自分が書いたこのブログで「あけましておめでとうございます」と書いたのですが、早くも今回「それではごきげんよう」という事に。
というのも、岩手競馬の2009年シーズンもひとまずこの11日で終了、3月20日(土)までしばらくの冬休みに入るからです。
振り返ってみればあっという間の今シーズンでした。いろいろなレースがありましたが、印象深かったのは他地区馬の大活躍でしょうか。全国交流で行われた重賞をここまで他地区勢に持っていかれたのは史上初といっていいレベル。ここ1、2年「古馬の柱的存在がいない」と言われてきましたが、それが一気に形になって現れた感がありました。
そんな中での岩手生え抜きマヨノエンゼルやロックハンドスターの活躍は胸のすく話題、ではあったものの、もう少し周りも含めて全体で踏ん張ってほしかったなと思うものがあります。
そろそろ年度代表馬を決める時期ですが、そんなわけで依然として漂う混戦ムード。2歳部門はロックハンドスターで、3歳部門はマヨノエンゼルでだいたい決まりでしょう。牝馬も実績的に言ってクインオブクインかな。古馬はゴールドマインだろうとは思います。
しかし肝心要の年度代表馬はまだ微妙。ゴールドマインとマヨノエンゼルで争うならトウケイニセイ記念で勝った方でしょうか。勝った方が今季の古馬重賞勝ち星を「2」にしますし、マヨノエンゼルには「3歳二冠」「青藍賞では他地区馬を破って優勝」「南部杯では3歳にして地方馬最先着」という実績がありますからね。
ただ、もしトウケイニセイ記念でこの2頭以外の馬が勝ってしまうと混沌としますよね。最終的には先の2頭に帰着するだろうとはいえ、そこに至るまでは議論百出間違いなしって感じです。
騎手の皆さんが良く言うのは「58kgはまだ我慢できる。だが59kgになるとてきめんに応えてくる」。かつてメイセイオペラが59kgでシアンモア記念を勝った時も「スタートして馬ががくんと沈み込む感じ。馬も最後まで戸惑っていた」と菅原勲騎手が話していました。それくらいの酷量な訳です。
ゴールドマインにとっても59kgは足かせになるでしょうし、一方のマヨノエンゼルにとっては桐花賞から据え置きの56kgは、桐花賞での2頭の差が1馬身1/4。1kg=1馬身とすれば逆転してなおおつりが来る計算。
また展開的にも、恐らく1番人気になるだろうゴールドマインが、59kgを背負って有利になるような状況は、有り体にいって「無い」と言ってしまっていいと思います。
もちろん(7)ゴールドマインも、斤量で結果が決まるのならここに出てくる事自体無いでしょう。現岩手最強馬の意地で59kgも克服してくれると期待するのみ。これで勝てば文句なし、ライバルたちとは完璧に勝負付けが済む事になります。
この2頭のここまでの対戦成績は3戦してゴールドマインが2勝と優勢ですが、どちらかが勝って決まったのは桐花賞のみでまだ勝負付けが終わったとは言えません。今季の締めくくりのみならず、来季の覇権がどちらにあるのかをはっきりさせておくためにも、ここはどちらも引けない戦い。
ここに割って入る可能性があるとすれば(10)アンダーボナンザか。昨年のこのレースの覇者は寒い時期を迎えて勢いは増しつつあり、ここ2戦も苦手な1800mという事を考慮すれば十分以上の内容です。対ゴールドマインでは2走前に子供扱いされましたが、その時の距離や今回の斤量差を考慮すればその時以上に詰め寄っていいはず。
後はもう穴狙いといって良いレベル。という事なら思い切って(3)アルディを押さえてみましょう。格下ではありますがここ数戦の内容・タイムはA級でも遜色ないものです。
★買い目
馬単 (1)=(7)、(1)=(10)、(7)=(10)、(1)=(3)
10日(日)メイン9レースはC1級「アテルイ賞」(水沢1600m)、9頭立て。好調馬が勢ぞろいし、しかも有力どころは実力伯仲。今回はハンデだけではなく、枠順も微妙に影響しそうで若干荒れる可能性も秘めている。
主軸にポイントプリムを指名。2度3着に敗れたのはいずれも盛岡戦で水沢コースに替わって反応が一変。目下3連勝をマークし、すべてワンサイド。はまゆり賞ではアテルイ賞でも人気の一角を形成するトーセンスプライト相手に逃げ切って圧勝。まさに昇竜の勢いを感じる。
ただ、不安点は逃げがベストの馬が大外9番枠。2番手も我慢できる馬だが、仮にスタートで脚を使った場合に末が甘くならないかどうか。
もう一つははまゆり賞出走時の馬体重が前走比マイナス7キロの436キロ。岩手転入後、ずっと440キロ台をキープしていただけに、この体重減がちょっと気になる。
それを考慮してかまくら賞をスキップして今回のアテルイ賞に臨んだと思うが、体重がさらに減っていた際には要注意。できれば440キロ台まで回復したいところ。当日の気配をチェックしてほしい。
逆転筆頭はトーセンブライト。はまゆり賞はポイントプリムに完敗を喫したが、続くかまくら賞では2番手から直線鋭く抜け出して圧勝。特別2戦2着のうっ憤を一気に晴らした。
こちらも馬体重が減り続けているが、中央時代は500キロを割っていたこともあり、決して細くは映らない。マイル延長もまったく不安はなく、菅原勲騎手が2連勝をもたらすか。
デルマジュピターも絶好調を誇っている。4番人気に甘んじた前々走・錦秋湖賞ではトーセンスプライトをインでじっくりマークし、外から力強く抜け出して完勝。目下、リーディング首位を走る村上忍騎手の腕が冴え渡った。
決め手はこのメンバーでも一番。ポイントプリム、トーセンスプライト。さらにはドリームプライドがハイペースを形成するようだと自慢の末脚がさく裂するシーンまで。
エイシンウルフオーの前走は見事だった。中団をキープし、満を持して3コーナーからスパート。行き脚がついてからの伸びがすばらしく、2着以下に4馬身差をつけて圧勝した。意外にも前走がシーズン初勝利だったが、これで弾みがついたのは間違いない。
ドリームプラウドは58キロのトップハンデが厳しいと見て評価を下げてしまったが、好調度、能力的にもヒケを取らない。
◎(9)ポイントプリム
○(1)トーセンスプライト
▲(3)デルマジュピター
△(5)エイシンウルフオー
△(6)ドリームプラウド
3連単は9、1、3のボックスが本線。あとは5、6を3着押さえ
馬複は 1-9、3-9、1-3、5-9
<お奨めの1頭>
6レース クォーク
ガサのない牝馬ながら、スピードを前面に転入3連勝をマーク。相手強化されたが、勢い止まらない
9日(土)メイン9レースはA級二組とB1級一組による水沢1600m戦「日本一の安代りんどうの郷レース」、10頭立て。テンショウタイヨウに絶好の勝機を迎えた。
テンショウタイヨウは今シーズン1勝のみながら着外4度で、大敗を喫したのはわずか1回だけ。抜群の堅実さを誇っている。しかも近4走を2着3回3着1回にまとめ、勝利目前のレース続き。
今回は明らかに恵まれたメンバー構成に加え、一連の走破タイムからもキッチリ白星をモノにしたいところだろう。
逆転筆頭はマルブツワイルド。抜群の破壊力を発揮する反面、取りこぼしも多いタイプ。前々走・六華賞が前者で、伸び切れず3着が取りこぼしたケース。調子そのものは決して悪くなく、A級へ昇級2戦目なら持ち味の決め手を発揮する。
センリグランピーは古馬編入後、後方から差を詰めただけに終始していたが、前走は早め4番手を追走し、0・3秒差3着。これでA級でも通用のメドが十分立った。
不気味な存在がサイレントステージ。今回のハンデはA級58キロ、B1級56キロ。しかもサイレントステージは牝馬のアドバンテージがあり、54キロで出走できるのが最大の強み。水沢マイル戦を最も得意とし、一発の可能性を秘めている。
以下、前走は案外の結果ながら格上サクラアリエル、単騎逃げに持ち込めるトウショウグローズが連下押さえ。
◎(2)テンショウタイヨウ
○(4)マルブツワイルド
▲(7)センリグランピー
△(3)サイレントステージ
△(1)サクラアリエル
△(9)トウショウグローズ
3連単は2、4の2頭軸から7、3を厚め。あとは1、9を押さえ少々
馬複は 2-4、2-7、2-3、1-2
<お奨めの1頭>
3レース エルグラン
前走は久々を叩かれて気配一変。自己の能力をキッチリ出した。ここも白星もらった
12月31日 第35回桐花賞(3歳以上オープン・ファン投票 水沢2000m)
1着 ゴールドマイン
戦前の予想どおりエイシンイッパツが逃げ、2番手トキワノマツカゼ。3番手インにハルサンヒコ、その外にダンストンリアルがつけ、4頭で先陣を形成。
ゴールドマインは先陣から4、5馬身ほど離れてポツンと1頭で追走。「1枠に入ったが、外に出せ指示でした」と斎藤騎手。願ってもない5番手を追走することができた。
3コーナー手前からゴーサインを出し、斎藤騎手がムチを一発入れるとすばやく反応。4コーナーで逃げたエイシンイッパツに並びかけ、ラスト100mで先頭。この早めに仕掛けたのも功を奏し、大外から伸びてきたマヨノエンゼルを0・2秒差押さえて完勝。待望の重賞タイトルを獲得した。
「決め手があるオープン馬に乗ったことがないので、外を回って大丈夫かなと不安もありましたが、一鞭入れたらすばらしい動きを見せてくれた。勝利を確信したのは直線を向いてから。思わずガッツポーズを出してしまいました。
乗る前は自分でいいのかな―とちょっと緊張しましたが、大役を果たせてホッとしました」
櫻田浩三調教師はこれまでのレースを振り返り、2頭の上がりタイムはほぼ同じ。それならば前で競馬をすれば何とかなると判断。斎藤騎手への指示がずばりだった。
2着 マヨノエンゼル
道中はゴールドマインより3馬身ほど後ろを追走。向正面から早めスパートをかけたが、一瞬モタモタするシーンも。しかし3コーナーを回ってからはいつもどおりの伸びを披露したが、先にも記したとおり道中の位置取りの差が結果2着となった。しかし脚質からこの戦法しかなかった。
3着 ダンストンリアル
終始4番手外につける積極策に出る。ゴールドマインがマクリに遭い、厳しい展開になったが、最内でギリギリ粘って3着を確保。3連複、3連単で高配当を演出した。
4着 ヒカルメイオー
スタート直後はマヨノエンゼルの内にいたが、ペースが落ち着いた1周目スタンド前ではゴールドマインに内から並びかける。
勝負どころでゴールドマイン、マヨノエンゼルのスピードについていけなかったが、直線で盛り返した。
1月2日 第36回金杯(3歳オープン 水沢1600m)
1着 モエレデフィニット
ダークライが逃げ、2番手外にロックハンドスター。モエレデフィニットは3番手インにつけ、ロックハンドスターをマークする形でレースを進める。
「1枠だったので押し出されて逃げになるかと思ったが、ダークライがハナをアピールしたので内でジックリ待機した」(村上忍騎手)
勝負どころの3コーナー手前でロックハンドスターに外から並びかけ、一気にペースアップ。3ハロン標識で2頭が抜け出して早くもマッチレース模様となる。
直線を向いても互いに譲らず、直線半ばでモエレデフィニットが一旦抜け出したが、ロックハンドスターが驚異の根性を見せて再び差し返す。2頭はそのまま譲らずゴールまでもつれ込んだが、わずかハナ差モエレデフィニットが先着。転入2勝目が嬉しい初重賞制覇となった。
「結果的に3番手になったが、(ロックハンドスターの)目標にされる競馬だったらどうだったか。北海道のレースリプレイを見て、1頭だとソラを使いそうだと思った。だから転入戦で逃げの手で確かめてみたら、気を抜くところがあったのでやっぱりなと。2頭の実力は非常に接近していると思うし、もっと体重が増えればさらに強くなりそう。今後も楽しみ」と村上忍騎手。
2着 ロックハンドスター
抜群のスタートを切って2番手外を追走。相手はモエレデフィニット1頭のみと菅原勲騎手も考え、モエレデフィニットが動いたのと同時にスパート。直線は抜きつ抜かれつの攻防となり、わずかハナ差負け。三冠達成ならず、菅原勲騎手の悔しさも半端ではなかった。
今回は競り合いに負けた格好だったが、直線で差し返しす根性を披露。改めて強さを証明した。あえて敗因を探せば前走比プラス8キロの馬体重。あとは前日に砂を大量に補充し、南部駒賞より4秒以上かかる深い馬場が合わなかったかもしれない。
3着 ダークライ
最初から先手を取るつもりだったようで出ムチを入れて逃げる。ペース配分も悪くはなかったが、3コーナーで2頭に交わされる苦しい競馬。それでも7馬身離されたにせよ、3着死守は評価するべき。