●最優秀ターフホースはボスアミーゴ
難しい選考が続いた各部門ですが、最優秀ターフホースも決して無風区ではありませんでした。
あじさい賞から桂樹杯まで芝で1重賞3特別を連勝したボスアミーゴでしたが、重賞に限ってみればせきれい賞ひとつにとどまり、OROカップはクルセイズが、きんもくせい賞はカネショウエリートが勝って、結果的には3重賞を3頭で分け合う形に。
ボスアミーゴが芝で無類の強さを誇るだけに、それだけにボスアミーゴを破ったクルセイズやカネショウエリートの評価も高くなってしまう。勝って当然と思われている馬だけに、負けた事が取りこぼしと見られてしまう。そんなジレンマ・・・。
とはいえ、年間7戦行われた古馬オープン級の芝重特戦に全て出走した上で5勝2着1回の実績は、自身最高であるだけでなく前例のない優れたものでもあり、やはりここはボスアミーゴが最優秀ターフホースに選ばれるのが、あくまでも妥当でしょう。
盛岡の芝では距離を問わない堅実さを持ち、また昨年度4歳、来季もまだ5歳という若さがあってまだまだ将来の活躍も見込めます。OROカップを残すのみになった「岩手で行われる芝重賞完全制覇」達成は時間の問題、前人未踏の「同一年度内の芝重特全勝」も、決して難しい目標ではないでしょう。
残る目標は、そう、念願のJRAでの勝利でしょうか。条件は限られていますが、全国の競馬ファンに「芝にボスアミーゴあり」の姿を見せてほしいものです。
■ボスアミーゴ
芦毛・牡4歳
父アドマイヤボス/母サクラユキクイン(母父サクラトウコウ)
2004年2月28日生まれ
北海道/門別・白瀬 明生産
2008年度戦績/11戦5勝(うち芝7戦5勝) 主な優勝レース/せきれい賞
獲得賞金/1,030万円
ジュリア、ピンクゴールド、クルセイズの3頭が候補に挙がった牝馬部門。結果ビューチフル・ドリーマーカップを制したジュリアが最優秀牝馬に選出されました。
ピンクゴールドは牡牝混合の重賞を勝ったとはいえあくまで3歳限定戦。クルセイズはフェアリーカップでサイレントエクセルを、OROカップでボスアミーゴを破る金星を立て続けに挙げましたが、対ジュリアではビューチフル・ドリーマーカップでの1.5秒差5着など5戦4敗にとどまっており、岩手の古馬牝馬の頂点競走と見なされるビューチフル・ドリーマーカップを勝ったジュリアに対してはいずれも分が悪い成績といえます。
シーズン7勝を挙げたジュリアですがうち6勝は平場でのもの。重特戦での好成績はビューチフル・ドリーマーカップただひとつ、というのは確かに最優秀牝馬としては異論が出る実績かもしれませんが、“勝つか、そうでなければ大敗”になりやすいのは逃げ馬の宿命。マークされつつも逃げて圧勝したビューチフル・ドリーマーカップ、その1勝の価値を低く評価する事はないでしょう。
■ジュリア
栗毛・牝4歳
父メイセイオペラ/母グレシアンライコー(母父ゲイメセン)
2003年5月26日生まれ
北海道/静内町・久保秀雄生産
2008年度戦績/16戦7勝 主な優勝レース/ビューチフル・ドリーマーカップ
獲得賞金/908万3,000円
来シーズンもおおむね08年の勢力図が継続すると思われますが、各部門の最優秀馬に選ばれた馬が引き続き活躍するのか、わずかの差に泣いた馬たちが奮起するのか。それとももっと伸びてくる馬が出るのか。もちろん、08年は不完全燃焼に終わった3強、テンショウボス、サイレントエクセル、オウシュウクラウンも来シーズンは全力で戦いを挑んでくるはずです。
そして3歳世代。抜けたトップだったワタリシンセイキが移籍したために大混戦ムード。折しも来シーズンの重特日程が発表され、秋のビッグタイトルとして不来方賞が設定されました。3歳戦線は前半戦から後半戦まで息の長い活躍をしなければトップとして認められないローテーションになったわけで、この長丁場を戦っていく中で新たな馬が伸びてくる可能性は、十分にあるでしょう。
2009年シーズンの開幕は4月4日、土曜日。あと1ヶ月弱に迫りました。4月19日の阿久利黒賞、5月3日の留守杯日高賞、そして5月10日のシアンモア記念。開幕から1ヶ月あまりのうちに立て続けに行われる各世代の重賞レースの結果に、まずは注目ですね。