31日(火)メインは岩手版グランプリレース「第34回桐花賞」(水沢2000m)。このレースの優勝馬主には社台スタリオンステーションから種牡馬ファルブラヴの配合権利が与えられる。
何度か記してきたが、今年の岩手オープン戦線は主役不在のままでシーズンラストへ突入。これほど大混戦の1年も珍しかったが、さらに拍車がかかったのがサイレントエクセル、オウシュウクラウン、トーホウライデンの回避。この3頭が仮に出走すれば人気の一角を間違いなく形成したはずで、なんとも残念な限りだが、逆にどの馬が勝っても不思議がない一戦となった。
(阿久利黒賞ゴール 1着・リュウノツバサ=外 写真・佐藤到)
迷いに迷った結論は3歳馬リュウノツバサ=◎。今年の3歳クラシック戦線の主役を演じ、一冠目・阿久利黒賞を優勝。ダイヤモンドカップは折り合いを欠いて3着、不来方賞は伏兵ピンクゴールドの強襲に遭って0・1秒差2着。結局、重賞タイトルは1つのみとなったが、課題だった距離もインに入れ、うまく折り合いをつけることで克服。現時点で3歳トップは誰もが認めるところだろう。
また古馬初挑戦となった赤松杯でもコンバットキックの3着を確保したが、レース中に鼻出血が発生。ご存知の方も多いと思うが、人間と違って鼻でしか呼吸できない競走馬にとって大事件。競馬規定によって30日の出走停止を課せられてしまった。
そして赤松杯から約1ヵ月半を経て前回・A1戦で復帰。実はこのとき、菅原勲騎手はリュウノツバサ初騎乗。レースをじっくり見ていたのだが、外を追走して道中は掛かり気味。元々が気のいいタイプで前半、脚を使ってしまって末をなくすのが敗戦パターン。それでもメタモルキングにタイム差なし2着を確保したのだから、実力は推して知るべし。
その一戦を叩かれて上昇必至だろうし、人気を背負うであろうソーユアフロスト、ヤマニンエグザルトの負担重量が57キロに対し、3歳は56キロ。たかが1キロでも最後の最後になればハンデ差が少なからず生きてくるに違いない。
付け加えるなら、リュウノツバサは競り合いになると抜群の勝負根性を発揮する。赤松杯でも接戦に持ち込んで3着を死守した。
逆転筆頭はソーユアフロスト。中央6勝すべてが芝でマークした馬だが、岩手転入後はダート1本でレースを消化。すずらん賞、青藍賞と2着に入り、南部杯7着。その後、一息入れて北上川大賞典に駒を進め、1番人気に支持されたが伸び切れず3着。
レース後、管理する佐藤雅彦調教師に話を聞いたところ、桐花賞から逆算すると北上川大賞典がベストと判断して使ったとのこと。どうやら南部杯後のローテーションを早々と決めていたようだ。
芝とダートはまったく別物だが、2000mはソーユアフロストに最も合う距離。桐花賞に照準をピタリと合わせ、待望の重賞タイトル制覇に意欲満々で登場する。
ヤマニンエグザルトは毎年、活躍の時期は春と秋以降に限られていたが、今年は1年を通じて活躍。水沢1900mレコード更新であすなろ賞優勝、すずらん賞を驚異のタイムで制するなど、とても8歳とは思えないほど元気一杯だ。惜しむらくは重賞勝ちがない点だが、それを補うに十分の充実した中味を誇っている。
前回のA級戦も当然のように快勝。中7日のきついローテーションだが、一連の成績から主軸視も十分可能だ。
カネショウエリートは今年6勝マーク。2、3歳時にわずか2勝馬がひと皮もふた皮もむけ大飛躍を遂げ、きんもくせい賞で重賞ウィナーの仲間入りも果たした。北上川大賞典5着、前走・A級戦2着はちょっと物足りないが、今度の2000mは合いそうだし、展開もカネショウエリート向き。重賞2勝なら年度代表馬の有力候補にもなるだろう。
同じメイセイオペラ産駒ジュリアは逃げ一辺倒に加え、距離は明らかに長いが、スンナリの流れに持ち込めば渋太さを発揮。ただ、牡馬一線級に入ると選の細さは否定できない。
◎ ?リュウノツバサ
○ ?ソーユアフロスト
▲ ?ヤマニンエグザルト
△ ?カネショウエリート
△ ?ジュリア
3連単は8、7の1、2着折り返しから2、3へ。また2、3から入る手も十分あり得る
馬複は7−8、2−8、3−8、2−7
<お奨めの1頭>
9レース ケイジーウォリア
2戦凡走で勢いと待ったかと思ったが、前回2着で払拭。メンバーにも恵まれ今季12勝目をゲット