競馬のカメラマンをやっていると、時々「ファインダーを覗いていて勝つ馬がわかるようになってくるんじゃないの?」と言われることがあります。確かにわたくし、十年以上も馬の写真を撮っていますが、正直さっぱりわかりません!(爆)まぁごくごくたまには「あれ、あの馬あんなに元気に返し馬するヤツだっけ?」なんてこともありますが、カメラのレンズを通して違ったモノが見えてくる、なんてことはないですね。まだまだ修行が足りない?というより、撮影の時はピント・露出・構図・シャッターチャンスなどのことで頭が一杯になってしまいます。ちょっと違いますが、団体さんが整列した記念写真(『集合写真』と言っています)を撮るとき、整列のバランスはどうか、前後の人が重なって顔が隠れている人はいないかなどチェックしながら全員を見渡ししているのに、一人ひとりの顔は見ていないというのに似ています。団体の中に知り合いがいたことに気が付かない、なんてこともよくあるんですよ。
カメラマンでなくても、競馬の取材をしている人間は「いい情報もらって馬券でオイシイ思いできるんでね〜の!?」と言われるみたいですね。そんなことがホントにあるのなら、私の周囲の人達ももっと羽振りが良くなっているのでしょうが… 仮に厩務員さんが「今日、俺んとこの馬調子いいんだよ。絶対勝つぜ!」と言ったとしても、他の出走馬がもっと調子良いかもしれませんもんね。
または、それとは逆のパターンもありまして。。。
盛岡の某厩舎に所属するH君は、私とは乗馬教室仲間だったこともあり競馬場で顔を見れば声を掛けたりする間柄。そのH君が昨年の初冬、今度デビューする2歳馬がかなり期待できるから、たくさん写真を撮って欲しいと言ってきました。その馬はちょっと細い感じのする牝馬でしたが、賢そうな目でじぃーっとこちらを観察するような仕草が印象的で、走りはなかなか良いのだそうです。
実際に走り始めると新馬戦は惜しくも2着。その後も昨年度成績(0,2,3,1)と好走するも勝利には一歩届かず、この春からは着外も珍しく無くなってしまいました。どうやらH君も、今年度からは勝ちを焦らず、競馬を覚えさせることに作戦を切り替えたようでした。
そして今月のある日、装鞍所で彼と彼女を見かけて近寄っていくと、何だかふと、腰のあたりが一回り大きくなったような気がしました。「お、今日あたりいいんじゃない?」と話しかけると、「う〜ん、良くはなっているんだけどまだまだ… それに今日は相手が強いからね〜」とH君。ふ〜ん、そうか。さてレースがスタート。ゴール板前でカメラを構え待っていると、H君の愛馬は3〜4コーナーを手応え良くまわり、そのまま先行馬を交わしてするすると1着ゴールしてしまいました。結果は1番人気馬が4着だったこともあり、3連単1,355,690円の大波乱!
エェェェェェェェッ!! あのとき「おぉ!今日は調子いいよ!!」と言ってくれたら、馬単総流しぐらいは密かに買っていたかも!?(それでも約16万円!) ま、人生そんなもんですかね……