今週から戦いの舞台は水沢から盛岡へと替わり、約2ヵ月間のロングラン興行。その秋シーズン初戦はオーロパーク自慢の芝1600mで行われる「第30回桂樹杯」、10頭立て。
今回、3歳からボスアミーゴ、サイレントステージの2頭が挑戦して興味倍増。非常に楽しみな一戦となった。さて若さを採るか、キャリアを採るかで迷うところだが、ここはタイキリオンの格を重視してみたい。
タイキリオンは3歳時にニュージーランドトロフィー・GIIを制した実績を誇り、今年3月に岩手転入。2戦目のエクセレント競走(水沢1800m)を快勝したが、重賞・シアンモア記念は9着と大敗。これで評価を下げてしまったが、盛岡芝1700mで行われた特別・あじさい賞では鮮やかな直線一気を決めて見事1着。中央グレードウィナーの底力をマザマザと見せつけた。
これで芝路線の主役に躍り出たと解釈され、かきつばた賞で当然のように1番人気に支持されたが、伸びを欠いて4着。続く重賞・せきれい賞でも2番手から退いて5着に敗れたが、これは明らかに芝2400mの距離に泣いたもの。両レースを連勝したサイレントグリーンと明暗がくっきり浮き彫りにされた。盛岡芝2400mは2コーナー過ぎからのスタートで芝を1周半以上回るため、ペース配分がちょっと難しい。特にタイキリオンのような瞬発力勝負型には苦しい条件だった。それゆえ今回の桂樹杯は待ちに待った一戦。陣営は水沢2開催を休ませ、ここに照準をピタリと合わせてきた。
もう一つ強調したいのは、タイキリオンがあじさい賞(盛岡芝1700m)でマークしたタイムが1分44秒5に対し、ボスアミーゴはオパールカップ(同じ盛岡芝1700m)で1分45秒7。レースは生き物ゆえ単純な比較は危険だが、最終的にこのタイムが決め手となった。
そのボスアミーゴは前走、3歳重賞・不来方賞に出走。同厩舎のセイントセーリングが逃げ、ボスアミーゴは中団より後ろにつけて3コーナー手前からスパート。一気に捲くりをかけて2番手まで進出したが、最後は伸びを欠き、マツリダワルツにも先着を許して3着。これは必ずしも適性があるとは言えないダート戦、そして2000mの距離が影響した。改めて思ったが、本当にいい脚を使えるのは2ハロンぐらい。その脚をどこで使うのかが勝敗の分かれ目となる。これは芝、ダートを問わずのようだ。
今回の舞台は芝1600m。言うまでもなく芝なら中央オープンでも入着を果たす実力を持ち、しかも盛岡芝は3戦3勝とパーフェクトの実績を誇る。
カギは先にも記したとおりタイム不足だが、この時期の3歳馬はグングン力をつけていくタイプが多いし、今後またJRAに殴り込みをかけようとする岩手の期待馬。現在の実力を測るには格好な舞台となった。
ナイキアヘッドは4走前・あじさい賞でタイキリオンの0・2秒差2着に敗れたが、直線半ばで一旦先頭に立ち、そのまま押し切るか―という惜しいレース内容。さすが中央芝で6勝(芝1200mで5勝、芝1400mで1勝)の実績はダテではなかった。最後のひと伸びが足りなかったのは芝1700mと解釈すれば、100mでも短縮の今回はさらに上を狙っても不思議はないだろう。
サイレントグリーンはかきつばた賞、重賞・せきれい賞と連勝。絶対の自信を持つ盛岡芝2400mで見事な復活をとげた。ただ、意外にも芝1600m戦は大崩れしない半面、未勝利と決め手勝負になると劣勢ムードは否めない。
3歳芝ではボスアミーゴに次ぐ存在サイレントステージの挑戦も楽しみだし、久々を叩かれて3戦目タイキアルファも軽視はできないだろう。
◎ ?タイキリオン
○ ?ボスアミーゴ
▲ ?ナイキアヘッド
△ ?サイレントグリーン
△ ?サイレントステージ
△ ?タイキアルファ
3連単は7、2の1、2着折り返しから9、3を厚めに。あとは1、5を押さえ少々
馬複は2−7、7−9、2−9、3−7、1−7
<お奨めの1頭>
8レース サンオブタシジール
水沢コースは反応ひと息だが、盛岡に替わると動きが一変。ここ2戦のうっ憤を晴らすともに、盛岡戦の連勝を4に伸ばす