22日メインはA2級馬による1600m戦「第17回はまゆり賞」、12頭立て。ここには活きのいい5歳馬が勢ぞろい。オープン入りへの登竜門にふさわしいメンバー構成となった。
主軸には迷わずニホンピロゼンを推したい。デビューは04年12月、2歳C3戦でそれを2着にまとめてシーズンを終了。翌05年4月、初戦を快勝して順調な滑り出しを切ったが、続く2戦目2着後、脚部不安のために1年もの長期休養を余儀なくされた。
戦列復帰は06年4月8日、C3最下級からの出直しだったが、メンバーにも恵まれて快進撃。途中で大器ハセノコンドルに敗れはしたものの、4連勝を含めて6戦5勝2着1回。その後、4ヶ月ほどリタイアして11月の復帰初戦こそ調整不足がたたって6着に敗れたこともあったが、目下2連勝中。通算15戦9勝2着4回3着1回と抜群の成績を誇っている。
前回も2番手追走から直線楽に抜け出して2着トーホウドンファンに3馬身差の完勝劇を演じ、いきなりB2からA2へジャンプアップをあっさり克服した。
マヤノトップガン産駒は波に乗るとまとめてのタイプが多いが、それはニホンピロゼンにもピッタリ当てはまる。このはまゆり賞を勝ってオープンへ殴り込みを期待したい。
相手筆頭にワラッテオクレヨを指名する。3歳終了時ではまだ3勝のみでC3の身分だったが、昨年9月以降、まるで憑き物が落ちたように白星を積み重ね、わずか4ヶ月で5勝を荒稼ぎした。
今シーズンもニホンピロゼンと同じくB2からA2へ昇格したが、例によって豪快なマクリを決めて快勝。幸先のいいスタートを切ったことに加え、典型的な追い込み馬ゆえ展開に左右される時も多かったが、自分から早めに動いて勝ったことが最大の収穫。
このニホンピロゼン、ワラッテオクレヨの2連勝同士の戦いはちょっと見ものだ。
同世代ドリームカーニバルは前回・岩手日報杯5着。この結果だけなら評価ダウンやむなしに見えるが、守備範囲を大きく超えた2000mが舞台。しかも2番手の積極策に出たが、終始トーホウライデンにつつかれて苦しい流れ。それでも直線まで粘っており、中味は決して悪くなかった。今回は適距離のマイルに戻り、実力発揮には持って来いの舞台となった。
以上、5歳世代に割って入るのがコアレスブーム、インターサウンドの熊谷昇厩舎2騎。前者コアレスブームは休み明けの3月、A2戦を快勝し、前走・岩手日報杯はインを鋭く突いたが、惜しくも3着。引き続き好調サイクルを保っており、何とも不気味な存在だ。
またインターサウンドはこのブログで何度か記しているが、間違いなくオープンの器。しかし慢性的な裂蹄に悩まされ、昨シーズン終盤は凡走を繰り返していた。ひとまず冬期休養がプラスに作用し、2戦2、6着。現在は追い込みに徹しているため前回・岩手日報杯(6着)のように前残りの展開だと届かないケースがあるが、ワクワクさせる脚を披露する。
他ではスンナリのペースでメタモルキングの流れ込みも警戒したいところだ。
◎ ?ニホンピロゼン
○ ?ワラッテオクレヨ
▲ ?ドリームカーニバル
△ ?コアレスブーム
△ ?インターサウンド
△ ?メタモルキング
3連単は1、11の1、2着折り返しに4、9を厚め。あとは2、6を3着押さえ
馬複は1−11、1−4、1−9、1−2、4−11
<お奨めの1頭>
11レース ダンストーンアレス
昨シーズンはA2級にも在籍し、東海へトレード。そして前回、再転入初戦はC1に格付けされ、当然のように逃げ切り圧勝した。B3でもまだまだメンバーが楽
まずジョッキーの話題から始めたい。今シーズン、岩手競馬に異色の新人ジョッキーが誕生した。伊藤和厩舎所属の菅原俊吏騎手である。同騎手は祖父が名調教師で名を馳せた千葉忠一氏、叔父が中央競馬で騎手デビューし、岩手でもトップジョッキーで鳴らした千葉次男氏(いずれも故人)。そして従兄弟が岩手現役ジョッキーの千葉優騎手と競馬一族の中で生まれ育ち、幼い頃から騎手を夢見ていた。
当然のように菅原俊吏君は中学を卒業後、騎手養成センター入学を目指したものの、叔父・千葉次男氏もそうだったが、骨太の体格だったため何度トライしても合格を果たせなかった。
しかし騎手になることを諦めきれず、オーストラリアへ渡って騎手免許を取得。3年間で24勝(カントリー中心)をマークした。
同僚には現在、シンガポールで活躍中の藤井寛一郎騎手もいたが、菅原俊吏君は日本で、そして生まれ故郷で騎乗することが当初からの夢。そこで地元水沢に戻って一旦、厩務員生活を送りながら騎手を目指していた。
その間、10年もの歳月が流れていたが、4月8日、第5レース・ミスターヒョードルで念願かなって騎乗。そして1週間後の4月15日、最終11レース・ヤマニンシンバルで見事逃げ切りを決めて1着。日本での初勝利を飾った。
海外で騎手デビューを果たし、逆輸入で騎手になったケースはJRA・横山賀一騎手以来、地方競馬では史上初のケース。まさに菅原俊吏騎手は国際化時代、ボーダーレス時代の申し子的な存在だといっても過言ではない。今後の活躍にも注目してほしい。
さて本題。21日(土)メインはA1級馬によるエクセレント競走(水沢1600m)。冬期休養明け3開催目ということで、ちょうど疲れが出る頃。そのため当初、13頭が登録していたところ5頭が回避し、8頭立てで争われることになった。
主軸にジュリアを指名する。3月の特別開催・A1、2級混合戦を逃げ切って快勝後、オープン特別・栗駒賞に挑戦。初の岩手一線級が相手にひとまず逃げてスローに落としたが、1周目スタンド前でダンディキングに交わされて2番手からの競馬を強いられ、またオープンの流れに苦しんで直線失速10着に敗れた。
しかし今回は少頭数に加え、メンバーも楽。同型ルーキーナカヤマの出方が気になるが、2番手の競馬もこなせるタイプ。ペースさえ落ち着けばベストの水沢1600mを味方に通算8勝目のチャンス。
トーホウライデンは前特・岩手日報杯を快勝。2000mの条件で折り合いを欠くシーンもありながら、それを凌いでの1着は価値が高い。これで岩手16戦10勝とし、抜群の勝率を誇っている。若干気になるのが馬体重減。昨シーズン最終戦(B2級1着)が467キロだったが、前々走が449キロで岩手日報杯ではさらに減って446キロ。本来、馬格を考えれば470キロ台が理想だが、3連闘でこの体重減がどう影響するか。もちろん能力的にはアッサリ勝って当然の馬なのだが。
前記2頭に逆転首位まで可能なのがタイキコジャックだ。中央3勝はいずれもダート戦でマークしたもので1800m2勝、1600mで1勝。転入前の成績は振るわず05年3月以来、白星から遠ざかっているが、1000万下ならここで十分に間に合う。
他にハイペースなら一気台頭あるブラックオーメン、差し脚堅実が本来の姿エイシンガッサン、叩かれながら徐々に体調アップ中のキタノソナタも軽視できないだろう。
◎ ?ジュリア
○ ?トーホウライデン
▲ ?タイキコジャック
△ ?ブラックオーメン
△ ?エイシンガッサン
△ ?キタノソナタ
3連単は8、5、2のボックスが中心。あとは3着押さえで1、7、4
馬複は5−8、2−8、2−5、1−8、7−8
<お奨めの1頭>
11レース ウイナーワン
前走はハイペースを凌いで2着を死守。今回は流れがさほど速くなるとは思えず、チャンス到来
入場行進の花形のようでもあり、新聞と出走馬の間に視線を行き来させていれば目にも入らない存在でもある、それが誘導馬です。しかしどこの競馬場でも誘導馬は芦毛・白毛を中心にきれいな馬を使い、乗り役もフォーマルな出で立ちで目立つ存在であることは間違いありません。ところによっては誘導馬が折々の飾り付け?(クリスマスヴァージョンのメンコなど)をしてレースの盛り上げに一役買っていたりもしますよね。
昨年度まで岩手の誘導をほぼひとりでこなしていたのは、水沢農業高校乗馬部出身のK君。水農の乗馬部といえば全国大会の優勝者も出している名門で、現在の岩手競馬ジョッキーの中にもここの出身者が何人かいます。しかし彼の誘導は昨年度末で最後となりました。転職先はなんと!宮内庁!! 主馬班と言うのでしょうか?そう、あの「○○殿下ご成婚」などという時に馬車を御しているあの人たちですよ。すげっ!しかし本人は、「いやいや先輩方がたくさんいらっしゃいますから、最初はボロ取りからですよ。」と言っていました。
この時期に競馬関係の仕事を辞めるというと、「岩手競馬が見通し暗いから見切りをつけたんだろ」などと思われることもあるでしょうが、彼はそうではなく、何年か前から国家公務員試験に挑戦してしたのだそうです。
最後の誘導となった3月27日の11レースでは、気性の悪い馬が多かったため1頭も彼の後について行進をしないというオチまでつきましたが、気を取り直して ^^;) 新しい仕事場でも頑張って欲しいと思います。
もしかすると今はまだ幼い愛子さまや悠仁さまがパレードするときには、ワイドショーの画面のすみにK君が写るかもしれませんね。
もうひとつは悲しいニュース。岩手の誘導馬は白馬2頭でやっていましたが、そのうちの1頭、ロングシーマー号が急死してしまいました。
私はテシオの企画で、誘導馬体験を目標に乗馬の修行をしたことがあります。本番はより大人しい僚馬エイダイラビ号でコースに出たのですが、練習ではシーマー君に乗せてもらったこともありました。シーマーはラビよりも大きく、体もがっしりしていて若々しく力強い、とても元気な馬に思えました。時々は元気すぎて止まらなくなり、馬場の中をぐるぐる何周も暴走してしまうこともありました。そんなとき私は振り落とされまいと必死でしがみついていたのですが、そのとき感じたのは恐怖感だけではなく、スピードから来る爽快感と馬という生き物の躍動感が大きかったのです。ラビはとっても従順な良い子で初級者の私にはとても有り難かったのですが、シーマーからはそんなことを教えてもらいました。
14日土曜日の朝、いつものように午後の誘導に向けて準備をしていたロングシーマー号は、突然いつもは見られないぐらい暴れ始め、あれよという間に倒れて息をひきとってしまったそうです。そのときの話を聞くと、まるで脳溢血や脳栓塞で急死してしまう人間のようで、関係者がどんなに注意を払っていても防げなかったことだと思います。馬というのはあんなに大きくて力が漲っている生き物のようでも、頭部や心臓などの要因で案外突然に死んでしまうことがあります(特にサラブレッドは)。悲しいですがそれが馬なのですね。
先週の開催が終わった翌日、私は水沢の誘導馬厩舎に行ってシーマーのいた馬房にニンジンを供え、手を合わせて来ました。馬房にはちゃんとロウソクと線香立てが備えられていて、あとでシーマーのたてがみを場内にある馬頭観音に納めたそうです。
競馬場を去ってしまったロングシーマー号ですが、これからもずっと岩手競馬を見守ってくれているでしょう。
(文/写真・佐藤 到)
4月14日 第7回菜の花賞(3歳牝馬 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 パラダイスフラワー
絶好枠の1枠にも入り、ムチを入れながら先手を取る。道中は楽なペースで逃げ、4コーナーまで持ったまま。その手応えなら直線で後方をグングン突き放すかと思ったが、伸びがもう一つ。これは昨年の強さをイメージしているのが大きいかもしれないが、まだ本調子ではなかったか。
とは言え、勝つことが競走馬にとって最大の妙薬。これできっかけを掴んで昨シーズンの快進撃を期待したい。
「まだレース中に物見したり走りがフワフワしていたりするし、もっと良くなる余地があるのかも。これくらいのメンバーだとこの馬にとっては余裕すぎる、ということかもしれませんね」と小林騎手。
2着 シュクジャンヌ
逃げたパラダイスフラワーを見て3番手インを追走。直線を向いて外に持ち出してからの反応が良く、結果2着ながら成長の跡がハッキリ。前回の1着はフロックではないことを自らの脚で証明した。
3着 マツリダワルツ
前回と同様、前半は後方に待機して向正面からロングスパート。4コーナーでは一旦、パラダイスフラワーに並びかけるシーンもあったが、早めに動いたのが響いて直線は伸びを欠いて3着。しかし、これはパラダイスフラワーを負かしに行ったもので、3着も仕方なしと解釈。前走より馬体重も7キロ増加し、今後も目が離せない。
4月15日 第33回スプリングカップ(3歳オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
大外12番枠に入ったが、手をしごいて主導権を握る。その後はマイペースに持ち込み、一貫してセーフティリード。直線を向いて満を持して追い出すと鋭く反応し、後続を突き放す一方。休み明けの前走は好位からアッサリ退いて7着。正直、物足りなさを感じさせたが、その一戦を叩かれて気配アップ。今回はメンバーも楽だったにせよ、2着に6馬身差をつけたのは収穫大。これで弾みがついて再度、パラダイスフラワー、ネバーオブライトと雌雄を決することになる。
2着 ハルサンヒコ
中団外目に待機し、3コーナーからスパート。元々、堅実な差し脚には定評があったが、内で粘るダンストンリアルを直線半ばで交わして2着を確保した。
デビュー当初はレース勘が身につかず凡走を繰り返していたが、シーズン終盤に2勝をマークしてひと皮むける。かつて叔父ハルサンヒコー(こちらは“ー”と伸びる)はトウケイニセイの18連勝をストップするなど名脇役で鳴らしたが、その領域に到達できるか注目していきたい。
3着 ダンストンリアル
終始2番手をキープして、先行馬ペースの流れからそのまま流れ込むかと思ったが、ハルサンヒコに交わされて3着。これで3着6回目と詰めが今後も課題だが、このメンバーでの3着は価値がある。
15日の日曜日、第1レースで“大記録”が達成されました。岩手競馬に所属する沢田盛夫利騎手が、この日曜日第1レース・ダンストンジニアス号の騎乗をもって地方競馬通算10000回騎乗を成し遂げたのです。
沢田盛夫利騎手は1988年に高崎競馬でデビュー、その後岩手に移籍して今年で20年目のベテランジョッキー。昨年には地方通算1000勝の記録も達成しました。
ひとくちに「1万回騎乗」といっても想像しづらいでしょうが、まあ、ざっと言って1年に500回騎乗して20年。岩手競馬はだいたい年間120日の開催ですから、その間毎日上限の7鞍乗り続けたとしても840回、それでも12年近くかかる事になります。いずれにせよデビューからずっとトップクラスの騎手として活躍していないと無理な数字なのです。
まあ、全国を見渡せば引退した“鉄人”佐々木竹見騎手は地方通算39060回騎乗の記録を残していますし、船橋の石崎隆之騎手は今年中に32000回を超えるでしょうから、上には上のいるものではありますが、トップクラスなら年間1500回以上騎乗する南関東と違い、岩手は冬季休催がありますからよほどの騎手でも年間800回を超える事は少ないですし、なにより沢田盛夫利騎手は高崎から移籍したときに3年間のブランクがありましたから、実質的には20年よりもっと短い期間での達成という事になります。
1000勝、2000勝という勝ち星の記録は凄いものだし派手でもありますが、10000回騎乗という記録も、地味ですがすばらしいものだと思います。
穴っぽいところではテイエムウエスタン。距離も外枠も問題ない、あとは雨が欲しい。昨季後半に連続好走したように重・不良なら走りが違います。鞍上が鞍上だけに人気しそうですが、コース状態によっては大きく狙う手も。もう一頭はサファリプレイズ。おそらくイメージほど長い距離は向かないと思いますが、前走を見る限り好調キープ。この一点に乗ってみたいところ。
買い目は6枠6番アドマイヤウイングから5・7・9・10へ。脚質も考慮して、BOXにするか単なら裏目も忘れずに。
◇お奨めこの一頭
6R:ノーブルウイング シーズンをまたいでの3連勝は伊達ではなく、好調馬揃いのここでも時計比較をするまでもなく力上位。ただし相手は難解。素直に格上ノーウォーリーズか、穴狙いなら転入2戦目ファイトマネーか。
9R:スペシャルボーイ 頭候補としてはサイレントカイザーかホーリーアローが抜けているのでヒモ穴で。先行馬が多いだけに展開面のチャンスに期待。