1月15日、水沢開催の終了後、約2ヵ月半の冬期休養に入った岩手競馬だが、この冬期間に重大な「事件」が発生した。
慢性的な財政難に陥った岩手競馬を再生するため岩手県、盛岡市、奥州市(旧・水沢市)の構成団体に融資案を盛り込んだ「新しい岩手県競馬組合改革計画」を策定したが、融資を巡って県議会が紛糾。岩手競馬の存続にこの融資は必要不可欠だったが、県紙による批判報道も拍車をかけ、賛否両論が県民も巻き込んで様々な議論が交錯。
その結果、最後の最後まで融資の是非でもつれ込み、県議会最終本会議で議員の記名投票による採決をした結果、賛成22票、反対22票と可否同数。最終的に伊藤勢至議長の採決に委ねられたが、同議長が融資案を否決。
それによって融資スキームを盛り込んだ改革案が実行不可能になったため、議会後の共同記者会見で増田知事が「今年度をもって廃止の方向を決断せざるを得ない」と増田知事が発表。昭和39年に始まった岩手県競馬組合、43年間の歴史にピリオドを打たされそうになった。この間、連日にわたって多くの競馬関係者が議会に詰めかけ存続を訴えてきたが、その願い、叫びもむなしく「廃止」宣告を受けてしまった。
しかし、4日後に奇跡が起こった。
3月15日の県議会決定を受けた2日後、盛岡競馬場で岩手県競馬組合議会を開いたが、議員から「存続のための方法を模索すべき」との意見が続出。そのため構成団体が非公開で協議に入り、盛岡市、奥州市の負担分をさらに10億円ずつ増額するという案が競馬議会で出された。
その修正案は19日、臨時県議会で政和・社民クラブから提出され、再びそれを審議、記名による採決となり、賛成22票、反対21票で可決。一転、岩手競馬の存続が決定した。その瞬間、傍聴の関係者から拍手が巻き起こり、議会終了後には涙を流しながら存続を喜びあった。
以上、駆け足で一連の存廃騒動を報告したが、ひとまず来期も岩手競馬は継続。当初から予定どおりされていた今回の平成18年度特別開催も無事に開催するまでこぎつけた。
さて本題。今週24日(土)から27日(火)までの4日間連続開催となるが、その初日メインはA1・2級馬による「奥州市職員奥馬(おうま)の会会長杯・エクセレント競走(水沢1600m)、12頭立て。
主軸にマチカネダイキチを指名する。同馬は一昨年12月、中央3戦未勝利から岩手へ転入し、最下級C3からスタート。メンバーにも恵まれて昨シーズンは4戦2勝2着1回3着1回。また今シーズン(06年)も着外に沈んだのはわずか1回のみで6勝2着6回。とりわけ水沢コースでは<4.6.3.0>と抜群の安定感を誇っている。
マチカネダイキチの身上は展開構わず直線シャープに伸びてくる末脚。休養前の前走(12月25日)でも鮮やかな3コーナーまくりを決めた。今回からA1級に編入したが、さほどメンバーが強化された感はないし、得意の水沢戦なら信頼の軸と言えるだろう。
逆転筆頭格はマルカクール。12月のB1戦で2連勝をマークし、昇格初戦のA2・六華賞に挑戦。エブロス産駒で2000mの距離が不安視されながら、中団キープから直線ジワジワ伸びて3着を確保した。今回の舞台は守備範囲の水沢1600m、アッサリ好位抜け出しの可能性も大きい。
単穴はジュリアを抜擢したい。逃げ同型にベルモントサファリ、インターサウンド、ルーキーナカヤマがいて展開は決して楽ではないが、精神的にも落ち着きが出てきたし、右回り1600mがベストの条件。うまく折り合いをつけて好勝負に持ち込むか。
以下、格上馬スウィープザボード、水沢11戦9勝トーホウライデン、差し堅実グラスホープを連下で押さえたい。
◎ ?マチカネダイキチ
○ ?マルカクール
▲ ?ジュリア
△ ?スウィープザボード
△ ?トーホウライデン
△ ?グラスホープ
3連単は4、5の折り返しから9、12へぶつけ、10、8を3着押さえ少々
馬複は4−5、4−9、4−12、4−10、4−8
<お奨めの1頭>
3レース スプリングダイド
中央4戦0勝で今年1月に転入。距離850m戦で痛恨の出遅れを喫したが、それをモノともせずに豪快に抜け出して快勝。これは間違いなく出世する器だ