中村雅人が今年2度目の優勝
篠原睦が内枠の若手2車を包むトップスタートで逃げ態勢。しかし2周回2コーナーでコース取りが大きくなったところを、2番手発進した中村雅人がイン入って先頭へ。そのままリードを拡げて快勝した。今年2月以来の通算67V。
佐藤摩弥は人気薄だったが、4周回2コーナーで篠原の内へ切り返して2着。荒尾聡は中団から進めず上位争いには加われなかった。
文/鈴木
大会連覇とグレード連続V、そして打倒・鈴木圭一郎を狙う黒川京介
2015年の晩秋に現役引退した小林啓二・元選手の功績を称えて、翌2016年の6月に名前が冠されたG2小林啓二杯。現役時の70年代から90年代にかけて、小林啓二は『山陽王座決定戦』を6度も制している。
山陽王座『防衛戦』のサブタイトルで開催された時期もありながら、近4年は外来選手へのタイトル流出を許してしまっている地元勢が、2019年の緒方浩一以来となる優勝トロフィー奪還なるか。
山陽S級の直近開催は、岩崎亮一が飯塚デイレースで強い内容の走りを披露。佐々木啓と角南一如は山陽ミッドナイトで状態を上げてきた。
山陽A級は永島潤太郎が今月8日、山本翔は19日に山陽ミッドナイト優勝。G1優勝3度の実力者・西村龍太郎も先月からレースぶりが良くなってきた印象。現在ハンデ位置が有利なため注意を払いたい1車。2節前まで最重ハンデの30メートル前に置かれていた稲原良太郎は、前節の飯塚ミッドナイトでハンデ重化し、長年走ってきた位置に戻った格好だが、5月下旬から通常マフラーで13走して2勝、2着7回とかなりの安定感を示している。ランキングはA級下位だがハンデという意味では斎藤隆充も有利な1車。稲原良と同じく最重ハンデの30メートル前で走るようになって数節、走りが良くなってきただけでなく、課題であるスタートの切れが上向いてきたのはセールスポイント。
2022年の小林啓二杯を制した鈴木圭一郎は近1か月に浜松G2と川口G1を準優勝。今春にはG1令和グランドチャンピオンカップで5戦5勝の完全Vを決めており、当時と気候は異なるが山陽デイレースの感覚は掴めているはず。
勢いの高さでは黒川京介が上回るかも知れない。今月15日の川口G1キューポラ杯で同ハン鈴木圭一郎を引き離して圧勝V。地元G1タイトルを初めて獲得。今回は小林啓二杯のディフェンディングチャンピオンとして臨む。2019年のG1スピード王決定戦でグレードレース初優勝、今年2月にはG2若獅子杯争奪戦も制し、山陽デイレースにおける実績も申し分ない。
有吉辰也は今春、ともに山陽G1であるプレミアムカップと令和グランドチャンピオンカップに2節連続で優出したあと1節を挟んで、SGオールスターから11節も途切れず優出し続けて、今月19日の飯塚デイレースにて約半年ぶりのV。近30走で着外わずか4度のみと、今節出場メンバーの中で安定感の高さは鈴木圭と並んで抜きんでている。
ミッドナイトであるが直近の山陽開催で中村晋典が初日予選から3日目準決勝戦まで3連勝して優出の大活躍。同開催では浅香潤・野本佳章・鈴木聡太・佐久間健光・亀井政和・鈴木将光・吉田恵輔も好成績を挙げており、整備面も含めて他者に対するアドバンテージとなるか。
佐藤大地はG1令和グランドチャンピオンカップの後半2日間に連勝。深谷俊太は一般開催ではあるが4月末の山陽デイレース3日制2・3日目に同じく連勝している。
2月のG2若獅子杯争奪戦の最終日に勝利した一般戦は、丹村飛竜の30メートル前、まだ2級車である36期・村瀬月乃丞の10メートル前に置かれていた小椋華恋が、4月のSGオールスター4日目には高橋貢や篠原睦の10メートル前から6周回を逃げ切り『最終予選』に勝利して準決勝戦へ進出。そして翌5月にはグレードレース初優出にしてG2川口記念を制覇。女子レーサー史上2人目のタイトルホルダーに輝いた。非斡旋となったG1キューポラ杯にもし出場していたら、どんな活躍を見せてくれたのかと想像してしまうほど、今季の躍進はめざましい。
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主な出場予定選手
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丹村 飛竜〔山陽 S-20(29期)〕
岩崎 亮一〔山陽 S-43(25期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-44(23期)〕
山本 翔〔山陽 A-25(34期)〕
西村 龍太郎〔山陽 A-72(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-8(25期)〕
浅香 潤〔伊勢崎 A-53(23期)〕
小椋 華恋〔川口 A-213(35期)〕
中村 晋典〔浜松 A-222(24期)〕
牧瀬嘉葵が37期2車を捕えた
初優出の丹下昂紀と優出通算2度目の村田光希37期2名の動向も注目された今回の決勝。この両者が連なって逃げる展開となったが、人気に推された牧瀬嘉葵が5周回ホームストレッチで村田のインに入り2番手へ上がると、最周回6周3コーナーで丹下を差して先頭に立ち8度目の優勝。ともに初Vを狙った若武者たちの野望を打ち砕いた。
対抗人気になった川口裕司はゴール寸前に村田を交わして3着、予選~準決勝戦とスタート切れていた中原誠はフライングを喫してしまい速攻不発に終わった。
文/鈴木
高橋貢が技量の高さを見せつけた!
伊勢崎最終日は良走路で始まったが、途中で雨が降り、優勝戦は重走路での戦いになった。試走一番時計は佐藤貴の57。全国ランク1位の青山周は4番時計タイの61だった。
0ハン両者は序盤でペースを上げることができず、悪くないスタートを切った鈴木宏が早めに交わしていった。しかし、地元の重走路実績は断然の高橋貢が道中でインに切り込み先頭を奪取。レース中盤で青山周に競り勝っていた佐藤貴が猛追撃を見せたが、高橋貢が僅かな差で振り切ってみせた。
高橋貢は6月23日に浜松で優勝していたが、約一ヶ月ぶりに今度は地元でV。浜松の時はブチ走路だったが、今度は重走路。難走路での競走を積み重ねてきた経験値の高さを改めて証明した。通算優勝回数は217。オートレース界ではさまざまな記録が樹立されているが、この高橋貢の優勝回数を越えられる選手はそうそう現れないだろう。