佐藤励が2強体制に風穴を開けるか
SG『全日本選抜』史上最多4連覇の記録を持つ鈴木圭一郎が、今度はSG『オールスター』4連覇に挑戦する。歴史上、オールスター3連覇は高橋貢と鈴木圭の2名のみ。鈴木圭が今回も優勝すれば単独トップに立つ(なお、オールスター通算V回数は、高橋貢が5回で単独最多)
目下13連勝。先月の山陽G1『プレミアムカップ』~今月の浜松一般開催~山陽G1『令和グランドチャンピオンカップ』を無敗で3連続優勝。山陽2開催とも青山周平を2着にくだしており、これ以上ない勢いを有している。
青山周は2月の山陽G2『若獅子杯争奪戦』優勝戦も合わせて、大一番で鈴木圭の後塵を拝する場面が最近こそ増えているが、プレミアムカップの前の節『川口開設記念グランプリ』優勝戦は鈴木圭(4着)に完勝してV。鈴木圭が現在16戦連続で2連対を継続中なのに対して、青山周は18戦連続2連対。こちらも高い機力を長らくキープできている。高橋貢が保持していた従来の記録を塗り替えてデビュー最短での通算100Vを達成したことも推進力に転換していきたい。
他4タイトルのSGはいずれも過去3年以内に優勝歴があるなか、オールスターだけは8年前に1度優勝したのみだが、鈴木圭の前に立ちはだかって大会V2を決める可能性は十分ある。
黒川京介は3月に入って以降、2連対率が下がるとともに大きな着順に沈むケースが増えていることと、しばらく夜のレースを走っていないことが気がかりな材料。ただ、3節前の川口開設記念グランプリでは、昼開催ながら走路温度が冷え込んだ条件で速い本走タイムを出していたので、まずは当日の気候と試走の気配に注目したい。
今回の伏兵でも台風の目でもなく主役候補、優勝戦線における先頭集団の1角に位置するといっていいのが、佐藤励だ。3月以降だけで4度も優勝。直近3節に川口ナイトレース→山陽ミッドナイト→川口ナイトレースと夜開催で大活躍して参戦できるのは大きな強みであり自信にもつながりそう。
全国ランキングは前期A-100から今期S-15へとジャンプアップ。昨年の夏に1級車へ乗り換えたばかりでこれほどの飛躍を遂げたのだから、バイクのスピードに加えて成長の速度もすさまじい。
成長の著しい若手として、松尾彩の名前も挙げたい。いまだV回数ゼロでありながら、今季はグレードレースでコンスタントに掲示板へ載るようになっている。2節前には令和グランドチャンピオンカップ優出。スタート力こそ高くないものの、道中の捌く技術を着実に磨いてきている。
吉林直都はデビュー1年あまりのまだ2級車乗りながら全国ランキングをA級の中堅まで上げて、3月には川口G1に挑んで5戦2勝。直近節の浜松一般開催でもエンジンは猛烈に出ていた。
吉林と同期の栗原佳祐は、ハンデが重くなってから準決どまりの開催が続いているが、前節は山陽G1の5日間で2着2回。最終日はランキングA級の1級車を捲り返すという、価値あるレース内容だった。
小椋華恋は今年2月の飯塚ミッドナイトでは成績ふるわなかったが、同じく消音マフラーを用いる地元川口のナイトレースでは、キャリアの浅い時期から好走するケースが多く、夜に逃げるとスピードの上がるタイプといえる。
近況の新井日和は目立った活躍はできていないが、今年は川口SGと川口G1でそれぞれ1勝を、地元伊勢崎G1と山陽G1ではそれぞれ2勝を挙げた。直近の消音開催は、山陽ミッドナイトでまずまずの走りを見せていた。
大会V5の高橋貢とV3の荒尾聡は先月プレミアムカップに優出。同じくV3の永井大介は2月のSG『全日本選抜』初日~4日目を4連勝と、いずれも今季の推移は悪くなく、タイトル獲得へ向けて活発に動いてくるだろう。
有吉辰也は今年48走して着外10回、あとは全て3着以内と、安定感の高さは青山周・鈴木圭にすらヒケを取らない。
金子大輔も高いエンジン水準のままずっと安定。夜開催は久しぶりになるが、寒冷期の2月におこなわれたSG全日本選抜を制しており、走路温度が冷え込む条件にもエンジンを合わせてくるはず。
岡部聡がオールスターを優勝すると、史上7人目のSGグランドスラマーとなる。飯塚ナイター連戦で迎えられることはアドバンテージになりうるし、23日時点での週間予報では空模様が微妙な見込みであることも雨巧者の岡部にはプラス材料。一級品のスピードを持つ加賀谷建明もまた、雨はチャンスをもたらしてくれる。
スピードといえば、若手の有望株である中村杏亮と長田稚也の車速も非凡だ。特に長田稚は3月下旬からの飯塚3節、明らかに調子が上向いており、動向に注意を払いたい。
ファン投票全国1位の森且行は、2節前からスタートの切れ味が上昇ムードにあることが、短ハンデ戦では戦力アップにつながる。
ファン投票川口1位の佐藤摩弥は2月にSG優出、3月には川口G1と山陽G1をまたいで4連勝した。前節は令和グランドチャンピオン5日間で2勝。最終日は10メートルオープン戦の6枠からトップスタートを決め、伊藤信夫や永井大介を離して逃げ切っている。今回と同じ舞台、飯塚ナイターで実施された昨年のオールスターは準優勝。勝った鈴木圭との差はゴール時点でわずか0コンマ5秒。手を伸ばせば届くところに頂点が見えてきた。
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主な出場予定選手
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青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
金子 大輔〔浜松 S-11(29期)〕
佐藤 励〔川口 S-15(35期)〕
森 且行〔川口 S-22(25期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
松尾 彩〔山陽 A-37(34期)〕
文/鈴木