木村武之が地元勢を退ける
SSトライアルの16名だけでなくSSフェスタの出場選手欄にも木村武之の名前がないことが意外であり違和感がある。それだけの実力と実績、存在感をオートレース界に刻んできた彼が今年ラストの開催として臨んでいる今節の状態は正直、100%には見えない。準決勝でいったんは10m前の中野光公に反撃されかけた。それでも今回はエンジンの心臓部であるクランクを交換しており、実戦や練習などでエンジンを回しているうちに馴染んでくれば、現状以上の動きを獲得する見込みが十分に立つ。前団にハイペース独走タイプが不在なのも有利なファクター。8名の車間が拡がらず周回する展開になりそうで、木村武は前へ追いつきさえすれば次々と捌いて番手を上げられよう。
同じ26期の桜井晴光が、前節アフター5ナイターに続いて高いスピードを示している。内枠に並ぶ同ハン3車いずれも大きなコースをあまり通らないタイプなので、桜井にとって捲りやすいといえる。
11月レース中の落車から公傷休養を経て復帰した新井淳が、いかにも速攻派らしい俊敏な走りを見せており、0ハン両者を早い段階で突破するシーンも大いに考えられる。
◎木村武之
○桜井晴光
△新井淳
▲岩沼靖郎
おすすめの買い目
8-6=3217
文/鈴木
東小野正道と丹村司を有力視!
初日が降雪のため中止になった飯塚ナイター。2日目の準決では軽ハン勢の頑張りがあり、優勝戦は0Mに6車、10Mに1車のハンデ戦になった。
レースの行方を占う上で最も大事なのは0ハンのスタート争いになるだろう。実績を考えれば東小野の先行が有力。越智も手堅いスタートを決めるだろう。丹村司は準決で素晴らしい飛び出しを見せており、トップスタートもあるか。岩見は0ハン勢を1車でも2車でも叩いておきたいところ。
東小野がスタートを決めて逃げた場合、それなりにペースは上がりそう。そのまま押し切りもあるが、丹村司が2~3番手までに出れば道中で逆転できるスピードがある。この両者の争いとなりそう。悪くないスタートを見せて粘る越智や、エンジンの仕上がり良い牧瀬の巻き返しが連下候補。0ハン大外で展開的に厳しくなりそうだが、桝崎が穴の狙いか。
◎ 2 東小野正道
○ 1 丹村司
△ 4 越智尚寿
△ 3 牧瀬嘉葵
▲ 6 桝崎陽介
おすすめの買い目
1=2-346
青山周平が圧巻の走りで完全Vを達成!
0ハンから好スタートを切ったのは新井日だったが、1コーナーで先頭に立ったのは吉田恵。そこに桜井が続いていった。佐久間も悪くないスタートを切っていた。
吉田恵と桜井が重なって走っていたが、佐久間がまとめて交わしていく。その後ろでは青山が着実に番手を上げていた。そして、一対一に持ち込むと5周1コーナーで青山が佐久間のインに切り込む。その後、佐久間は必死に食らい付いていたが、青山はそのままゴールした。
青山は優勝戦で試走25、上がり346の好タイムをマークした。更に初日からオール1着の完全優勝。この後の出走予定は年末のスーパースタートライアルだが、そこへ最高の形で乗り込めることになった。
実力断然の青山周平が完全優勝へ!
今節の青山はスーパーハンデでの競争だったため、他に誰が優出しても単独最後方からのレースは決まっていたが、他の6人は0ハンに全て並んだ。
青山はここまでオール1着できており、エンジン面は全く問題ない。優勝戦でも格の違いを見せて0ハンを攻略するだろう。当然の本命視だ。
0ハンはスタート争いが大きなポイントになる。先行しそうなのは新井日、吉田恵、三浦あたりか。独走でのスピードは新井日と三浦が上位。この両者がスタート後に好位に付けてペースを上げる。仲田は最内だが、遅れないスタートが切れれば勝負圏内に加わってこれる。佐久間は大外なので展開は厳しい。一発あるなら桜井か。スタートでどこまで踏ん張れるかがカギになるが、序盤である程度の位置に付けられれば快速を発揮できる。
◎青山周平
○三浦康平
△新井日和
△仲田恵一朗
▲桜井晴光
8-25-1245
佐藤励がG1初制覇
窓口での車券発売が締め切られた時点では良走路。まさに選手たちが待機ピットから出ようとする時にいたずらな小雨が降ってきて、公式発表はブチ走路に変化した。
重走路~ブチ走路は得意な緒方浩一がスタートダッシュから1周バックストレートで同期の君和田裕二を捲りきると、すぐに後続との車間を作った。試走タイムの数字は劣勢だった丹村飛竜だが、君和田が1周4コーナーで外へ流れると2番手に浮上。しかし、その直後に追いついた佐藤励の足色は明らかに丹村飛より強め。
ここからしばらく佐藤は丹村の抵抗に遭ったが、5周ホームストレッチでインこじ開けると、あとはパワーが違った。6周で緒方を軽々と差して先頭に立ち、独走で1着ゴール。終盤に緒方を捌いた丹村と高橋貢が2・3着に入り、3連単は1番人気で決着した。
誰かが背後に来た気配を察した丹村はコースをガードする走りに。その態勢が続くと先頭の緒方に差を拡げられてしまい、佐藤としては速やかに突破して2番手へ上がることが優勝には必須だった。長年S級をキープしている強豪の丹村の防御はさすがに巧みであり、車を外へ振って冷静に態勢を作って切り返せたのは、佐藤の実力アップを改めて示した格好。今年7月に1級車へ乗り換えてからたったの5ヵ月あまりでこの走りをできたのだから、未来の可能性は計り知れない。
佐藤はこのあと、27日から地元で開催される「スーパースターフェスタ2023」に参戦する。今年は「SSシリーズ」の方を争うが、確実に近い将来、春から秋はSGレースの決勝で上位争いして年末は「スーパースター王座決定戦トライアル」の方へ出場する、という流れが毎年の恒例になるだろう。
文/鈴木