若手不在の名匠戦、ベテラン勢が巧みな走りでファンを魅了!
今節はGⅡオート名匠戦。斡旋される最も若い期が23期となり、ベテラン勢が主力のシリーズとなる。フレッシュな若手の開け開けレースもいいが、経験豊富な選手たちによる技の競演も楽しみ一杯。
今回はこの企画レースの中心となりそうな23期の選手の動向から追ってみたい。
まず地元からは鈴木清がランク上位。前走は伊勢崎でのSG日本選手権だったが、エンジンは納得のいく仕上がりにはならなかった模様。ただし、今節はメンバー的に十分戦える存在になりそう。得意のスタートからの速攻に期待したい。増田伸一の方はエンジン好調。直線の伸びがかなり良く、重走路でも無類の強さを見せる。
他の地区の23期では、なんと言っても飯塚の浦田信輔。先のSGでは準決で攻めに焦って優出はならなかったが、エンジンはハイレベルにある。大事なところで雨さえ降らなければ優勝候補の筆頭に挙げられる。同じく飯塚から参戦の竹谷隆も悪くはないエンジン推移を見せている。今回のメンバーの中ではスピード的に上位に入るので大駆け十分。
山陽からは佐々木啓に注目。前走のSGでは準決でスタート後にやや不利があり厳しい展開になってしまったが、エンジン的には今回十分通用する動き。同地区からは速攻が武器の五所淳、徹底したイン差し走法の斎藤隆充が参戦。
伊勢崎からは浅香潤、塚越浩之、新井淳といずれも速攻派揃い。船橋からは池田政和、白次義孝、谷川一貴、荒川哲也が参戦。最も注目なのは池田だが、SGの準決で落車しているのでやや不安を残している。浜松の23期は長谷晴久。スタートを含めて序盤がやや不安だが、腕はしっかりしており後半の巻き返しもある。
他の期でも当然、気になる選手は多数いる。
花の期といわれた19期では片平巧や岡部聡が参戦。どちらも今回のレースタイトルに相応しい熟練の捌きを見せてくれそう。浜松の22期コンビ、青島正樹と笠木美孝はエンジンの仕上がりイマイチだが、持ち味の速攻は未だ健在。まだまだ血気盛んな篠崎実、岩田行雄、田代祐一、鈴木章夫、安藤定実、穴見和正らの熱い走りにも期待したい。
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主な出場予定選手
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鈴木 清〔川口 S-31(23期)〕
池田 政和〔船橋 S-15(23期)〕
片平 巧〔船橋 S-24(19期)〕
浅香 潤〔伊勢崎 S-33(23期)〕
青島 正樹〔浜松 S-27(22期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-3(23期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-20(23期)〕
岡部 聡〔山陽 S-23(19期)〕
充実の地元勢は外来勢に付け入る隙を与えない!
SG日本選手権の興奮冷めやらぬまま開催される今節は、そのSGで優勝戦まで進んだ地元勢4人が参戦し、シリーズの核を形成していく。外来勢ではS級選手が不在で、充実の地元勢が圧倒的な存在感を見せ付ける形になりそう。まずは、地元上位陣の動向から。
全国ランク1位の永井大介は、伊勢崎のSG日本選手権で史上初の4連覇が期待されていた。予選、準決を順当に勝ちあがったが、優勝戦では試走からやや劣勢だった。レースでも主導権を奪うことができず、苦しい展開になってしまった。しかし、それまでの動きを見る限りではエンジンレベルが高い位置にあるので、今回の一般開催でも中心的存在になることは間違いない。
ランク2位の青山周平もSGで優出。スタート後の1コーナーで他車との兼ね合いでやや展開に不利があったが、そこからは脅威の巻き返しを見せた。試走タイム一番時計タイの機力をいかんなく発揮して、準優勝までこぎつけた。若手ながら確かな捌きを持っているので、エンジンさえ互角なら永井に対抗できる走りを見せられる。
SG優勝戦の枠番選択で好枠を得た中村雅人だが、レースでは精彩を欠いていた。試走タイムがやや不足な面もあったが、レースでも力強い走りができなかった。しかし、SGの優勝戦まで進める実力があるのだから、今回も優勝候補の一人に挙げられる。
内山高秀はSGの準決で他の選手の落車があり、展開面で恵まれた感はあるが、しっかりモノにして優出するあたりは流石である。26期という中堅の域に入る選手にあって、まだまだ成長を見せており、今後も目が離せない選手の一人である。
他の地元勢では内山同様に近年力を付けてきている石井大輔、冬場のスピード戦を得意とする佐久間健光、B級でありながら実力的にはA級の腕がある平塚雅樹、新人32期の中でも一番の活躍を見せている鈴木圭一郎あたりに注目したい。
対する外来勢は浜松の渡邊篤に注目。31期という伸び盛りの現状において、着実に力を付けている。ロード時代の経験を加味すれば、もっと成長していい選手である。同地区の遠藤誠にも注意必要。前走は伊勢崎のSGだが、3日目に1着を取っている。実力者が多数参戦する開催で白星を挙げているのは自信につながるだろう。
山陽地区では満村陽司と人見剛志に期待。どちらもしっかりした捌きを持っている選手で、同じレースの中で並の試走タイムを出せれば混戦を割って行ける腕がある。
飯塚地区からは越智尚寿が筆頭で軽快な攻めを見せてくる。また、中尾貴志もスピード面でなかなかいいモノを持っており、同期の青山や渡辺からいい刺激を受けているだろうから、モチベーションに繋がっているだろう。
伊勢崎地区では、差しが巧い中野光公や重走路に自信を持っている吉田恵輔、一発力がある矢内昌木に要注意。また、外めのコースを使って車速を乗せてくる桜井晴光も、走路が冷えてくるこの時期は活発な動きを見せるので警戒したい。
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主な出場予定選手
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永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
青山 周平〔船橋 S-2(31期)〕
中村 雅人〔船橋 S-5(28期)〕
内山 高秀〔船橋 S-14(26期)〕
中野 光公〔伊勢崎 A-66(25期)〕
渡邊 篤〔浜松 A-4(31期)〕
越智 尚寿〔飯塚 A-65(25期)〕
満村 陽司〔山陽 A-55(26期)〕
11月4日に伊勢崎オートレース場で行われたSG日本選手権は、木村武之が鋭い追い込みを見せて制した。
レース展開は荒尾聡が序盤で先頭に立つも、濱野淳がすぐに交わして逃げ態勢を作った。しかし、木村がジワリと追い込んで先頭を奪取。青山周平の猛追を振り切ってそのままゴール。
このレースでのポイントは1周4コーナーにあったと思われる。我先に主導権を奪いたい前団がこの4コーナーで多少バラける形になったが、木村はこの前団の隙間を突いて一気に3番手に付けた。ここでうまくコースを見つけられていなかったら、その後厳しい展開になったハズ。一瞬のチャンスをしっかり見逃さずモノにするのは、さすがの腕だ。大舞台を数多く経験してるからこそ、なせる業であろう。3番手からは試走タイムが表している通り、機力の違いで丁寧に追い込んだ。
2着に入った青山も大物ぶりを見せる走りだった。一旦は最後方に下がってから追う展開になったから、実質6車を抜いたことになる。SGの優勝戦でここまでの追い込みを見せるのは至難の業だろう。序盤の展開さえうまくこなせていれば、SG奪取も時間の問題だ。
最も注目の1車に置かれた永井大介は、試走タイムからイマイチだった。スタートでも好位を奪えず苦しい展開になってしまった。機力が良ければそこから巻き返して行けるが、今回の優勝戦の仕上がりでは厳しかった。
荒尾は相変わらず武器のスタート力の健在ぶりをアピールしたが、エンジンの仕上がり不足で後続を離すまでには行かなかった。しかし、0オープン戦では大事な要素になるスタート力は変わってないので、しっかりエンジンを仕上げて行ければ再びの栄冠も十分あり得る。
濱野は準決までは自信のないコメントに終始し、優勝戦でもエンジン不足だったが、大舞台で見せ場を作り存在感を示した。中村雅人や内山高秀、伊藤信夫は良いところがなかったが、今後に期待したい。
日本一を決めるファイナリスト8人出揃う!
SG日本選手権もついに最終日を向かえ、11月4日に優勝戦が行われる。準決は波乱があったものの、豪華な顔ぶれが出揃った。優勝戦を予想するべく、まずは準決を振り返ってみたい。
9R...スタートは高橋義弘が飛び出したがすぐさま荒尾聡が交わして独走。人気の青山周平は6番手スタートと出遅れたが、そこから脅威の巻き返しを見せ、最後は高橋義弘を差し込んで優出を決めた。
10R...トップスタートの藤岡一樹が逃げ態勢を作るが、2番手に出た中村雅人が楽に捌いて逃げ切る。3番手に付けていた伊藤信夫が終盤で藤岡を交わして優出。人気の浦田信輔はスタート遅れたのが響いたのか攻めに焦りが出て、結果追い込み届かなかった。
11R...序盤で主導権を取った濱野がそのまま押し切り、2番手に付けた内山高秀が終始マークする展開。そのままゴールを迎えた。その背景には池田政和、高橋貢、岡部聡の落車があった。
12R...スタートこそ佐藤裕二が出かかったが、永井大介が張り込みいきなりの独走。木村武之がマークするも周回ごとに少しずつ離されていく。後ろでは田中茂が松尾啓史を交わす動きがあったが、優出は永井と木村の2人となった。
優勝戦の本命に推すのは永井大介。予選道中の動きも全く問題ないし、準決も圧倒的なタイムをマークした。今年に入ってから全てのSGを獲っており、更に日本選手権に関してはこれまで3連覇中。今回勝つと日本選手権4連覇の偉業達成、更に年間SGグランドスラムに王手となる。本人も相当気合が入っていると思われる。その永井が2枠の好位に入ったのだから本命以外には考えられない。
相手候補筆頭は青山周平。3日目、準決でやや不安な動きを見せていたが、2日目には素晴らしい走りを見せていた。優勝戦は6枠とやや遠い位置になったが、ここ一番でのスタートの切れは抜群。2~3番手に出てくるようなら十分勝負圏内にあるとみていい。
次は中村雅人。エンジンの仕上がりが上々だし、スタートも切れてきている。優勝戦の枠番選択でも1番に3枠を取っており、序盤の好展開が期待される。元々、後半追い込みタイプなので10周戦は好材料となる。
そして、荒尾聡と木村武之。荒尾はスタート巧者で、1枠に入ったのだからトップスタートを決めそう。問題はそのあとのペース。準決以上のエンジンに仕上げてくれば後続を離していく展開もあり得る。木村の方は、準決こそ永井に離される展開だったが、それは永井の仕上がりが良すぎたため。永井以外の選手には引けを取っていないし、大舞台になるほど力を出せる選手なので一発には注意したい。
他の濱野淳、伊藤信夫、内山高秀は機力的にやや劣勢とみているが、当日の試走で大幅アップするようなら警戒が必要。
◎永井大介
○青山周平
△中村雅人
△荒尾聡
▲木村武之