11月7日に園田競馬場で行われた楠賞を制した、岩手の二冠馬フジユージーン。全国各地から凄まじいメンバーが集い、激しいレースとなりましが、序盤はダッシュがつかなかったものの、早めにマクっていって、直線の追い比べを制しました。激戦を制したフジユージーンについて、管理する瀬戸幸一調教師にお話を伺いました。
【写真提供:兵庫県競馬組合】
赤見:楠賞制覇、おめでとうございます!すごいレースでしたね。
瀬戸:ありがとうございます。よく頑張ってくれました。応援してくれた皆さまや、オーナーをはじめ関係者の方々にとても感謝しています。距離的に忙しい競馬になるだろうということは分かっていましたし、相手も短距離の強い馬ばかりが揃いましたから、おそらく序盤は置かれるなと。でもジョッキーが早めにスパートをかけて前に取りついてくれて、馬もよく頑張ってくれました。
赤見:不来方賞やジャパンダートクラシックに挑戦し、さらにパワーアップした印象がありますが、いかがでしょうか。
瀬戸:そうですね。ああいう厳しいレースの経験が、最後のひと伸びにつながったのではないかと思います。それに、夏を越えてから体がもう一回り大きくなって、後ろ脚の筋肉がしっかりしてきたということも大きいです。不来方賞からは調教でしっかりと負荷をかけられるようになりましたし、パドックで見ても他の馬たちに見劣りしない素晴らしい体になってくれましたね。
赤見:この馬の適性距離というのはどの辺りだとお考えですか?
瀬戸:2000mは若干長いかなと思います。現状一番競馬がしやすいのは1600mから1800mくらいではないでしょうか。そういう意味でも今回は置かれるだろうなと思っていました。ただ、ジャパンダートクラシックで初めて遠征して、初めての場所で1晩過ごして競馬にいってもいつもとまったく変わらなかったんです。レースは攻めの競馬をして欲しいと森騎手に話しまして、負けはしましたが4コーナーまで見せ場のある内容で私としては納得のいく競馬でした。あのレースを踏まえて、これならばさらに遠い園田への遠征も問題ないなと考えました。
赤見:実際に今回の長距離遠征はいかがでしたか?
瀬戸:今回もまったく動じることがなかったですね。この馬は肉体的にもすごいですが、精神的にタフなところも大きな武器だと思います。どこに行っても変わらないでいられますから、益々視野が広がりました。
赤見:レース後の様子はいかがでしょうか。
瀬戸:レース後も元気だったので当初は笠松グランプリというプランもありましたが、秋の3戦は強いメンバーと戦って本当によく頑張ってくれましたし、昨年も11月の競馬を使って冬休みに入っていますので、同じ流れになりました。この休養でさらに成長してくれたら嬉しいですね。
赤見:では、たくさんのファンの方々にメッセージをお願いします。
瀬戸:いつもたくさんの方々に応援していただき、本当にありがとうございます。ファンの方がとても多い馬で、感謝の気持ちでいっぱいです。来年順調に過ごせたら、南部杯を最大目標にと考えています。また応援していただけたら嬉しいです。
今年もJBCが終わりました。
佐賀と門別で行われたJBC、どのレースも熱い戦いが繰り広げられましたね。
わたしは初開催だった佐賀競馬場へ行ってきました。たくさんのファンの方々が詰めかけ、場内はとても賑わっていましたが、佐賀の主催者が事前に入念な準備をしていたおかげで大きな混乱もなく、楽しく一日を過ごすことができました。
それでは各レースのレース後コメントをご紹介します。
勝利騎手はインタビューがいろいろなところで流れていますので、勝利調教師と2着以下のコメントを掲載します。
◆JBCクラシック◆
[写真提供:地方競馬全国協会]
1着ウィルソンテソーロ
小手川準調教師
「GIを勝たせていただき、とても感謝しています。本当にすごい馬だなと思っています。
海外遠征に行き、精神的に逞しくなりました。今日はとても堂々としていましたね。今後のことは馬の状態を見て考えます」
2着メイショウハリオ
浜中俊騎手
「今回は調教から気配がよくて、久しぶりにいい手応えをもって競馬に向かえました。結果は負けましたが、よく頑張ってくれたと思います」
3着キリンジ
笹川翼騎手
「前との差はありましたが、最後までよく頑張ってくれました。これまでのレースを全部見て、長くいい脚を使う馬だと思いましたので、前半はいいリズムで進んで3コーナーくらいから動かして行きました。強い相手でもこれだけ頑張れる馬ですし、もしまた乗せていただける機会があれば自信を持って乗りたいと思います」
4着シルトプレ
石川倭騎手
「終いの脚を伸ばすイメージで、ある程度思い通りのレースはできました。ただ3着は欲しかったですね...。輸送が課題でしたが、早めに入って馬体重もマイナス5と大きく減らなかったですし、これだけ大きいレースでよく頑張ってくれました。今後も交流重賞を目標に頑張ります」
◆JBCスプリント◆
[写真提供:地方競馬全国]
1着タガノビューティー
西園正都調教師
「なかなかGIが勝てなかったのですが、この勝利でオーナーに喜んでいただけて涙がでました。馬の頑張りには頭が下がります。
3コーナー手前でマクッて行った時には早い早いと思いましたが、思い切って行ったのが良かったです。石橋騎手の好判断でした。
年齢的なこともありますので、今後のことはオーナーと相談して花道をきれいに飾りたいと思っています」
2着チカッパ
武豊騎手
「雰囲気もよく、状態も良かったです。やりたいレースはできました。
ただ1200mよりも少しキレが鈍るかなというのと、大きな競馬場の方が合っていると思います」
3着アラジンバローズ
下原理騎手
「この馬は佐賀で一番いい脚を使うと思って乗っていました。本当に力をつけていますね。僕自身、とてもいい経験をさせていただいていますので、オーナーや関係者の方々に恩返しできるようなレースがしたいです」
4着イグナイター
笹川翼騎手
「作戦通りでしたし、リズムも悪くなかったです。前回使って状態も上がっていました。
ただ、絶好調の時とは少し差があるかなと...。絶好調の時は抑えきれない手応えで上がっていきますから、今日も悪くはないんですけどお利巧すぎました」
◆JBCレディスクラシック◆
[写真提供:地方競馬全国協会]
1着アンモシエラ
松永幹夫調教師
「強い馬を相手に良く頑張ってくれましたね。佐賀は騎手時代からたびたび乗せていただいて、初めてのJBC開催で勝つことができて感慨深いです。
アンモシエラに関しては状態も良かったですし、前回の負けは展開のあやだと思っていましたので、あの競馬で4着ならば楽しみだなと。
レースはジョッキーに任せていて、いいリズムで逃げていましたが、4コーナーから内が深い馬場で最内を通っていたので大丈夫かな?とは思いましたが、強い競馬を見せてくれました。
まだ完成しているわけではないですが、とてもいいスピードがあってそれが持続する馬です。今後は馬の様子を見て考えます」
2着グランブリッジ
川田将雅騎手
「とてもいい状態で今日を迎えて、返し馬も良かったです。着差の通り勝った馬が強かったですが、この馬も素晴らしい走りができたと思います」
3着テンカジョウ
國分優作騎手
「課題のゲートも出てくれましたし、スローの雰囲気だったので自分から動いて行って、最後までよく頑張ってくれました。勝てなかったのは残念ですが、少しずつどっしりとしてきて、馬は良くなっています」
4着ライオットガール
岩田望来騎手
「好スタートを決めて前々で競馬をしようと思っていました。3番手にはなりましたが、いい雰囲気で走ってくれました。具合は上がっていますし、とてもレースセンスのいい馬です」
5着ドライゼ
石川倭騎手
「いい競馬ができました。3着4着と差がなかったので悔しい気持ちはありますが、今できる最大限の競馬はできたと思いますし、今後また成長してくれればと思います」
兵庫の鴨宮祥行騎手が、来年1月から4か月間、オーストラリアへ武者修行に行くそうです!今年は兵庫優駿を勝ってダービージョッキーになり、キャリアハイとなる年間100も達成。9月のインタビュー【ダービージョッキーとなった鴨宮祥行騎手https://blog.oddspark.com/akami/2024/09/post_2068.html】では、「年間100勝を達成したら海外に行ってみたい」と話していましたが、まさに有言実行。通年開催の競馬場で4か月遠征に行くというのは相当勇気が要ると思いますが、どういう経緯で決断したのか語っていただきました。
赤見:まずは目標としていた年間100勝達成おめでとうございます。
鴨宮:ありがとうございます。ここがゴールではないので、あまり大きなことは言えないですけど、達成できて嬉しいです。頑張ってくれた馬たちや、周りの方々に感謝しています。僕は今までずっと数字を気にして来なかったんですけど、成績を上げていないのに「数字を気にしない」って言うのはカッコ悪いなと思うようになって。それで去年の年始から年間100勝というのを目標にして、今まで以上に勝ちにこだわる競馬をしていこうと。ただ去年は96勝で達成できなくて、今年こそはと思っていました。
赤見:飛躍のきっかけはマルカイグアスとの出会いですか?
鴨宮:それはありますね。ただそれだけではなくて、去年から数字を意識して乗るようになって、少しずつ成績が伸びてきた中で出会えたことも良かったと思います。それに、ずっと尊敬してきた田中学騎手が離脱した、ということも大きいです。マルカイグアスもそうですし、学さんのお手馬が回って来て、その中で結果を出せたことが繋がっていきました。
【マルカイグアスとのコンビで兵庫優駿を勝利】
赤見:前回のインタビューでもお聞きしましたが、兵庫優駿を勝ってから、思い切ったレースや攻めのレースが増えた印象です。
鴨宮:まだまだ迷いますし、下手なレースもしますけど...。でも兵庫優駿のあとから成績がかなり伸びましたし、以前よりは焦らなくなったなと思います。
赤見:さて、海外遠征のお話ですけれども、9月に取材させていただいた時にはもうすぐ100勝という状況で、達成したらどこか海外に行きたいんですというフワッとした感じでしたが、あれから2か月も経たないうちにオーストラリア遠征が決定!今は準備も忙しいんじゃないですか?
鴨宮:あの時に競馬評論家の須田鷹雄さんを紹介していただいて、須田さんからオーストラリアで活動している元騎手でRSS代表の川上鉱介さんを紹介していただく、というご縁が繋がって、漠然としていたことが一気に現実になりました。ワーキングホリデーのビザで行くんですけど、30歳までしか申請ができないビザなんです。僕は11月2日で31歳になるので、本当にギリギリでした。他にもいろいろな手続きがありましたが、須田さんや川上さんに教えていただいているのですごく助かっています。
赤見:英語は得意ですか?
鴨宮:それは全然(苦笑)。せっかく行っても英語がわからないと話にならないので、今猛勉強中です。競馬がない日に週2,3日英会話のレッスンをして、自分でもテキストを買って勉強して。もっと前から英語を勉強しておけば良かったとも思いますが、とにかく今できることを必死にやっています。
赤見:遠征での目標は?
鴨宮:右回りで小回りダートの園田と左回りの芝コースでは競馬自体が全然違いますし、英語も大して話せない僕が行って、すぐに乗せてもらえるとは思っていません。レースに乗れるかどうかも分からないですけど、目標は勝つことです。ただ今回の遠征は、いろいろな経験を積む、ということに意味があるので、初めての環境でたくさんのことを吸収できればと思っています。
赤見:周りの方々は驚いたんじゃないですか?
鴨宮:そうですね。年始から100勝したいというのは公言していて、達成したら海外に行きたいということもチャージ(兵庫競馬の情報誌)のインタビューで言っているんですけど、実際に行くことが決まったら「本当に行くの?」と驚かれました。所属の栗林徹治調教師からは、「上手くなるために行ってこい!」と快く送り出していただき、本当に感謝しています。成績を上げてから行きたかったので、僕にとってはご褒美ですね。
赤見:武者修行がご褒美とは、ずいぶん厳しいご褒美ですね。
鴨宮:ここまで12年同じ環境でやらせていただいて、毎日とても充実していますが、その中でまた新しい環境にチャレンジできるというのはご褒美だと感じています。それに、後輩たちにもこういう選択肢があるよというのを見せられることもモチベーションになっています。
赤見:では、ファンの方々にメッセージをお願いいたします。
鴨宮:まずは年末まで、園田で精一杯頑張ります。明日は金沢に遠征(北國王冠にてサンビュート騎乗)するので、応援していただけたら嬉しいです。そして年明けからはオーストラリアに行きますが、変わらず兵庫競馬もよろしくお願いします。成長して帰ってこられるよう頑張ります!
園田競馬場に行ったら、ぜひともこの方にインタビューがしたい!と意気込んでおりました。
今年の兵庫優駿をマルカイグアスとのコンビで制し、ダービージョッキーになった鴨宮祥行騎手。
これまでも活躍していましたが、今年はキャリアハイを更新する勢い(これまでのキャリアハイは昨年の96勝ですが、今年は9月11日時点で92勝)。
特に兵庫優駿の積極的な勝ちっぷりのインパクトが強く、そこからさらに攻めの競馬をするようになった印象で、何か心境の変化があったのか伺いたかったのです。
赤見:今頃ですが兵庫優駿おめでとうございます!マルカイグアスに騎乗して、早めに動いていった攻めの競馬、しびれました。
鴨宮:ありがとうございます。強い馬に乗せていただきましたから、馬を信じて乗りました。ただ内心は、3コーナー辺りでは冷や冷やしていましたね。これでバテたらどうしようと...。でも4コーナーでも手ごたえが良かったですし、本当に馬が強かったです。
赤見:あのレースからさらに攻めの競馬をすることが多くなった印象ですが。
鴨宮:自信にはなりました。まだ迷うことはありますが、迷う時間が少なくなったかなとは思います。強い馬に乗せていただいて、ダービージョッキーにしていただいたのに、「お前まだそんな競馬しているの?」って思われたくないじゃないですか。ダービージョッキーの名にふさわしい騎手になりたいと思っています。
赤見:今年はキャリアハイを更新しそうですね。
鴨宮:このままいけばそうなりますね。たくさんいい馬に乗せていただいて、とても感謝しています。本当は昨年年間100勝したかったのですが、96勝でちょっと足りなくて。年間100勝したら海外遠征に行きたいという目標があるので、今年こそ達成したいです。
赤見:海外遠征に行くのですか?
鴨宮:そうですね。それはずっと公言していて、目標を達成したら行きたいです。まだどこがいいとかは決めていませんが、もっと上手くなるために海外で乗ってみたいと思っています。
兵庫優駿を勝ったことが自信になり、さらにいい結果が出ていい馬が集まる、という好循環に入っているとのことでした。
海外遠征も視野に入れているということですから、この先さらなる活躍を期待します!
今回久しぶりに園田競馬場に行って、いくつもの大きな変化を感じました。
まず大きな変化といえば、小牧太騎手の兵庫復帰でしょう!
この日は後半2鞍に騎乗。
パドックに姿を現すと、「小牧さ~ん」「ふとし~」と声援が飛んでいました。
騎乗数を絞っている小牧騎手ですが、その分、勝率や複勝率はとんでもない数字になっています。
馬券を買う側としては、本当に頼もしいですね!
ここ数年で相当数の若手がデビューした兵庫は、これまでとは流れが変わって積極的に動いていく減量騎手が増えた印象ですが、さらにそこへ超大ベテランの小牧騎手が参戦し、レースの流れも一筋縄ではいかなくなりましたね。
これまで以上に白熱したレースが見られて面白いです!
そしてもう一つの大きな変化は女性騎手の存在。
兵庫はこれまで女性騎手が一人もいませんでしたが、2021年に佐々木世麗騎手がデビューし、今年は2人目の女性騎手である塩津璃菜騎手がデビュー。
しかもこの日はヤングジョッキーズシリーズ出場のため、JRAから河原田菜々騎手が騎乗していましたし、第10レースのJRA交流競走では永島まなみ騎手が勝利。
お父様である永島太郎調教師に、「まなみ騎手ご活躍ですね!」と声をかけると、「まだまだですが...ありがとうございます」と嬉しそうでした。
ここでもお父さんの顔が見られてほっこりです。
この日は4人の女性騎手の騎乗ぶりが見られて嬉しかったですし、女性騎手の存在が珍しいものではなく当然の存在になったことがとても嬉しかったです。