ばんえい競馬情報局とは?

ばんえい競馬の最新情報を提供します。重賞を中心に予想や回顧のほか、ばんえい競馬に関するコラムなどもご覧いただけます。
カレンダー
リンク
おすすめコンテンツ

« 2006年9月 | メイン | 2006年11月 »

2006年10月 アーカイブ

123

レース回顧(10/28~10/30)

2006年10月30日(月)

 28日(土)に行われたもみじ特別(3歳以上470万円未満)は、1番人気に推されたコブライチが優勝。前走に続く勝利で、2連勝としました。第2障害を2番手で越えたコブライチは、一気に差を詰めるとあっという間に先頭へ。障害3番手からワカテンザンが追ってきましたが、これを退けてゴールしました。3着は障害を先頭で抜けたトウリュウ。人気の一角キョウワテンリュウは、障害で苦戦して6着に敗れています。
 その前に行われた第10レース3歳以上800万円未満は、昨年のダービー馬エンジュダイヤが復活の勝利を遂げました。第2障害はエンジュダイヤとツルマキシンザンが並んで先頭クリア。両馬一歩も譲らない好レースとなりましたが、残り20メートル付近でツルマキシンザンが止まって勝負あり……、と思われたところ、ゴール寸前でエンジュダイヤもストップ。その間にツルマキシンザンが差を詰め、交わすかとも思われましたが、立て直したエンジュダイヤが先頭でゴールイン。僅差2着にツルマキシンザンで、障害6番手からしぶとく歩き続けたヤマノミントが3着。
 29日(日)のメインレースはオータムカップ(3歳以上オープン)。このレースは実績馬ヒカルセンプーが久々の勝利を挙げました。並んで障害を下りたヒカルセンプーとライジングサンは、残り20メートル付近で並んでストップ。そこからも一進一退の攻防が続きましたが、残り10メートルでヒカルセンプーが前に出て決着しました。障害5番手のキングファラオが勢いよく伸びて3着を確保するかと思われたところ、ゴール寸前でストップ。その隙にキタノスサノオが交わして3着入線を果たしました。1番人気のスターエンジェルは、いいところなく8着に敗れました。
 同じ日の第10レースは、3歳以上混合別定800万円未満。21日の温根湯特別、23日の川湯特別出走馬(勝抜)による2度使い戦です。ここを勝ったのはスーパーロイヤルで、1番人気にきっちりこたえました。最内のナリタボブサップ、大外のスーパーロイヤルが並んで障害をクリア。しかし残り30メートルを切ったあたりからスーパーロイヤルが一気に加速すると、残り10メートルで単独先頭へ。カツテンリュウが渾身の追い込みを見せてスーパーロイヤルに襲いかかりましたが、結局はスーパーロイヤルが逃げ切って優勝しました。ナリタボブサップはゴール線上で力尽き7着敗退。3着には、障害6番手から追い込んだキングシャープが入線しています。
 30日(月)はいちょう特別(3歳以上550万円未満)が行われ、4番人気のチヨノキングが優勝しました。第2障害を先頭で越えたキョウエイボーイが後続を突き放す展開でしたが、残り30メートル付近でストップ。その間に後続が差を詰めて混戦となりました。そうしたなか障害を4番手でクリアしたチヨノキングは、しっかりとした脚取りで歩き続け、残り10メートルでキョウエイボーイが再度止まると先頭へ。そのままゴールまで押し切りました。プランドルドラゴンとコマタイショウのきわどい2着争いは、わずかにプランドルドラゴンが先着。逃げたキョウエイボーイは、こらえきれず4着。

映像はこちら

馬券おやじは今日も行く(第26回)  古林英一

2006年10月28日(土)

ばん馬の人たち~装蹄師さんの巻~

 小生、今(金曜夜)、実は東京にいるのである。このコラムの順番をしっかり忘れていたのである。困ったもんである。宿に戻ると、斎藤編集長から「こら~っ、まさか順番を忘れてるわけじゃあるめえなっ!」(※注)という留守電がはいっていたのである。
忘れてました。すんません。

 昔なら、どうしようもないところだが、今はパソコン&ネットの時代である。宿の備え付けのパソコンでこの原稿を書いているのである。便利な世の中になったものである。東京にいてもばんえいが観戦できて馬券も買える。予想紙だって手に入る。なんでもかんでもネットでOKなんぞという錯覚を起こしてしまいがちだが、現実の世の中そうはいかない。

 前回の小生のコラムでは獣医さんの仕事を紹介した。今回は装蹄師さんの仕事を紹介しよう。ITだの、ネットだのといった小賢しい世界とは無縁の職人の世界である。先週だったか「BANBA王」でも、今回紹介する高橋さんのお仕事がリポートされていたので、もしかするとごらんになった方もおられるかもしれない。

 現在、競馬場内で装蹄の仕事をされているのは、高橋さんと千葉さんの2人である。小生がお邪魔したのは高橋さんのほうである。

 高橋修さんは、祖父も、父も装蹄師である。息子さんは高橋さんの仕事を手伝っておられ、お孫さんは現在装蹄師の養成課程で勉強されている。つまり、なんと5代にわたってこの仕事に携わっているのである。

 高橋さんは中学2年生のころから父の手伝いをはじめ、18歳のとき、国家試験に合格し、晴れて一人前の装蹄師になった。法制度が今とは異なり、当時の装蹄師は国家資格である。面白いことに、当時の国家試験には牛の蹄鉄の試験もあったという。牛は偶蹄目であるから、1本の足に小ぶりな2つの蹄鉄が必要だ。小生、残念ながら、牛の蹄鉄というのは見たことがないのだが、地方によっては馬よりも牛が役畜として活用されていた地方もあるから、牛の蹄鉄があっても決して不思議なことはない。もっとも、高橋さん自身も装蹄師の試験以外に牛の蹄鉄を打った経験はないそうだ。

 サラブレッドの場合は、調教用と競走用では蹄鉄を履き替えるらしいが、ばん馬の場合は調教用・競走用の区別はない。「本当はもっと頻繁に履き替えたほうがいいのだけどね」と高橋さんはおっしゃるが、だいたい30日から40日くらいで履き替えるのが一般的だという。

 1頭として同じ脚をもつ馬はいない。したがって、蹄鉄はすべてオーダーメイドである。夏用は11,500円、冬用は13,000円。1頭1頭脚にあわせてつくることを考えれば、決して高い金額ではないだろう。冬用の蹄鉄は、直径19ミリの丸棒を縦割りし、型にいれてあの独特の刻みをつけるのだそうだ。

 ここでちょいと、馬券オヤジの耳より情報である。高橋さんのおっしゃるには、装蹄直後の馬は総じて調子がいいそうである。こりゃあ、耳寄り情報だ……と小生小躍りしたのだが、よく考えると、いつ蹄鉄を履き替えたかという情報は予想紙や出走表を見たってわかりゃしない。う~ん、せっかくの耳寄り情報だったのにぃ。

 高橋さんの腕には無数の、本当に無数といっていいくらい多くの、小さな火傷の痕が残っている。火花が飛びまくる仕事である。真っ赤になった鉄をハンマーで打つたびに、火花が飛び散る。高橋さんの火傷の痕跡は高橋さんのキャリアそのものなのである。こういう職人さんを見ると、「格好ええなあ」と憧れてしまう小生である。それに引き換え、小生なんぞは、釘一本打つわけでもなく、米一粒つくるわけでもないのに、人の仕事を横手からあーじゃこーじゃとぐちゃぐちゃいうだけである。ちゃんとものを作る人を大事にしないとだめなのである。ITだのネットだので、何かが生まれるわけじゃない。

注) ※ 斎藤編集長はかようなものいいをする人ではない。これは斎藤編集長のお言葉が小生の心にはこのように聞こえたという、いわば「文学的表現」なのである。

今週のみどころ(10/28〜10/30)

2006年10月27日(金)

 今週はばんえい競馬恒例の「ばんえいコースで親子リレー」が行われます。いまさら説明不要と思いますが、これは親子3人で軽量そりをリレーしながら200メートルのコースを疾走するというもの。29日(日)の第7レース終了後にスタート予定で、旅行券や商品券などの豪華な賞品も用意されています。参加申込みは当日まで行っているので、気になった方はこちらをご覧ください。
 28日(土)に行われるのはもみじ特別(3歳以上470万円未満)。9日の白馬賞でフクイズミの2着に健闘したキョウワテンリュウが、ここに出走します。今回は710キロを課せられましたが、700キロ以上の斤量ではイレネー記念(710キロ)で競走中止、ばんえい菊花賞(700キロ)で失格と散々な結果。しかし3走前は695キロで勝利を収めており、そうした近況から徐々に重い荷物もこなせてきていると見ます。楽なメンバーとはいえませんが、ここは勝機十分でしょう。ほかマルニアトランタ、トウリュウ、イナズマダッシュ、コブライチなども虎視眈々。中位クラスの好メンバーが揃った印象で、楽しみな一戦といえます。
 その前、第10レースには3歳以上800万円未満が行われます。なかなか難解なメンバー構成となりましたが、中心視したいのはバレットドラゴンツルマキシンザン。両馬ともこのクラスの安定株で、近走はともに掲示板をはずさない堅実さ。もちろん勝ち味に遅い印象はぬぐえませんが、それでもこのメンバーなら上位フィニッシュが期待できそうです。また昨年のダービー馬エンジュダイヤも、休み明けを一度叩いた今回が正念場。カネサブラックをはじめとする4歳馬の躍進が目立っているだけに、この馬も1つきっかけが欲しいところでしょう。ほかヤマノミントやアオノキセキの一発にも期待できそうです。
 29日(日)はメインレースにオータムカップ(3歳以上オープン)が行われます。近走の成績が冴えないスターエンジェルですが、これまで戦ってきた相手はオープン一線級。今回のメンバーなら、十分に勝ち負けを演じられるでしょう。またライジングサンは、近走つねに上位に食い込んでおり、800万クラスといえども十分に好勝負が期待できそうです。
 この日の第10レースは、3歳以上800万円未満。21日の温根湯特別、23日の川湯特別上位馬による混合別定戦です。温根湯特別からはイッスンボウシを筆頭に、スーパークリントン、ナリタボブサップの4歳馬2頭、川湯特別からはスーパーロイヤル、ユウセイマーチなどが有力となるでしょう。
 30日(月)はいちょう特別(3歳以上550万円未満)が行われます。ここはハヤテショウリキに注目で、近走は勢いあふれる4歳馬を相手に奮戦。そうした面々が昇級していっただけに、今回はチャンスといえるでしょう。北見に入って2戦連続連対を果たしているコマタイショウ、このクラスの常連プランドルドラゴンも争覇圏。昇級間もないチヨノキング、ゴールデンバージなどの勢いにも注目です。

レース回顧(10/21~10/23)

2006年10月24日(火)

 21日(土)に行われた温根湯特別(3歳以上800万円未満)は、1番人気のホクショウファイトが優勝。近2走1番人気ながら7、10着と大敗していましたが、ここで見事に巻き返しました。第2障害に真っ先に挑んだホクショウファイトは、そのままひと腰で上がってトップ通過。少し離れてスーパークリントン、ナリタボブサップ、イッスンボウシが続きましたが、北見特有の最後の坂を力強く歩き続け、そのまま先頭でゴールを果たしました。ジワジワ伸びたイッスンボウシが2着で、4歳馬同士の争いとなった3着には、スーパークリントンが入線しました。
 22日(日)のメインレースには二世ロッシーニ記念特別(3歳以上オープン)が行われました。ここを勝ったのは6番人気のフクイズミ。2着に4番人気カネサブラックで、馬連単は4,350円と、意外な高配当となりました。障害を先頭で越えたのはカネサブラックで、差なくトカチプリティーという展開。フクイズミは4番手から続きました。末脚に絶対の自信を持つフクイズミとしては、先頭を射程に入れて障害をクリアした時点で勝ち負け必至。グイグイ脚を伸ばし、残り20メートル付近で先頭に躍り出たところで勝負あり。そのまま後続を突き放してゴールしました。トカチプリティーに追われ、終始苦しい展開だったカネサブラックが粘って2着。そのトカチプリティーはゴール寸前で失速し、プリンセスサクラコが交わして3着となりました。
 23日(月)に行われた川湯特別(3歳以上650万円未満)は、2番人気のプリティブライトが優勝。障害後の大混戦からゆうゆうと抜け出し、好調ぶりをアピールしました。第2障害はスーパーロイヤルが先頭でクリアし、差なくユウセイマーチ、プリティブライト、トカチタカラも抜け出して一団に。しかしそこから豪快にプリティブライトが伸び、残り30メートル付近で難なく先頭に躍り出ると、独走態勢を築きました。前走も同様の脚を発揮しており、好調をキープしているようです。スーパーロイヤルは前走の8着から巻き返しての2着。ユウセイマーチが3着。

映像はこちら

やっぱり馬が好き(第26回)  旋丸 巴

2006年10月20日(金)

坂本東一騎手の「名人芸」

 「坂本さんは凄いよ~」と、谷さんから聞き及んでいた。そして、本欄でも自慢したけれど、8月の共進会で初めてお話をさせてもらって、この名手の「ばんえい競馬」に対する真摯な姿勢も実感させてもらった。

 けれども、しかし、である。それ以前から私は、坂本騎手のファンなのである。何たって、かなりの確率で馬券に絡んで下さるから、私の薄い財布に、何度、暖かい風を送り込んでくださったことか。

 加えて、我が豚娘も坂本騎手のファンである。娘もまた、薄い財布を同騎手によって暖められて……ということではない。娘は未だ小学生。従って、不肖の母のように「金銭欲」に発した好意ではなく、純粋に坂本東一という騎手が好きなのである。で、その理由を聞けば、

 「だって、坂本さん、ソリの上でジャンプするんだもん。カッコいい」とのこと。

 言われてみれば、この名手は第二障害を越えたゴール前、ここぞ勝負! という時には決ってソリの上でジャンプする。

 コースの砂に足を突き立てて進む馬に合わせて、上半身を反らせて手綱を引いたかと思えば、今度は体をかがめて馬を推進し……という、ばんえいならではの大きなアクションで馬を追いつつ、その一連の動作の中で、時折、坂本さんはジャンプする。恐らくは、馬が前進する瞬間、少しでも負荷を減らすための技だと想像するのだけれど、これが確かに「カッコいい」。きっと、下手っぴーな騎手がやっても大した効果はないだろうし、第一、格好も悪いだろう。その証拠に、草ばんばなんかで、ねじり鉢巻のオジサン達が、これを真似たと思しきジャンプをするのを幾度か目撃したことがあるけど、例外なく馬は無駄に苦労していたし、オジサン達はメッチャカッコ悪かった。

 という訳で、このジャンプは、名手にこそ許される「名人芸」なのだろうと、勝手に考察しているのだが……。

 「でもさぁ、どうして坂本さんは、レースの時、馬の尻尾に触ろうとするの?」と、これまた、娘の疑問。

 これまた、そう言えば……、坂本さんは前述の追い込みアクションの中で、身をかがめる刹那、何故か左手で「馬の尾をすくい上げるようなしぐさ」を見せる。

 はて?

 とっても気になったから、9月のセリで再び坂本さんの姿を見つけた時には、すかさず飛んで行って、挨拶もそこそこに上記の件、お尋ねした。

 共進会の時同様、変なオバサンの変な質問に、しかし、坂本さんは嫌な顔もせず、私と娘の質問に明快に答えてくださった。

 「尾に触ろうとしているわけじゃないんですよ。ばんえいの騎手は、レース中、馬の体に触ってはいけないって規則があるんでね。そうじゃなくて、あのアクションは手綱で馬の後肢をスッと撫で上げているんです。そうすることで、少しでも馬の踏み込みが良くなるようにしてるんですよ」

 坂本さんの言葉を正確に再現できているか否か、至って心許ないけれど、こういう趣旨の御答えをいただいて、大いに得心し、なおかつ、大いに感心もした。

 馬にソリを引かせた経験のない私には、細かな技術は解りかねる。けれど、ジャンプといい、この手綱さばきといい、とにもかくにも、坂本さんという人は、勝利のためには、どんな小さなことにも最大の努力を試みる人なのだ、と、そういうことだけは判然した訳で、やっぱり凄いわ、この名手は。

 本年6月12日、ばんえい史上2人目の2500勝を挙げた坂本東一騎手。ミスターばんえい・金山明彦現調教師の記録3299勝に向かって、只今、驀進中……と私なんかは勝手に興奮しているけれど、坂本さんにすれば、きっと、そんな外野の姦しさなんか、どこ吹く風。冷静に1レース1レースで最善を尽くされているのだろう。ある時は華麗なジャンプで、ある時は豪快な手綱さばきで。

 武豊ばかりが一流騎手じゃない。坂本東一騎手の「名人芸」にも、ご注目を!

123
Copyright (C) OddsPark Banei Management Corp. All Rights Reserved.