
ダービーグランプリに続いて最終レースに行われるのは、2歳馬の岩手と北海道の交流、知床賞。さすがにこの時期の2歳馬は北海道勢が強く、重賞に格上げされてから昨年までの10年間で北海道勢が9勝。岩手唯一の勝利は一昨年のゴールデンヒーラーで、4歳になった今年も牝馬ながら先月の青藍賞を制するなど岩手の古馬戦線で活躍している。
今回は9頭立てで北海道からの遠征が6頭。門別の重賞で好走している馬が何頭かいるだけに、今回も北海道勢優位となりそう。
メンコイボクチャンは、ここまで4戦2勝、2着2回。前走イノセントカップは惜しくもクビ差2着だったが、勝ったスペシャルエックスはデビューから3連勝。それを考えれば、メンコイボクチャンもまだ底を見せていない。
ラビュリントスは8月11日のJRA認定ターフチャレンジが2着で、その勝ち馬デステージョがイノセントカップでメンコイボクチャン(2着)に2馬身差3着だった。盛岡1400メートルの舞台でその差を詰められるかどうか。
リュウノアスラームはフレッシュチャレンジを勝ったのみで、その後は4着が最高という成績だが、前走リリーカップは、勝ったスティールグレイスが圧倒的に強く、そこからコンマ8秒差の4着はむしろ評価できる内容。
デビューから2連勝のあとイノセントカップ5着のピーストークス、北海道勢では唯一中距離の1800メートル戦を経験しているプルタオルネなど、北海道勢同士の争いになりそう。
◎5メンコイボクチャン
○1ラビュリントス
▲8リュウノアスラーム
△4ピーストークス
△6プルタオルネ
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出走15頭に南関東から半数近い7頭が遠征。まるで南関東クラシックの延長戦を盛岡で戦うようなメンバーになった。
とはいいながら、狙ってみたいのは門別・王冠賞で逃げ切り圧勝を見せた北海道のエンリル。今年の北海道3歳戦線では、南関東から戻ったシルトプレが、北斗盃、北海優駿の二冠を制し、三冠は確実かに思われた。しかし王冠賞ではハナをとったエンリルが3コーナーから徐々に後続との差を広げ、シルトプレを8馬身ちぎって圧勝。シルトプレは2歳時、北海道所属のまま遠征した鎌倉記念を制し、全日本2歳優駿JpnIでも5着と健闘。その後、船橋に移籍し2戦したのみで北海道に戻ってきたが、南関東三冠の前哨戦では雲取賞3着、京浜盃5着。この世代、主役不在だった南関東3歳戦線でその成績なら、シルトプレは南関東に残っても三冠で好走できたはずで、それを難なくちぎって見せたエンリルは、ここに来て相当充実したと見る。北海道所属馬としては2017年のスーパーステション、19年のリンノレジェンドに続くダービーグランプリ制覇なるか。
黒潮盃では、デビューから短距離のみを使われ優駿スプリント2着だったエスポワールガイが、初めての1800メートルにもかかわらず逃げ切ったのには驚かされた。経験してなかっただけでもともとそういう素質はあったのだろう。今回はさらに200メートルの距離延長。エンリルと先行争いになるのかどうかと、前半の折り合いがカギになりそう。
東京ダービー2着、ジャパンダートダービーでも地方馬最先着の5着だったクライオジェニックは、黒潮盃では1番人気に期待されたものの、エスポワールガイをつかまえきれず1馬身半差でまたも2着。今回は地元岩手の村上忍騎手が鞍上となってどんなレースを見せるか。
同じく期待されながら好走続きで南関東ではタイトルに手が届いていないのがナッジ。黒潮盃でも3着だった。能力上位は間違いなく、あとは展開と運が味方するかどうか。
東京ダービーを6番人気で制したカイル、クラウンカップを制して東京ダービー4着だったフレールフィーユ、惜しくも北海道三冠を逃したシルトプレも前述の通り南関東で好走歴があり、南関東のこの世代の混戦をそのまま持ち込んだような争いになりそう。
◎14エンリル
○9エスポワールガイ
▲3クライオジェニック
△6ナッジ
△1カイル
△2フレールフィーユ
△5シルトプレ
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5月の兵庫大賞典以来となるジンギ、シェダルの直接対決が注目となる一戦。南関東から3頭の遠征があっても9頭立ての少頭数は、それゆえだろうか。その兵庫大賞典は、スタートから先頭に立ったジンギをシェダルがぴたりと追走。3コーナーからは3番手を離しての一騎打ちとなり、直線を向いて外のシェダルがやや遅れをとったものの、ゴール前でもう一度差を詰めた。しかしジンギがクビ差で振り切っての勝利。さらに兵庫所属馬として重賞最多勝記録を更新し続けているエイシンニシパが6馬身離れての3着、という結果。さて、今回は......。
6月の六甲盃以来4カ月近くぶりとなるジンギだが、ここ1年で負けたのは名古屋大賞典JpnIIIでの3着だけ。という成績なら、やはりこの馬が中心だろう。
一方のシェダルも、昨年末に中央オープンから移籍し、負けたのは名古屋に遠征した梅見月杯(3着)と、前述の兵庫大賞典のみ。重賞初制覇となった摂津盃では、ゴールを過ぎたあと「待ってろ、ジンギ」という三宅アナウンサーの実況が印象的だった。
さらに注目は、昨年の北海道三冠馬ラッキードリームだ。南関東でオープン特別を2勝し、転入初戦の特別戦を6馬身差で圧勝。2頭の間に割って入る可能性もある。
南関東からの遠征馬では、金沢のイヌワシ賞を連覇しているアイアムレジェンドに食い込む余地があるかどうか。
◎9ジンギ
○3シェダル
▲4ラッキードリーム
△5アイアムレジェンド
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過去5年で岩手所属馬が3勝と、地元馬の活躍が目立つが、遠征馬では北海道が1勝、2着3回で、3着4回の南関東より活躍が目立っている。
今回北海道から唯一遠征のケイアイサクソニーは、中央では芝1200から1400メートルで4勝。オープンクラスから今年春に門別に移籍し、勝ち星こそないものの1200メートルのA1特別で2着2回。1000メートルのグランシャリオ門別スプリントでも、勝ったアザワクから0秒5差の4着と好走した。芝1000メートルは絶好の舞台だろう。
川崎のプリモジョーカーは、ここ2年以上、南関東では川崎900メートルのみを使われ、その中にはA2特別勝ちもある。川崎スパーキングスプリントもでも勝ち馬から0秒8差の6着。芝は2歳時、北海道所属時代にJRA函館・札幌で2戦してともに着外だったが、それだけで芝不適とは判断できず、むしろ相手が強かったと考えるべきだろう。あらためて持てるスピード能力を芝で発揮できればチャンスはある。
浦和のスターオブケリーは盛岡ダート1200メートルの3歳重賞ハヤテスプリントを逃げ切った。名古屋に遠征した東海クイーンカップ(1700メートル)でも2着があったが、ハヤテスプリントのあとの繁田健一調教師のコメントでは「1200メートルが一番合う」とのこと。芝は今回が初めてだが、3歳牝馬の軽量53キロでそのスピードが生かせれば。
地元勢では前哨戦のハーベストカップで1、2着だったスギノヴォルケーノ、リンシャンカイホウが、遠征勢を相手にどこまでやれるか。
浦和のコパノキャリーは南関東での4勝が800〜900メートルという超短距離志向。2歳時に盛岡芝のJRA認定フューチャーステップで2着があった。
川崎のエールヴィフは、地方のダートでは結果が出ていないが、中央では芝1000〜1200メートルで2勝。芝での変わり身に期待だ。
◎8ケイアイサクソニー
○1プリモジョーカー
▲4スターオブケリー
△3スギノヴォルケーノ
△12リンシャンカイホウ
△10コパノキャリー
△7エールヴィフ
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それにしても遠征しての高知勢は強い。25日のロータスクラウン賞でのヴェレノ、ガルボマンボの一騎打ちは人気にもなっていたが、西日本ダービー(園田)でクビ差2着のフィールマイラヴは、黒潮皐月賞10着など、地元の重賞では勝負になっていない馬だった。
黒潮皐月賞2着だったアンティキティラは、その後の2戦が案外だったが、3カ月ぶりの復帰戦となった栴檀特別では3〜4コーナーで内を突いて見せ場たっぷりの3着は復活と見る。旧名古屋競馬場の若草賞では2着レイジーウォリアーに4馬身差で圧勝しており、新名古屋競馬場の舞台でも期待したい。
エコロクラージュは園田オータムトロフィーではラチ沿いからしぶとく抜け出し、デビューから6連勝で重賞初制覇。1230メートルから1700メートルまで距離にも自在性を示している。今回は初めての遠征に加え、初めての地方全国交流で相手強化となるだけに、ここも勝てるようなら本物だ。
コンビーノは今年春以降に急激に力をつけて、5連勝のあと岐阜金賞ではタニノタビトと接戦となってアタマ差での2着。MRO金賞を制していたイイネイイネイイネ(3着)に6馬身差をつけた。その充実ぶりならここでも通用する可能性は十分。
大井から遠征のヒストリックノヴァは東京2歳優駿牝馬で2着があるが、あらためてこの距離でどうか。
兵庫ダービーを制したバウチェイサーは、前走園田オータムトロフィーでは1番人気と期待されたものの6着。立て直してくるかどうか。
東海ダービー5着以来3カ月半ぶりの実戦となるレイジーウォリアーも正月に新春ペガサスカップを制した実績があり、復活が期待されるところ。
◎4アンティキティラ
○5エコロクラージュ
▲2コンビーノ
△12ヒストリックノヴァ
△9バウチェイサー
△1レイジーウォリアー
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