メンバー中唯一無敗のフジユージーンが強そうだ。2走前、今回と同じ盛岡1400メートルの勝ちタイム1分26秒0はメンバー中最速。のみならず、昨年まで同じ盛岡1400メートルで行われていた知床賞との比較でも、ここ2年北海道勢が勝っていたタイムよりわずかではあるが速い。さらに、前走水沢1400メートルの勝ちタイムでも1分30秒を切っているのはメンバー中唯一。ここでは能力が抜けている。
相手筆頭はエイシンコソンテ。前走芝のジュニアグランプリは度外視として、門別から転入初戦の水沢1400メートル戦が楽々と逃げ切り。メンバーのレベルがどうだったかということはあるが、2着に4馬身、3着には大差をつけた。門別ではフレッシュチャレンジを勝ったのみだが、オープンや重賞で強敵相手に戦ってきた経験は生きるはず。
カリフィアは2戦目の前走フューチャーステップは2着だったが、それでも1分27秒0は好タイム。上積みがあれば◎に迫る場面もありそう。
エイシンノクターンは、盛岡芝のデビュー戦こそ3着だったが、その後水沢、盛岡とダートで2連勝。タイムこそ印上位の馬たちと比べると平凡だが、ダートではまだ底を見せていない。
ミヤギシリウスも盛岡芝のデビュー戦は4着だったが、2戦目の水沢1300メートル戦では2着に9馬身差の圧勝。今回は一気の相手強化でどうか。
デビュー2戦目から盛岡、水沢で連勝のビッグサララルーフも連下争いなら。
◎2フジユージーン
○6エイシンコソンテ
▲4カリフィア
△3エイシンノクターン
△8ミヤギシリウス
△1ビッグサララルーフ
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九州ジュニアチャンピオンは、逃げたムーンオブザサマーを、ぴたりと追走したトゥールリーがゴール前で差し切り勝ち。差のない3番手を追走していたグッドタイミングがそのまま3着という結果。マークされたムーンオブザサマーには厳しい展開だったとみて、ここは雪辱すると見る。
九州ジュニアチャンピオンで3着のグッドタイミングに騎乗していた下原理騎手が、今回はトゥールリーに騎乗する。そのレースぶりは間近で見ていただろうから、今度はどんなレースをするか注目だ。
カシノルーカスは、デビュー2戦目(6着)、3戦目(2着)と、ムーンオブザサマーに完敗というレース内容。しかしJRA小倉のひまわり賞に挑戦(6着)したあとの地元戦、アンタレス特別では2着に6馬身差をつける圧勝。不良馬場だったとはいえ、1400メートルで1分30秒を切る好タイムだった。中央の芝のスピードを経験して力をつけたということであれば、逆転の可能性もある。
グッドタイミングは、デビュー戦で騎乗していた山口勲騎手が怪我から復帰して手綱が戻った。九州ジュニアチャンピオン3着からの逆転はあるかどうか。
九州ジュニアチャンピオンではやや差のある4着だったウルトラノホシ、アンタレス特別でカシノルーカスの2着だったビーアライブらも成長や展開次第では上位争いも。
◎3ムーンオブザサマー
◯7トゥールリー
▲12カシノルーカス
△5グッドタイミング
△10ウルトラノホシ
△1ビーアライブ
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36回目の今年で最後となるダービーグランプリへの思いは、「【コラム】クライマックス!ダービーグランプリ」に書いた。
これを書いたときはまだ枠順発表前で、地元馬の登録は残っていたので、まさか7頭立てという少頭数になるとは思わず。地元馬は佐賀から転入して、やまびこ賞、不来方賞を連勝したルーンファクター1頭のみとなった。
とはいえ、南関東最後の三冠馬と、ホッカイドウ競馬史上7頭目の三冠馬との対決であることは変わりない。
無敗のまま中央馬を相手にジャパンダートダービーJpnIを制して南関東三冠馬となったミックファイアはたしかに強い。しかしベルピットも、2歳時に2度の2着はあったが、3歳になってからは4戦全勝。三冠目の王冠賞も、最後は一杯になりながら、2着ニシケンボブに5馬身差をつけ強いレースを見せた。
ミックファイアを負かせる可能性少なからずあるならベルピットを狙ってみたい。
サベージが京浜盃を制したとき、森下淳平調教師は、まだ成長途上と話していた。今回は東京ダービー4着以来4カ月ぶりの実戦となるが、広い盛岡コースでの末脚勝負で、成長したレースぶりを見せてくれるかもしれない。
今年、マンダリンヒーローのアメリカ挑戦は、地方競馬全体にとって大きな収穫だった。しかし帰国後、黒潮盃、戸塚記念は、春にも後塵を拝していたヒーローコールにリベンジを果たすことができず、戸塚記念では決定的な差をつけられた。その帰国後のレースぶりから上積みはどうだろう。
◎1ベルピット
◯7ミックファイア
▲5サベージ
△6マンダリンヒーロー
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ダービーグランプリがいよいよ間近に迫った。第36回にして、最後となるダービーグランプリだ。
地方競馬の全国からダービー馬を集め、「ダービー馬によるダービー」という、交流レースが少なかった当時としては画期的な企画だった。
元号は2つ遡って昭和61年(1986年)、第1回が行われた。いわゆる"バブル景気"はその年末から始まり、景気上昇とともに競馬の売上も上昇していくのだが、創設時にそんなことは誰も予想はしていなかったはず。そう考えると偶然とはいえ絶好のタイミングだった。
1着賞金は2000万円。この年、岩手の主要古馬重賞、みちのく大賞典や桐花賞が1000万円だったことを考えれば、破格の高額賞金だったといっていい。その後、前述のとおりバブルとともに競馬の売上も上昇し、90年には3000万円、92年の第7回には5000万円となった。92年の大井競馬の賞金を見ると、東京ダービー、東京大賞典(当時は南関東限定)が6800万円だから、地方全体でもトップレベルの賞金だった。
こうして盛り上がりを見せたダービーグランプリだが、時代の流れとともに数奇な運命を辿ってきた。
中央と地方の"交流元年"と言われたのが95年のこと。翌96年にダービーグランプリは中央と交流のGIとなり、1着賞金は6000万円。
交流初年のダービーグランプリには、なんと皐月賞馬イシノサンデーが出走してきた。中央の重賞と変わらない賞金とはいえ、中央の現役バリバリGI馬が地方のダートに出走してくるなど、当時は"事件"といえた。しかも、鞍上は、当時地方で不動の全国リーディングだった船橋の石崎隆之騎手。
今でこそ、中央の有力馬に地方のトップジョッキーが乗ることも珍しくないが、交流が始まった当初、中央馬には中央の騎手、地方馬にはその所属場(または同地区)の騎手が騎乗するのが通例。中央馬に地方の騎手が乗ることを認めていない競馬場もあった。
ダービー馬ではないものの、皐月賞馬と地方ナンバーワン・ジョッキーのコンビは、単勝2.3倍の人気にこたえて勝った。
しかし地方競馬の売上には陰りが見えてきていて、2001年、第1回JBCが始まるという年に、大分県・中津競馬から地方競馬は廃止が相次いだ。
06年度、膨大な累積赤字を抱えた岩手競馬も県知事から一旦は廃止の意向が表明された。しかし、競馬組合議会の最後の最後の採決で、わずか1票差で存続。
存続とはなったものの、当然のことながら緊縮財政での再出発。07年、第22回のダービーグランプリは1着賞金600万円。史上始めて地元馬限定として行われた。
そして08、09年は休止。10年には地方全国交流として復活したが、1着賞金は800万円。「ダービー馬によるダービー」という当初の理念とは程遠い状況ではあった。
それでも17年に始まった"3歳秋のチャンピオンシップ"では、ダービーグランプリがその最終戦となり、1着賞金は1000万円ではあるものの、勝ち馬にはシリーズの実績に応じてボーナス賞金が設定された。
その後、コロナ禍の無観客開催を経て、ネットでの売上が上昇したことで、ダービーグランプリの1着賞金は、20年1500万円、21年2000万円と上昇。
さらに2500万円となった昨年は、東京ダービー馬カイルを含め、南関東から大挙7頭が遠征。東海三冠馬タニノタビト、北海道二冠馬シルトプレ、地元二冠馬グットクレンジングなどが出走し、「ダービー馬によるダービー」が名実ともに復活。勝ったのは、北海優駿馬シルトプレだった。
そして1着賞金が3000万円となった今年、ダート競馬の体系整備によって、地方だけの交流であるダービーグランプリは、その役目を終えることとなった。
その最後という年に、中央相手のジャパンダートダービーも圧勝し、無敗のまま南関東三冠を制したミックファイアが参戦。
北海道三冠馬となったベルピットは、北海優駿を制したあと「あの馬(ミックファイア)にも負けないと思います」と角川秀樹調教師が自信を見せていたのを思い出す。その三冠馬同士の対決が、いよいよ実現する。
のみならず、地方馬として初めてアメリカに遠征し、サンタアニタダービーで僅差の2着、そしてケンタッキーダービーにも出走(12着)したマンダリンヒーローも参戦。地方競馬からダートの本場、アメリカの"ダービー"にもつながった最初の年となった。
神様が仕組んだとしか思えない、ダービーグランプリのクライマックスだ。
イヌワシ賞を勝って白山大賞典JpnIIIにも登録があったラッキードリームだが、遠征はせず地元のここで連覇を狙ってきた。兵庫転入後負けたのは、遠征でのダートグレードと、六甲盃で高知のグリードパルフェにアタマ差先着されただけ。今回他地区からの遠征が近走いまいちという川崎のアイアムレジェンドだけ。ほぼ地元馬相手なら負けられない一戦だ。
タガノキングロードは昨年中央2勝から転入して9戦4勝。重賞初挑戦だった5月の兵庫大賞典でラッキードリームにコンマ5秒差の3着なら、あらためて相手候補筆頭。
タイガーインディは中央オープンから大井を経由して転入。初戦こそ4着だったが、摂津盃では直線先頭に立って勝ったかと思ったところ、ツムタイザンに半馬身交わされて2着。ラッキードリームの壁は高いが、それ以外の馬たちなら相手に十分だ。
摂津盃4着だったナムラタタ、今回重賞初挑戦ではあるが、A2-A1の特別戦で7戦連続3着以内というベストオブラックらも○以下とならそれほど差はない。
◎4ラッキードリーム
○1タガノキングロード
▲8タイガーインディ
△2ナムラタタ
△5ベストオブラック
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