負担重量700kg台の馬がいないのは、過去10年を見ても2016年だけ。そのときは680kgの牡4歳バウンティハンターが勝った。
牝馬のミソギホマレは、柏林賞を最低人気ながら3着と好走すると、その後は3連勝と急上昇。前走4歳馬同士の山鳩賞でも、牡馬とは10〜20kg差の重量で1番人気にこたえて勝ったのも価値がある。今回の680kgは、牡馬にしてみれば700kgの実質トップハンデとなるだけに、あくまでも連軸としての中心。
クリスタルコルドは、ばんえい大賞典が2着トワイチロに11秒7の大差をつける圧勝で重賞初制覇。デビュー以来掲示板を一度も外したことがなく、近走の安定したレースぶりからも上昇がうかがえる。
ばんえい大賞典3着だったヘッチャラは、前走でオープン・A1混合のとかちえぞまつ特別を勝利。その実力ならここでも最上位の実力だが、3歳でトップハンデ690kgではどうか。
であれば、そのとかちえぞまつ特別でそれほど差のない4着ながら、今回670kgで出走できるトワイチロにも有利に思える。
ばんえい大賞典で1番人気に支持されながら障害で手間取って最下位に敗れたツガルノヒロイモノだが、前走自己条件では障害を修正しており、巻き返しがかかる。
ばんえい大賞典はトップハンデで5着だったヤマカツエースも差はない。
◎3ミソギホマレ
○8クリスタルコルド
▲4ヘッチャラ
△2トワイチロ
△1ツガルノヒロイモノ
△6ヤマカツエース
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ビューチフルドリーマーカップは2010年のグランダム・ジャパン創設時から古馬シーズンの対象レースとなっていて、それゆえ他地区から強豪の遠征が多く地元馬は苦戦が続いている。今年も南関東から5頭が遠征してきて、なかでもダートグレード5勝というサルサディオーネが断然の存在。今年はJBCの舞台が盛岡で、おそらくその前に一度コースを経験しておこうということでの参戦と思われる。どこの枠からでもこのメンバーなら楽に逃げられるだろうが、絶好の1番枠に入って負けられない一戦だ。
相手には、昨年6着だったフワトロ。2000メートルの自己条件を2連勝と調子を上げて臨む。昨年は輸送で大きく馬体を減らしてしまったが、今年はその対策もしてきているようだ。◎の2番手追走で粘り込みを期待する。
地元勢の期待はマルケイマーヴェル。昨年は前哨戦のフェアリーカップを勝って3番人気に期待されたものの7着。今年も同様にフェアリーカップを勝って臨むが、今年はフェアリーカップで大幅にタイムを詰めてきた。南関東の強力なメンバー相手だが、昨年以上を期待する。
カイカセンゲンはロジータ記念を制したあとの2戦が一息という成績だが、エンプレス杯JpnIIは相手が強く、あらためて2000メートルの距離で巻き返しを期待したい。
ロカマドールはしばらく勝ち星から遠ざかり、今年は4着が最高という成績。2000メートルも初めてだが、前走読売レディス杯では見せ場のある4着。連下争いは可能。
◎1サルサディオーネ
○3フワトロ
▲8マルケイマーヴェル
△4カイカセンゲン
△2ロカマドール
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連勝中で底を見せていない馬が3頭もいるという好メンバーが揃った一戦。
ただ期待したいのは連勝馬ではなくイイネイイネイイネ。重賞では勝ちきれないレースが続いて2着が連続4回。しかしながら駿蹄賞ではタニノタビトに大差をつけられていたのが、東海ダービーでは直線を向いて先頭に立ったタニノタビトに対して一完歩ごとに差を詰めアタマ差まで迫った。位置取りとタイミング次第では差し切っていたのではというレースぶりだった。続く前走MRO金賞では3コーナーから楽な手応えのまま後続との差を広げて5馬身差の圧勝。たしかに少頭数で楽な相手ではあったが、イイネイイネイイネが力をつけたのもたしか。名古屋二冠の雪辱を期待する。
相手はやはり4連勝で二冠を制したタニノタビト。2歳時に1勝を挙げたのみで今年1月までは13戦1勝とまったく目立たない存在だったが、その後に急成長。今回は一度だけ経験した笠松コース(ライデンリーダー記念5着)でどうか。
コンビーノもタニノタビトと似たような成績で、2歳6月のデビュー戦を勝ったものの、2勝目が遠く、今年4月21日の3歳牝馬特別でようやく2勝目を挙げるとそこから5連勝。前走準重賞のけやき杯では、中央未勝利から転入して5連勝中だったサトミンに2馬身差をつける完勝。ここはさらに相手強化というメンバーでどうか。
もう1頭の連勝馬は笠松のアイファーエポック。今年2月にデビューし、2戦目で2着に負けたもののここまで6戦5勝。特にこの4連勝は、6馬身、4馬身、5馬身、4馬身差と一方的なレースばかり。とはいえ今回と同じ1900メートル戦だった2走前の勝ちタイムが2分10秒3。前走1800メートル戦はタイムを詰めて2分0秒7で、1900メートルに換算すると2分7秒4。過去の岐阜金賞の勝ちタイムを見ると、過去10年でもっとも時計がかかった昨年のダルマワンサでも2分6秒0。アイファーエポックがここで勝ち切るには大幅にタイムを短縮する必要がある。
前走3歳1組特別を浦和から期間限定騎乗中の及川烈騎手で制したユーセイブラッキー、ダートグレードで強敵相手の経験を積んできたクレールアドレらも連下争いなら。
◎10イイネイイネイイネ
○8タニノタビト
▲11コンビーノ
△2アイファーエポック
△7ユーセイブラッキー
△3クレールアドレ
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レディバグはここ2戦での充実ぶりが目立つ。中央のオープンでは足踏みが続き、マリーンカップJpnIIIでも、勝ったショウナンナデシコに3秒4も離されての5着。ところが栗東Sでオープン初勝利を挙げると、スパーキングレディーカップJpnIIIでは、4コーナーでやや離れた5番手の位置取りから、勝ったショウナンナデシコにクビ差まで迫った。その成長力に期待する。
コンバスチョンはドバイに遠征したUAEダービーでは結果が出ず(11着)、帰国初戦となったユニコーンステークスGIIIでも9着だったが、勝ち馬からコンマ5秒差。今回、帰国2戦目でハンデ53kgなら好走以上も可能。このレースで過去3勝している川田将雅騎手というのもアドバンテージ。
東京スプリントJpnIIIを制したシャマルは、初めてのコーナー4つの1400メートル戦となったさきたま杯JpnIIではゴール前アタマ、アタマという差の接戦で3着。あらためてこの条件で、中央勢に軽ハンデの馬がいるなかでの57kgがどうか。
サクセスエナジーは59kgを背負うのは2着だった昨年と同じだが、8歳という年齢的なことがどうか。
ラウダシオンは初ダートに加え、小回りの1400メートルという条件でどんな走りを見せるか。
地方馬では3連勝で吉野ヶ里記念を制した地元のリュウノシンゲンが期待となりそうだが、佐賀1400メートルの持ちタイムが1分27秒台後半では、かなりタイムを縮める必要がある。兵庫から遠征のコウエイアンカも4連勝中だが、ダートグレード初挑戦では厳しそう。地方馬はあっても掲示板まで。
◎4レディバグ
○3コンバスチョン
▲12シャマル
△2サクセスエナジー
△6ラウダシオン
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熊本県の荒尾競馬が廃止になったのが2011年12月のこと。早いものであれから10年以上が経過した。
そうしたタイミングで、8月1日に発行された荒尾市の広報紙の表紙写真が荒尾競馬場のスタンドで、以下のようなキャッチが記されている、
今秋、競馬場スタンド解体予定!
荒尾競馬場、これが本当の
最後(ラスト)。
『広報あらお』PDFはこちら
表紙写真のウイナーズサークルに立っている男性は、本文を見ると、工藤榮一元調教師のようだ。
荒尾競馬場は、廃止後も場外発売施設の『BAOO荒尾』および『J-PLACE荒尾』として引き続き使用されてきた。それが今年6月、かつてのコースの一角だった場所に移転してリニューアルオープン。『あらお海陽スマートタウン』という新たなまちづくりの拠点として再開発されるため、この秋からスタンドの解体が始まるとのこと。
それに先立ち、『荒尾競馬場スタンド自由見学会』が8月28日に実施される。10時から16時まで(最終入場15時30分)、自由参加の見学会となっている。解体前に、在りし日の荒尾競馬場の姿をもう一度見ることができる、という企画だ(詳しくはこちら)。
これはわざわざ九州まで足を運んで見ておきたい!と思ったが、残念ながらその日はすでに仕事が入っているのだった。残念。
オッズパークで地方競馬の馬券発売が始まったのは、2006年4月のこと。その当時、オッズパークで発売対象だったのはわずか4主催者。そのうちのひとつが荒尾競馬だった(ほかには、岩手、笠松、佐賀)。
じつはこのブログもオッズパークのオープンと同時に開設し、4月2日付け最初のコラムには以下のようにある。
(以下、引用)
それにしても考えてみればスゴイ時代になったもの。いきなりオヤジっぽい発言で申し訳ない。地方競馬の馬券がインターネットで買えて、しかもレース映像まで見られるような時代がくるとは、10年前に誰が想像しただろう。そもそも10年前といえば、まだインターネットというもの自体がそれほど一般的でなく、文字だけのパソコン通信でせっせと情報発信と収集をしていた時代だった。
地方競馬といえば、情報が極めて少なく、現地に行かなければレースを見ることもできないし、馬券だって買えなかった。
つまりは、地方競馬の大レースなんかを知っているというのは、競馬場まで出かけて行って見た人だけの特権であり財産でもあったわけだ。
(中略)
それで思うのは、こうして東京でパソコンの前にいるだけで、岩手や笠松や佐賀や荒尾のレースの予想を出しちゃおうというのだから、時代は変わったなあとしみじみ思うのである。
(引用、ここまで)
16年という時の流れを感じさせる内容で、なんとも感慨深い。
たとえばここ10年以内に競馬を始めたというファンには、「競馬場まで行かなければ馬券は買えないし、レースも見られない」というのは、信じられないことなのではないか。
それから5年後の2011年9月、荒尾市が荒尾競馬廃止を表明。同年12月23日が最後の開催となり、足掛け84年に及ぶ荒尾競馬の歴史に幕を下ろした。
荒尾競馬最終日、最終レース後、ファンに挨拶する騎手たち
荒尾競馬が廃止となった2011年といえば、地方競馬全体の売上が1991年ピーク時の約3分の1の3314億円余りにまで落ち込んだ年。
ところが皮肉なことに、その年を境に翌2012年に始まったJRA-PATでの馬券発売などによって地方競馬は売上が回復しはじめるのだが、あの日、あのとき、地方競馬の売上がV字回復する未来などまったく見えなかった。
仮に、荒尾競馬や、その後2013年3月限りで廃止となった広島県の福山競馬が開催を続けていたとして、明るい未来があったのかどうか、それはわからない。なにしろ日本における軽種馬の生産頭数は、1992年の12,874頭をピークに、2012年には半減に近い6,837頭にまで落ち込んでいるのだ(その後、2021年には7,733頭まで回復)。
荒尾競馬の開催最終日には、普段の10倍近い8,935名の入場があった。涙もあったが、関係者には多くの笑顔もあった。時代の変化には抗えず、「やりきった」という笑顔だったのだろう。
そしてさらに10年の時が流れ、場外発売施設として往時のままの姿を残していた荒尾競馬場のスタンドやパドックなども、ついにその姿を消すことになる。8月28日の見学会は、その思い出を胸に刻む最後の機会となる。