重賞勝ち馬もいるものの、安定した成績を残している馬がなく混戦模様だが、中心は園田プリンセスカップを制したアートオブビーン。その園田プリンセスカップは、3~4コーナーで他馬に競りかけられながらも直線を向くとあっという間に突き放して完勝。続く兵庫ジュニアグランプリJpnIIは度外視として、前走JRA阪神に遠征したダート1200メートルの500万下では、力が抜けていた勝ち馬からは離されたものの、接戦の2着争いにはからんで3着。この経験は生きるはずだ。
相手筆頭は笠松から遠征のコロニアルペガサス。ホッカイドウ競馬時代は1200メートル戦のみを使われ、2歳オープン勝ちもある実績。重賞初挑戦となった前々走の新春ペガサスカップは、ゴールドウィング賞に続く重賞制覇となったパラダイスラビーダから1馬身半差の2着。ラブミーチャンは別格として、東海地区ではこの世代のトップを争える力はありそう。
エレーヌもホッカイドウ競馬出身馬。コロニアルペガサスも同様だが、そのホッカイドウ競馬では、昨年の2歳重賞を総なめにした角川秀樹厩舎の所属だった。こちらはオープン4着までの実績だが、転厩した笠松では1戦1勝。JRA阪神と京都の芝2000メートル戦に出走して7着と8着。重賞初挑戦だが、軽視はできない存在だ。
ジェイドペスカは、前走がデビュー9戦目での初勝利。ただその前走は早め先頭から7馬身差の圧勝。急激に力をつけた可能性はある。
サイバーモールは11月に笠松に遠征し、9番人気ながらプリンセス特別を勝利。前走園田ジュニアカップは逃げて最下位に敗れたが、牝馬同士のここなら再度、アッと言わせる場面があるかもしれない。
◎アートオブビーン
○コロニアルペガサス
▲エレーヌ
△ジェイドペスカ
△サイバーモール
デビューから8戦全勝、この世代で断然の存在だったムツミマーベラスが脚部不安のため2歳チャンピオン決定戦のヤングチャンピオンを回避したのは、なんとも残念だった。ゆえにそれまでナンバー2の存在だったナカドイセンプーに出番が回ってきたかと思われたが、勝ったのはフォーインワン。ナカドイセンプーは3着に敗れた。
今回の若駒賞は、そのヤングチャンピオンの再戦。10頭中8頭が出走してきた。とはいえ、今度はナカドイセンプーの名が見当たらない。福山のこの世代は、どうやらサバイバルの様相を呈してきた。
そんな状況であれば、ここは新興勢力を狙ってみたい。これが重賞初挑戦となるビクトリジュウベイだ。新興勢力といっても、福山デビューでこれが16戦目になる。デビュー4戦目に初勝利を挙げ、6戦目に2勝目。その後この世代の一線級と対戦するようになると勝てなくなってしまう。しかし昨年暮れから急激に力をつけ、年が明けて1月3日の3歳1組戦でヤングチャンピオンの勝ち馬フォーインワンを1馬身半差でしりぞけての勝利。3コーナーで先頭に立ち、4コーナーでフォーインワンに並びかけられたときはそのまま突き放されるかと思ったが、直線では逆にビクトリジュウベエのほうが突き放した。2歳チャンピオンを相手に、なんとも強い勝ち方だった。
雪辱を果たしたいのがフォーインワン。その前走はビクトリジュウベエより1キロ重い斤量での敗戦。同じ54キロになる今回は、前走同様先に仕掛けるであろうビクトリジュウベイを一気に交わし去りたいところ。
ヤングチャンピオン2着のビクトリーヒマワリ、前走ビクトリジュウベイから0秒6差の4着だったワイエスオジョーあたりも上位争いにからんできそうだが、上の2頭と3番手以下ではちょっと力の差がありそうだ。
◎ビクトリジュウベイ
○フォーインワン
▲ビクトリーヒマワリ
△ワイエスオジョー
年末の桐花賞は、直線で早めに抜け出したゴールドマインが押し切って重賞初制覇。1番人気のマヨノエンゼルは向正面から追っても行きっぷりがあまりよくなく、直線ようやく伸びて2着を確保という結果。ただ今回は、ゴールドマインがプラス2キロの59キロに対し、マヨノエンゼルは据え置きの56キロ。マヨノエンゼルは9月の青藍賞で一気に古馬のカベも突破したが、それ以降は勝ちきれないレースが続いている。年が明けて4歳となったここで、岩手古馬戦線の覇権を握りたいところ。
相手にはこのレース連覇のかかるアンダーボナンザ。昨年のこのレース以来重賞勝ちはないものの、近走も岩手古馬のオープンクラスで常に上位争い。3走前、2走前では、ゴールドマインの3着、2着に敗れているものの、斤量比較ではマヨノエンゼルと同様に今回はこの馬に有利。昨年、3連勝で重賞初制覇を果たした得意の舞台で再び見せ場をつくるかどうか。
今回は59キロがいかにも厳しそうなゴールドマイン。とはいえ昨年9月に岩手に転入してからは、芝のOROカップ10着は度外視として、それ以外では6戦4勝、2着1回、4着1回。プラス2キロを克服できるか。
アルディは、09年冬季休催明けの3月からなかなか勝ち星が遠かったが、11月30日に昨年の初勝利を挙げると、そこからB1級でいきなり3連勝。力をつけているとすればここで馬券圏内に食い込む可能性も。
◎マヨノエンゼル
○アンダーボナンザ
▲ゴールドマイン
△アルディ
舞台は笠松だが、ここは兵庫2頭の覇権争いと見る。
ベストタイザンは、08年11月の笠松グランプリからたびたび笠松・名古屋に遠征し、ダートグレードの名古屋大賞典JpnIIIを別とすれば、東海地区の重賞で5戦全勝。そのうち4戦が1400メートル戦で、やはりこの距離は強い。前走兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでも、5着だったとはいえ地方最先着を果たした。
対するアルドラゴンは、昨年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIに出走予定が、仕上がりきらず29日のA1A2特別にまわった。スタートでダッシュがつかず後方からの追走となったが、直線で抜け出し完勝。追われてからの行きっぷりがいまひとつだったが、4カ月ぶりの実戦でもあり、このひと叩きで変ってくるだろう。明けて9歳となったが、ダートグレードでの実績からアルドラゴンを上位にとる。
他の8頭がこの2頭に割って入るのはかなり難しそうだが、好調が続いているサンキンスピーチが3番手。08年6月から15戦して3着を外したのは1度だけという堅実な成績だが、今回と同じ舞台で行われた昨年6月のサマーカップでは、ベストタイザンから1秒5も離されての3着だった。よほど展開が向かない限り逆転は難しそうだ。
地元笠松勢では、期間限定騎乗の山口竜一騎手を配してきたエイシンヴァイデンが中央からの転入緒戦。2~3歳時にはGI戦線に顔を出したとはいえ、近走は1000万条件のダートで勝ち切れない成績。ダートグレード実績のあるアルドラゴンやベストタイザンを相手にどこまでやれるか。
◎アルドラゴン
○ベストタイザン
▲サンキンスピーチ
△エイシンヴァイデン
柏林賞、銀河賞に続く、4歳シーズン3冠の最終戦。これまでの2冠で、ともにトップハンデながら1着、2着と、堂々の成績を残したライデンロックの実績が断然だ。メンバー中唯一のオープン格付けでもあり、定量戦の今回は負けるわけにはいかない立場。
話はそれるが、12月30日に行われたヤングチャンピオンシップで、まず負けないだろうと思われたテンマデトドケが3着だったのには、馬券的にもショックを受けた。あらためて、ばんえい競馬では実力断然の馬でも、あっさり負けることもめずらしいことではないことを実感させられた。
そう考えるとライデンロックもどうなのだろうと考えてしまうのだが、やはり可能性でいえばこの馬の信頼度が抜群なだけに、予想としては本命にせざるをえない。
相手には、勢いではナンバーワンのキンセイモン。9月以降11戦連続で3着以内。格付けではようやく350万クラスに上がったばかりだが、その格付け以上に成長していると見る。
3歳牝馬3冠のニシキエースは、3走前から2着、2着ときて、前走で約11カ月ぶりの勝利。古馬の高いクラスでのレースで苦戦を強いられていたが、ここにきて調子を上げているようだ。
ウメノタイショウは、柏林賞2着に銀河賞3着と善戦。古馬の準オープンやオープンでたびたび上位争いがあり、同世代同士で定量なら確実に上位争いにからんでくるだろう。
銀河賞でライデンロックを振り切って勝利をさらったアカダケキングには驚かされた。成績にはかなりムラがあるが、柏林賞でも僅差の3着と好走しているように、ここ一番で大駆けするタイプなのかもしれない。
◎ライデンロック
○キンセイモン
▲ニシキエース
△ウメノタイショウ
△アカダケキング