グランダム・ジャパン3歳シーズンの初代女王となり、古馬シーズンでも目下トップのエレーヌが、ノースクイーンカップで大差のしんがり入線のあと、笠松に戻って亡くなったそうだ。初年度のグランダム・ジャパンを盛り上げた最大の功労馬だけに残念としか言いようがない。
中心は、当初からこの古馬シーズンを狙ってきている兵庫のキーポケット。第1戦の読売レディス杯でエレーヌを3着にしりぞけて勝利。地元に戻った兵庫サマークイーン賞では、そのエレーヌの返り討ちに遭って2着に敗れたが、ここを勝てばポイントでエレーヌに並ぶことになる。
相手には読売レディス杯で2着だったシルバーウインド。兵庫サマークイーン賞は4番手を追走しながらペースが上がったところでついていけず5着。とはいえ、昨年のこのレースを勝っていて、地元名古屋の1800メートルは4戦2勝、2着3着各1回と得意の舞台。父がサウスヴィグラスのわりには、1400~1800メートルあたりを万能にこなす。
笠松・クイーンカップを制している3歳のメモリーキャップがどこまで迫れるか。東海ダービーでエレーヌからコンマ7秒差の3着、東海クイーンカップでもエレーヌからコンマ8秒差の3着なら、連下は十分に狙える。
ポイントで目下2位のトウホクビジンも地方の牝馬同士なら常に上位争い。ノースクイーンカップから連闘の疲れがあるかどうか。
重賞初挑戦となるボニータシチーが一線級を相手にどこまでやれるか。中央未勝利から昨年秋に笠松に転厩し、条件戦を着実に勝ち上がって、ここ2戦はA4組の一般戦を連勝。牝馬同士なら十分に勝負になる力はありそうだ。
兵庫から遠征のもう1頭、エンタノメガミは、前走兵庫サマークイーン賞で見せ場なく8着に敗れているが、昨年のこのレースで3着、今年春には兵庫のA1特別を2連勝している。実力を発揮できれば上位争いにはからんできそう。
◎キーポケット
○シルバーウインド
▲メモリーキャップ
△トウホクビジン
△ボニータシチー
△エンタノメガミ
あまり深く考えずに安定感抜群のカネサブラックから。今シーズンはまだ連対を外しておらず、もっとも近いところで2着を外したのが今年正月の帯広記念3着で、このときは勝ったフクイズミよりプラス40キロ、2着のナリタボブサップよりプラス20キロと、負担重量的にはかなり厳しいものだった。別定重賞でプラス10キロのみの今回もまず崩れることはないだろう。
相手にはフクイズミ。北斗賞、ばんえいグランプリ、さらには続く道新十勝川花火大会特別と障害に苦労し、いかにフクイズミの末脚でも追い込みきれないほどの差がついてしまい3戦続けて馬券圏内を外してしまった。しかしようやく前走のポテト特別ではすんなりとひと腰で障害をクリアし、6番手から一気に前を交わしてカネサブラックの2着に入った。障害さえ普通にクリアすれば勝ち負けに持ち込める。
ナリタボブサップは、ばんえいグランプリの勝利が08年7月の北斗賞以来の重賞勝ち。これまでのうっぷんを晴らすかのような見事な勝利だった。展開に左右される面はあるものの、上記2頭と実力ではまったく劣っていないことをあらためて証明した。
北斗賞、ばんえいグランプリともに3着のホクショウダイヤは昨シーズンあたりの重賞でのレースぶりを見ても重賞未勝利なのが不思議なほど。実績馬3頭のどれかが崩れれば馬券圏内に食い込んでくる。
◎カネサブラック
○フクイズミ
▲ナリタボブサップ
△ホクショウダイヤ
せきれい賞連覇を果たした川崎のコスモヴァシュランにここでも期待したい。昨年のこのレースは5着だったが、それでも勝ったコスモバルクからはコンマ5秒しか離されていない。南関東での格付けを見ても、せきれい賞のレースぶりを見ても、昨年以上の充実が見て取れる。問題は距離だが、3走前にはJRA福島芝1800メートルのオープン特別で勝ち馬から1秒3差の7着という成績があり、この距離もこなせると見る。今年好調の町田直希騎手はここまで79勝。デビュー6年目にして、初の年間100勝に届きそうな勢いだ。
相手には昨年4着のキングスゾーン。昨年は向正面あたりから他馬に競りかけられ、さらには直線でもコスモバルクに早めに交わされる厳しい展開だった。マイペースでレースを進められれば粘りを発揮する。
3歳馬同士のオパールカップを7馬身差で圧勝したリュウノボーイが人気になりそうだが、古馬のこのメンバーに入って楽なレースはさせてもらえないだろう。オパールカップの勝ちタイム1分45秒2は、OROカップが1700メートルで行われたここ3年のタイムと比べても十分に勝利が見込めるもので、あとは自分のレースができるかどうか。
昨年のこのレースと今年のせきれい賞でともに3着のサウンドサンデーも当然上位を狙える存在。
北海道から遠征のトウショウヘリオスは、JRA芝オープンの巴賞、札幌日経オープンに2年連続の出走で、いずれも勝ち馬から1秒前後の差とそこそこ走っているだけに、地方のこのメンバーなら一発の可能性も十分。
マルブツコンバットは前々走でオープンの桂樹杯勝ちがあり、芝の1600~1700メートルは8戦3勝、2着2回と得意のコース。
◎コスモヴァシュラン
○キングスゾーン
▲リュウノボーイ
△サウンドサンデー
△マルブツコンバット
△トウショウヘリオス
九州3冠の最終戦。2冠を制したメイオウセイが6月から休養したままで、この3冠目には間に合わなかった。代わって九州3歳の頂点にもっとも近いのは、九州ダービー栄城賞で2着だったゴールドセント。その栄城賞は、メイオウセイを前に見る5番手を追走、3コーナーから進出したメイオウセイにぴたりとついていき、ゴール前では半馬身まで差を詰めての2着。前走、1750メートルの古馬B2特別でも4番手を追走し向正面からロングスパートで直線余裕をもって抜け出した。このあたりの距離で、向正面から長く使える脚は魅力的だ。
九州ダービー栄城賞10着から巻き返しを狙うのがフレーザーハクユウ。2歳時に荒尾の九州ジュニアグランプリを圧勝し、移籍した大井では3戦したがいずれも着外。佐賀に戻ってもしばらくは調子を取り戻せなかったが、7月24日の古馬B1・B2戦で九州ジュニアグランプリ以来の勝利を挙げると、前走荒炎賞は逃げ切りで8馬身差の圧勝。格付けならメンバー中最上位で、荒炎賞のレースぶりからここでもあっさりがあって不思議はない。しかし心配なのは距離。マイル以上ではいずれも2秒以上の差をつけられての大敗。たまたま大井やその後佐賀に戻った後は調子落ちだったということも考えられなくもないが、距離適性という可能性も捨てきれない。
上記2頭の力が抜けている感じで、やや離れた3番手にモエレダイヤモンド。飛燕賞ではゴールドセントの2着があり、3走前の1750メートルの3歳1組特別では5馬身差圧勝。ここ2戦の中央での惨敗は芝1200メートル戦でもあり参考外としていいだろう。
C1級で2連勝と調子を上げているアッレグレット、中央から転入初戦のB2特別でゴールドセントから1馬身半差2着のマイネピアチェなども上位を狙える存在。
◎ゴールドセント
○フレーザーハクユウ
▲モエレダイヤモンド
△アッレグレット
△マイネピアチェ
6月の福山・西日本グランプリまで5連勝中、そのうち重賞が4つ、通算重賞は6勝というヒシウォーシイが3カ月ぶりに出走してきた。ほかにも重賞勝ち馬はいるが、実績では断然。ここはヒシウォーシイの相手探しの一戦。
その筆頭はエーシンアクセラン。6月のサマーカップの勝利は、重賞に挑戦すること14度目での初制覇だった。それまでに重賞2着は4回。今年8月のくろゆり賞で2着5回となった。3月のマーチカップ、4月のスプリング争覇では2戦連続してヒシウォーシイの2着。まさにヒシウォーシイに続く存在だ。
ワイティタッチは、2~3歳時は重賞4勝を挙げ、東海ダービーでもマルヨフェニックスの2着など東海地区の中心的存在だった。しかし古馬になってからはやや壁にあたり、5歳になった昨年のこのレースが3歳時以来久々の重賞出走で2着。オープンではやや荷が重い感じの近況だが、今年5月以降は9戦して掲示板を外したのが1度だけという堅実な成績でもある。名港盃、イヌワシ賞ともに4着という成績があり、馬券圏内なら狙える。
昨年のこのレースを勝ったのがトミノダンディ。しかしそれ以降勝ち星がなく、今年春以降はA2~A3の特別で入着級。昨年も9番人気での勝利だっただけに、今年も同様にあっと言わせる場面があるかどうか。
レオパードクリークは昨年秋に名古屋に移籍し、勝ち星はA2特別まで。オープンに入るとちょっと荷が重いというのはワイティタッチ、トミノダンディと同じようなレベル。ただ前走のA2特別ではエーシンアクセランに半馬身差の2着で、3着馬には大差をつけた。重賞実績はないが、一発があればこの馬かもしれない。
◎ヒシウォーシイ
○エーシンアクセラン
▲ワイティタッチ
△トミノダンディ
△レオパードクリーク