サラ・アラ混合の重賞、金杯。
アラブは、アラブは、アラブは・・・・・っと、枠順を上から順に見ていくと、下のほうにようやく1頭、ホワイトモンスターがいるのみ。昨年はフジノコウザンがサラを圧倒したが、今年はそのフジノコウザンも、そして前哨戦の福山アラブマイラーズで復活を遂げたバクシンオーも不在という、アラブ勢にとってはちょっとさびしいメンバー構成となった。
ここはサラブレッドの福山マイラーズカップを制したブラウンコマンダー、同2着ナムラベンケイによる再戦と見る。
不動の王者と思えたナムラベンケイだが、4月の福山桜花賞以来勝ち星から遠ざかっていて、しかもここ3戦は勝ち馬から1秒以上離される完敗といっていい状況。
ブラウンコマンダーは、福山移籍後しばらく勝てなかったが、南関東の3歳三冠路線を盛り上げたころの力を徐々に取り戻してきたのか、前走福山マイラーズカップは早め先頭から7馬身差の圧勝。川崎・クラウンカップ以来の重賞制覇となった。この暑い時期にナムラベンケイが復調しているとも思えず、勢いでブランコマンダーがここも突破するだろう。
一角崩しの可能性はアブソルートウイン。展開次第で圧勝も惨敗もある馬で、すんなり先手をとって楽に逃げられればそのまま粘りこみも。あまり人気にはならないであろう今回は、1番人気に推されながら9着に惨敗した昨年の雪辱を果たしたいところ。
サラ・アラのオープンクラスの対戦は、ここまでアラブのほうが優勢だが、サラブレッドとの対戦が今年3月のファイナルグランプリ(3着)しかないホワイトモンスターは楽なレースをさせてもらえるかどうか。ここ2戦のマイル戦でもバクシンオーに完敗しているだけに連下まで。
◎ブラウンコマンダー
○ナムラベンケイ
▲アブソルートウイン
△ホワイトモンスター
旭川記念、北斗賞を制したナリタボブサップのみがプラス10キロで、それ以外は基本重量の牡馬810キロ、牝馬790キロで争われる一戦。
カネサブラック不在のここは、格と調子を考えればナリタボブサップだが、プラス10キロがどう影響するか。
たとえばサラブレッドであれば、シンボリルドルフだとかテイエムオペラオーだとかディープインパクトだとか、年間の古馬GIをほとんど総なめに近い状態で勝ちまくるという絶対的な馬がたまに出現するが、ばんえい競馬では歴史的に見てもそれはほとんど不可能。古馬重賞の定量戦は北斗賞とばんえい記念しかなく、重賞を勝って賞金を稼げばそれだけ重量を課されるからだ。今シーズンのナリタボブサップにとって、唯一とも思える目標はばんえい記念で、さすがにこの暑い時期にプラス10キロのハンデが課されてまで無理はしないだろうと見て、ここは軽視。
で、ぜひともがんばっていただきたいのがフクイズミ。前走のシーサイドオープンでは、差のない2番手で障害を降り危なげなく差し切るという完璧なレースで、昨年11月以来久々の勝ち星を挙げた。勝てなかったとはいえ、10秒以上の決定的な差をつけられて負けたのはその間2度だけで、惜しい競馬はたくさんあった。2〜3番手で早めに障害をクリアし、差し切る場面を見せてほしい。
実はメンバーを見たとき、本命にしようと思ったのはトモエパワーだった。北斗賞では単勝6番人気ながら接戦の2着争いを制した。ばんえい記念連覇のトモエパワーは昨シーズン、そのばんえい記念以外で勝ったのは岩見沢記念のみ。800キロ程度の重量でも、展開がハマれば一発はある。ただ帯広のピンポイント予報を見たら、金曜日の午前中は雨が降るらしく、当日土曜日も曇りのようで、それほど乾いた馬場にはなりそうもない。というわけで狙いを下げたのだが、雨があまり降らず乾いた馬場ならチャンスは広がるだろう。
ナリタボブサップもプラス10キロとはいえ、このメンバーなら恥ずかしい競馬はできない。
北斗賞5着のタケタカラニシキは、第2障害でひざを折りながらも2着のトモエパワーとはそれほど差はない競馬だった。障害さえまともならチャンスはありそう。
◎フクイズミ
○トモエパワー
▲ナリタボブサップ
△タケタカラニシキ
ヴァンクルタテヤマに騎乗予定だった赤木高太郎騎手の落馬負傷により、地元の倉富隆一郎騎手に大きなチャンスが巡ってきた。応援したい気持ちはあるが、ここはイイデケンシンから。UAEダービーでは8着に敗れたとはいえ、外からハナを奪いに行ったスピードは一級品。ジャパンダートダービーJpnIは最下位に敗れたが、前走関越ステークスでは古馬を相手に2着に粘った。そのときは52キロで、今回は54キロになるが、相手関係を見れば十分に勝負になるだろう。
相手には、前走プロキオンステークスGIIIを制したヴァンクルタテヤマと、連覇を狙うキングスゾーン。キングスゾーンは、昨年から1キロ増のみ、56キロなら勝負になるだろう。イイデケンシンより外枠に入ったので、さすがに無理には行かず2番手からの追走になるだろうか。
ダンツキッスイも雪のためダート変更になった500万下を勝ったことがあるだけに見限れない。昨年の佐賀記念JpnIIIを制しているサイレントディールは近走不振だが、中央のダートでは斤量を背負わされることが多く、55キロで出られる今回は巻き返すチャンス。
地元九州勢だが、ザオリンポスマンは昨年のこのレースで勝ち馬から0秒3差の5着だったが、いかにも中央勢のメンバーが軽かった。
昨年もそうだったが、ハンデ戦にしては上下の差が少なく、今回であればトップハンデのヴァンクルタテヤマを59キロくらいにするか、もしくは最軽量ハンデを50キロくらいまで下げるかすれば、地元のザオリンポスマンやオリオンザクロノスあたりにもチャンスが出てくると思うのだが。
◎イイデケンシン
○ヴァンクルタテヤマ
▲キングスゾーン
△ダンツキッスイ
△サイレントディール
東海・北陸・近畿・中国地区の交流だが、地元笠松以外は名古屋のファストシャラポワが遠征してきたのみで8頭立て。とはいえ、近走好調な馬ばかりで興味深いメンバーが顔をそろえた。かつてダートグレードのタイトルを獲ったミツアキタービン、ロードバクシンがどんなレースをするのかも見どころのひとつ。
出走8頭、ほんとうにどれが勝ってもおかしくないようなメンバー構成で迷ってしまうが、前走久々の勝利を上げたロードバクシンに期待してみたい。4走前から前々走まで、今回の出走メンバー何頭かに先着されているが、前走A2の揖斐峡特別は最後までしっかり脚を伸ばし、前々走までとは見違えるようなレースぶりだった。今回はそのときと同じ笠松のマイル戦。10歳の古豪だが久々の重賞制覇を期待したい。
中央からの転入初戦を制したエイシンアスワン、前々走A3で惨敗しているものの勝つときは強いレースをする3歳馬ケイゾク、3連勝中の好調馬ケイアイキャニオン、復活が期待されるミツアキタービンなど、どの馬にも勝つチャンスはありそう。
人気もまったく読めないのでボックスで買ってトリガミになったら諦める。
◎ロードバクシン
○エイシンアスワン
▲ケイゾク
△ケイアイキャニオン
△ミツアキタービン
旭川では最後となるブリーダーズゴールドカップJpnIIだが、ユキチャンが補欠のまま繰り上がれなかったのはなんとも残念。もしユキチャンが出ていれば、入場人員は倍増、馬券の売上げだって1.5倍くらいにはなったかもしれない。
というわけで馬券的にもやや興味に欠ける一戦となってしまった。中央勢4頭のうち、メイショウトウコンとサカラートは、いずれもダートグレード4勝で実績十分。一方、今年東海ステークスGIIを13番人気で制したヤマトマリオンは、その後の帝王賞JpnI、マーキュリーカップJpnIIIのレースぶりをみるとどうやらフロックだった感じ。ダート初挑戦となったマーキュリーカップJpnIIIで惨敗したスウィフトカレントはダートの適性自体が疑問。
サカラートとメイショウトウコンの馬連複はいったい何倍つくだろう。馬券を買うならどちらかを頭にした馬単だろう。で、頭にするのはサカラート。今年の名古屋大賞典JpnIIIではメイショウトウコンの3着に敗れているが、前走マーキュリーカップJpnIIIのレースぶりを見るかぎり、全盛時の力が戻ったとまでは言わないが、4カ月の休養で充電できたようだ。
地方馬で馬券圏内の可能性があるのは、中央在籍時にオープンで走っていたカオリノーブルのみだろう。中央のダートオープンではなかなか勝ち切れないというクラスの馬は、むしろ地方に来たほうが出走機会が得られる。おそらくそれを狙っての移籍だったのではないだろうか。2強のどちらかが崩れれば、2着に食い込む可能性もある。
ただサカラートから、カオリノーブル、ヤマトマリオンまで手を伸ばせるかどうかはオッズ次第だが。
◎サカラート
○メイショウトウコン
△カオリノーブル
△ヤマトマリオン