先週12日(日)、2歳馬による地方競馬全国交流「第50回南部駒賞」(盛岡ダート1600m)が行われた。これが今シーズン・ラストの交流重賞だったが、今年はすべて遠征馬に凱歌。岩手は苦戦の連続だったが、最後の最後で地元フジユージーンが完勝。久々に期待の大物が誕生した。
戦前の予想どおり1番枠からオスカーブレインが逃げ、2番手グラッシーズマン、3番手インにカイコウ、4番手外にキタノヒーロー。フジユージーンは今回もスタートがひと息だったが、5番手追走から3コーナーでは3番手まで押し上げた。
直線を向いても快調に飛ばしたオスカーブレインだったが、フジユージーンが内から外へ持ち出すと鋭く反応。あっと言う間にオスカーブレインを交わし、4馬身差でゴールに入った。
村上忍騎手「今回はスピードのあるタイプがそろっていたので、まずはスタートを切ってから周りの動きを見て位置取りを判断しようと思っていた。前半の流れが少し速く感じて、僕の馬はその中で少しかかり気味にもなったので、砂を被せて少し落ち着かせる意味で少し控えめの位置。その後はロス無くいけたからタイミングを見て外に出せればと。そこでも手応えが良かったので、これなら良い競馬になるなと思った。追ってからもしっかり反応して良い内容の勝ち方。僕も興奮するほど非常に良い走りをしてくれた。まだまだ成長できると思うので、僕自身も楽しみにしています」
瀬戸幸一調教師「今まではメンバーが楽だったが、今回は実績ある遠征馬が相手なので正念場のつもりで臨んだ。それで4馬身差。自分で言うのもなんだが、本当に強かった。次は全日本2歳優駿も考えているが、将来がある馬。来年のダート三冠を視界に入れながら、じっくり決めたい」
南部駒賞は昨年まで5年連続で北海道所属馬が優勝。岩手所属馬の優勝は2016年、ベンテンコゾウ以来のこと(2018年は休止)。そのベンテンコゾウは北海道二冠を制し、ロッソコルサは岩手クラシック二冠を獲得。またロックハンドスターは復活ダービーグランプリを含めて岩手三冠馬。
南部駒賞を優勝すれば出世すると言われているが、フジユージーンはどの歴代優勝馬に比較しても現時点で一番。そう評価しても反論はないと思う。瀬戸幸一調教師は全日本2歳優駿も意識はしているが、本当の狙いは新設のダート三冠。まずはゆっくり歴戦の疲れを取ることに専念してほしい。
今週の岩手競馬
11月19日 「第45回北上川大賞典」(オープン 盛岡ダート2600m)
11月20日 「「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1200m)
11月21日 「レディスジョッキーズシリーズ2023・盛岡ラウンド(二戦)」
文/松尾庫司