先週6日から2019年度の岩手競馬がスタート。開幕恒例の3歳準重賞「第44回スプリングカップ」(水沢1600m)が行われ、1番人気に支持されたパンプキンズが見事な逃げ切りを決めた。
パンプキンズは父スターリングローズ、母カレンマーガレット(母父ネオユニヴァース)の牡3歳馬。昨年、札幌競馬場で行われたトレーニングセール出身馬でデビュー戦の盛岡芝1000m、3戦目の盛岡ダート1400mで2勝。
ただ強さとモロさが同居して大敗するケースも多かったが、昨年終盤に反撃。11月、2歳B1でエムワンピーコ(翌日のあやめ賞を優勝)の僅差2着に粘り、続く寒菊賞を優勝。
いい形でシーズンを終え、今季初戦2着からスプリングカップへと駒を進めて陣営の期待通りの結果を出した。
菅原俊吏騎手「ハイペース傾向は分かっていたが、この馬の持ち味を出すため最初から逃げるつもり。前半が速くても押し切れると自信を持って攻めた。昨年終盤からの成長ぶりが目覚ましく、力をつけているのを実感します」
伊藤和忍調教師「馬場が凍結して追い切りができなかったが、実戦を一度使って息遣いは大丈夫だと思って、無理はしなかった。水沢ならマイルも我慢できますからね。これから岩手3歳路線は長いところのレースが続くので次走は白紙。今後についてはオーナーと相談して決めます」
今後は地元にこだわらずスピードを生かせる条件に挑戦する予定だという。パンプキンズの動向に注目してほしい。
一方、2着に敗れたグレートアラカーは10月以来の実戦でプラス23キロ。成長分もあるだろうが、腹回りを見た印象はまだ立派だった。加えてスタート直後に首をあげ、後方2番手まで置かれてしまった。
それでも中団まで押し上げ、直線は一完歩ごとにパンプキンズの差を詰めていた。これから叩かれていけば上昇は確実。タイプ的に長ければ長いほど良く、今回のレースでメドは十分立ったはず。岩手クラシック戦線はグレートアラカーが中心になりそうな予感を抱かせる内容だった。
13日メインはC1「大屋梅賞」(水沢1400m)。12頭中6頭が前回1着。好調馬がそろったが、それでもアドマイヤツヨシの中心は動かない。
アドマイヤツヨシは中央芝3勝。朝日杯FSにも出走して8着を確保し、準オープンでも走った経験がある。障害3戦を使って岩手入り。最大ネックは地方ダートが合うかどうかだった。
過去に1000万下のダート1900m戦で14頭立て12着。1着からも2秒4差も離され、ダート不向きも心配された。
しかし、アッサリその不安を一蹴した。前半は後方にいたが、3コーナー手前から一気に進出。一瞬のうちに4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切って完勝。中央1000万下の底力をマザマザと見せつけた。
前日30日、A級戦でエンパイアペガサスが8馬身差で圧勝したが、走破タイムが1分44秒0。アドマイヤツヨシは馬場が渋って軽かったにせよ1分42秒5。同日、同じC1戦を快勝したメスカルが1分44秒9だから、いかに破格だったかが一目瞭然。主軸に推すのも納得いただけると思う。
相手筆頭はシンゲツ。昨年までA級に在籍して4着最高だったが、入着すること7回。あと一伸びで馬券圏内まで差を詰めていた。
今年はC1へ降格して大幅にメンバー弱化。貫禄の違いでひとまくりを決めた。気になるのは1分47秒1の走破タイム。レースは生き物だし、馬場によって大きく変わることがあるが、アドマイヤツヨシと単純な比較で4秒6差。格的に見劣りないが、対抗評価が妥当だろう。
ベニバナオンリーは園田C2から転入。こちらは好位追走から早め抜け出しを決めた。通算12勝で岩手初戦を含めて11勝が1400mから1600m。距離適性と先行脚質を武器に二強に割って入る。
コパノジョージもB1から降格して完勝。C1では地力上位を証明した。ベニバナオンリーと同じく1400m9勝と自信の条件。タイム不足は馬場でカバーできる。
メスカルは昇級戦を勝ち上がった。プラス16キロは成長分もあったのは確実。ここで好勝負なら、さらに飛躍が期待できる。
コンバットパンチは南関東から再転入。4ヵ月半ぶりの実戦でプラス15キロの体重増も影響して伸びを欠いたか。叩かれて絞れてくれば侮れない。
◎⑫アドマイヤツヨシ
〇③シンゲツ
▲⑦ベニバナオンリー
△④コパノジョージ
△②メスカル
△⑥コンバットパンチ
<お奨めの1頭>
6R セクシーブーツ
中央から転入戦は久々の実戦に加えて出遅れの不利。それを考えれば2着でも上々のスタート。タイム比較から今度は首位を譲れない