5日メイン「第7回絆カップ」(盛岡ダート1600m)は2011年、悪夢の東日本大震災の年に創設された。
その年、南部杯は特別措置により東京(府中)競馬場で実施され同日、盛岡のメインが「絆カップ」。府中の森に南部杯ファンファーレが流れ、ターフヴィジョンで絆カップが放映されたことが今でも鮮烈に覚えている。
おそらく南部杯の府中開催は日本の競馬史に残る出来事。岩手競馬が継続できたのもJRAを始め、皆さんの支援があったから。絆カップも無事に7回目を迎えた。
そして5日の絆カップが今シーズン盛岡競馬のフィナーレ重賞。翌日6日以降は水沢競馬場が舞台。盛岡競馬場は来年までお休みに入る。
盛岡競馬1年の集大成にふさわしく役者もそろった。見どころ満載だが、一番はラブバレット、エンパイアペガサスの初対決だろう。
ラブバレットは今年1月、根岸ステークス挑戦の反動も少なくなく3ヵ月休養。かきつばた記念で復帰を果たしたが、本調子を欠いて5着。続くさきたま杯も5着に終わった。
しかし、叩かれながら本来の動きを取り戻して栗駒賞、岩鷲賞を連勝。完全復活をとげてJpnIII・クラスターカップへ挑戦。
過去の歴史からJRA優位を伝えられながら逃げたサイタスリーレッドを直線で交わして先頭。そのまま押し切るかと思ったが、外からブルドッグボスが強襲。クビ差2着に惜敗した。
それまで盛岡ダート1200mで1分10秒の壁を破れなかったが、自身の持ちタイムを大幅に更新。1分8秒8のコースレコードで駆け抜けただけに、悔しさも半端ではなかった。
その後は北海道で休養に入ったが、頭部を骨折するアクシデント。復帰が予定より若干遅れたが、絆カップに間に合った。
絆カップを叩いて笠松グランプリ3連覇が陣営の青写真。そのためにも好発進を決めたいところだろう。
エンパイアペガサスはダービーグランプリ2着後、南関東へ移籍。3戦目に重賞・報知グランプリカップを制して岩手へ里帰り。あすなろ賞、みちのく大賞典で2連勝を飾り、岩手トップの座を射止めた。
ところが足元がパンとせず戦列離脱。4ヵ月半の休養を経てようやく復帰する。ラブバレット、エンパイアペガサスが舞台を同じくできるのがマイル=1600m。次走目標・浦和記念に向けて、こちらもいい競馬を見せたいところ。
絆カップをさらに興味倍増させるのが2頭の包囲網。チェリーピッカーは岩手最下級から再出発し、叩かれながら地力も強化。連勝は12でストップしたが、態勢を立て直して3連勝で青藍賞を優勝。重賞初挑戦でタイトルを手にした。
南部杯挑戦は将来のための布石。JRA一線級との戦いが、今後に生かされると陣営は決断した。まだ成長続ける4歳馬。こちらも同期エンパイアペガサスとは初対決となる。
タイセイファントムは崩れないのがセールスポイント。今年のクラスターカップでも1秒差6着にまとめ、以降2戦も1秒差、0秒9差。パンチ力では見劣るが、連下マーク欠かせない。
ヴィグラスムーヴはチェリーピッカーと同様、下級条件からオープンへ出世。15戦13勝2着2回と連対パーフェクトを続けている。ここ2戦の走破タイムは重賞でも勝ち負けレベル。強気の挑戦が見もの。
◎⑬ラブバレット
〇④エンパイアペガサス
▲⑫チェリーピッカー
△⑭タイセイファントム
△⑧ヴィグラスムーヴ
<お奨めの1頭>
4R ノーブルデザイア
このメンバーでは実力上位は明らか。前走3着のうっ憤を晴らす格好の舞台
今シーズンの盛岡競馬も4日(土)から6日(月)の3日間でラストウィークを迎える。4月29日、ゴールデンウィークから始まった盛岡開催も6日でフィナーレ。
毎年思うことだが、競馬に関わっていると季節の変わりが本当に早い。5月頃に始まった新緑が今ではすっかり赤と黄色などに変化。完全に紅葉の季節へ突入した。
おそらく今が盛岡競馬場一番の見ごろ。紅葉が本当にきれいになった。まだ下界は紅葉へ向かう途中だが、盛岡競馬場に入ると紅葉真っただ中。
もちろん生が一番だが、画面越しにでも紅葉が楽しめるはず。2日時点の天気予報では土曜日4日は曇り時々雨、日曜日5日は曇りのち晴れ。そして月曜日6日は晴れ時々曇り。
それを信じれば日曜か月曜日が紅葉の見ごろだが、もし競馬場へ訪れる方は厚着をしてきて下さい。競馬場は下界に比べて2、3℃は低い。体感温度的にはもっと低く感じるかもしれないからだ。
今シーズン最後の盛岡競馬。紅葉のもとで疾走するサラブレッドの姿を堪能してください。天気も晴れることを祈りたい。
4日メインはオープン・盛岡ダート1200m戦「スプリント特別」。有力各馬がそれぞれ不安点を抱え、波乱の可能性も十分考えられる。
主軸にアリッサムを指名。中央0勝2着4回3着2回から南関東1勝・B2から転入。初戦でいきなり重賞・ヴィーナススプリントを逃げ切った。
最大勝因は外から先手を奪えたこと。元々、もまれ弱い面があったが、阿部騎手が巧みなレース運びを見せてくれた。
2戦目・ハーベストカップは芝1000mのスペシャリストが勢ぞろい。コウセンがレコード勝ちを決められたら一たまりもなかった。
今度はダートに戻って1200mが舞台。同型コウユーココロザシが競りかけると微妙だが、枠的にアリッサムが若干有利。強引にでも逃げればそのまま押し切れると見た。
カリスマサンスカイは中央ダート1200m4勝、ダート1300m1勝。オープンに在籍した。南関東移籍後はフジノウェーブ記念の5着最高だが、岩手オープンなら相手有利は明らか。流れが速くなれば一気突き抜ける。
ヴァイサーリッターは中央芝1200m4勝・1600万下から転入。芝1000m重賞を狙っての転入だったが、ハーベストカップ3着、OROターフスプリント7着。案外の結果に終わった。
2戦ともハイタイム決着。追走に手こずったのが敗因か。ダート戦は過去2回と未知数だが、父がデュランダル、母父サクラバクシンオーならこなせる素地はあるはず。
不安は砂をかぶった経験がほとんどないことだが、大外9番枠ならレース運び次第。外目を追走できれば自身の能力を発揮。岩手初勝利がダート戦の可能性も十分ある。
コウユーココロザシは中央500万下から転入初戦の水沢1400mをアッサリ逃げ切って好発進を決めたが、2戦目・ヴィーナススプリントは10着に大敗。逃げの手に出られなかったのが痛かった。今回も同型アリッサムがいて展開は厳しいが、うまく折り合いをつけれれば2頭の行った切りまで。
ナリタスーパーワンは順調さを欠いて今回も2ヵ月ぶりの実戦。ただ激しい気性ゆえ、久々は苦にしないタイプ。体重回復なら格でアッサリ十分。
サンエイホープも使い込めないが、前走マイル戦で見せ場。今なら1200mの方がいいかもしれない。
◎③アリッサム
〇⑦カリスマサンスカイ
▲⑨ヴァイサーリッター
△⑤コウユーココロザシ
△④サンエイホープ
<お奨めの1頭>
6R キリフダ
前走2着ながらタイムが出色。メンバーも手頃になった上、絶好枠を引き当てた