昨日に続いて「第40回桐花賞」の話。単勝1・1倍の圧倒的1番人気に支持されたナムラタイタンは2馬身半差2着に敗れたが、その敗因を考察してみたい。
当日の馬体重はプラス2キロの530キロ。岩手転入後では過去最高体重だったが、厳寒期に入り調整が大変だったのは想像し難くない。日中でもマイナス気温の真冬日。元々、大型馬で本質的には太りやすいタイプ。逆によくプラス2キロで収めたと思う。
パドックで大人しいのはいつものこと。むしろ今回は外側を回り、これまで以上に気合いの良さが目についた。
戦前から村上昌幸調教師は「モズの粘りが怖い」と語っていた。確かに北上川大賞典では直線で一度交わされながら差し返して周囲を驚かせた。マークを徹底するのは当然の作戦だった。
好スタートを切ったのはマイネヴァイザー。完全に1馬身ほどリードしたが、モズが外からハナを主張。先手を取り切るのに若干時間がかかり、前半3ハロン36秒9。対して上がり3ハロン39秒0。明らかにハイペース模様だった。
これもナムラタイタンには許容範囲内。南部杯、JBCクラシックに比べれば追走は非常に楽。絶好の2番手をキープ。ナムラタイタン鞍上・坂口裕一騎手は理想どおりの競馬になったと思ったに違いない。
ところが3コーナー手前で予期せぬことが起こった。モズが戦意喪失して早々と一杯。押し出される格好でナムラタイタンが先頭に立ち、完全に目標を失ってしまった。
もう一つ不安点があった。追い切りでも夏までは11秒台でフィニッシュしたナムラタイタンが秋になって12秒台止まり。北上川大賞典も先頭に立ってトボけたが、今回も同様。結果的にコミュニティの末脚の餌食になってしまった。
モズが直線までリードしていたら、結果は違っていたかもしれない。モズの失速がナムラタイタンには大誤算だった。もちろんコミュニティは成長著しかったから大一番を勝てたのは間違いないが、これが競馬の奥深さ、難しさ。コミュニティを応援し続けたファンは最高の一日、大晦日となった。
3日(土)メインはB2級・水沢1400m「初夢賞」。6頭立ての少頭数となったが、楽しみな一戦。エントラール、リトルキングの雌雄対決が見ものだ。
エントラールは中央未勝利から転入後、圧巻の9連勝中。ほぼワンサイド決着と計り知れない強さを誇っている。
残された課題は折り合い面。2走前の水沢1800m・錦秋湖でも逃げ切りを決めたが、最後は甘くなってキルデビルヒルズに1馬身差まで詰め寄られた。
前走1600m戦で2番手に控えたのはそれを意識してのこと。多少、掛かるところがあったが、最後もキッチリ伸びて完勝。結果以上に収穫多い一戦だった。
今回はベストとも言える1400m戦。連勝を二ケタ10に伸ばす可能性は相当高い。
対するリトルキングは岩手入り後、馬券対象から外れたのは転入初戦4着、3歳重賞・不来方賞5着の2度のみ。9勝2着3回と抜群の連対率を誇っている。
トップハンデ58キロ克服が課題だが、目下2連勝は強いの一語。新田守調教師はあえて同厩2頭をぶつけてきた。この精神に拍手を送りたい。
このラインは強力だが、こんなときに伏兵台頭するケースも少なくない。割って入るとすればノーティカルスターの決め手だろう。典型的な追い込み馬だが、前走は早めマクリから4角先頭。そのまま押し切って2着に0秒7差をつけた。引き続き好気配をキープ。
ヤマニンネレイスは前走7着に終わったが、落ち込みはまったくない。それ以前の2戦の粘り一目。鈴木麻優騎手が騎乗するため4キロのアドバンテージ。50キロの軽ハンデを活かしたい。
あとは少頭数ですんなりの流れになった際、コンプリートの3着残り目少々。
◎(2)エントラール
○(4)リトルキング
▲(1)ノーティカルスター
△(5)ヤマニンネレイス
△(6)コンプリート
<お奨めの1頭>
6R テンテマリ
北海道時代を含めて5連連続2着。あとひと押しのところで勝利を逃がしているが、巡り合わせも悪かった。相手に恵まれた今度こそ首位を奪取する