7月松戸競輪場で行われた『ガールズケイリンフェスティバル2024』。来年からは『女子オールスター競輪(GI)』への発展的な解消のため、今回がラストの開催でした。決勝は逃げ切りと強いレースでビッグレース初制覇をされた尾方真生選手(福岡118期)にお話を伺いました。
山口みのり:『ガールズケイリンフェスティバル2024』優勝おめでとうございます。
尾方真生選手:ありがとうございます。
山口:少し時間が経ちましたが、今のお気持ちはいかがですか?
尾方:初めてのタイトルが取れて嬉しかったです。ほっとしました。
山口:プレッシャーや周囲からの期待も感じていましたか?
尾方:デビュー当初はそれもあったんですが、なかなか自分が勝てなかったので最近ではそういうのはなかったです。
山口:最後のガールズケイリンフェスティバルというのは意識していましたか?
尾方:それは意識していなかったです。ただ33バンクだったので自分が得意な走りができるかなとは思っていました。
山口:松戸にはどんなイメージを持っていましたか?
尾方:去年の『オールガールズクラシック(GI)』、その前は児玉碧衣さん(福岡108期)と一緒の開催で走っていたので、自分の走りとしてはあまり良いイメージはなかったです。逃げ切れる時もあったけど、遅れたら前にも出られないバンクだなと思っていました。
山口:初日の逃げ切りは素晴らしかったです。最初から決めていたんですか?
尾方:はい。1走目は全部つっぱって走ろうと思っていました。
山口:その着によって2走目の走り方を決めようと?
尾方:はい。1走目どんなメンバーとあたってもまずは先行しようと思っていました。その方が自分の持ち味がいきそうだなと。だからメンバーが誰とかを見るよりも、初日は先行しようと決めていました。
山口:日野未来選手(奈良114期)を頼って奈良で合宿をしたという記事も見ましたが、それはどういう経緯だったんですか?
尾方:ホームバンクの久留米競輪場の開催があったのでバンクで練習ができないことと、師匠の藤田剣次さん(藤田剣次選手・福岡85期)がレースへ行っていてバイク誘導などの練習ができなかったので、それだったら松戸と同じ33バンクの奈良に行こうと思いました。未来さんとはその前の開催が同じで、私が「奈良へ練習に行きたいです」と言ったら「いつでも良いよ」と言ってくれました。
山口:合宿はいかがでしたか?
尾方:未来さんにちぎられてばっかりできつかったです。でもそれが33のイメージができて良かったのかなと思います。
山口:33で勝つためには先行の方が良いなということでしょうか?
尾方:はい。前々のほうが良いんじゃないかなと思いました。
山口:初手で前が取れない場合、入れない場合というのも想定していましたか?
尾方:はい、それも想定していて、その場合は打鐘から行こうと思っていました。
山口:2走目は山原さくら選手(高知104期)の先行でしたね。
尾方:本当はつっぱりたかったのですが、打鐘からさくらさんがすごいスピードで来たので「これはつっぱれないな」と思って一旦引きました。落ち着いて走れたかなと思います。
山口:前には小林優香選手(福岡106期)もいましたね。
尾方:はい。さくらさんと優香さんを見ながら走っていました。
山口:2日間の合計ポイント上位が決勝ですから、初日の1着で落ち着いて走れましたか?
尾方:はい。
山口:決勝も前からと決めていたんですか?
尾方:はい。誰が後ろだとしても、前に入れたらつっぱろうと思っていました。
山口:1走目で手ごたえを感じていたからでしょうか?
尾方:それもあります。後は優勝というよりも力を出し切るレースをしたかったので、前からという戦法を選びました。優勝を意識すると全然できないので、「力を出し切った結果、いつの間にか優勝していた」という意識でいつも走っています。今回も「気づいたら優勝していた」という感じでした。
山口:そうでしたか。
尾方:今までのビッグレースでは自分の力は出せていたけど、それ以上に先輩たちが強すぎて優勝はできませんでした。普段の開催では先行一本ではないけど、大きいレースで先行を続けてきた結果がここで出せたかなと思います。
山口:今年はGIは既に2開催終わりましたが、そこを走っての変化はあったんですか?
尾方:GIは苦手なんです。今回はGIではなかったので思い切って走ろうと決めた結果の優勝なのかなと思います。
山口:GIが苦手というのはどういうことでしょう?
尾方:勝ち上がりが厳しいので緊張をしてしまい、自分の力を出し切れずに終わることが多いんです。
山口:今回、逃げ切りで優勝できたというのは次のGIやビッグレースへ向けてはどうでしょう?
尾方:今、気持ちとしては一つビッグレースを優勝できたので、今までよりは自信を持って走れます。
山口:賞金ランキングは現在5位(2024年7月末現在)です。今年はガールズグランプリへはどう考えていましたか?
尾方:優勝をする前は、賞金ランキングが10位以下だったので「今年はグランプリ出場は無理かもしれないな」と思っていました。でも優勝して5位まで上がってきたのでもう一度頑張ろうと思っています。
山口:次のGIは11月ですね。
尾方:はい。私は女子オールスター競輪は出られないので、少しでも追加へ行って賞金を積み上げたいなと思います。
山口:今までも賞金ランキング上位でガールズグランプリ出場されていますが、どの辺りから意識をしていますか?
尾方:その年が始まった時から「今年も頑張って賞金を積み上げよう」と思って頑張っています。今年はここまで苦しかったですが、この優勝で頑張ろうと思いました。
山口:年末へのプレッシャーはありますか?
尾方:毎年「なるようになる」と思っているので、そこまで意識せずにいます。
山口:ガールズケイリンフェスティバル優勝後、レースを走りましたが他の選手が尾方選手を警戒しているようなことは感じましたか?
尾方:周りは特に意識せずに、自分の中で冷静に、楽な気持ちで走れていたのかなと思います。
山口:良い方向ですね。
尾方:そうだと思います。
山口:今後の課題はなんでしょうか?
尾方:今まで通りの練習し、少しずつレベルアップができたら良いなと思います。ピンポイントで「ここを強化していきたい」というのは全部師匠に任せているので私はわからないのですが、全体的に強化は必要だと思います。
山口:ガールズケイリンフェスティバルは何度も走っていますが同門対決でした。レース後は小林選手、児玉選手からお声がけはありましたか?
尾方:二人ともおめでとうと言ってくれました。
山口:練習も一緒にされているんですか?
尾方:バンクで一緒になった時は一緒にするのですが、入れ違いで時間がバラバラな時が多いです。来たガールズ選手と一緒に練習をしています。
山口:他の県の選手も出稽古に来ていると伺いますが、今も多くいらっしゃいますか?
尾方:冬季移動で来ていた方がほとんどだったので、今はそこまで多くないです。2人くらいですね。でもバンクには誰かいるので、そこで会ったいろんなガールズ選手と一緒に練習はできます。
山口:奈良へ練習に行った話で、今までも別の競輪場へ練習に行ったりしていたんですか?
尾方:今までは行ったことないんです。未来さんは年も期も違うけど、いつも遊んでくれるんです。実は今回も柳原真緒さん(福井114期)も一緒に合宿する予定だったのですが、タイミングが合わずにできませんでした。114期の先輩たちと練習させてもらったり、競走中も114期の方に面倒を見てもらったりするので、それで今回は未来さんにお願いしました。
山口:日野選手、2日目にCS放送にゲストに来てくれていました。
尾方:はい。実は最終日終わった後に駅で会えました。会いに来てくれて。私より泣いていました。
山口:そうでしたか。すぐに会えて良かったですね。
尾方:はい。
山口:表彰式は笑顔で落ち着いたインタビューでしたが、涙もあったんですか?
尾方:いや、泣きませんでした(笑)
山口:そうでしたか(笑)気づいたら勝っていた、ということでしたもんね。
尾方:はい。力を出し切れた方が大きかったです。
山口:後ろを離してのゴール通過でしたが、優勝した感覚はありましたか?
尾方:ゴールをして敢闘門に戻ってくるときは「あれ、終わったの?逃げ切れたの?」という感じでした。まず最初に優香さんが「おめでとう」と声を掛けてくれました。
山口:小林選手も、當銘直美選手(愛知114期)も追い込みがありましたもんね。それは見えていたんですか?
尾方:いえ、もう残り半周くらいは全力だったので後ろは全然わかりませんでした。
山口:インタビューでは「踏みなおしもできた」と仰っていましたね。
尾方:はい。2センターから踏みなおしができました。
山口:踏みなおし、というのはどんな感覚なんでしょうか?
尾方:しんどいところからもう一回伸びるというか、ギヤを変える、もう一段階踏める、という感じです。今回はそれがいつもよりできました。
山口:踏みなおす分の余力を残しているんですか?
尾方:いえ、残してはないんです。更に踏み込めるという感覚ですね。
山口:決勝でそれができるというのは素晴らしいです。今までもそういう手ごたえはありましたか?
尾方:いえ、初めてでした。
山口:えー!すごいですね。
尾方:ありがとうございます。
山口:その感覚を出せるんだというのは自信になりますか?
尾方:そうですね、そう思って走りたいです。
山口:今後の目標は何ですか?
尾方:ガールズグランプリをまず走れるように頑張りたいです。なのでGIがどうこうより、一戦一戦頑張っていきたいです。
山口:タイトルよりも、まずは目の前の一戦なんですね。
尾方:はい。私は「優勝したい」と思うと多分だめなので、そこは意識せず一つずつ走りたいです。
山口:今までも期待が大きかったり、「優勝したい」と思ったこともあったと思います。フレッシュクイーンも1年目は2着で2年目に優勝でしたよね。
尾方:そうなんです。フレッシュクイーンは1年目は「優勝するぞ」と思ってできなくて、2年目は「優勝をするよりも力を出し切る」と思って走ったら優勝できました。だからやっぱり「優勝するぞ」と欲を出したらダメなんだと思いました。
山口:その時からそういう思いなんですね。
尾方:そうですね(笑)
山口:今後のトレーニングも師匠にお任せですか?
尾方:はい。最近はずっと入れ違いで見てもらえていないので、8月は見てもらえそうなので、練習を頑張ろうと思っています。
山口:全幅の信頼をおける方が近くにいるのは良いですね。
尾方:はい。ありがたいです。練習は師匠に見てもらって、体も師匠のお姉さんにマッサージをしてもらっているので、すごく良い環境だと思います。
山口:全てお任せ!素晴らしいです。では今後のモチベーションは何ですか?
尾方:あまり大きく目標を作る方ではないので、日々の練習がまずは一番です。練習がちゃんとできていたらレースも安心していけるタイプなので、逆に練習ができていないのは不安です。だからしっかりいつも通りの練習をするのが一番良いです。
山口:ガールズケイリンフェスティバルでもお客様のご声援はたくさんあったと思いますが力になりますか?
尾方:はい。松戸は今までで一番大きい応援でした。お客さんも多かったし、みんな優しい応援ばっかりですごく力になりました。
山口:優勝して他の選手からの反応はいかがでしたか?
尾方:同期はほとんどの選手が連絡をくれました。おめでとうということと「私も頑張ろうと思った」と言ってくれて嬉しかったです。
山口:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
尾方:今回みたいなレースをもっとできるように、しっかり練習してお客さんの応援に応えたいなと思います。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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競輪界で初めての試みとなった佐世保ミッドナイトGIII。
その初代王者となった松本貴治選手(愛媛111期)にお話を伺いました。
ナッツ:佐世保ミッドナイトのGIII制覇おめでとうございます。
松本:ありがとうございます。
ナッツ:改めて今のお気持ちはいかがでしょうか。
松本:素直に嬉しいですね。
ナッツ:意外にも、優勝自体が去年の2月以来ということで久々の優勝になりました。
その辺りはいかがですか。
松本:そうですね。気持ちは切らさずにずっと練習していましたし、かなり久々に優勝できたなという感じがします。
ナッツ:このミッドナイトを迎えるにあたっての状態面としてはいかがでしたか。
松本:特に変わらずですね。別に悪くもないしいつも通りという感じでしたね。
ナッツ:ちなみにミッドナイトを走るというところに対する対策は何かされたりしたんでしょうか。
松本:もう特にミッドナイトだからといって変えるようなことは何もなかったですね。
いつも通りに臨みました。
ナッツ:実際に走ってみての感覚はどうでしたか?普段のナイター開催などと比べるとさすがに遅い時間ではありましたが。
松本:この時期の暑さみたいなものがなかったんで逆にそこは走りやすかったですね。
ナッツ:むしろメリットもあったのですね。普段は松本選手は朝型、夜型のどちらなんでしょうか。
松本:あまり夜は得意じゃなくて、どっちかと言えば朝型ですね。
ナッツ:ではミッドの決勝の時間帯は普段は寝ている時間なのでしょうか。
松本:はい、寝ていますね。でも走ることに関しては、そこはそんなに気にならず走れましたね。
ナッツ:では少しレースを振り返っていただきたいのですが、初日特選は後藤大輝選手(福岡121期)に付けるレースでした。初めての連係で後藤選手は先行勝負でしたが、付いていていかがでしたか。
松本:後藤君が凄くいいペースで駆けてくれていたので、もう本当に僕は特にすることもなかったですね。
ナッツ:雨谷一樹選手(栃木96期)も外を捲ってきましたが、あの辺りもしっかりと松本選手は見えていましたか。
松本:はい、しっかりと見えていました。ただ後藤選手が良いペースだったので、もうあとは交わすだけでした。
ナッツ:一走してみて、普段と違う感じというか、ミッド特有の感覚みたいなものはありましたか。
松本:前検日と初日はすごくレースまでの時間が長いなあという違和感はありましたね。
でももうそこから走ってしまったら2日目以降は特に変わりはなかったですね。
ナッツ:しっかりと適応していったわけですね。その中で2日目は久田裕也選手(徳島117期)に前を任せるレースでした。最終ホームからの早めの捲りでしたが、付いていていかがでしたか。
松本:行けるところからしっかり行ってくれたので、僕はもう任せているだけでした。
ナッツ:最終2センター付近では瀬戸栄作選手(長崎109期)も内から来ていましたが、あのあたりも見えてましたか。
松本:あそこは内にいるのが則さん(佐々木則幸選手・高知79期)だと思ったのでびっくりして、なかなか難しかったです。ただ、そこは落ち着いて冷静に対応出来ました。
ナッツ:そして決勝戦です。相手の九州勢は2段駆け体制の布陣でしたが、作戦としてはいかがだったんでしょうか。
松本:本当は初手で前が欲しかったんですけど、ちょっと僕がスタート失敗して後ろ攻めになってしまいました。でもそれでも久田はしっかりやることやってくれたんで何とか、って感じですね。
ナッツ:久田選手は2日目と同じようなところからの仕掛けでした。
ただ途中で牽制されて厳しくなって、そこから松本選手は内に切り込む感じでした。
あの辺りのご自身の対応としてはいかがでしたか。
松本:久田もスピードが前と合ってたので苦しかったと思うんですけど、仕掛けてくれたのでスピードをもらうことができましたね。
ナッツ:その後は阪本和也選手(長崎115期)の牽制もありながらも、外併走を乗り越えました。あの辺りはいかがでしたか。
松本:もう必死でした。脚の余裕はなかったんですが、とりあえずへばりついて行けるところまでっていう感じでした。
内には平原選手(平原康多選手・埼玉87期)も見えていましたが必死に踏みました。
ナッツ:そしてゴール前勝負。かなりゴール線は際どかったのですが、ご自身の感覚としてはどうでしたか。
松本:感覚的には届いたかなと思ったんですけど、やっぱり確信はなくてどっちだったんだろうって。
ナッツ:その差は8分の1車輪でしたが、見事に届いての優勝でした。
選手によっては、かなりの接戦でもゴール線での勝ち負けはわかると聞いたこともありますが、やっぱり松本選手もそのあたり感覚はなんとなくわかるものなのでしょうか。
松本:そうですね。もうめちゃくちゃ先行してきつい時とかはわかんないんですが、多少余裕ある時はわかりますね。
ナッツ:また、松本選手は今回、人の後ろを3日間回りました。
もちろん松本選手は自力も強い選手である中で、近況人の後ろも少しずつ増えてきたのかなと思いますがご自身の中で自力戦と番手戦の違いだったり感覚はいかがでしょうか。
松本:そこは「ラインとして機能するように」というのを心掛けているので自力でも番手でもそんなに変わらないですね。
ナッツ:ご自身の中では自力と番手のどちらが自分に合っているなというのはありますか。
松本:いや~どうですかね。どちらでも同じ気持ちで頑張りたいなって思ってるので、その時その時でって感じですね。
ナッツ:どちらでも良いレースができるように、ということなのですね。
ちなみに松本選手は普段はどういった練習されてるんですか。
松本:街道練習がメインですね。タイミングが合った人と一緒に、という感じであまりバンクには入らないです。割合で言ったら街道7、バンク3くらいで、街道練習の方が多いです。
ナッツ:街道の方が松本選手にとっては合っているのですか。
松本:そうですね。今年に入ってからちょっと街道練習を増やしたんですけど、そっちの方が感覚がいいなという風に思います。
ナッツ:松本選手というと、過去にはヤンググランプリを制しましたが、やはり今後ビッグでの活躍を期待されてるファンも沢山いらっしゃると思います。ご自身の中ではそのあたりに対して強化していかないといけないなっていう部分はありますか。
松本:トップスピードですね。最近はトップスピードがやっぱり上がってきているので、そこですね。トップスピードを上げていかないと、やっぱりGIの準決勝とか、あの辺りはもう全然違うなっていう風に感じるんですよね。
ナッツ:もうそこは練習をして強化していくしかないっていうような感じでしょうか。
松本:練習はもちろんなんですけど、それだけじゃなくて、やっぱり自転車のセッティングなども含めて、色々と考えないといけないなと感じています。
ナッツ:総合的に、ということなのですね。
話は変わりますが、松本選手と言えば植物がお好きっていうところがイメージとして強くあります。植物好きなきっかけとしては何があったんでしょうか。
松本:自宅に何か観葉植物を置きたいなあと思ったのがきっかけなんですけど、そこからどんどん増えていきました。そこから今1番好きな塊根植物っていうのにたどり着いた感じです。
ナッツ:観葉植物を置きたいなっていうところからこうして広がったのは、植物のどこに魅力を感じたんですか。
松本:うーんうまく説明できないのですが、癒されるっていう感じですね。
ナッツ:競輪選手の中では金子貴志選手(愛知75期)をはじめ、何人も植物好きがいらっしゃいますが、競輪と繋がる何かがあるということなんでしょうか。
松本:金子さんも言ってるんですけど、かっこよく育てるためには、土だったり、水のあげ方や太陽光とか風とかのバランスがやっぱ大事なんで、そのあたりの正解を見つけていくのが自転車と似てる感じですかね。
ナッツ:育て方でそんなに変わってくるんですね。
やっぱり松本選手も自分で育てて、全然違うなっていうのは感じるわけですか。
松本:全然違いますね。もう水遣りしていればいいっていう簡単なのもあるじゃないですか。
でもやっぱり塊根植物はそのあたりが変わってくるのが魅力ですね。
ナッツ:競輪界でも植物部がありましたよね。松本さんが部長ですか。
松本:いや、それは金子さんですね。あとは松岡健介さん(兵庫87期)や野口裕史さん(千葉111期)あたりが部員です。
ナッツ:宿舎で話したりっていうことも結構あったりするんですか。
松本:最近一緒の開催になる機会も多いのでその時は話しますね。
ナッツ:まだ植物の魅力に気付いていない方に、松本選手自身も魅力を話したりということもありますか。
松本:そこはあんまり理解されないんで自分からは話しませんね。笑
もし聞かれたら話す感じですね。
ナッツ:興味持って聞いてくれれば話すのですね。笑
貴重なお話をありがとうございました。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
松本:GIで活躍できる選手になっていきたいというのが目標なので、今後とも変わらずに頑張っていきます。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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サマーナイトフェスティバル(GII)を制し、今年初のビッグ獲得となった眞杉匠選手(栃木113期)にお話を伺いました。
大津:サマーナイトフェスティバル(GII)優勝おめでとうございます。
眞杉:ありがとうございます。
大津:今年初のビッグタイトル獲得です。
眞杉:今年は1月に落車して、復帰してまた3月に落車してと落車続きで、特別競輪も決勝に乗れない状態でかなり出遅れていたのですがここで一回優勝出来て自信にもなりましたし、後半戦に向けて戦える状態になってきたなと思います。
大津:近況、勝ち星も増えてきていますが、その辺りはいかがでしょうか。
眞杉:準決勝戦で負けてしまって力を出し切れないことが多いので、正直「うーん。」って感じです。
大津:相手も眞杉選手をかなり警戒してますもんね。
眞杉:それもあると思うのですが、警戒されるってのはトップ選手の誰しもが通る道なのでその中でどう勝ち切るかってことですよね。
大津:取手記念(GIII)の最中は毎日自転車をいじっていたと仰っていました。
眞杉:落車の影響で自分の身体の状態も以前とは違いますし、自転車も壊れてしまい他の自転車にしたのですが、そこも上手くマッチしていない部分もあったのでそこを試行錯誤しながら自転車を触っていました。
大津:サマーナイト(GII)までに自転車はしっくりきたんですか。
眞杉:正直セッティング面にせよ、身体の部分にせよ抜群に良かったって感じではなかったです。前よりも調整力というのは上がったかなって思っています。
大津:初日振り返ってはいかがですか。
眞杉:結果的には内に詰まってしまって自分らしいレースが出来なかったというか、良くないレースをしてしまいました。力を出せずに脚を余して終わってしまいました。
大津:2日目は山崎賢人選手(長崎111期)の先行を捲っていきました。
眞杉:それも相手が相手なので考えて走った結果だけなんですが強いレースをしたかと言われるとそうでもないですね。
現状に応じた走りしか出来ていませんし、そこをどう改善していくかっていうのが今年の課題ですね。
大津:ただ、この勝利が節目の200勝となりました。
眞杉:正直通過点でしかないです。僕らの場合、同県に900勝を達成されてる神山さん(神山雄一郎選手・栃木61期)がいるので、その神山さんと比較すると700勝足りないので。
大津:その神山さんとは何か話はされたのでしょうか。
眞杉:この間バンクで会った時に「あと700勝で神山さんに追いつきますね。」って話はしました。そうしたら笑ってました。
同県にそのような先輩がいらっしゃることは目標にもなりますしアドバイスもいただけますし、本当に大切な存在です。
大津:決勝はどのような組み立てを考えていたのでしょうか。
眞杉:車番が悪くて好きな初手位置を選べる車番ではなかったので、前か後ろだなって思っていました。前になったら他のラインを出させたら勝ち目はないので南関東にしろ近畿にしろ出さないつもりでした。
で、後ろなら後ろで前に出切れるようにしっかり叩こうと考えていました。中途半端に浮いてしまったら話にならないので。
大津:どちらにしろもがき合いは覚悟してって感じだったんですね。
眞杉:そうですね、南関東も番手が郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)でしたから構えることはないだろうし、出させたら出させたで郡司さんが縦に踏んで行くだろうから出させるつもりはなかったです。
大津:その中で結果的に初手は中団が取れました。
眞杉:前を取りに行ってみて、ダメなら後ろって感じだったのでそれで中団が取れたのでこれは思ってもいない良い並びだなって思いました。
大津:中団が取れてからは何に気を付けていましたか。
眞杉:周回中から前が突っ張るだろうなって思っていたので、そこで自分が遅れたら自分の位置に誰かが入ってくるので、そこだけ入られないように集中していました。
古性さん(古性優作選手・大阪100期)と郡司さんがやり合っていて勝敗がついたら今度は自分のところに来るだろうなって思っていたので油断しないで走っていました。
大津:最後は自ら踏み上げていきましたが、あそこはいかがでしたか。
眞杉:正直前が2周半からずっとかかっていた感じで僕も全く余裕はなかったです。
大津:古性選手の2度のブロックを堪えて乗り越えました。
眞杉:残り1周の段階では僕と郡司さんが並んでいたので、そこでは行けなくて1センターから2コーナー辺りで行かないと3コーナーで浮かされてしまうので一気に仕掛けました。
脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)の後ろにいるのが古性さんなのでそれくらい来るだろうなって想定しながら走ってました。なんとか直線で乗り越えられたらなぁって感じでした。
大津:本当にこの優勝が後半に向けて弾みになってくれたら良いですね。
眞杉:そうですね、後半戦に向けては良いスタートを切れたと思っています。
大津:ここから後半戦に向けての目標を教えてください。
眞杉:やっぱりグランプリはまた走りたいので賞金面でもそうですし、しっかり権利を取っていきたいですね。
大津:オールスター競輪(GI)はディフェンディングチャンピオンとして臨むシリーズになります。
眞杉:そこまで意識せずリラックスしていきたいです。もちろん連覇は狙っていきます。
大津:ファン投票6位です。
眞杉:初めてドリームレースも走らせていただきますし、単騎なので一発を狙って走らせていただきます。
大津:「眞杉選手の単騎は買いだ」という声をよく聞きます。
眞杉:単騎は嫌いじゃないですが難しいですよ。1発しかないんで、その1発を逃さないようにしないといけないから。いい意味で気楽に走れますし、1着だけを狙って走れるので好きですけど、ドリームレースは相手8人が全員SSみたいなものじゃないですか。
そう簡単ではないのでしっかりとレースの流れに付いて行きたいですね。
大津:平塚の相性はいかがですか。
眞杉:ダービー(GI)で走って負けてしまったのであまり良いイメージはないです。でも、松戸も僕は優勝したことなかったんです。なので今回のシリーズで平塚を良いイメージに変えられるよう頑張ります。
大津:今まで獲ったタイトルがすべてナイター開催とナイターには一層強いイメージがあります。
眞杉:そうですね、なのでそこは自信をもって走りたいです。
大津:小林泰正選手(群馬113期)や森田優弥選手(埼玉113期)という同世代の存在はいかがでしょうか。
眞杉:皆で合宿したりと全員が高い志をもってやっているので僕も凄い励みになりますし、レースでは一緒に練習をしているぶん気持ちの入り方も変わってきます。
3人でGIの決勝に乗るのが目標です。森田との連係や、泰正との連係はありますが、その3人での連係はまだないんですよね。並べるとしたら記念ではなく特別競輪だと思うで、そこを目標にしていきたいです。
大津:その時はどういう並びになりますか。
眞杉:その時はもう前に行かせますよ(笑)
大津:9月は地元で共同通信社杯(GII)もありますし大切な戦いが続いていきますね。
眞杉:9月に関東勢で合宿をやる予定で他県からもけっこう集まってくるので、そこで皆でしっかり仕上げて臨みたいです。
大津:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いいたします。
眞杉:おかげさまでオールスター競輪(GI)のドリームレースを走らせていただけますしっかりとその期待に応えられるよう内容を含めて頑張っていくのでこれからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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今年の『女子オールスター競輪』のファン投票で11位になり初めてビッグレースに出場することが決まった河内桜雪選手(群馬122期)。ファン投票の結果を受けての今の心境やビッグレースへの意気込み、現在の調子をお伺いしました。
山口みのり:まずはファン投票11位での『女子オールスター競輪』出場決定おめでとうございます。
河内桜雪選手:ありがとうございます。
山口:中間発表が今年は出ましたがチェックしていましたか?
河内:もちろんチェックしていました。中間発表では6位だったので、それを見たときはかなりびっくりしました。去年より票数も伸びていたんです。去年の自分からしたら「たった1年で自分のことを応援してくれている方がこんなに増えて嬉しい」という気持ちです。
山口:1年を通して全国の競輪場での走りで覚えてもらった証拠ですね。
河内:そうですね。後は、私はありがたいことにテレビ出演も多くさせてもらったので「テレビで私(河内選手)を見て初めてガールズケイリンを知って興味を持ちました」と言ってもらえることも多くありました。それで競輪を始めた方が増えるのも嬉しいです。
山口:河内選手きっかけで始めたよ、という方がいるのは嬉しいですね。
河内:はい!私を応援してくださっている方は「最近競輪を知って始めた」という方が多い気がします。テレビを見てくれたり、記事を読んだりなどで、どんどん広まっているのかなと思うと嬉しいです。
山口:そうですよね。ファン投票の最終結果は11位でしたが、この結果はいかがでしょうか。
河内:いくら中間発表が良かったとはいえ、その後は競輪場に実際に足を運んでいただいている方が投票している期間だと思ったし「長く続けている選手には勝てないのかな」と思っていたんですが、最終的に11位ということでとても嬉しいです。
山口:女子オールスター競輪への出場も叶いましたもんね。
河内:はい、それが一番嬉しいです。でも同期の又多風緑選手(石川122期)も中間発表では14位にいて、一緒に出場できたら良いなと思っていたのですがそれは残念でした。また来年一緒に出られるように私も頑張りたいです。
山口:お二人、仲良しですよね。
河内:はい、プライベートでも連絡を取り合ったりします。
山口:来年は『女子オールスター競輪』はGIになりますし、また特別な大会になりますね。
河内:はい、今年から3日間に変わったということで、出られるのは嬉しいです。
山口:出場が決まったということで、練習はどんな感じでしていますか?
河内:ガールズグランプリ出場の選手たちもたくさんいるので、それにびびってしまっています。練習量を増やしているし、追加も積極的に受けてできるだけ経験を増やすようにしています。
山口:オリンピック出場のナショナルチームの選手たちも戻ってくるようですよね。
河内:はい、そうみたいですね。オリンピック後なので相当仕上がっていると思うので、私もしっかり仕上げて恥ずかしい思いをしないようにしたいです。緊張は今からかなりしています。
特にナショナルチームの選手達とは近況は一緒に走っていないので、どんな強さなのか想像もできないですね。
山口:そうですよね。河内選手はビッグレースは初出場ですが緊張の方が大きそうですね。
河内:はい、めちゃくちゃ緊張しています。やばいです(苦笑)レベルが違うことは目に見えているので、どこまで食らいついていけるかですね。
山口:デビューして2年でのビッグレース選出はいかがですか?
河内:自分では全然予想がつかなかったのでびっくりです。去年のファン投票もデビューして1年半の私にとっては「たくさん投票していただけて嬉しいな」と感じていました。
実は私が競輪選手を目指したのは、2014年前橋で行われたオールスター競輪でのガールズケイリンコレクション(『ガールズケイリンコレクション2014 前橋ステージ ドームクイーンカップ』)を見たのがきっかけだったんですよ。小学校6年生のときで今でも覚えています。だから自分がまさかその舞台に立てるとは思っていなかったので凄く嬉しいです。10年越しの夢が叶ったということなので。
山口:そうだったんですね。夢の舞台ですね。
河内:はい。
山口:近況、追加を受けたりというお話がありましたが、何か試したいことがあったんですか?
河内:一番はレース勘を途切れさせないためです。久しぶりにレースを走るとき、私はすごく緊張をして震えてしまうんです。だから私はたくさん走っている方が良いタイプですね。でも成績は伴わないのが反省です。どうしても疲労はたまりますから、そのバランスは難しいです。
ただ8月はちょうどよくレースの間隔が空いているので、オールスターへは練習とケアとでバランス良くできそうです。メンタルも強化していきたいですね。
山口:緊張もするというお話でしたもんね。
河内:過度にしすぎるという訳ではないと思うのですが、緊張すると自分に自信がなくなってしまい力を出せないから、それを改善していきたいなと思っています。レースを走って慣れていくしかないと追加も受けて走っているんです。
でもオールスターでは私は挑戦者なので、その気持ちでいけば緊張せずに食らいついていけるのかなと思います。
山口:今年は単発レースではなく3日間の開催ですが、緊張は徐々に抜けていくのではないでしょうか。
河内:単発だとチャンスは一走だけですが、3日間だと「初日にだめでも次の日にもチャンスがある」と思える気がしますね。今想像しているよりもより緊張をするはずなので、初日よりも2日目とだんだん普段のように走れたら良いですね。
他の選手のアップを見たり、学べることもたくさんあるはずだから、挑戦と学びをこめた開催にしたいです。
山口:全員が先輩なんですね。
河内:はい、122期も一人だし、私は高校卒業後すぐに養成所に入ったので年も一番下です。
山口:このメンバーで、気軽に話せる方はいますか?
河内:開催に行くと皆さん話してくれますが、最近イベントで一緒になったのは荒川ひかり選手(茨城110期)です。吉川美穂選手(和歌山120期)もレースでよく一緒になりその時にたくさん話します。日野未来選手(奈良114期)とはこの間、後泊を一緒にしました!
山口:少しでもレース以外は普段のように過ごせると良いですね。
河内:はい、皆さん優しいです。
山口:たくさん得るものがありそうですか?
河内:はい。たくさん皆さんを観察します(笑)
山口:アップのやり方とか過ごし方は皆さん違うと思いますが、他の選手を見て「自分も取り入れよう」ということも多いんですか?
河内:ケアグッズは特にみんな持っているものがバラバラで、見たことのないものを持っている方もいます。最近の流行りは「シャクティマット」というインドの鍼ベットのマットです。小さな鍼がたくさんついていてそこに寝てケアをします。この間それを持っている方がいて試させてもらいました。
山口:検索したら出てきました!たくさんトゲトゲがついているんですね。
河内:はい。これをすると良く寝られるんですよ。選手はアドレナリンが出て夜はなかなか寝られないことも多いので、ケアグッズはどんなものを使っているのか気になりますね。
山口:練習方法とかの意見交換などはしますか?
河内:ライバルなので「どんな練習をしているのか聞いて良いのかな......」と心配になることもあるんですが、日野未来選手には聞いちゃいました。脚質が私と同じでダッシュタイプなので、どんな練習をしているのか気になって聞きました。
山口:教えてくれるのは良いですね。河内選手は女子オールスター競輪のある平塚競輪場は、過去に一度走っていますね。印象はいかがですか?
河内:デビューしてすぐだったのでそこまでは鮮明に覚えてはいないのですが、風が強かったですが軽かった印象です。キラキラしていて綺麗でした!
山口:お客様も多い競輪場だと思います。
河内:そうですよね。GIだしかなり入りそうですよね。
山口:ご声援は力に変えられるタイプですか?
河内:嬉しいです。特にこんな大きなレースで自分の名前を呼んで応援してもらえたらめちゃくちゃ嬉しいです。
山口:では行く方は「さゆきー!」とご声援してください(笑)
河内:お願いします!このメンバーで私に声援があると想像するとテンションが上がります!
山口:では近況について伺います。ずっと決勝に乗っていますが、振り返っていかがですか?
河内:決勝には乗っているんですが、優勝をまだしたことがないんです。優勝をできるチャンスというのは今まで何度もあったと思うのですが、そこで自分がヘマをして優勝には手が届いていません。3日間の集中力を決勝に一番高められるようにしたいです。まだまだ決勝に進むのにいっぱいいっぱいになって、予選の2日間で精神的にも疲労が積み重なってしまい、余力がないんだと思います。安定してずっと決勝に乗れればいいんですけどね。
山口:成績だけを見ると安定しているように思えますが、そうじゃないんですね。
河内:はい。成績は1月から決勝を外していないので安定しているように見えるんですが、初日に外枠になって強い選手が内枠にいると「ヤバい!」と思ってどう展開を作ろうかめちゃくちゃ考えています。焦っていることもたくさんあるんです。
山口:そうなんですね。最近は1着の回数も増えていますね。
河内:はい。3日目一般戦での1着は今までもあったんですが、最近は予選で1着を取れることも少しずつ増えてきました。その辺りは良いのかなと思います。
山口:あとは優勝、なんですね。
河内:はい。もし一度優勝ができたらそこからは波に乗れるのかなとも思います。でも今、「流れに乗れない」と落ち込んでいる気持ちはあまりなく、去年よりは競走得点は上がっているので「少しずつでも成績が上がっているから大丈夫」と自分を励まして頑張っています。
山口:一気に、というのではなく徐々に上がっていきたい、ということですね。
河内:はい。レースが詰まっているとレース勘は良い感じなんですが、その分練習時間はどうしても少なくなってしまいます。そのバランスが難しいなと最近は感じています。オールスターまではちょうどよくレースが入っているので、次までにたくさん練習をして別府で感覚を掴んで、オールスターへいきたいです。
山口:大きいレースということで、そこで初めて競輪を見る方もたくさんいると思うのですが、どんな部分を見て欲しいですか?
河内:本当にまだ未熟ですが、そんな私がどこまで食らいついていけるかというところですかね。私を信じて車券を買ってくださっている方もいると思うんですが、私が3着までに入ったら絶対高配当になると思うので、車券を買ってくださった方に恩返しできるように追い込んで頑張るので、期待しすぎずに応援して欲しいです。
山口:ファン投票で入れてくださった方は買ってくださいますよ。
河内:そうですよね。頑張りたいです。
山口:練習面での強化ポイントは何ですか?
河内:女子オールスター競輪はスピードが普段と全然違うと思います。私がいつも練習している前橋ドームはスピードが出るバンクなので、男子で一緒にオールスター競輪に参加する小林泰正選手(群馬113期)をはじめ群馬の選手もかなり追い込んで練習をすると思うので、私も男子選手に付いていけるようにスピードを強化していきたいです。
山口:小林選手は今年、GIの決勝に乗って、その後に前橋記念(GIII)を完全優勝されましたもんね。
河内:はい。泰正さんは誰よりもたくさん練習をしていると思います。見ている方が、練習をやり過ぎて気持ち悪くなりそうなくらいキツイ練習もしています。私も見習っていきたいです。
山口:練習環境は抜群なんですね。
河内:はい。強い選手もたくさんいますし、私を面倒見てくださる方もたくさんいてありがたいです。女子が少ないので、男子と練習する機会がどうしても多いです。自分がいることで皆さんに迷惑をかけていることもあると思うんですが、皆さん優しく一緒に練習してくれます。時にはマンツーマンでもがいてもらったりもします。女子よりも男子はスピードがあるので、ビッグレースに向けては良い環境で練習ができていると思います。
山口:ありがとうございます。それでは最後に女子オールスター競輪へ向けての意気込みを、オッズパーク会員の皆様へお願いします。
河内:かなり緊張をしていますが、オールスターへ向けて仕上げて強い選手に食らいついていくので、いっぱい応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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6月に行われた高松宮記念杯競輪(GI)の初日に通算500勝を達成した浅井康太選手(三重90期)。輪界の哲学者とも言われる浅井選手の考え方やレースに対する姿勢など、様々なお話を伺いました。
ナッツ:まずは通算500勝おめでとうございます。
浅井:ありがとうございます。
ナッツ:少しお時間経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか。
浅井:やっぱりJKAの表彰規程に定められている500勝を達成できたっていうことは嬉しく思いますし、もちろんファンの皆様、そして自分を支えてくれた練習グループや先輩方にも感謝しているところですね。
ナッツ:18年11か月の月日を経ての500勝というのはいかがでしょうか。
浅井:やっぱり最初の頃はすごく弱くてかなり苦労したんですけども、先輩方や師匠に厳しく育てられて今の自分があるし、やっぱり厳しく育てられたことで強くなれたなっていう認識はすごくしてます。良い環境に連れていってもらえたって感じですね。結果がよければやっぱり良い環境っていうところなんで、そういうところに導いてもらえた。だから今も良い環境で上位で走れたり生活できたりっていうところに繋がってるかなとはすごく思いますね。
ナッツ:なるほど。その良い環境っていうのは、決して甘やかされるわけじゃなく、厳しくされている環境があってこそっていうところなんですね。
浅井:僕はそう感じましたし、やっぱり今の近代的な子にはそれは通用しない。パワハラとかいろんなところで出てきてしまうんですけれども、やっぱり強くなろうっていう気持ちでどういう風に動いていくかとかが今の子は考えながらやることが大事かなって思います。そこを強制するわけじゃなくて、各自が頑張って強くなってもらえたら、僕もそこに導かれて、逆にしっかりとついていかないといけないっていう認識ができるんで、若い子にこれから育てられる自分でもあるのかなとは感じるところもありますね。
ナッツ:やっぱりそのあたりの考え方の柔軟さというか...本当に色々なことを考えてらっしゃるっていうところが、浅井選手の1番の魅力だなと個人的には思っています。
浅井:それはやっぱり考えてなくて色々苦労もしたし、今でも苦労もしてるしってところなんです。人生なんてね、いいことってほんの数回しかない。だから、苦労して苦労して、苦労することで学んだなっていうところで、いいことが本当にたまにあればいいかなって感じで生活してるんです。
ナッツ:そういう考え方っていうのは、幼少の頃からだったのですか。それともこの世界に入ってなんでしょうか。
浅井:そこは選手になって、やっぱり考え出せるようになって、発想力とかいろんなことを経験することで、ですね。突き詰めたら次のものが出てきたって感じですかね。アイデアが豊富になってるっていう状況になってしまったので。自分は人との感覚ってすごくズレがあるところはあるんです。でもそれは人とズレてるんじゃなくて、まだ世に出てないものを探してるなっていう感じですね。
例えば企業の社長さんなんて、ないものを作ろうってしてるじゃないですか。ってことは今あるものは過去のものなんで、過去のことを気にするよりも、新しいものを見つけていきたいと思ってますね。それを見つけるためには、一緒のことをやり続けることで何か出てくる可能性もあれば、逆に人に聞いたり人を頼ったりとかもできると思うんですけど、でもやっぱり自分で色々と認識しながら継続してやっていくってことを続けているんです。
500勝を達成したから新しいものをやるっていうよりも、今までの積み重ねたものをまたより一層磨き上げるではないんですけど、そういう風にしっかり突き詰めていければ、また新しいものが見えてくるかなっていうところで考えてはいますね。
ナッツ:そういう浅井選手のような考え方ができる選手って、実際それだけいるんだろうな、と感じます。
浅井:やっぱり勉強のできる賢さって世の中にはいらないと思うんです。世間一般なら賢いっていう認識が、勉強ができるとか、良い大学出てるとかですけどそうじゃなくて、やっぱり人生経験して、どういう風にやればうまく突き進めるのかとか色々考えられるんで。
それに対応能力があれば、もしくは対応能力がつけば賢い人間なんじゃないかなとは思ったりもするし、やっぱり失敗が経験になってるかなってとこですね、僕の場合は。
ナッツ:失敗を経験にっていう、よく聞く言葉ではありますけど、実際にそれを本当に実践に移せているかどうか、考えられているかどうかっていうところで差が出てきたりっていうことなんですね。
浅井:そうだと思います。だからやっぱりそういう風なところで、ナショナルチームでもしっかり考えられてると思いますよね。あとは上位陣の古性君(古性優作選手・大阪100期)にしても、清水君(清水裕友選手・山口105期)にしても、そういうところがすごい強いんだなって思えます。
ナッツ:やはり上位に行く選手っていうのは、そのあたりしっかり考えて、試行錯誤して突き詰めてっていうような感じなんですね。
浅井:そうですね。だからやっぱり歳を取ったから体力が衰えたっていう認識じゃなくて、新しいもので新しい刺激を身体や脳に入れることで何かまた生み出せればと。そしてチャンスがあればタイトルとかも狙えるんじゃないかなと思いますし、僕も40歳といってもまだまだ成長できる部分もあるかなとは考えています。
ナッツ:そんな中500勝を達成したレースに関してもお話を伺いたいと思います。
高松宮記念杯(GI)の1走目で藤井侑吾選手(愛知115期)に前を任せるレースでした。
相手は清水選手だったり伊藤旭選手(熊本117期)など強敵もいましたが、レース前のイメージとしてはどうでしたか。
浅井:基本的にイメージは500勝するぞ、っていう気持ちじゃなくて、やっぱりラインで決めようっていうところでしたね。しっかり自分の仕事をして勝ち上がりたいなっていうところと、逆にうまく決まらなかったら自分はどういう風に対応するのかっていうレースのことしか考えてなかったので。あとはやっぱりお客さんに買ってもらってる分、1着を取ることがメインになってくるので、500勝のことは頭にはなかったんですよね。
ナッツ:その気持ちで走ったその結果が500勝だったっていうような感じだったのですね。
そのレースでは、前の縺れもありましたが、ジャン過ぎのタイミングで藤井選手が仕掛けていきました。
浅井:はい、もう素晴らしいタイミングで行ってしっかりと駆けてくれました。もうあとは自分も仕事をして中部勢でワンツースリーが決まったっていうところで本当に嬉しかったです。昔からラインを組んでる富生さん(山口富生選手・岐阜68期)が3番手を固めてくれて、前の侑吾と3人で一緒に連携して、やっぱり新旧の仲間が前後にいてくれる状況で自分も達成できたんで、本当にありがたいし嬉しいしホッとしている状況っていうところですかね。
ナッツ:ゴール後には藤井選手にポンポンってするシーンもありましたもんね。
浅井:そうですね。まずはラインのことを考えて走る。それこそみんな前のことしか考えないとかあるんですけど、後ろも考えながら走るのってすごく難しくて。
こういうところで富生さんと決まったっていうところは良かったし、本当に侑吾は良いレースをしてくれたし、全体として良いレースが出来ましたね。
ナッツ:引き上げてからの周りの選手の反応はいかがでしたか。
浅井:おめでとうって言ってもらって、普段そんなに喋るわけではない、ガールズの太田美穂さん(三重112期)や當銘直美さん(愛知114期)がおめでとうございますって、紙袋に包んだコーヒー持ってきてくれて嬉しかったですね。普段本当に特に関わりはないんですけど、なんか優しいなと思って、ありがとうねって言って。やっぱりそういう風なことをしてくれることでこっちの対応も変わるし、これからもっと頑張ってほしいなっていう気持ちも芽生えるし、自分も頑張らないとっていう風に思えるしっていうところで嬉しかったですね。
あとは他の人も色々な方々からよかったなって言われたりもしたし、お祝いの言葉は沢山頂きました。
ナッツ:その500勝を達成される前のダービー(GI)ではゴール後の落車もありましたが、実際は結構大きな影響があったんでしょうか。
浅井:ほぼ歩けなかった状態で無理やり歩いてたんです。かなり厳しかったのですがやっぱりそういう部分は見せたらダメだったんで走ったっていうところなんですけど、そういうところでちょっと影響が出て、今はそこまで調子が良くないなっていうところですね。
ナッツ:浅井選手の中で、500勝にリーチをかけてからの1か月はプレッシャーだったり、緊張感というのはあったんでしょうか。
浅井:いや、特にそれはないですね。500勝だからっていうところの意識ってのは、ほぼ0でした。やっぱり自分と向き合って、自分が負けても自分の調子がいいっていう時には、負けてダメだなって思うんじゃなくて負けても自分の調子はこうだから良いなっていう認識にしたりもするんです。自分の調子が悪くても1着って取れる時あるんです。そんな時は逆にちょっと気持ちを戻さなあかんなって、上がってる気持ちを落としたりもするんです。
だから1着を取ることでどうのこうのっていうのは本当にずっと考えてなくて、勝っても負けても、自分の調子の気持ちとかどういう風にするのかっていうところで、平常心に落としたりとかあげたりとか色々するんで、そういうところで、1着に対してのこだわりはなく、自分がしっかり出来ていれば1着が勝手に取れると思っています。
ナッツ:もう着はもうあくまで結果というか。やっぱりそのあたりも本当に浅井選手はもう何事に対しても、全てを理論立てて対処しているイメージがあるんですよね。
浅井:それぐらいしないとやっぱり体力面でも負けるとこもあれば、力では負けるとこもあるんで、それなら頭動かすことを考えることで対応していけば隙間に入れるんです。
ただ、そういうところで考えることが大事とは言うんですけど、考えて練習してもあんまり意味がないんで、考え方でどういう風な差をつけるかっていうのって、物事の認識の捉え方とかいろんなことがあるんで、そういうところで使い方を変えれば変わるだろうなっていう風に思えるんです。
だからわざわざ言葉を英語に変えてみたりスペイン語に変えたらどうなるのかとか色々試してみて。日本語ではこういう風に使うけど海外やったら全然違うんだなとかってなっていたりもするので、言葉のニュアンスを変えることによって取り組み方も変わったりしてくるんですよね。だから言葉の使い方ってすごい大事だなとか思ったりもするけど、やっぱりそれを練習の後輩とかにはうまく伝えられないですね。こっちも「おい頑張れよ」ってなって。イライラじゃないけど、もっとやれよみたいな。本当はうまく伝えないといけないんですけど、でもそれは後々の話っていうところなんで。
ナッツ:個人的に溝口葵選手(三重117期)が浅井選手のもとで練習をするようになってから強くなったなっていう印象が強く残っています。やはりあれは浅井選手のマインドだったり考え方とかっていうのを理解して取り組んだからこそ、というのがあるんでしょうか。
浅井:そうですね。まず彼は真面目っていうところですね。誰に対しても言われたことには、はいって言える人間なので、たまたま僕と出会って最初にトレーニングして、これはこうだよ、1回やってみってなったらその1発目か2発目に急にチャレンジの決勝に乗れたんですよね。だからそれがたまたまハマったという感じなのかもしれないですけど、溝口的にはこの人ならってなったのかもしれないし、教えてもらいたいってなったのかもしれないし、そこはわからないですけど、そこからしっかりとやり続けられたってことですね。
僕も元々は本当にクビになりかけるぐらい74~75点の選手だったんで、それで自分の今の理論をやり出した感じで。自分自身は人が100回、200回やることを1万回ぐらいやるぐらいの感じでずっとやり続けられるんですよね。
そしたら次のものが出てくるっていう感覚になるんで。だから土台が100%になったら次のものが出てくるっていう状態になるんです。溝口も1個のことを言われてずっとやってるので、それが僕と似とるところだなと思います。やっぱり土台作りをしっかりとできてるから、今の溝口があるんじゃないかなっていうところも感じます。
自分が経験してきたことでやっぱり照らし合わせると、確かにそこが大事だなと。
ナッツ:ずーっと続けられるってのは没頭してるって感じなんですかね。
浅井:そうですね。もうずっとそれをやり続けられるっていうか次の段階に行くのに対して、これをこうしたらこうだよって言うとそれをやり出して、またずっと一緒のことをやるんですよね溝口は。でも最初に教えた簡単な部分と、今とかちょっと前ぐらいに教えてる部分を照らし合わせると、あの時のあれが今のこれに繋がって、こうなるからこうなんですねっていう風に、それが結局はコンディショニングとか自分の調子を見るとか、感覚っていう風になってくるんです。それが今出来ているから強くなってきたと思います。
逆に溝口は落車が少ないんで、今後やっぱりS級に上がった時に落車や怪我に強くないといけないんですよね。やっぱりそれを経験することで自分の今の感覚まで戻せるのかとか、自分が戻った時にどういう風にするのかっていうところに対して、しっかり経験したことと向き合えるかどうかが今後の課題にはなるとは思うんです。
だからそういうところで別に溝口だけじゃなくて全ての人において、やっぱり1つのことができる、もしくはやり続けられるってのはすごく大事なことだなってのは認識しています。よく言いますもんね、社会でも1つのことができない人間はなんもできんわ、みたいこと。やっぱり昔の人が作った言葉っていうのを理解もできてきて、経験がそういう風に勉強になってきて言葉も覚えられるというところですね。
僕はそういう風に変換も出来ているので、そこまでになれれば良い選手とかにはなれるんじゃないかなとは思うんですけど。二兎を追う者は一兎をも得ず、って言葉があるじゃないですか。僕は思うんですけど、あれって突き詰めることが1個できる人間なら五兎でも追えそうなんですよね。
ナッツ:なるほど。中途半端になってるからそういう風になるだけで、やり遂げればいいわけですもんね。
浅井:そういうことですよね。一兎をも得ないのは1つのことを中途半端にしていくからだと思うんです。1個のことができれば、2個も3個もね、4個も5個も何個でもできるって話なんです。だから自転車じゃなくても他のスポーツにしてもいいし、トレーニングを自転車だけじゃなくて色々なスポーツやったりとか、それもトレーニングと思うんで、考え方をいかに柔軟に変えていけるか、考えられるかっていうところですね。
ナッツ:やっぱり浅井選手のその考え方は凄いですね。かなり深いです。
浅井:まあでもそういう風なことを言ってばっかやったらいるだけで嫌われもんになりますけどね。笑
ナッツ:浅井選手のコラムなどを見ていると、嫌われることもあるけど、そうだとしても言っていかないと、というお話をよく見る気がします。
浅井:嫌われてももう仕方ないじゃないですか。でも僕、人を嫌わないですよ、全く。
ナッツ:浅井選手自身が誰かを嫌うことはないんですね。
浅井:そう、陰口とかも全く言わないですよ。そうなってしまうと、自分が負け犬の遠吠えと一緒で本当に負けた気になったりすることなんで。言わん人間になることが1番の成長でもあるかもしれません。
ナッツ:確かにそうですね。そのあたりも意識して日々過ごしている感じなんですね。
浅井:ムズムズする時もありますが、やっぱりそこをどういう風に自分で気持ちを対処するかってのもトレーニングだし、それができないと言ってしまうっていうのは、やっぱりトレーニングできてないって話になるので。裏では言わずに、表で人には伝えます。
ナッツ:言うとするならちゃんと直接伝えると。
浅井:そういうことですね。その人にとっては、ちょっと痛いところをストレートにちゃんと言う、伝えるわけですよね。だから、それをありがたいと思うかどうかもその人の考え方のところもあるでしょうしね。そこを素直に受け止められる人でいるかどうかですよね。
ナッツ:中部で言うと、先程も話はありましたが、若手の中で藤井選手が急激に力をつけてきたなっていう印象もあるんですが、浅井選手から見ていかがですか。
浅井:元々の先行力はあったのであとはスピードですよね。ダッシュがどうかっていうところは付いていて思ってたんですけど、去年の宇都宮記念(GIII)の時に新山(新山響平選手・青森107期)との対戦で、あの時侑吾と連携したんです。あの時に新山を叩き切るところがあって、そこではもう強くなったっていうかね、いいレースをするなという認識だし、それこそ向き合い方がすごいなと思いましたよね。侑吾は。
ナッツ:向き合い方ですか。どういった部分に感じましたか。
浅井:意欲っていうのが強いですよね。やっぱり意志や意欲が強い人間は勉強でも机にちゃんと手を置いて鉛筆でちゃんと書く。でも意欲がなかったら、背もたれにもたれて脚を組んで、めんどくさいな、みたいな感じの態度をする。だから、意志があるっていうのは良い姿勢を保つ大前提のことなんですよね。意志が強くて先行する気持ちを持っていると、良い位置で走れたり良いフォームで走れたりするので伸びてくる。
イライラやってると結局は伸びないっていうのはそういうことで、変な位置で漕いでいるから自転車も進まないし、体力を使いすぎて消耗するってなってくるんでそういう向き合い方ですよね。上位の人って意志や意欲がやっぱり強いじゃないですか。練習がめんどくさいなっていう人はほとんどいない。だからそういうところで侑吾は意志や意欲が強いから、やっぱり今後はもっと伸びるんじゃないかなって思ってます。
そういうところで中部を引っ張っていってもらえる存在になってくれば、僕らは付いているだけで良くなるので。もちろん僕もしっかりとしがみついていきたいですね。あとは侑吾と同級生ぐらいの遼平(谷口遼平選手・三重103期)は強いんで頑張ってほしいし、伊藤裕貴(伊藤裕貴選手・三重100期)にも期待はしてますね。
やっぱりそういうところで若手が中部を盛り上げていってほしいなと感じていますね。そうなると僕らも自分たちが頑張って、若手に付いていかないと、こいつらに引っ張ってもらってしがみついていかないと、という感覚になってくるんで。そういうところでしっかりと連携もしていきたいなとは思います。
ナッツ:なるほど。その意欲や向き合い方っていうところがほんとに大きなポイントということで。あとは浅井選手は今年ガールズの伊藤優里選手(三重126期)をお弟子さんに取ったことがすごくインパクトがあって、伊藤選手は浅井選手に自ら志願したというお話も聞いたのですが。
浅井:まずは伊藤稔真(伊藤稔真選手・三重111期)からお願いできませんか、って言われたんですよね。
そして優里も、グランプリ目指してるんです、同じ景色が見たいんです、という風に言ってきたんです。それから色々話して、僕に付くことで周りに何か言われたり、中にはめんどくさいこともあるよという話もしたんです。でもそれでも頑張りたいって言うから、良いよと言ってあげたんです。
実際はまだまだ力がない部分もあるし向き合えてない部分もあるんで、これから負けを経験して、どういう風に行動しないといけないかも分かってくると思います。何も経験してない人間に頑張れよなんて言っても意味がないんでまずは経験ですよね。自分で理解して経験して、やりたいです、こういう風にしたいです、こういう風な練習したいですってのがわかってくると思うし、逆に女子の強い選手の練習方法を聞いてくるかもしれないですし。今はそこまで指導というか、あれをやってこれをやって、とはそこまで言ってない感じですね。
ナッツ:一度優里選手とお話した時には、絶対に先行で勝ちたいっていう気持ちをずっと言っていて気持ちの強い選手だなっていう風に感じました。
浅井:気持ちは強いですね。先行したらいいよっていうのは言ってます。
先行は脚力をつける為であって、先行して負けても、脚力強化のためにやった先行ならいいんですよ。将来番手が回ってきた時に脚力があれば、バックからまくったり、もしくは最後に3コーナーや4コーナーから差して優勝できるんで、それがグランプリの時やったら最高なんですよ。その1回、2回の為の脚力を作っとけばタイトルが取れるんです。
グランプリを取れる脚が出来たのなら、そこからずっと取りっぱなしかもしれないですよね。まずはそういう風な1番のチャンスの時に取れる脚を作って、そのレベルまで行ったんだったら、ずっとそのレベルで今後は生活もできるし、レースもできるしっていうところで、まずは先行しろと言ってるんですよね。今、勝ちにこだわったとしても、脚力がなくてチャンスの時に差せなかったら2着でグランプリ取れんやんってなるんで、そうじゃないよっていうとこなんですよね、最終的に。
ナッツ:まずは脚力が大事ということなんですね。お弟子さんの稔真選手とも一緒に練習することもありますか?
浅井:最近はもう自由にやらせてる感じですね。やっぱり元々僕が先行しろよっていうことに対しても厳しすぎたんで、やっぱり嫌気がさした部分もあるんですよね。
逆に稔真に教えてもらったというかそういう教え方は違うんだなっていうのも理解しました。だから今の子っていうのは、こういう風にちゃんと理論を教えてあげたりとか、こうなったらこうなるから、こうでこうなるからっていう結果まで教えてあげることで成長するのかなっていう風には学んだんです。だからそういう風にちゃんとした説明ができるようになってきました。
弟子に成長させてもらったなっていう認識は自分の中ではあるので、お互いがわからないところ、意思疎通ができないところは、そういうところで意思疎通ができて、成長させてもらってるなとか、成長できてるなっていうのをお互いが感じるのはすごい大事かなとは思います。本当に大事にしてあげたいなとは今すごく思いますよね。
ナッツ:浅井選手はもう常に何かしらの物事をすべて成長につなげている印象がありますね。
浅井:時間もったいないですもん、成長に繋げないと。20年したら60歳ですよ。しんどいです。笑 もうやってないかもしれない。それなら今できることを全てやる方がいいと思うし、そういう風なところですぐに行動できる人間が、成長するとか、良くなるとか、成功するって言うけど、やっぱり若い子に言っても絶対わかんないんですよね。
こういう風に年取ってきて、そういう風なのはわかるんだなと感じますね。やっぱり思い立ったらすぐ行動ってのはやりたいなって思うし、やりたいことをやる。自由にやるっていうのもすごい大事なことだというのもわかったし、強制させることが人を成長させないようにしてしまう、制御してしまうっていうところも理解しましたね。人間としてももうちょっと成長したいなって部分は僕的にはまだまだありますよね。
ナッツ:あとはファンからすると、やはり浅井選手には再びビッグのタイトルを期待している方も多いと思うのですが、そのあたりはいかがですか。
浅井:もちろんずっと思い続けてるし、デビューしてからもずっと思い続けてきてることですね。やっぱりそこを目指して、今の自分の考えなり行動なりがあると思うんです。だからそこを目指すことで、ファンの人に喜んでもらえて、一緒に自分も喜べるし、というところでファンの人を大事にしていきたいっていうのはありますね。
頑張れるきっかけでもあるし、頑張らないといけないっていう使命感でもあるし、そういうところを持ってやっていきたいなっていうところ、やってきてるっていうとこですよね。逆に最近だったらSNSも普及してきて色々な声も聞けるじゃないですか。アンチがあったりとか、応援もあったりとかで。でも僕はアンチの人が自分のことを好きになってくれるようにやっていきたいなと思うんですよね。難しいことかもしれないですけど、これってこうだったんだとか理解してもらえることって1番難しいことなんで、そういうのも大事なんじゃないかなと思います。もちろんね、僕のことを嫌いな方もいっぱいいますけど、やっぱりわかってほしいなって部分はすごい持ってる。自分のことを好きって言ってくれる人だったら、多分何やってもずっと好きでいてくれると思うんですよ。そこはもちろん大事にするし、それ以上のものを結果として出して一緒に喜びたいって思います。
でもやっぱりそういう難しいところにアプローチするのも大事かなと思います。
ナッツ:こういう風にアンチの人と1対1で浅井さんとお話すれば理解はしてもらえるんでしょうけど、そういうわけにもいかないですもんね。
浅井:そうなんですよね。じゃあどういう風にするのか。走りで見せるのか、喋りで見せるのか、じゃあ何で見せるのかってなってくる。でも1番最初に来るのは基本的にはレース内容、結果。そういうところでしっかりと結果を出してGIタイトルとかやグランプリに繋げていきたいなってのは今でも思ってます。
ナッツ:いや本当に結果だけを見てやっぱり色々言う人もいると思うんですけど、 やっぱり実際に浅井選手がこういうことを考えてこういう走りをしているっていうのが少しでも伝わると、また変わってくるんでしょうけどね。
浅井:うん、なかなかそこが難しいですよね。普通に喋ったら僕楽しいと思うんですけど。笑
ナッツ:浅井選手のパッと見の印象と、実際話すと印象が違うなっていうのは、私は今日思いました。笑
浅井:喋って一緒に飲んだらもっと違いますよ。笑
でもやっぱりファンからするとそう見えるのかなってのはありますよね。あとは検車場とかでも怖い顔してるねみたいな感じで言われるけど、そこでヘラヘラするのはありえへんやろって思うんですよ。
ナッツ:やっぱりそこは戦いの場ですもんね。
浅井:そうなんですよ。3日間、4日間、ずっと考えてしっかりレースに向き合うためにね、雑念が入らない為に携帯のないそういう環境を作ってくれとるのに、向き合ってないのが不思議やなと思うんですよね。やっぱそれがコンディショニング調整になってくるんで。
ってちょっと話がずれちゃいましたね。笑
ナッツ:いえいえ、これも貴重なお話として聞かせていただきました。
では浅井選手の今後の目標としてはどういった部分においてますでしょうか。
浅井:もちろんよく選手が言う一走一走頑張ってファンの皆さんの期待や車券に貢献したいと思うってのは普通なことで、やっぱりそれは本当に思ってることなんです。
でもそれに加えて、自分の今後ってなってくると、歳を重ねるにつれて体力がなくなっていくとかってみんな言いますけど、今まで中部を少しでも引っ張ってきた自分っていうのは捨てて、やっぱり今後の若い子たちに引っ張ってもらってっていう切り替えの時期なのかなって思うんです。人生の切り替えというか、そういうところもしっかりやっていきながら競輪に向き合って、考えながら考えながら強くなれるように全力をあげていきたいなと思いますね。
ナッツ:沢山のお話をありがとうございます。では最後にオッズパークの会員の皆様に一言お願いします。
浅井:今、強い選手が沢山いますし、若手も活躍してきたので今後も競輪を楽しんでいただいて、その中にちょっとでも僕の存在を認識してもらって、強い選手と一緒に走る時は穴も開けたいと思うし、しっかりと1着を狙っていくので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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