今年の卒業記念チャンプとなった森田一郎選手(埼玉125期)。
本デビューの地元戦では準優勝だったものの、その後の3場所で9連勝を達成し早々とチャレンジを卒業。今後はS級での戦いも見据える23歳の新星に様々なお話を伺いました。
ナッツ:まずは特別昇班おめでとうございます。
森田:ありがとうございます。
ナッツ:本デビューして4場所目での特別昇班はどう捉えてますか。
森田:ちょっと1場所目で躓いてしまったんで、そのあたりは反省したいなと思っています。
ナッツ:ただ、その1場所目での反省をしっかりと活かすことができたんですね。
森田:そうですね。徐々に成長していって、成長の実感を掴めたので修正はできたと思います。
ナッツ:その成長というのはどういった部分ですか。
森田:本デビューの大宮ではレース全体が見れてなかったですし、心と身体が別々なことをしてしまってるなと感じました。そこから師匠にも色々とアドバイスをいただいたので、そういうところをしっかり詰めていくうちに向日町くらいで形になり始めて、レースの組み立てもすごく考えながらレースを走れるようになってきましたね。
ナッツ:その成長が特別昇班に繋がったのですね。ちなみに森田選手は養成所時代は2位という順位でしたが、ご自身の中でデビューしてからもやれる手応えはありましたか。
森田:そうですね。ちょっと不安はあったんですけど戦えるだろうとは思ってましたね。
ナッツ:そして実際にデビューをして、最初の段階として自分の思い描いたように走れていますか。
森田:やっぱりチャレンジとA級やS級でレースの流れが違うと思いますし、これからそういうところを走ってからにはなりますが、まずは大体は予想通りに走れていますね。
ナッツ:森田選手の場合、ルーキーシリーズでデビューして初めて車券の対象になったという部分で緊張感はありましたか。
森田:高校と大学でやってきた競技とは全く別物というのは感じていました。
ただ、今までも全てを出し切るという感じで走ってたので、それは本当に車券の対象になっても変わらないことで、あまり変な気負いはなかったですね。
ナッツ:意外にその辺りは落ち着いていたというか、その経験が活きている部分があったということですね。
森田:そうですね。一走一走大切にやってきたっていうのが、そういうところで活きたのだと思います。
ナッツ:ルーキーシリーズが終わって、地元の大宮競輪場で本デビューを迎えましたが何か違いは感じましたか。
森田:地元って言っても正直「うわ、緊張するな」って感じはなかったですね。
どっちかというとルーキーシリーズの方が同期に負けたくないって感じが強くて、緊張しましたね。
ナッツ:地元を走ってのファンの声援はいかがでしたか。
森田:決勝は2着という形に終わって、僕が人気をしていた分皆さんの期待を裏切ってしまったんですが、終わった後も「ここからだぞ!」と温かい声援をいただいて、もう1回気を引き締めて頑張んないとな、と思いました。
ナッツ:そこからは連勝街道となったわけですが、9連勝目がかかる最後の立川の決勝の時は特別昇班に対する意識はいかがでしたか。
森田:同じナショナルBチームである中石君(中石湊選手・北海道125期)も先に特別昇班していたので、ここは絶対に取りこぼせないっていう気持ちでしたね。ただ通過点っていうのも感じていましたし気負いはなかったです。
ナッツ:やはりそれは森田選手自身が見据える位置はまだここじゃなく、更に上の位置だからこそってことですよね。
森田:そうですね。S級に上がって通用する練習をしてると思うので、しっかりと早くそこで力が発揮できるようにしたいですね。
ナッツ:実際にその立川の決勝のレースで125期が4人いる中で捲って9連勝を決めました。特別昇班を決めた気持ちはいかがでしたか。
森田:本当に安心というか、ひとまずは短期目標をクリアできてよかったなっていう気持ちでしたね。ただ終わって、これで一喜一憂はしていられないなと思っていました。
ナッツ:話を聞いていると、森田選手は結構しっかりと自分のメンタルもコントロールしながら取り組んでいるように感じますね。
森田:いや~僕は優先順位や今何をやるべきか、どういう目標を立てばいいのかみたいなものをちょっと見失ってしまうふしがあるんですよね。だからこそしっかりとそうやって自分に言い聞かせないと、と思ってやっていますね。
ナッツ:逆にそういう部分があるからこそ自分をしっかりと律することができているのですね。
森田:そうですね。そのあたりは意識をしています。
ナッツ:レースを見ていると、先行も捲りも出ているイメージですが、ご自身の中での脚質はダッシュ、地脚だとどちらになるんでしょうか。
森田:それが本当に僕もまだわからなくて。まだまだ発達段階っていうかこれからだと思うので、自分でどういう風な競争がスタイルに合ってるのかっていうのを探していきたいですね。今は大学時代からやっていることがメインになってしまっているんですけど、先行もそうですし、ゆくゆくはしっかりとレースの戦術の幅を広げていきたいなと思っていますね。
ナッツ:今、練習環境としてはナショナルの練習がメインなのでしょうか。
森田:そうですねナショナルで練習させていただいてます。
ナッツ:競輪もありつつ、ナショナルも、ということでいわゆる二刀流のような感じだと思うのですが森田選手自身はどう捉えていますか。
森田:僕はあんまり器用じゃないんで、どこかで悩む時期があると思うんですけど、そういう壁に当たるまではしっかりと両方を全力でやっていきたいですね。
ナッツ:ということはナショナルでは、今後のオリンピックに対する意識もあるのですね。
森田:はい。こないだのパリオリンピックも見ていて本当に刺激をもらえましたね。すごくかっこいいなと思いましたし、自分が出たい、何年後かに出たいっていう気持ちも本当に強くありました。本当に大きな目標はやっぱりロサンゼルスオリンピックっていうことになりますね。今のこの身体やパフォーマンスではロスに出れるか出れないかって言われたら絶対に出れないと思うので、今はただただ強くなることしか考えてないですね。
ナッツ:先輩にあたる太田海也選手(岡山121期)だったり中野慎詞選手(岩手121期)の走りを間近で見る機会もあると思うのですがいかがですか。
森田:脚力があるとかそういう面では本当に一目瞭然なんですけど、その他にも選手として、あとは自転車に対する考え方も本当に違います。そういった面でも早く追いつきたい、追い越したいという気持ちはあります。
ナッツ:やっぱり近くで見ていて学ぶことが多いんですね。
森田:本当に多いですね。自分がまだ考えもつかない意識などを実際に聞いて学べる場所にいるというのは本当にありがたいです。
ナッツ:その時点でやっぱり他の同期が聞けないようなことも聞いているわけですもんね。
今はナショナルでの練習とのことですが、競輪の方では師匠の山信田学選手(埼玉83期)からはどんなことを言われていますか。
森田:特にレースの内容に関してはどういう風に走れとは言われていないんですけど、一走毎に電話でアドバイスをいただいていますね。
あとは「隙の多いレースだった」っていうアドバイスをいただいた時には、師匠も全ての答えを言わずに自分で考える力をつけさせてくださいます。
少しアドバイスをいただいて、あとは自分でどう隙があったのかを考えていたり、本当に自分のことを思って成長させてくれる師匠です。
ナッツ:それは本当にすごく自分の成長に繋がりますよね。森田選手自身は元々考えること自体は高校や大学の時からも結構してきたタイプなのでしょうか。
森田:正直言うと、僕は大学時代あんまり考えて走るタイプではなかったんです。
もちろんちょっとは考えましたけど、今考えると本当に考えてるか考えてないか微妙なレベルだったと思います。
ナッツ:今になって振り返るとそう思うのですね。
森田:そうですね。当時はどうすれば速くなるかっていうのを考えてはいたんですけど、具体的な方法とかそういうのはなく、漠然とただただ練習をすればいいと思っていたので。今は本当に練習以外のものが出るのが競輪だと思ってるので、そういうのをしっかり考えるという力はついたと思います。
ナッツ:インタビューや考え方も含めすごく落ち着いてらっしゃいますよね。良い意味で若さが無いというか。笑
森田:そうですね。たぶん変なことを深く考えすぎる性格なんで、考えてることが変にまとまっちゃうんですよね。
ナッツ:森田選手は色々なことを器用に出来るタイプなのかなって思っていました。結構考え込むんですね。
森田:そうなんですよね。例えばアドバイスいただいたら、そんなに考えなくてもいいことをすごく深く考えすぎちゃったりして、本当に器用ではないですね。
ナッツ:でもその考えるということは競輪選手にとって絶対大事ですもんね。
森田:でもやっぱり限度があると思うので、それを長所に出来るようにしていきたいですね。
ナッツ:今後、森田選手の目標はどこに置いていますか。
森田:やっぱり大きな目標はグランプリなんですけど、今は叶わないと思うので、しっかりと力をつけていきたいです。今の短期の目標としてはやっぱりS級に上がってGIなどのレースで埼玉の偉大な先輩方の前で戦いたいですね。
ナッツ:やっぱり埼玉というと本当にたくさん強い選手がいますもんね。
森田:本当に埼玉は選手層が厚いのでそういう人の前でしっかり走りたいです。
ナッツ:ちなみに同期の中で意識する選手はどなたかいらっしゃいますか。
森田:やっぱり中石湊ですね。
ナッツ:そこはナショナルで戦ってるからというところでしょうか。
森田:そうですね。本当に競技じゃ負けてばっかりなんで競輪では負けたくないです。
ナッツ:そして今後はまずはA級1-2班の舞台が待っています。ここも特別昇班に対する意識はご自身の中ではどうですか。
森田:もちろんここで止まりたくないっていう思いが強いです。その為に1-2班のレースもしっかりと予習してます。同期の栗山さん(栗山和樹選手・岐阜125期)や南部君(南部翔大選手・大阪125期)のレースも見て、どういう勝ちパターンなのか、どういったレースが負けちゃうのかっていうのを見て勉強していますし、しっかりと事前準備をしてから入りたいです。
ナッツ:すごいですね。そういった他の選手の1、2班の戦いとかもチェックされてるんですね。
森田:そうですね。先輩方からも1、2班はちょっとレース形態や流れが違うって言われたんで、そこらへんはしっかり勉強しておかないと、脚があっても競輪なら負けちゃうと思うので、しっかりとできる準備はしておきたいですね。
ナッツ:その中で森田選手のファンに対する走りのアピールポイントを教えてください。
森田:一走一走、全力で諦めないレースを意識していつも走っています。もちろんそれは当たり前のことではあるのですが、気合は誰よりもあります。そういうところを見ていただければと思います。
ナッツ:では最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
森田:A級1-2班戦も全力で、そしてS級にも上がれるように本当に一走一走全力で頑張るので引き続き応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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