2023年は初優勝を含めて2度の優勝をした藤原春陽選手(徳島122期)。初めてのGI出場も2023年10月オールガールズクラシックで経験し、今年さらなる飛躍が期待されます。選手になろうと思ったきっかけやプロになってから今までの振り返り、そして今後の抱負を伺いました。
山口みのり:まずは直近のお話から伺います。12月の小倉では優勝おめでとうございました。
藤原春陽選手:ありがとうございました。
山口:決勝戦は位置にこだわるレースに見えましたが振り返っていかがでしたか?
藤原:はい、前々にいたかったのですが、いつもS取りからレースを始めるんですが取れなくて。小倉は前にいないと勝てないので並走する形でこだわりました。
山口:2番手に入り好位置を確保して、そこからはどう考えていたんですか?
藤原:前の松井優佳選手(大阪124期)が積極的なレースをする選手だったので、その人について行って後ろが来たタイミングで前へ出ようと思ってました。
山口:後ろからの仕掛けはどう見ていましたか?
藤原:私は後ろを確認する余裕があり、仕掛けも遅かったのでチャンスだなと思いました。
山口:どのあたりで優勝できるな、と思ったんですか?
藤原:最後の半周ぐらいでは後ろを確認しながら走れていました。他の選手の仕掛けに合わせて自分も外に持ちだして行ったので優勝かなと思いました。
山口:今年は2回優勝されていますが、いずれも小倉なんですね。ご自身でも「小倉は相性が良い」というのは思っていますか?
藤原:そうですね。小倉は走りやすいです。その最初の優勝は今年2月だったんですが、最後は内側のコースをいっての優勝だったんです。なかなか内側へいって勝つことはあんまりないと思うので「ちょっと、なんだかなー」と自分で思っていたんですけど、今回はちゃんと外から追い込んで優勝ができたので満足です。
山口:では会心の優勝だったんですね。1年を通して走られたのが2023年が初めてですが、1年を振り返っていかがでしたか?
藤原:まさか2回も優勝できると思ってなかったのでそこは良かったです。でも、悪い時はすごく悪いので、安定して成績を残せるようになりたいですね。小倉で優勝した後の川崎はすごい成績が悪かったので、頑張りたいです。
山口:あとはGIの出場も10月にありましたね。賞金争いが勝負駆けだったと記事を読みました。
藤原:はい、追加に行ってなんとか出場できました。
山口:決まった時はどうでしたか?
藤原:まさかGIに出られると思ってなかったので嬉しかったです。
山口:狙って取りに行った形でしたけど、GIに出られるかもしれないなって思ったのはどれぐらいだったんですか?
藤原:選考期間ギリギリだったので1か月か2か月前くらいですね。「ギリギリ出られるかもしれんよ」とレースに行った先の記者さんが教えてくれました。それまで全然、何も知らなかったんです。それから気にするようになりました。
山口:そうでしたか。それで自ら出場権を獲得されたのは素晴らしいですね。
藤原:ありがとうございます。
山口:『オールガールズクラシック(GI)』は前半のレースも含めてGIの中でも、特に全員ガールズの開催でした。雰囲気はどうでしたか?
藤原:周りを見れば強い選手ばっかりだったので、すごく緊張しました。けど、挑戦者の気持ちで走りました。
山口:勝ち上がりが、いつものポイント制ではなく着でしたがそのあたりはどうでしたか?
藤原:初日が4着で、あと1人抜いていれば準決勝に上がれてたんです。だから悔しかったです。
山口:初日に惜しいところまで行けたからこそ?
藤原:はい。でも行く前はオール7着をすると思っていたので、ちゃんとレースに入れて戦えて良かったです。
山口:初日は並走し位置を取りに行っていましたが、あの辺りも「戦えているな」と思っている部分ですか?
藤原:前々にいたかったんです。33バンクはやっぱり前にいないとだめだったんですがSが取れませんでした。
山口:先ほども仰っていましたが、基本的に前にいて勝負をするという戦法ですか?
藤原:そうですね。
山口:最終日は3着と確定板に入りました。3日間戦い終えて普通の開催とは違いましたか?
藤原:そうですね。緊張感がありました。あとお客さんもすごく多かったので、励みになりました。
山口:2024年の目標は何ですか?
藤原:1着の数を増やしたいです。予選でもしっかり勝てるようになりたい。いつも予選では3着くらいまでしか取れないんです。ギリギリで決勝に上がる形が多いので、常に安定して決勝に上がって1着の数を増やしたいです。
山口:2023年は11勝をあげられましたが、その中で優勝が2回というのは素晴らしいですね。
藤原:そうですかね。
山口:勝負強いと思います!
藤原:自分で走っていて、予選と決勝が走り方が一緒の感覚なんです。「予選だから」「決勝だから」と全く違いがないんです。
山口:感覚とか気持ちとかってことですか?
藤原:はい。
山口:ご自身でもちょっと不思議な感じ?
藤原:そうですね。なんでだろうと思います。
山口:でもいい方向ですよね。優勝は狙っても取れない部分もあるでしょうから。
藤原:そう思っていきます。2回目の優勝もポイントがギリギリで決勝に上がれたんですよ。それなのに優勝ができると思っていませんでした。「まさか自分が」という感じです。
山口:じゃあ今年は予選から1着を、ですね。
藤原:はい。
山口:ありがとうございます。それでは原点に戻って、選手になったきっかけもお伺いできればと思います。お父様が選手(義浩選手・76期)というのはあると思うんですが、どの辺りからプロは意識されたんですか?
藤原:高校で自転車競技部に入って試合に出ていくうちに「もっと強くなりたい」と思いました。父も競輪選手だったので、プロを目指すことにしました。
山口:養成所を経てプロデビューしていかがですか?
藤原:思っていたより厳しいです。
山口:お父様から厳しさみたいなのは聞いていなかったですか?
藤原:父を見ていた感じでは「なんか楽そう」と思っていました(苦笑)私が家に帰ったらだいたいいるし、そんな練習をたくさんしているイメージがなかったんです。自転車競技とかする前はそう思っていました。
本格的にやるようになって、「こんなに練習しなきゃいけないんだ」と思いました。
山口:練習環境とか状況はどんな感じですか?
藤原:室井兄弟さんの練習グループに入れてもらって一緒にしてもらってます。
山口:いかがですか?
藤原:楽しくさせてもらっています。
山口:内容などは?
藤原:街道を中心にしています。ダッシュ練習などが中心ですね。バンクはたまに入るんですが、その時は齋藤仁さん(徳島83期)が2人で「競輪」してくれます。
山口:2人で競輪!具体的にはどのような感じですか?
藤原:私が打鐘で前を切りに行って、仁さんがラスト1周で先行してそれに飛びついて捲る感じです。
山口:前々の戦法練習なら2人でも成立するんですね!
藤原:はい。良い環境で練習させてもらっています。
山口:それが活きていると感じますか?
藤原:はい。レース形式の練習をすると出しきれるので、普通にもがくよりはきついです。
山口:お父様とは一緒にされないんですか?
藤原:たまに一緒にします。父は1周くらい前で先行してくれています。
山口:何か言われたりしますか?
藤原:特にないですね。レースから帰って来た時に、軽く「あの時ああだったね」ぐらいですね。
山口:小松島も来年度にガールズケイリンがいよいよ始まりますね。
藤原:地元でする最初のレースは、勝ちたいなって思います。それまでに、ちゃんと練習しとかないといけないなと思います。
山口:皆さんは走ったことないバンクでいつも練習されてるのは有利ですね。
藤原:はい、頑張りたいです!
山口:デビューして2年目に入り、後輩期がデビューしました。ご自身の気持ちとか、走る内容とかレースの雰囲気などは変わりましたか?
藤原:そんなに変わってないです。後輩が来たからとかも特にあまりなく自分のペースで走れています。
山口:今年は高知、宇都宮と500バンクからスタートします。周長の得意不得意はありますか?
藤原:500バンクは走った経験が少ないんです。街道みたいな感じなので、ペースはスローになりがちなのはそんなに得意ではないです。でも予選から1着を取れるように頑張りたいです。
山口:ぜひ1月に勢いをつけてください!
藤原:はい。
山口:選手になられて、ここまでで生活のルーティーンとかは出来てきましたか?
藤原:朝に練習して、お昼はほとんど寝ていますね。だいたいそんな感じです。
山口:休日は何をしていますか?
藤原:体を休めるのが中心でゆっくりすることが多いですね。
山口:あんまりお出かけはしないですか?
藤原:はい。出かけるとしたら、美容院で髪の毛染めたり、まつ毛パーマしたり、それくらいですね。
山口:美容は好きですか?
藤原:はい!ネイルは行けてないんですが、まつ毛と髪の毛の色は楽しんでいます。
山口:それで自分のテンションを上げて頑張れたらいいですよね。
藤原:はい。
山口:お客様もたくさん入る開催も多くありますが、ご声援や応援の力っていうのは感じますか?
藤原:力になります!12月の川崎では、毎日悪い着を取ったのに、走り終わった後に「頑張れよ」という声が聞こえてきたので。「本当にすいません......」と思っていました。
山口:それだけ期待してるよっていうことですね。
藤原:そう思って頑張ります。
山口:今後もたくさんご声援を受けて頑張ってください。
では、最後にオッズパーク会員の皆様へ2024年の目標をお願いします。
藤原:目標ですか、うーん。なんだろう。
山口:GIに全部出る!とか〇回優勝する、など、何かあったら...。
藤原:完全優勝をしたいです!
山口:予選の1着を増やしたいというお話でしたもんね。完全優勝というのは特別ですか?
藤原:はい、1着が3つ並ぶのは絶対スッキリしますよね。決勝戦はすごく緊張しそうですけどね。頑張りたいです。
山口:ぜひ頑張ってください。それではファンの皆様へメッセージもお願いします。
藤原:いつも応援ありがとうございます。2024年も優勝できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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2023年12月8日の岸和田競輪場で通算52人目の500勝を達成した坂上樹大選手(石川80期)にお話を伺いました。
大津:500勝達成おめでとうございます。
坂上:ありがとうございます。
大津:達成されたお気持ちはいかがですか。
坂上:率直に嬉しいです。
大津:500勝という数字はどのように受け止められていらっしゃいますか。
坂上:【〇百勝】という節目がある中で、500勝というのは選手の中で一つ目標としている数字ですし、歴代の偉大な選手が達成している記録でもあるので僕も取れたら良いなぁって思っていたら達成することが出来たので良かったです。
大津:デビュー当時から【500勝】への意識はあったのですか。
坂上:デビューした時はそんな目標は立ててなかったです。とにかく勝ちたい、一着を取りたいってそんな感じでした。それが積み重なって500勝が近くなった時に意識し始めましたかね。100勝して200勝して、節目の勝利を達成する度に「今度は300勝出来たらいいな。」「次は400勝したいな。」ってそんな思いでやってました。
大津:では、次は600勝を目指してということになりますか。
坂上:そうですね、600勝できるかっていうのは正直分からないですけど次の一勝っていうのは常に変わらず思っています。勝つっていうことが僕たち選手がお客さんに貢献できる一番のことですから。
大津:選手によっては節目の勝利の際に記念品を作っている方もいらっしゃいますが。
坂上:周りで500勝を達成した選手の方にどうしているのか色々と聞いてはいます。自分も作ろうとは思っているのですが、今のところ何を作ろうかっていうのは決まってないです。今まではトートバッグやTシャツを作りました。
大津:坂上選手はデビューしてから勝ち星を積み重ねるペースに差がないように感じます。
坂上:ほんとですか。一着は多いかなって思ったことはあります。周りからも「一着選手だね。」って言われたこともありますし。着をまとめるっていうか、それよりかは一着を取ってる感じですかね。
大津:そういうのは自力選手に多いイメージがありました。
坂上:そうですよね、中部でいえば山内卓也さん(山内卓也選手・愛知77期)とか志智さん(志智俊夫選手・岐阜70期)とかもそういうイメージがあります。中部の追い込み屋には多いですかね、縦足があるんだと思います。
大津:興味深いデータがありまして坂上さんは冬場によく節目の勝利を挙げられています。
坂上:夏より冬のほうが好きってのはありますね。寒いほうが気持ちがピリッとするんですよ。暑いとダラッとしちゃうというか。だからといって冬場のほうがタイムが出るとか得意とかってわけじゃないです。
大津:500勝を達成した岸和田の初日は目標不在のレースでした。
坂上:中部地区で自力型がいなくて付けられる選手もいませんでした。鷲見選手(鷲見逸喜選手・岐阜79期)が僕と一緒だったんですが、彼が任せるよって言ってくれたんでじゃあ流れを見ながらやろうって思ってました。中団中団を確保しながらって思っていたらジャンで前が踏み合っていて、このままだと僕が一番後ろになりそうだったので追い上げていこうと思った時に前の選手が緩めていたので、僕自身の勢いを殺すのが勿体なかったので、そのまま前に出ちゃいました。縦はどこかでは出そうかなって思ってましたが、あんなに早く行く予定は全くなかったです。
大津:決まり手は【捲り】でしたが【逃げ】みたいな仕掛けでしたもんね。
坂上:レース終わったあとに周りからも言われました。僕の中では【捲り】でも別に良いかなぁって、なんだったら【差し】でも(笑) 俺は自力屋じゃないんで決まり手にこだわりはないですね。
大津:今回逃げ切ったからといって今後坂上さんが前を走る時に戦法が変わることはないってことですね。
坂上:A級戦なので縦を出す準備というのはいつでもしていますけど、レースで中部の選手がいたら僕はその選手の後ろに付けますから、自力でどうのってのはあまりないです。
でも誰もいなくて任されたときは頑張りますよ。今回も鷲見が「任せるよ」って言ってくれたんで、それには答えなきゃいけないなって思いました。
大津:レース後は鷲見選手を讃えるようなコメントも出されていましたね。
坂上:俺が自力屋じゃないから鷲見も抜けるだろうと、俺を残さないかんと考えてくれてたと思うんです。僕も走ってて「いかん、これは6着か7着になるやつや。鷲見頼むから残してくれ」って思ってましたから。そしたらまさかの押し切りだったので自分でも驚いています。
大津:普段の練習では自力も出しているんですか。
坂上:練習ではみんなやってると思います。追い込み屋だからといって追い込みの練習だけではなく自力の練習も。じゃないとレースにならないんです。自力型の選手はレースでも自力を出すのでそこまで脚は落ちてこないと思うんですが、僕らはレースでは人の後ろを回るので脚力が落ちていくんです。だから練習で自力を出して脚力を強化しておかないと競走の時に苦労しますね。
大津:後ろを固める上で大切にされていることはありますか。
坂上:まずはラインの3車で決めることです。2車ならワンツーですね。ラインで上位独占を決めるために追走をしっかりする、守り切る、前を残すってのは常々考えています。そのためにレースの前にはしっかりと話をします。みんなが同じ気持ちをもってレースを走らないといけません。その中で誰が1着2着3着でも良いんじゃないかなって気持ちは正直あります。ラインの誰でもチャンスないと意味ないんで。だから4番手とか5番手ってのはよっぽどじゃない限り、皆で話をして回らないほうが良いんじゃないかと言います。車券に絡めるのは3人しかいませんからね。買ってくれてるお客さんのためにも全員が一着を目指せる位置があるのが良いんじゃないかなって。
大津:確かにファンからすると自分の推してる選手が5番手だと複雑な気持ちになりますもんね。
坂上:そうですね、選手からしても我慢して回るんじゃなくて本当に納得して回るのであれば良いんですけど、そうじゃない思いが少しでもあるなら僕はきっちりと話し合いをしてラインを決めるべきだと思っています。
大津:そういう思いはお弟子さんたちにも伝えているのですか。
坂上:僕たち選手は僕たちだけの勝手な思いで走ってはダメなんだよってのは伝えています。お客さんが見てくれているわけですからね、だから途中で着を諦めてしまうような走りはしてはいけないって言ってますね。じゃないとお客さんに失礼じゃないですか。もちろん僕たちも人間なので調子の波はあります。だけど、その中で手を抜かないっていうかその時の100パーセントは出してほしいですよね。
大津:今年は6度の優勝がありましたが、どんな一年でしたか。
坂上:久しぶりに良い一年でした。腰を壊したり、首を壊したり、膝を壊したりと色々あったんですが、以前に怪我したそういった部分が癒えてきたってのもありますし、落車もなかったので身体的に良かったのが今年の成績に繋がっていると考えています。皆さんもお分かりだと思うんですけど競輪って成績が良くなって点数が上がると番組にも恵まれるんですよね。そういう部分が全部恵まれた気がします。
大津:来年はS級に返り咲きますね。
坂上:前に同じ状況だったときは厳しかったんですが今回は戦える状態だと思います。
ただ、今言ったようにA級からS級に上がったばかりだと点数がない状況なので番組としては厳しい番組になるんじゃないかって思いますね。2番手じゃなくて3番手を回る機会も増えそうです。でも、その中でラインで決められるよう頑張ってコツコツと点数も上げていきたいです。そうすればS級でも戦えると思います。
大津:今後の目標を教えてください。
坂上:長く選手を続けていきたいですね。そのためにも身体の状態を良くして、練習も怠らずにやっていきたいです。チャレンジとかの下のクラスに落ちてしまうとあっという間に終わってしまうと思うんです。だからS級とか上位に長く居られるよう一戦一戦丁寧に走りたいですよね。
大津:何歳までっていう具体的な年齢目標はありますか。
坂上:60歳まではとりあえずやりたいです。
大津:では、また節目のインタビューで沢山お話がお伺いできそうです。
坂上:500勝を達成している選手は最近増えてきているので600勝はやりたいですね。
大津:最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願い致します。
坂上:一つ一つのレースを一生懸命に頑張ってお客さんの車券に一つでも絡めるように頑張っていきます。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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