
競輪界で初めての試みとなった佐世保ミッドナイトGIII。
その初代王者となった松本貴治選手(愛媛111期)にお話を伺いました。
ナッツ:佐世保ミッドナイトのGIII制覇おめでとうございます。
松本:ありがとうございます。
ナッツ:改めて今のお気持ちはいかがでしょうか。
松本:素直に嬉しいですね。
ナッツ:意外にも、優勝自体が去年の2月以来ということで久々の優勝になりました。
その辺りはいかがですか。
松本:そうですね。気持ちは切らさずにずっと練習していましたし、かなり久々に優勝できたなという感じがします。
ナッツ:このミッドナイトを迎えるにあたっての状態面としてはいかがでしたか。
松本:特に変わらずですね。別に悪くもないしいつも通りという感じでしたね。
ナッツ:ちなみにミッドナイトを走るというところに対する対策は何かされたりしたんでしょうか。
松本:もう特にミッドナイトだからといって変えるようなことは何もなかったですね。
いつも通りに臨みました。
ナッツ:実際に走ってみての感覚はどうでしたか?普段のナイター開催などと比べるとさすがに遅い時間ではありましたが。
松本:この時期の暑さみたいなものがなかったんで逆にそこは走りやすかったですね。
ナッツ:むしろメリットもあったのですね。普段は松本選手は朝型、夜型のどちらなんでしょうか。
松本:あまり夜は得意じゃなくて、どっちかと言えば朝型ですね。
ナッツ:ではミッドの決勝の時間帯は普段は寝ている時間なのでしょうか。
松本:はい、寝ていますね。でも走ることに関しては、そこはそんなに気にならず走れましたね。
ナッツ:では少しレースを振り返っていただきたいのですが、初日特選は後藤大輝選手(福岡121期)に付けるレースでした。初めての連係で後藤選手は先行勝負でしたが、付いていていかがでしたか。
松本:後藤君が凄くいいペースで駆けてくれていたので、もう本当に僕は特にすることもなかったですね。
ナッツ:雨谷一樹選手(栃木96期)も外を捲ってきましたが、あの辺りもしっかりと松本選手は見えていましたか。
松本:はい、しっかりと見えていました。ただ後藤選手が良いペースだったので、もうあとは交わすだけでした。
ナッツ:一走してみて、普段と違う感じというか、ミッド特有の感覚みたいなものはありましたか。
松本:前検日と初日はすごくレースまでの時間が長いなあという違和感はありましたね。
でももうそこから走ってしまったら2日目以降は特に変わりはなかったですね。
ナッツ:しっかりと適応していったわけですね。その中で2日目は久田裕也選手(徳島117期)に前を任せるレースでした。最終ホームからの早めの捲りでしたが、付いていていかがでしたか。
松本:行けるところからしっかり行ってくれたので、僕はもう任せているだけでした。
ナッツ:最終2センター付近では瀬戸栄作選手(長崎109期)も内から来ていましたが、あのあたりも見えてましたか。
松本:あそこは内にいるのが則さん(佐々木則幸選手・高知79期)だと思ったのでびっくりして、なかなか難しかったです。ただ、そこは落ち着いて冷静に対応出来ました。
ナッツ:そして決勝戦です。相手の九州勢は2段駆け体制の布陣でしたが、作戦としてはいかがだったんでしょうか。
松本:本当は初手で前が欲しかったんですけど、ちょっと僕がスタート失敗して後ろ攻めになってしまいました。でもそれでも久田はしっかりやることやってくれたんで何とか、って感じですね。
ナッツ:久田選手は2日目と同じようなところからの仕掛けでした。
ただ途中で牽制されて厳しくなって、そこから松本選手は内に切り込む感じでした。
あの辺りのご自身の対応としてはいかがでしたか。
松本:久田もスピードが前と合ってたので苦しかったと思うんですけど、仕掛けてくれたのでスピードをもらうことができましたね。
ナッツ:その後は阪本和也選手(長崎115期)の牽制もありながらも、外併走を乗り越えました。あの辺りはいかがでしたか。
松本:もう必死でした。脚の余裕はなかったんですが、とりあえずへばりついて行けるところまでっていう感じでした。
内には平原選手(平原康多選手・埼玉87期)も見えていましたが必死に踏みました。
ナッツ:そしてゴール前勝負。かなりゴール線は際どかったのですが、ご自身の感覚としてはどうでしたか。
松本:感覚的には届いたかなと思ったんですけど、やっぱり確信はなくてどっちだったんだろうって。
ナッツ:その差は8分の1車輪でしたが、見事に届いての優勝でした。
選手によっては、かなりの接戦でもゴール線での勝ち負けはわかると聞いたこともありますが、やっぱり松本選手もそのあたり感覚はなんとなくわかるものなのでしょうか。
松本:そうですね。もうめちゃくちゃ先行してきつい時とかはわかんないんですが、多少余裕ある時はわかりますね。
ナッツ:また、松本選手は今回、人の後ろを3日間回りました。
もちろん松本選手は自力も強い選手である中で、近況人の後ろも少しずつ増えてきたのかなと思いますがご自身の中で自力戦と番手戦の違いだったり感覚はいかがでしょうか。
松本:そこは「ラインとして機能するように」というのを心掛けているので自力でも番手でもそんなに変わらないですね。
ナッツ:ご自身の中では自力と番手のどちらが自分に合っているなというのはありますか。
松本:いや~どうですかね。どちらでも同じ気持ちで頑張りたいなって思ってるので、その時その時でって感じですね。
ナッツ:どちらでも良いレースができるように、ということなのですね。
ちなみに松本選手は普段はどういった練習されてるんですか。
松本:街道練習がメインですね。タイミングが合った人と一緒に、という感じであまりバンクには入らないです。割合で言ったら街道7、バンク3くらいで、街道練習の方が多いです。
ナッツ:街道の方が松本選手にとっては合っているのですか。
松本:そうですね。今年に入ってからちょっと街道練習を増やしたんですけど、そっちの方が感覚がいいなという風に思います。
ナッツ:松本選手というと、過去にはヤンググランプリを制しましたが、やはり今後ビッグでの活躍を期待されてるファンも沢山いらっしゃると思います。ご自身の中ではそのあたりに対して強化していかないといけないなっていう部分はありますか。
松本:トップスピードですね。最近はトップスピードがやっぱり上がってきているので、そこですね。トップスピードを上げていかないと、やっぱりGIの準決勝とか、あの辺りはもう全然違うなっていう風に感じるんですよね。
ナッツ:もうそこは練習をして強化していくしかないっていうような感じでしょうか。
松本:練習はもちろんなんですけど、それだけじゃなくて、やっぱり自転車のセッティングなども含めて、色々と考えないといけないなと感じています。
ナッツ:総合的に、ということなのですね。
話は変わりますが、松本選手と言えば植物がお好きっていうところがイメージとして強くあります。植物好きなきっかけとしては何があったんでしょうか。
松本:自宅に何か観葉植物を置きたいなあと思ったのがきっかけなんですけど、そこからどんどん増えていきました。そこから今1番好きな塊根植物っていうのにたどり着いた感じです。
ナッツ:観葉植物を置きたいなっていうところからこうして広がったのは、植物のどこに魅力を感じたんですか。
松本:うーんうまく説明できないのですが、癒されるっていう感じですね。
ナッツ:競輪選手の中では金子貴志選手(愛知75期)をはじめ、何人も植物好きがいらっしゃいますが、競輪と繋がる何かがあるということなんでしょうか。
松本:金子さんも言ってるんですけど、かっこよく育てるためには、土だったり、水のあげ方や太陽光とか風とかのバランスがやっぱ大事なんで、そのあたりの正解を見つけていくのが自転車と似てる感じですかね。
ナッツ:育て方でそんなに変わってくるんですね。
やっぱり松本選手も自分で育てて、全然違うなっていうのは感じるわけですか。
松本:全然違いますね。もう水遣りしていればいいっていう簡単なのもあるじゃないですか。
でもやっぱり塊根植物はそのあたりが変わってくるのが魅力ですね。
ナッツ:競輪界でも植物部がありましたよね。松本さんが部長ですか。
松本:いや、それは金子さんですね。あとは松岡健介さん(兵庫87期)や野口裕史さん(千葉111期)あたりが部員です。
ナッツ:宿舎で話したりっていうことも結構あったりするんですか。
松本:最近一緒の開催になる機会も多いのでその時は話しますね。
ナッツ:まだ植物の魅力に気付いていない方に、松本選手自身も魅力を話したりということもありますか。
松本:そこはあんまり理解されないんで自分からは話しませんね。笑
もし聞かれたら話す感じですね。
ナッツ:興味持って聞いてくれれば話すのですね。笑
貴重なお話をありがとうございました。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
松本:GIで活躍できる選手になっていきたいというのが目標なので、今後とも変わらずに頑張っていきます。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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サマーナイトフェスティバル(GII)を制し、今年初のビッグ獲得となった眞杉匠選手(栃木113期)にお話を伺いました。
大津:サマーナイトフェスティバル(GII)優勝おめでとうございます。
眞杉:ありがとうございます。
大津:今年初のビッグタイトル獲得です。
眞杉:今年は1月に落車して、復帰してまた3月に落車してと落車続きで、特別競輪も決勝に乗れない状態でかなり出遅れていたのですがここで一回優勝出来て自信にもなりましたし、後半戦に向けて戦える状態になってきたなと思います。
大津:近況、勝ち星も増えてきていますが、その辺りはいかがでしょうか。
眞杉:準決勝戦で負けてしまって力を出し切れないことが多いので、正直「うーん。」って感じです。
大津:相手も眞杉選手をかなり警戒してますもんね。
眞杉:それもあると思うのですが、警戒されるってのはトップ選手の誰しもが通る道なのでその中でどう勝ち切るかってことですよね。
大津:取手記念(GIII)の最中は毎日自転車をいじっていたと仰っていました。
眞杉:落車の影響で自分の身体の状態も以前とは違いますし、自転車も壊れてしまい他の自転車にしたのですが、そこも上手くマッチしていない部分もあったのでそこを試行錯誤しながら自転車を触っていました。
大津:サマーナイト(GII)までに自転車はしっくりきたんですか。
眞杉:正直セッティング面にせよ、身体の部分にせよ抜群に良かったって感じではなかったです。前よりも調整力というのは上がったかなって思っています。
大津:初日振り返ってはいかがですか。
眞杉:結果的には内に詰まってしまって自分らしいレースが出来なかったというか、良くないレースをしてしまいました。力を出せずに脚を余して終わってしまいました。
大津:2日目は山崎賢人選手(長崎111期)の先行を捲っていきました。
眞杉:それも相手が相手なので考えて走った結果だけなんですが強いレースをしたかと言われるとそうでもないですね。
現状に応じた走りしか出来ていませんし、そこをどう改善していくかっていうのが今年の課題ですね。
大津:ただ、この勝利が節目の200勝となりました。
眞杉:正直通過点でしかないです。僕らの場合、同県に900勝を達成されてる神山さん(神山雄一郎選手・栃木61期)がいるので、その神山さんと比較すると700勝足りないので。
大津:その神山さんとは何か話はされたのでしょうか。
眞杉:この間バンクで会った時に「あと700勝で神山さんに追いつきますね。」って話はしました。そうしたら笑ってました。
同県にそのような先輩がいらっしゃることは目標にもなりますしアドバイスもいただけますし、本当に大切な存在です。
大津:決勝はどのような組み立てを考えていたのでしょうか。
眞杉:車番が悪くて好きな初手位置を選べる車番ではなかったので、前か後ろだなって思っていました。前になったら他のラインを出させたら勝ち目はないので南関東にしろ近畿にしろ出さないつもりでした。
で、後ろなら後ろで前に出切れるようにしっかり叩こうと考えていました。中途半端に浮いてしまったら話にならないので。
大津:どちらにしろもがき合いは覚悟してって感じだったんですね。
眞杉:そうですね、南関東も番手が郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)でしたから構えることはないだろうし、出させたら出させたで郡司さんが縦に踏んで行くだろうから出させるつもりはなかったです。
大津:その中で結果的に初手は中団が取れました。
眞杉:前を取りに行ってみて、ダメなら後ろって感じだったのでそれで中団が取れたのでこれは思ってもいない良い並びだなって思いました。
大津:中団が取れてからは何に気を付けていましたか。
眞杉:周回中から前が突っ張るだろうなって思っていたので、そこで自分が遅れたら自分の位置に誰かが入ってくるので、そこだけ入られないように集中していました。
古性さん(古性優作選手・大阪100期)と郡司さんがやり合っていて勝敗がついたら今度は自分のところに来るだろうなって思っていたので油断しないで走っていました。
大津:最後は自ら踏み上げていきましたが、あそこはいかがでしたか。
眞杉:正直前が2周半からずっとかかっていた感じで僕も全く余裕はなかったです。
大津:古性選手の2度のブロックを堪えて乗り越えました。
眞杉:残り1周の段階では僕と郡司さんが並んでいたので、そこでは行けなくて1センターから2コーナー辺りで行かないと3コーナーで浮かされてしまうので一気に仕掛けました。
脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)の後ろにいるのが古性さんなのでそれくらい来るだろうなって想定しながら走ってました。なんとか直線で乗り越えられたらなぁって感じでした。
大津:本当にこの優勝が後半に向けて弾みになってくれたら良いですね。
眞杉:そうですね、後半戦に向けては良いスタートを切れたと思っています。
大津:ここから後半戦に向けての目標を教えてください。
眞杉:やっぱりグランプリはまた走りたいので賞金面でもそうですし、しっかり権利を取っていきたいですね。
大津:オールスター競輪(GI)はディフェンディングチャンピオンとして臨むシリーズになります。
眞杉:そこまで意識せずリラックスしていきたいです。もちろん連覇は狙っていきます。
大津:ファン投票6位です。
眞杉:初めてドリームレースも走らせていただきますし、単騎なので一発を狙って走らせていただきます。
大津:「眞杉選手の単騎は買いだ」という声をよく聞きます。
眞杉:単騎は嫌いじゃないですが難しいですよ。1発しかないんで、その1発を逃さないようにしないといけないから。いい意味で気楽に走れますし、1着だけを狙って走れるので好きですけど、ドリームレースは相手8人が全員SSみたいなものじゃないですか。
そう簡単ではないのでしっかりとレースの流れに付いて行きたいですね。
大津:平塚の相性はいかがですか。
眞杉:ダービー(GI)で走って負けてしまったのであまり良いイメージはないです。でも、松戸も僕は優勝したことなかったんです。なので今回のシリーズで平塚を良いイメージに変えられるよう頑張ります。
大津:今まで獲ったタイトルがすべてナイター開催とナイターには一層強いイメージがあります。
眞杉:そうですね、なのでそこは自信をもって走りたいです。
大津:小林泰正選手(群馬113期)や森田優弥選手(埼玉113期)という同世代の存在はいかがでしょうか。
眞杉:皆で合宿したりと全員が高い志をもってやっているので僕も凄い励みになりますし、レースでは一緒に練習をしているぶん気持ちの入り方も変わってきます。
3人でGIの決勝に乗るのが目標です。森田との連係や、泰正との連係はありますが、その3人での連係はまだないんですよね。並べるとしたら記念ではなく特別競輪だと思うで、そこを目標にしていきたいです。
大津:その時はどういう並びになりますか。
眞杉:その時はもう前に行かせますよ(笑)
大津:9月は地元で共同通信社杯(GII)もありますし大切な戦いが続いていきますね。
眞杉:9月に関東勢で合宿をやる予定で他県からもけっこう集まってくるので、そこで皆でしっかり仕上げて臨みたいです。
大津:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いいたします。
眞杉:おかげさまでオールスター競輪(GI)のドリームレースを走らせていただけますしっかりとその期待に応えられるよう内容を含めて頑張っていくのでこれからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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今年の『女子オールスター競輪』のファン投票で11位になり初めてビッグレースに出場することが決まった河内桜雪選手(群馬122期)。ファン投票の結果を受けての今の心境やビッグレースへの意気込み、現在の調子をお伺いしました。
山口みのり:まずはファン投票11位での『女子オールスター競輪』出場決定おめでとうございます。
河内桜雪選手:ありがとうございます。
山口:中間発表が今年は出ましたがチェックしていましたか?
河内:もちろんチェックしていました。中間発表では6位だったので、それを見たときはかなりびっくりしました。去年より票数も伸びていたんです。去年の自分からしたら「たった1年で自分のことを応援してくれている方がこんなに増えて嬉しい」という気持ちです。
山口:1年を通して全国の競輪場での走りで覚えてもらった証拠ですね。
河内:そうですね。後は、私はありがたいことにテレビ出演も多くさせてもらったので「テレビで私(河内選手)を見て初めてガールズケイリンを知って興味を持ちました」と言ってもらえることも多くありました。それで競輪を始めた方が増えるのも嬉しいです。
山口:河内選手きっかけで始めたよ、という方がいるのは嬉しいですね。
河内:はい!私を応援してくださっている方は「最近競輪を知って始めた」という方が多い気がします。テレビを見てくれたり、記事を読んだりなどで、どんどん広まっているのかなと思うと嬉しいです。
山口:そうですよね。ファン投票の最終結果は11位でしたが、この結果はいかがでしょうか。
河内:いくら中間発表が良かったとはいえ、その後は競輪場に実際に足を運んでいただいている方が投票している期間だと思ったし「長く続けている選手には勝てないのかな」と思っていたんですが、最終的に11位ということでとても嬉しいです。
山口:女子オールスター競輪への出場も叶いましたもんね。
河内:はい、それが一番嬉しいです。でも同期の又多風緑選手(石川122期)も中間発表では14位にいて、一緒に出場できたら良いなと思っていたのですがそれは残念でした。また来年一緒に出られるように私も頑張りたいです。
山口:お二人、仲良しですよね。
河内:はい、プライベートでも連絡を取り合ったりします。
山口:来年は『女子オールスター競輪』はGIになりますし、また特別な大会になりますね。
河内:はい、今年から3日間に変わったということで、出られるのは嬉しいです。
山口:出場が決まったということで、練習はどんな感じでしていますか?
河内:ガールズグランプリ出場の選手たちもたくさんいるので、それにびびってしまっています。練習量を増やしているし、追加も積極的に受けてできるだけ経験を増やすようにしています。
山口:オリンピック出場のナショナルチームの選手たちも戻ってくるようですよね。
河内:はい、そうみたいですね。オリンピック後なので相当仕上がっていると思うので、私もしっかり仕上げて恥ずかしい思いをしないようにしたいです。緊張は今からかなりしています。
特にナショナルチームの選手達とは近況は一緒に走っていないので、どんな強さなのか想像もできないですね。
山口:そうですよね。河内選手はビッグレースは初出場ですが緊張の方が大きそうですね。
河内:はい、めちゃくちゃ緊張しています。やばいです(苦笑)レベルが違うことは目に見えているので、どこまで食らいついていけるかですね。
山口:デビューして2年でのビッグレース選出はいかがですか?
河内:自分では全然予想がつかなかったのでびっくりです。去年のファン投票もデビューして1年半の私にとっては「たくさん投票していただけて嬉しいな」と感じていました。
実は私が競輪選手を目指したのは、2014年前橋で行われたオールスター競輪でのガールズケイリンコレクション(『ガールズケイリンコレクション2014 前橋ステージ ドームクイーンカップ』)を見たのがきっかけだったんですよ。小学校6年生のときで今でも覚えています。だから自分がまさかその舞台に立てるとは思っていなかったので凄く嬉しいです。10年越しの夢が叶ったということなので。
山口:そうだったんですね。夢の舞台ですね。
河内:はい。
山口:近況、追加を受けたりというお話がありましたが、何か試したいことがあったんですか?
河内:一番はレース勘を途切れさせないためです。久しぶりにレースを走るとき、私はすごく緊張をして震えてしまうんです。だから私はたくさん走っている方が良いタイプですね。でも成績は伴わないのが反省です。どうしても疲労はたまりますから、そのバランスは難しいです。
ただ8月はちょうどよくレースの間隔が空いているので、オールスターへは練習とケアとでバランス良くできそうです。メンタルも強化していきたいですね。
山口:緊張もするというお話でしたもんね。
河内:過度にしすぎるという訳ではないと思うのですが、緊張すると自分に自信がなくなってしまい力を出せないから、それを改善していきたいなと思っています。レースを走って慣れていくしかないと追加も受けて走っているんです。
でもオールスターでは私は挑戦者なので、その気持ちでいけば緊張せずに食らいついていけるのかなと思います。
山口:今年は単発レースではなく3日間の開催ですが、緊張は徐々に抜けていくのではないでしょうか。
河内:単発だとチャンスは一走だけですが、3日間だと「初日にだめでも次の日にもチャンスがある」と思える気がしますね。今想像しているよりもより緊張をするはずなので、初日よりも2日目とだんだん普段のように走れたら良いですね。
他の選手のアップを見たり、学べることもたくさんあるはずだから、挑戦と学びをこめた開催にしたいです。
山口:全員が先輩なんですね。
河内:はい、122期も一人だし、私は高校卒業後すぐに養成所に入ったので年も一番下です。
山口:このメンバーで、気軽に話せる方はいますか?
河内:開催に行くと皆さん話してくれますが、最近イベントで一緒になったのは荒川ひかり選手(茨城110期)です。吉川美穂選手(和歌山120期)もレースでよく一緒になりその時にたくさん話します。日野未来選手(奈良114期)とはこの間、後泊を一緒にしました!
山口:少しでもレース以外は普段のように過ごせると良いですね。
河内:はい、皆さん優しいです。
山口:たくさん得るものがありそうですか?
河内:はい。たくさん皆さんを観察します(笑)
山口:アップのやり方とか過ごし方は皆さん違うと思いますが、他の選手を見て「自分も取り入れよう」ということも多いんですか?
河内:ケアグッズは特にみんな持っているものがバラバラで、見たことのないものを持っている方もいます。最近の流行りは「シャクティマット」というインドの鍼ベットのマットです。小さな鍼がたくさんついていてそこに寝てケアをします。この間それを持っている方がいて試させてもらいました。
山口:検索したら出てきました!たくさんトゲトゲがついているんですね。
河内:はい。これをすると良く寝られるんですよ。選手はアドレナリンが出て夜はなかなか寝られないことも多いので、ケアグッズはどんなものを使っているのか気になりますね。
山口:練習方法とかの意見交換などはしますか?
河内:ライバルなので「どんな練習をしているのか聞いて良いのかな......」と心配になることもあるんですが、日野未来選手には聞いちゃいました。脚質が私と同じでダッシュタイプなので、どんな練習をしているのか気になって聞きました。
山口:教えてくれるのは良いですね。河内選手は女子オールスター競輪のある平塚競輪場は、過去に一度走っていますね。印象はいかがですか?
河内:デビューしてすぐだったのでそこまでは鮮明に覚えてはいないのですが、風が強かったですが軽かった印象です。キラキラしていて綺麗でした!
山口:お客様も多い競輪場だと思います。
河内:そうですよね。GIだしかなり入りそうですよね。
山口:ご声援は力に変えられるタイプですか?
河内:嬉しいです。特にこんな大きなレースで自分の名前を呼んで応援してもらえたらめちゃくちゃ嬉しいです。
山口:では行く方は「さゆきー!」とご声援してください(笑)
河内:お願いします!このメンバーで私に声援があると想像するとテンションが上がります!
山口:では近況について伺います。ずっと決勝に乗っていますが、振り返っていかがですか?
河内:決勝には乗っているんですが、優勝をまだしたことがないんです。優勝をできるチャンスというのは今まで何度もあったと思うのですが、そこで自分がヘマをして優勝には手が届いていません。3日間の集中力を決勝に一番高められるようにしたいです。まだまだ決勝に進むのにいっぱいいっぱいになって、予選の2日間で精神的にも疲労が積み重なってしまい、余力がないんだと思います。安定してずっと決勝に乗れればいいんですけどね。
山口:成績だけを見ると安定しているように思えますが、そうじゃないんですね。
河内:はい。成績は1月から決勝を外していないので安定しているように見えるんですが、初日に外枠になって強い選手が内枠にいると「ヤバい!」と思ってどう展開を作ろうかめちゃくちゃ考えています。焦っていることもたくさんあるんです。
山口:そうなんですね。最近は1着の回数も増えていますね。
河内:はい。3日目一般戦での1着は今までもあったんですが、最近は予選で1着を取れることも少しずつ増えてきました。その辺りは良いのかなと思います。
山口:あとは優勝、なんですね。
河内:はい。もし一度優勝ができたらそこからは波に乗れるのかなとも思います。でも今、「流れに乗れない」と落ち込んでいる気持ちはあまりなく、去年よりは競走得点は上がっているので「少しずつでも成績が上がっているから大丈夫」と自分を励まして頑張っています。
山口:一気に、というのではなく徐々に上がっていきたい、ということですね。
河内:はい。レースが詰まっているとレース勘は良い感じなんですが、その分練習時間はどうしても少なくなってしまいます。そのバランスが難しいなと最近は感じています。オールスターまではちょうどよくレースが入っているので、次までにたくさん練習をして別府で感覚を掴んで、オールスターへいきたいです。
山口:大きいレースということで、そこで初めて競輪を見る方もたくさんいると思うのですが、どんな部分を見て欲しいですか?
河内:本当にまだ未熟ですが、そんな私がどこまで食らいついていけるかというところですかね。私を信じて車券を買ってくださっている方もいると思うんですが、私が3着までに入ったら絶対高配当になると思うので、車券を買ってくださった方に恩返しできるように追い込んで頑張るので、期待しすぎずに応援して欲しいです。
山口:ファン投票で入れてくださった方は買ってくださいますよ。
河内:そうですよね。頑張りたいです。
山口:練習面での強化ポイントは何ですか?
河内:女子オールスター競輪はスピードが普段と全然違うと思います。私がいつも練習している前橋ドームはスピードが出るバンクなので、男子で一緒にオールスター競輪に参加する小林泰正選手(群馬113期)をはじめ群馬の選手もかなり追い込んで練習をすると思うので、私も男子選手に付いていけるようにスピードを強化していきたいです。
山口:小林選手は今年、GIの決勝に乗って、その後に前橋記念(GIII)を完全優勝されましたもんね。
河内:はい。泰正さんは誰よりもたくさん練習をしていると思います。見ている方が、練習をやり過ぎて気持ち悪くなりそうなくらいキツイ練習もしています。私も見習っていきたいです。
山口:練習環境は抜群なんですね。
河内:はい。強い選手もたくさんいますし、私を面倒見てくださる方もたくさんいてありがたいです。女子が少ないので、男子と練習する機会がどうしても多いです。自分がいることで皆さんに迷惑をかけていることもあると思うんですが、皆さん優しく一緒に練習してくれます。時にはマンツーマンでもがいてもらったりもします。女子よりも男子はスピードがあるので、ビッグレースに向けては良い環境で練習ができていると思います。
山口:ありがとうございます。それでは最後に女子オールスター競輪へ向けての意気込みを、オッズパーク会員の皆様へお願いします。
河内:かなり緊張をしていますが、オールスターへ向けて仕上げて強い選手に食らいついていくので、いっぱい応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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6月に行われた高松宮記念杯競輪(GI)の初日に通算500勝を達成した浅井康太選手(三重90期)。輪界の哲学者とも言われる浅井選手の考え方やレースに対する姿勢など、様々なお話を伺いました。
ナッツ:まずは通算500勝おめでとうございます。
浅井:ありがとうございます。
ナッツ:少しお時間経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか。
浅井:やっぱりJKAの表彰規程に定められている500勝を達成できたっていうことは嬉しく思いますし、もちろんファンの皆様、そして自分を支えてくれた練習グループや先輩方にも感謝しているところですね。
ナッツ:18年11か月の月日を経ての500勝というのはいかがでしょうか。
浅井:やっぱり最初の頃はすごく弱くてかなり苦労したんですけども、先輩方や師匠に厳しく育てられて今の自分があるし、やっぱり厳しく育てられたことで強くなれたなっていう認識はすごくしてます。良い環境に連れていってもらえたって感じですね。結果がよければやっぱり良い環境っていうところなんで、そういうところに導いてもらえた。だから今も良い環境で上位で走れたり生活できたりっていうところに繋がってるかなとはすごく思いますね。
ナッツ:なるほど。その良い環境っていうのは、決して甘やかされるわけじゃなく、厳しくされている環境があってこそっていうところなんですね。
浅井:僕はそう感じましたし、やっぱり今の近代的な子にはそれは通用しない。パワハラとかいろんなところで出てきてしまうんですけれども、やっぱり強くなろうっていう気持ちでどういう風に動いていくかとかが今の子は考えながらやることが大事かなって思います。そこを強制するわけじゃなくて、各自が頑張って強くなってもらえたら、僕もそこに導かれて、逆にしっかりとついていかないといけないっていう認識ができるんで、若い子にこれから育てられる自分でもあるのかなとは感じるところもありますね。
ナッツ:やっぱりそのあたりの考え方の柔軟さというか...本当に色々なことを考えてらっしゃるっていうところが、浅井選手の1番の魅力だなと個人的には思っています。
浅井:それはやっぱり考えてなくて色々苦労もしたし、今でも苦労もしてるしってところなんです。人生なんてね、いいことってほんの数回しかない。だから、苦労して苦労して、苦労することで学んだなっていうところで、いいことが本当にたまにあればいいかなって感じで生活してるんです。
ナッツ:そういう考え方っていうのは、幼少の頃からだったのですか。それともこの世界に入ってなんでしょうか。
浅井:そこは選手になって、やっぱり考え出せるようになって、発想力とかいろんなことを経験することで、ですね。突き詰めたら次のものが出てきたって感じですかね。アイデアが豊富になってるっていう状況になってしまったので。自分は人との感覚ってすごくズレがあるところはあるんです。でもそれは人とズレてるんじゃなくて、まだ世に出てないものを探してるなっていう感じですね。
例えば企業の社長さんなんて、ないものを作ろうってしてるじゃないですか。ってことは今あるものは過去のものなんで、過去のことを気にするよりも、新しいものを見つけていきたいと思ってますね。それを見つけるためには、一緒のことをやり続けることで何か出てくる可能性もあれば、逆に人に聞いたり人を頼ったりとかもできると思うんですけど、でもやっぱり自分で色々と認識しながら継続してやっていくってことを続けているんです。
500勝を達成したから新しいものをやるっていうよりも、今までの積み重ねたものをまたより一層磨き上げるではないんですけど、そういう風にしっかり突き詰めていければ、また新しいものが見えてくるかなっていうところで考えてはいますね。
ナッツ:そういう浅井選手のような考え方ができる選手って、実際それだけいるんだろうな、と感じます。
浅井:やっぱり勉強のできる賢さって世の中にはいらないと思うんです。世間一般なら賢いっていう認識が、勉強ができるとか、良い大学出てるとかですけどそうじゃなくて、やっぱり人生経験して、どういう風にやればうまく突き進めるのかとか色々考えられるんで。
それに対応能力があれば、もしくは対応能力がつけば賢い人間なんじゃないかなとは思ったりもするし、やっぱり失敗が経験になってるかなってとこですね、僕の場合は。
ナッツ:失敗を経験にっていう、よく聞く言葉ではありますけど、実際にそれを本当に実践に移せているかどうか、考えられているかどうかっていうところで差が出てきたりっていうことなんですね。
浅井:そうだと思います。だからやっぱりそういう風なところで、ナショナルチームでもしっかり考えられてると思いますよね。あとは上位陣の古性君(古性優作選手・大阪100期)にしても、清水君(清水裕友選手・山口105期)にしても、そういうところがすごい強いんだなって思えます。
ナッツ:やはり上位に行く選手っていうのは、そのあたりしっかり考えて、試行錯誤して突き詰めてっていうような感じなんですね。
浅井:そうですね。だからやっぱり歳を取ったから体力が衰えたっていう認識じゃなくて、新しいもので新しい刺激を身体や脳に入れることで何かまた生み出せればと。そしてチャンスがあればタイトルとかも狙えるんじゃないかなと思いますし、僕も40歳といってもまだまだ成長できる部分もあるかなとは考えています。
ナッツ:そんな中500勝を達成したレースに関してもお話を伺いたいと思います。
高松宮記念杯(GI)の1走目で藤井侑吾選手(愛知115期)に前を任せるレースでした。
相手は清水選手だったり伊藤旭選手(熊本117期)など強敵もいましたが、レース前のイメージとしてはどうでしたか。
浅井:基本的にイメージは500勝するぞ、っていう気持ちじゃなくて、やっぱりラインで決めようっていうところでしたね。しっかり自分の仕事をして勝ち上がりたいなっていうところと、逆にうまく決まらなかったら自分はどういう風に対応するのかっていうレースのことしか考えてなかったので。あとはやっぱりお客さんに買ってもらってる分、1着を取ることがメインになってくるので、500勝のことは頭にはなかったんですよね。
ナッツ:その気持ちで走ったその結果が500勝だったっていうような感じだったのですね。
そのレースでは、前の縺れもありましたが、ジャン過ぎのタイミングで藤井選手が仕掛けていきました。
浅井:はい、もう素晴らしいタイミングで行ってしっかりと駆けてくれました。もうあとは自分も仕事をして中部勢でワンツースリーが決まったっていうところで本当に嬉しかったです。昔からラインを組んでる富生さん(山口富生選手・岐阜68期)が3番手を固めてくれて、前の侑吾と3人で一緒に連携して、やっぱり新旧の仲間が前後にいてくれる状況で自分も達成できたんで、本当にありがたいし嬉しいしホッとしている状況っていうところですかね。
ナッツ:ゴール後には藤井選手にポンポンってするシーンもありましたもんね。
浅井:そうですね。まずはラインのことを考えて走る。それこそみんな前のことしか考えないとかあるんですけど、後ろも考えながら走るのってすごく難しくて。
こういうところで富生さんと決まったっていうところは良かったし、本当に侑吾は良いレースをしてくれたし、全体として良いレースが出来ましたね。
ナッツ:引き上げてからの周りの選手の反応はいかがでしたか。
浅井:おめでとうって言ってもらって、普段そんなに喋るわけではない、ガールズの太田美穂さん(三重112期)や當銘直美さん(愛知114期)がおめでとうございますって、紙袋に包んだコーヒー持ってきてくれて嬉しかったですね。普段本当に特に関わりはないんですけど、なんか優しいなと思って、ありがとうねって言って。やっぱりそういう風なことをしてくれることでこっちの対応も変わるし、これからもっと頑張ってほしいなっていう気持ちも芽生えるし、自分も頑張らないとっていう風に思えるしっていうところで嬉しかったですね。
あとは他の人も色々な方々からよかったなって言われたりもしたし、お祝いの言葉は沢山頂きました。
ナッツ:その500勝を達成される前のダービー(GI)ではゴール後の落車もありましたが、実際は結構大きな影響があったんでしょうか。
浅井:ほぼ歩けなかった状態で無理やり歩いてたんです。かなり厳しかったのですがやっぱりそういう部分は見せたらダメだったんで走ったっていうところなんですけど、そういうところでちょっと影響が出て、今はそこまで調子が良くないなっていうところですね。
ナッツ:浅井選手の中で、500勝にリーチをかけてからの1か月はプレッシャーだったり、緊張感というのはあったんでしょうか。
浅井:いや、特にそれはないですね。500勝だからっていうところの意識ってのは、ほぼ0でした。やっぱり自分と向き合って、自分が負けても自分の調子がいいっていう時には、負けてダメだなって思うんじゃなくて負けても自分の調子はこうだから良いなっていう認識にしたりもするんです。自分の調子が悪くても1着って取れる時あるんです。そんな時は逆にちょっと気持ちを戻さなあかんなって、上がってる気持ちを落としたりもするんです。
だから1着を取ることでどうのこうのっていうのは本当にずっと考えてなくて、勝っても負けても、自分の調子の気持ちとかどういう風にするのかっていうところで、平常心に落としたりとかあげたりとか色々するんで、そういうところで、1着に対してのこだわりはなく、自分がしっかり出来ていれば1着が勝手に取れると思っています。
ナッツ:もう着はもうあくまで結果というか。やっぱりそのあたりも本当に浅井選手はもう何事に対しても、全てを理論立てて対処しているイメージがあるんですよね。
浅井:それぐらいしないとやっぱり体力面でも負けるとこもあれば、力では負けるとこもあるんで、それなら頭動かすことを考えることで対応していけば隙間に入れるんです。
ただ、そういうところで考えることが大事とは言うんですけど、考えて練習してもあんまり意味がないんで、考え方でどういう風な差をつけるかっていうのって、物事の認識の捉え方とかいろんなことがあるんで、そういうところで使い方を変えれば変わるだろうなっていう風に思えるんです。
だからわざわざ言葉を英語に変えてみたりスペイン語に変えたらどうなるのかとか色々試してみて。日本語ではこういう風に使うけど海外やったら全然違うんだなとかってなっていたりもするので、言葉のニュアンスを変えることによって取り組み方も変わったりしてくるんですよね。だから言葉の使い方ってすごい大事だなとか思ったりもするけど、やっぱりそれを練習の後輩とかにはうまく伝えられないですね。こっちも「おい頑張れよ」ってなって。イライラじゃないけど、もっとやれよみたいな。本当はうまく伝えないといけないんですけど、でもそれは後々の話っていうところなんで。
ナッツ:個人的に溝口葵選手(三重117期)が浅井選手のもとで練習をするようになってから強くなったなっていう印象が強く残っています。やはりあれは浅井選手のマインドだったり考え方とかっていうのを理解して取り組んだからこそ、というのがあるんでしょうか。
浅井:そうですね。まず彼は真面目っていうところですね。誰に対しても言われたことには、はいって言える人間なので、たまたま僕と出会って最初にトレーニングして、これはこうだよ、1回やってみってなったらその1発目か2発目に急にチャレンジの決勝に乗れたんですよね。だからそれがたまたまハマったという感じなのかもしれないですけど、溝口的にはこの人ならってなったのかもしれないし、教えてもらいたいってなったのかもしれないし、そこはわからないですけど、そこからしっかりとやり続けられたってことですね。
僕も元々は本当にクビになりかけるぐらい74~75点の選手だったんで、それで自分の今の理論をやり出した感じで。自分自身は人が100回、200回やることを1万回ぐらいやるぐらいの感じでずっとやり続けられるんですよね。
そしたら次のものが出てくるっていう感覚になるんで。だから土台が100%になったら次のものが出てくるっていう状態になるんです。溝口も1個のことを言われてずっとやってるので、それが僕と似とるところだなと思います。やっぱり土台作りをしっかりとできてるから、今の溝口があるんじゃないかなっていうところも感じます。
自分が経験してきたことでやっぱり照らし合わせると、確かにそこが大事だなと。
ナッツ:ずーっと続けられるってのは没頭してるって感じなんですかね。
浅井:そうですね。もうずっとそれをやり続けられるっていうか次の段階に行くのに対して、これをこうしたらこうだよって言うとそれをやり出して、またずっと一緒のことをやるんですよね溝口は。でも最初に教えた簡単な部分と、今とかちょっと前ぐらいに教えてる部分を照らし合わせると、あの時のあれが今のこれに繋がって、こうなるからこうなんですねっていう風に、それが結局はコンディショニングとか自分の調子を見るとか、感覚っていう風になってくるんです。それが今出来ているから強くなってきたと思います。
逆に溝口は落車が少ないんで、今後やっぱりS級に上がった時に落車や怪我に強くないといけないんですよね。やっぱりそれを経験することで自分の今の感覚まで戻せるのかとか、自分が戻った時にどういう風にするのかっていうところに対して、しっかり経験したことと向き合えるかどうかが今後の課題にはなるとは思うんです。
だからそういうところで別に溝口だけじゃなくて全ての人において、やっぱり1つのことができる、もしくはやり続けられるってのはすごく大事なことだなってのは認識しています。よく言いますもんね、社会でも1つのことができない人間はなんもできんわ、みたいこと。やっぱり昔の人が作った言葉っていうのを理解もできてきて、経験がそういう風に勉強になってきて言葉も覚えられるというところですね。
僕はそういう風に変換も出来ているので、そこまでになれれば良い選手とかにはなれるんじゃないかなとは思うんですけど。二兎を追う者は一兎をも得ず、って言葉があるじゃないですか。僕は思うんですけど、あれって突き詰めることが1個できる人間なら五兎でも追えそうなんですよね。
ナッツ:なるほど。中途半端になってるからそういう風になるだけで、やり遂げればいいわけですもんね。
浅井:そういうことですよね。一兎をも得ないのは1つのことを中途半端にしていくからだと思うんです。1個のことができれば、2個も3個もね、4個も5個も何個でもできるって話なんです。だから自転車じゃなくても他のスポーツにしてもいいし、トレーニングを自転車だけじゃなくて色々なスポーツやったりとか、それもトレーニングと思うんで、考え方をいかに柔軟に変えていけるか、考えられるかっていうところですね。
ナッツ:やっぱり浅井選手のその考え方は凄いですね。かなり深いです。
浅井:まあでもそういう風なことを言ってばっかやったらいるだけで嫌われもんになりますけどね。笑
ナッツ:浅井選手のコラムなどを見ていると、嫌われることもあるけど、そうだとしても言っていかないと、というお話をよく見る気がします。
浅井:嫌われてももう仕方ないじゃないですか。でも僕、人を嫌わないですよ、全く。
ナッツ:浅井選手自身が誰かを嫌うことはないんですね。
浅井:そう、陰口とかも全く言わないですよ。そうなってしまうと、自分が負け犬の遠吠えと一緒で本当に負けた気になったりすることなんで。言わん人間になることが1番の成長でもあるかもしれません。
ナッツ:確かにそうですね。そのあたりも意識して日々過ごしている感じなんですね。
浅井:ムズムズする時もありますが、やっぱりそこをどういう風に自分で気持ちを対処するかってのもトレーニングだし、それができないと言ってしまうっていうのは、やっぱりトレーニングできてないって話になるので。裏では言わずに、表で人には伝えます。
ナッツ:言うとするならちゃんと直接伝えると。
浅井:そういうことですね。その人にとっては、ちょっと痛いところをストレートにちゃんと言う、伝えるわけですよね。だから、それをありがたいと思うかどうかもその人の考え方のところもあるでしょうしね。そこを素直に受け止められる人でいるかどうかですよね。
ナッツ:中部で言うと、先程も話はありましたが、若手の中で藤井選手が急激に力をつけてきたなっていう印象もあるんですが、浅井選手から見ていかがですか。
浅井:元々の先行力はあったのであとはスピードですよね。ダッシュがどうかっていうところは付いていて思ってたんですけど、去年の宇都宮記念(GIII)の時に新山(新山響平選手・青森107期)との対戦で、あの時侑吾と連携したんです。あの時に新山を叩き切るところがあって、そこではもう強くなったっていうかね、いいレースをするなという認識だし、それこそ向き合い方がすごいなと思いましたよね。侑吾は。
ナッツ:向き合い方ですか。どういった部分に感じましたか。
浅井:意欲っていうのが強いですよね。やっぱり意志や意欲が強い人間は勉強でも机にちゃんと手を置いて鉛筆でちゃんと書く。でも意欲がなかったら、背もたれにもたれて脚を組んで、めんどくさいな、みたいな感じの態度をする。だから、意志があるっていうのは良い姿勢を保つ大前提のことなんですよね。意志が強くて先行する気持ちを持っていると、良い位置で走れたり良いフォームで走れたりするので伸びてくる。
イライラやってると結局は伸びないっていうのはそういうことで、変な位置で漕いでいるから自転車も進まないし、体力を使いすぎて消耗するってなってくるんでそういう向き合い方ですよね。上位の人って意志や意欲がやっぱり強いじゃないですか。練習がめんどくさいなっていう人はほとんどいない。だからそういうところで侑吾は意志や意欲が強いから、やっぱり今後はもっと伸びるんじゃないかなって思ってます。
そういうところで中部を引っ張っていってもらえる存在になってくれば、僕らは付いているだけで良くなるので。もちろん僕もしっかりとしがみついていきたいですね。あとは侑吾と同級生ぐらいの遼平(谷口遼平選手・三重103期)は強いんで頑張ってほしいし、伊藤裕貴(伊藤裕貴選手・三重100期)にも期待はしてますね。
やっぱりそういうところで若手が中部を盛り上げていってほしいなと感じていますね。そうなると僕らも自分たちが頑張って、若手に付いていかないと、こいつらに引っ張ってもらってしがみついていかないと、という感覚になってくるんで。そういうところでしっかりと連携もしていきたいなとは思います。
ナッツ:なるほど。その意欲や向き合い方っていうところがほんとに大きなポイントということで。あとは浅井選手は今年ガールズの伊藤優里選手(三重126期)をお弟子さんに取ったことがすごくインパクトがあって、伊藤選手は浅井選手に自ら志願したというお話も聞いたのですが。
浅井:まずは伊藤稔真(伊藤稔真選手・三重111期)からお願いできませんか、って言われたんですよね。
そして優里も、グランプリ目指してるんです、同じ景色が見たいんです、という風に言ってきたんです。それから色々話して、僕に付くことで周りに何か言われたり、中にはめんどくさいこともあるよという話もしたんです。でもそれでも頑張りたいって言うから、良いよと言ってあげたんです。
実際はまだまだ力がない部分もあるし向き合えてない部分もあるんで、これから負けを経験して、どういう風に行動しないといけないかも分かってくると思います。何も経験してない人間に頑張れよなんて言っても意味がないんでまずは経験ですよね。自分で理解して経験して、やりたいです、こういう風にしたいです、こういう風な練習したいですってのがわかってくると思うし、逆に女子の強い選手の練習方法を聞いてくるかもしれないですし。今はそこまで指導というか、あれをやってこれをやって、とはそこまで言ってない感じですね。
ナッツ:一度優里選手とお話した時には、絶対に先行で勝ちたいっていう気持ちをずっと言っていて気持ちの強い選手だなっていう風に感じました。
浅井:気持ちは強いですね。先行したらいいよっていうのは言ってます。
先行は脚力をつける為であって、先行して負けても、脚力強化のためにやった先行ならいいんですよ。将来番手が回ってきた時に脚力があれば、バックからまくったり、もしくは最後に3コーナーや4コーナーから差して優勝できるんで、それがグランプリの時やったら最高なんですよ。その1回、2回の為の脚力を作っとけばタイトルが取れるんです。
グランプリを取れる脚が出来たのなら、そこからずっと取りっぱなしかもしれないですよね。まずはそういう風な1番のチャンスの時に取れる脚を作って、そのレベルまで行ったんだったら、ずっとそのレベルで今後は生活もできるし、レースもできるしっていうところで、まずは先行しろと言ってるんですよね。今、勝ちにこだわったとしても、脚力がなくてチャンスの時に差せなかったら2着でグランプリ取れんやんってなるんで、そうじゃないよっていうとこなんですよね、最終的に。
ナッツ:まずは脚力が大事ということなんですね。お弟子さんの稔真選手とも一緒に練習することもありますか?
浅井:最近はもう自由にやらせてる感じですね。やっぱり元々僕が先行しろよっていうことに対しても厳しすぎたんで、やっぱり嫌気がさした部分もあるんですよね。
逆に稔真に教えてもらったというかそういう教え方は違うんだなっていうのも理解しました。だから今の子っていうのは、こういう風にちゃんと理論を教えてあげたりとか、こうなったらこうなるから、こうでこうなるからっていう結果まで教えてあげることで成長するのかなっていう風には学んだんです。だからそういう風にちゃんとした説明ができるようになってきました。
弟子に成長させてもらったなっていう認識は自分の中ではあるので、お互いがわからないところ、意思疎通ができないところは、そういうところで意思疎通ができて、成長させてもらってるなとか、成長できてるなっていうのをお互いが感じるのはすごい大事かなとは思います。本当に大事にしてあげたいなとは今すごく思いますよね。
ナッツ:浅井選手はもう常に何かしらの物事をすべて成長につなげている印象がありますね。
浅井:時間もったいないですもん、成長に繋げないと。20年したら60歳ですよ。しんどいです。笑 もうやってないかもしれない。それなら今できることを全てやる方がいいと思うし、そういう風なところですぐに行動できる人間が、成長するとか、良くなるとか、成功するって言うけど、やっぱり若い子に言っても絶対わかんないんですよね。
こういう風に年取ってきて、そういう風なのはわかるんだなと感じますね。やっぱり思い立ったらすぐ行動ってのはやりたいなって思うし、やりたいことをやる。自由にやるっていうのもすごい大事なことだというのもわかったし、強制させることが人を成長させないようにしてしまう、制御してしまうっていうところも理解しましたね。人間としてももうちょっと成長したいなって部分は僕的にはまだまだありますよね。
ナッツ:あとはファンからすると、やはり浅井選手には再びビッグのタイトルを期待している方も多いと思うのですが、そのあたりはいかがですか。
浅井:もちろんずっと思い続けてるし、デビューしてからもずっと思い続けてきてることですね。やっぱりそこを目指して、今の自分の考えなり行動なりがあると思うんです。だからそこを目指すことで、ファンの人に喜んでもらえて、一緒に自分も喜べるし、というところでファンの人を大事にしていきたいっていうのはありますね。
頑張れるきっかけでもあるし、頑張らないといけないっていう使命感でもあるし、そういうところを持ってやっていきたいなっていうところ、やってきてるっていうとこですよね。逆に最近だったらSNSも普及してきて色々な声も聞けるじゃないですか。アンチがあったりとか、応援もあったりとかで。でも僕はアンチの人が自分のことを好きになってくれるようにやっていきたいなと思うんですよね。難しいことかもしれないですけど、これってこうだったんだとか理解してもらえることって1番難しいことなんで、そういうのも大事なんじゃないかなと思います。もちろんね、僕のことを嫌いな方もいっぱいいますけど、やっぱりわかってほしいなって部分はすごい持ってる。自分のことを好きって言ってくれる人だったら、多分何やってもずっと好きでいてくれると思うんですよ。そこはもちろん大事にするし、それ以上のものを結果として出して一緒に喜びたいって思います。
でもやっぱりそういう難しいところにアプローチするのも大事かなと思います。
ナッツ:こういう風にアンチの人と1対1で浅井さんとお話すれば理解はしてもらえるんでしょうけど、そういうわけにもいかないですもんね。
浅井:そうなんですよね。じゃあどういう風にするのか。走りで見せるのか、喋りで見せるのか、じゃあ何で見せるのかってなってくる。でも1番最初に来るのは基本的にはレース内容、結果。そういうところでしっかりと結果を出してGIタイトルとかやグランプリに繋げていきたいなってのは今でも思ってます。
ナッツ:いや本当に結果だけを見てやっぱり色々言う人もいると思うんですけど、 やっぱり実際に浅井選手がこういうことを考えてこういう走りをしているっていうのが少しでも伝わると、また変わってくるんでしょうけどね。
浅井:うん、なかなかそこが難しいですよね。普通に喋ったら僕楽しいと思うんですけど。笑
ナッツ:浅井選手のパッと見の印象と、実際話すと印象が違うなっていうのは、私は今日思いました。笑
浅井:喋って一緒に飲んだらもっと違いますよ。笑
でもやっぱりファンからするとそう見えるのかなってのはありますよね。あとは検車場とかでも怖い顔してるねみたいな感じで言われるけど、そこでヘラヘラするのはありえへんやろって思うんですよ。
ナッツ:やっぱりそこは戦いの場ですもんね。
浅井:そうなんですよ。3日間、4日間、ずっと考えてしっかりレースに向き合うためにね、雑念が入らない為に携帯のないそういう環境を作ってくれとるのに、向き合ってないのが不思議やなと思うんですよね。やっぱそれがコンディショニング調整になってくるんで。
ってちょっと話がずれちゃいましたね。笑
ナッツ:いえいえ、これも貴重なお話として聞かせていただきました。
では浅井選手の今後の目標としてはどういった部分においてますでしょうか。
浅井:もちろんよく選手が言う一走一走頑張ってファンの皆さんの期待や車券に貢献したいと思うってのは普通なことで、やっぱりそれは本当に思ってることなんです。
でもそれに加えて、自分の今後ってなってくると、歳を重ねるにつれて体力がなくなっていくとかってみんな言いますけど、今まで中部を少しでも引っ張ってきた自分っていうのは捨てて、やっぱり今後の若い子たちに引っ張ってもらってっていう切り替えの時期なのかなって思うんです。人生の切り替えというか、そういうところもしっかりやっていきながら競輪に向き合って、考えながら考えながら強くなれるように全力をあげていきたいなと思いますね。
ナッツ:沢山のお話をありがとうございます。では最後にオッズパークの会員の皆様に一言お願いします。
浅井:今、強い選手が沢山いますし、若手も活躍してきたので今後も競輪を楽しんでいただいて、その中にちょっとでも僕の存在を認識してもらって、強い選手と一緒に走る時は穴も開けたいと思うし、しっかりと1着を狙っていくので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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岸和田で行われた高松宮記念杯競輪(GI)で見事GI初制覇を果たした北井佑季選手(神奈川119期)。GI初出場から僅か1年4か月でのタイトル獲得となりました。
決勝戦で走りながら感じた意外な気持ちとは。沢山のお話を伺いました。
ナッツ:まずは高松宮記念杯競輪でのGI初制覇、おめでとうございます。
北井:ありがとうございます。
ナッツ:少しお時間経ちましたが、改めてお気持ちはいかがでしょうか。
北井:まず優勝できてよかったなと思いますし、そこを目標としてやっていたので嬉しいです。あとは自分の力だけで取れたわけではないんですけど、本当に色んな人から祝福の声を頂けてありがたかったです。
ナッツ:やはり祝福の声は過去1番多かったですか。
北井:そうですね。その中でも本当に応援してくれてたのは師匠(高木隆弘選手・神奈川64期)だと思いますし、やっぱり1番僕に優勝してほしかったはずです。
それ以外にも同県の選手なども沢山応援してくれたので嬉しかったです。
ナッツ:終わって師匠からはどういう声をかけられましたか。
北井:「本当に良かったね~」っていう風に言ってくれましたね。
ナッツ:優勝した直後と少し時間が経ってからの気持ちの変化はありますか。
北井:特にあるわけではないのですが、まずGI制覇を目標としてやっていたので1個取れたということは嬉しかったです。GIタイトルを1個取ったという責任というのもありますし、来年はSS班になるというか、なってしまうので、そういう意味でも、残りの半年はより注目される立場だなと、もう本当に終わった直後から思っています。
ナッツ:去年の2月に初めてGIの全日本選抜に出場されてから、本当に僅か1年ちょっとでのGI制覇でした。最初にGIに出た時には、こうして約1年後に優勝するビジョンはご自身の中ではあったのでしょうか。
北井:今年の全日本選抜(GI)での決勝で3着を取った時に、「取れそうで取れないな。その3着からなかなか2着、1着っていうのは遠いな」っていう風に思ってはいたんですけど、本当にチャンスがあるタイミングで今年中にGIは取りたいなと思っていたので、その辺りで今年は取れるかもしれないなと思いました。
ナッツ:その全日本選抜(GI)もそうなのですが、特に今年に入って一気に勢いが加速したように感じるのですが、北井選手自身は今年になって変えられたことはありましたか。
北井:特に大きく変えたっていうのは本当に全然ないんです。デビューしてからずっと練習のメニューややり方も同じで、本当に日々の積み重ねで少しずつって風になっていったのかなと思います。あとは周りの方から言っていただけることも多いんですけど、グレードレースも走れるようになってきて、そこでもずっと基本的には先行1本でやっていて、そういう走りで結果を残せるっていうのを見てもらえるようになってきて、より注目してもらえたと思います。なので僕個人としては、なにかをきっかけに急に良くなったとかいう感覚ではなく、徐々に徐々に...という感じですね。
ナッツ:ではそのGIについてお話を伺いたいのですが、GIを迎えるにあたっての状態面はいかがでしたか。
北井:状態面は自分自身の中では万全な状態で臨めました。今までになくというか...なんて言うんですかね、それも特別なことは何もやってないんですけど、感覚的にやっぱり大きいレースを経験として積んでいく中で、GIは6日制ですしやっぱり長いので、気持ちの持って行き方であったり体調面も多少なりとも違ってくるので、大きなレースを経験するにつれて少しずつそのあたりを学んでいって、今回はいけるかなっていう風な感覚で臨みました。
ナッツ:ではもう今回はあとは取るだけだ、っていうくらいの状態ではあったと。
北井:そうですね。前回の2月のGIの時は、その時なりの万全ではあったんです。
でもそれで結果3着ってことは、2着になるのに、そして優勝するのには、まだ1つ、2つ何かが足りないので、そこはなんだろうっていう風に突き詰めて考えていったので、高松宮記念杯(GI)には自分自身の中で納得いく状態で臨めた感じです。
ナッツ:そのGIでは2走して1着こそなかったのですが、しっかりとバックを奪っての2着2本でした。実際走った感触としてはいかがでしたか。
北井:悪くはなかったですね。確かに1着はなかったんですけど、GIで勝ち上がりも結構厳しい中でも自分のレースというか、思い切ったレースをした結果勝ち上がれていったのが良かったです。それがしっかり決勝に繋がったのかなっていう風に思います。
ナッツ:その後青龍賞では南関4車の先頭となりました。すごいメンバーの中でもしっかりと主導権を奪っていきました。並びも注目された中でしたが、北井選手としてはいかがでしたか。
北井:もう僕自身は先頭に行きたいっていう気持ちを伝えてあとは後ろの皆さんが決めた感じなので、自分のやるべきことをやりました。
ナッツ:そこから繋がったのかなと感じたのは準決勝戦でした。並びとしては松井宏佑選手(神奈川113期)の番手でした。ここに関してはどういった経緯がありましたか。
北井:松井さんとは以前に後ろに付かせてもらったことも1回ありますし、去年の高松宮記念杯(GI)では、僕が先頭で後ろが松井さんというのもありました。
松井さんは力がある選手ですし、僕自身としては、自分が前でも松井さんの後ろについてもどちらが前でも納得いくレースができるっていう風に思っていたので、並びを話す段階でお互いどういう風な気持ちを持ってるかっていうのをお話ししたんです。そうしたら松井さんが僕の前で頑張りたいっていう風なことを言ってくれました。
「去年は僕が前だったんで、今年は僕が前行かせてもらっていいですか」っていう風に松井さんの強い気持ちを感じたので、そこでこういう並びになったんです。
ナッツ:それもやはり今までの北井選手の走りがあるからこその並びですよね。
北井:深くは話してないんですけど、そういう風に思ってくれてるのかなと感じる、気持ちのこもった走りだったと思います。
ナッツ:そして決勝戦なんですが、ここも並びが注目される中で、郡司浩平選手(神奈川99期)の番手の戦いになりました。
北井:はい、ここも松井さんの時と同じような感じでした。今まで郡司さんの後ろはなかったんですが、2月の全日本選抜(GI)で郡司さんが優勝して僕が3着だった後、どこかで一緒に練習した時に、「次、機会があれば前任せてもらっていいですか」っていう風に言ってもらいました。その時は本当に機会があればっていう風な話で終わったんですけど、決勝の番組が出て、神奈川3車だったんで話しました。和田さん(和田真久留選手・神奈川99期)は自分は3番手っていう風に先に言ってたので、僕と郡司さんの話だったんです。
僕が前でも全然良かったというか、その気持ちはあったのですが、郡司さんがもう松井さんと同じような感じで、今回は自分が前で走りたいって言ってくださって、本当に郡司さんは力のある選手ですし、任せても自分自身で納得いくレースできるなっていう風に思ったので番手を回ることにしました。
ナッツ:神奈川勢の決勝の車番は悪かったんですが前受けからのスタートということになりました。レース前のイメージとしてはいかがだったんでしょうか。
北井:作戦としては初手の位置を選べる車番ではなかったので、取れた位置からしっかり仕掛けどころ逃さずに仕掛けに行くっていう話ではありました。もう僕自身としては、郡司さんの後ろを回ると決めた以上はどういう風なレースになっても納得できると思っていたのでお任せしていました。実際郡司さんはもう脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)がカマシに来た段階では出られないくらいのスピードで踏み上げていってくれました。
ナッツ:もう本当に郡司選手の気持ちが伝わる走りでしたが、その気持ちに応えて1コーナー付近からタテに踏みましたね。
北井:準決勝の松井さんもそうだったのですが、後ろに付いていて、背中から熱いものを感じましたし、やっぱり先頭は先頭の選手の仕事があって、3番手は3番手の仕事、それぞれ任された場所の仕事っていうのがあると思うのですが、本当に郡司さんは主導権をとって、仕掛けられるべきところで、相手に来させちゃいけないっていうところで踏んでいてさすがでした。気持ちの入っている走りだったなっていう風に思います。ただ、僕が飲み込まれては意味がないですし、他の選手も見えていて、和田さんも3番手にいたのでちょっと張り気味に、そこからはしっかり自分の悔いのないようにと思って踏んでいきました。
ナッツ:先頭に立ってからゴールまでの間は気持ちとしては長いなあ、と感じなかったですか。
北井:なんていうんですかね...GIの決勝の舞台でああいう風に半周ちょっとでしたが、風を切っていけるタイミングってなかなか多くはないと思うので、緊張感もありましたけど、「この時間がもっと長く続いてくれればいいのにな」っていう風に思いながら走っていましたね。笑
ナッツ:え!あの中でそんなことを。笑 何も考えられずがむしゃらにっていうよりは、割とこう気持ち的に余裕もあったっていう感じなんですね。
北井:そうですね。この経験をあと何回できるんだろうって考えた時に、このタイミングでこういう経験はなかなかできないので、悔いのないようにもう踏み切ろうっていう風に必死ではあったんですけど、終わらないでくれ、という風な思いでも走ってましたね。
ナッツ:その中でゴール線のところで落車をしてしまったのですが、タイミング的にはご自身で、「勝った!」って思った時だったのでしょうか。
北井:ゴールのところで横に和田さんも見えていましたし、内側から選手が来ているのも見えていたので、正直自分の着はわかんなかったんです。わからないまま、でもガシャンってなった感じだったんです。
ナッツ:となると、優勝したのがわかったのはどのタイミングだったんでしょうか。
北井:最初審議が出て自分も転んでたので、自分が審議対象なのかがわからなかったんです。
そして決定の放送があって、古性さん(古性優作選手・大阪100期)が審議になってたので、3着は最初出なかったんですよね。でも1着2着は最初に出たので、この段階で自分が1着なんだなっていうのはわかりました。
ナッツ:担架で運ばれている時にお客さんの声は聞こえていましたか。
北井:はい、何度も僕のコールをしていただいたんです。それが嬉しかったですね。
怪我も擦過傷のみで大したことなかったので良かったです。表彰式でも、皆さんの応援の声や喜んでいただいた声も聞けましたし、もう本当にそういう風に応援してもらえてありがたいなっていう風に思いました。
ナッツ:先ほどもお話ありましたが、やはり北井選手は師匠である高木選手と二人三脚で戦ってきた印象が強いです。改めてどんな存在なんでしょうか。
北井:もう本当に自転車に全然乗れない一番最初の時から、0から教えてくれた人なので、師匠がいなければこうしてタイトルももちろん取れなかったですし、そもそも競輪選手になれていなかったと思うので、なかなか簡単には言えないのですが、師匠のおかげでしかないなって感じます。
ナッツ:やっぱり北井選手は練習量がものすごいっていうのは多く聞くのですが、その辺りもやはり師匠から教えてもらって、なんでしょうか。
北井:そうですね。やっぱり若い頃から競輪選手をやっている人も多い中で経験の少ない自分が勝って行く為には、やっぱりまずは練習量が大事というのも思ってましたし、師匠にも教わりました。自分としては当たり前の感覚なんです。サッカー選手の時も練習量は多かったと思います。
ナッツ:そんな中だとなかなか休む時間もないんじゃないですか。
北井:オフはないんです。こういうインタビューをしていただいた時にオフの過ごし方は、とか言われるんですけど本当にオフがないので答えられないんです。笑
もう自分自身の中でしっかり、今はやっぱりそこに打ち込んでやりたいっていう風な気持ちを家族にも伝えていますし今は頑張っていきたいですね。
ナッツ:今回GIを1つ取って、北井選手のこれからのモチベーションは何でしょうか。
北井:僕自身の中ではまだ1個というか、これからもGIを走れるチャンスがあるので、1個から2個、2個から3個って増やしていきたいですし、最終的には競輪選手になった時の1番の自分の中での目標はグランプリで逃げ切りたいっていうところなんです。
なので、やっとこう、グランプリで逃げ切れるチャンスを得られた段階で、まだこれからだと思っています。やっぱりグランプリで逃げ切るってのはなかなか簡単には出来ないと思うのでそこを目指していきたいです。
ナッツ:そして8月には地元で迎えるオールスター(GI)もあります。
GI制覇の前に行われたファン投票でも9位という結果でしたが、それに関してはいかがですか。
北井:もう本当にそれはファンが走りを見てきてくれての評価なので率直に嬉しいですね。
ナッツ:あとはご自身の中で、今後強化していきたい部分はありますか。
北井:やっぱりこういう風にタイトルが取れたことで、僕自身が今まで他の選手に対して何がなんでもと思って立ち向かっていったのと同じように、今後は自分自身も少なからずそういう風に思われることも出てくると思うので、そういう相手にも常に自分が挑戦者っていう気持ちを忘れずにいきたいですし、自分の先行での走りにより磨きをかけて勝っていくっていうのが大事なのかなと思っています。
ナッツ:すごく冷静に分析されている感じがしますね。
北井選手は普段の印象だったり、受け答えなどを見ていても冷静沈着なイメージがあるのですが、ご自身の中ではメンタル面に関してはいかがですか。
北井:確かに喜怒哀楽は激しくはないですね。でもそれはトレーニングをしているわけではなくて、性格によるものだと思います。あとはインタビューなどは多くの人がご覧になりますし、僕自身自分がすごく言葉足らずだと思うんです。笑
だから誤解されないようにというか、少ないボキャブラリーの中で思っていることが少しでも伝わるように、考えて考えて話してるのでそういう感じになっちゃいますね。
ナッツ:その北井選手の真面目さがしっかりと皆様には伝わっていると思います。
では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
北井:本当にいつも応援ありがとうございます。
本当にファンの皆さんの期待や応援あっての高松宮記念杯(GI)の優勝だと思います。
僕自身の中でも取りたいと思ってましたが、僕に取って欲しいと思ってる人が多くいるというのも感じていました。そういう日頃からの応援がありがたいなって思って走っているので、今後注目されるとは思うのですが、変わらずにというか、責任感を持って走っていくので今後も応援よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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