
黒川京介が2冠目のSGを獲得する
鈴木圭一郎が予選中のフライング失権によりV戦線を離脱して、青山周平と黒川京介だけが連勝しながら優勝候補の筆頭の座を争ってきた今シリーズ。準決勝戦でも両者それぞれ勝利し、この決勝戦も試走タイム次第ながら一騎打ちムードになりそうではありつつ、大勢のファンが抱いているであろう強さのイメージから青山周がより多くの票を集めるか。
しかし今回は、5走とも同日の青山周より速いタイムを計時してきた黒川の首位が大いにある。確かに青山周平のガードは鉄壁だが、黒川が先にスタート出てしまえば逆に他6車に対する強力な防衛線となろう。いや、背後に壁などなくても、今節の黒川の快速ぶりなら、先頭を奪って軌道に乗ってしまえば誰も付いてこれないだろう。
◎ 2 黒川京介
○ 1 青山周平
△ 4 金子大輔
▲ 5 佐藤摩弥
× 8 長田稚也
おすすめの買い目
2=1-4583
穴なら 近年のSG決勝戦では0メートルや10メートルのオープン戦でも、不利とされる外枠の7・8号車が車券に絡むケースがままあり、かえって気負いすぎず走れそうな長田稚に注意。
2=8-154
文/鈴木
9R...地元の鈴木宏和と佐藤貴也がダッシュ
内枠から森且行がスタート突っ張ってきても鈴木宏和は伸び勝って一気に先頭まで到達する。佐藤貴也もまた西原智昭を序盤に交わして好位置を奪いそうだが、その攻略に手間取るようだとレース巧者の有吉辰也が攻め込むケースもある。
◎ 4 鈴木宏和
○ 6 佐藤貴也
△ 7 有吉辰也
▲ 1 森且行
穴 8 若井友和
おすすめの買い目
4-6=718
穴なら 今節の若井友和は道中の捌きアシが強力だ
8=6-417
10R...イン先回りする金子大輔が逃走
今節オール2連対と安定感ある金子大輔が枠番抽選の結果1枠を得られて、昨年に続く大会連覇へ大チャンス。永井大介と丹村飛竜が外寄り枠でもスタート張り込んで早めに番手を上げそうだが、長田稚也や佐藤励もスタート次第では優出争いに参戦可能とみる。
◎ 1 金子大輔
○ 5 永井大介
△ 6 丹村飛竜
▲ 2 長田稚也
穴 4 佐藤励
おすすめの買い目
1ー5=624
穴なら SG初制覇めざす佐藤励・長田稚也・丹村飛竜の気合駆けにも注目したい
4=1-256
11R...黒川京介はスタートの切れ味が超抜だ
予選中に連続した8枠でも4日目の3枠でもスタート伸びていた黒川京介が準決勝戦でも先行争いを制して序盤の段階で逃げ態勢に入る。初日に本走タイム3.318秒を計時しており、距離が8周回に延びれば更に速い時計を出すことも可能だ。
◎ 7 黒川京介
○ 8 荒尾聡
△ 6 伊藤信夫
▲ 3 高宗良次
穴 2 松山茂靖
おすすめの買い目
7-8=632
穴なら 4日目は吉原恭佑を捌いて3着に追い上げた松山茂靖。2着・3着づけで車券を狙うのが妙味だ。
2=7-863
12R...どんな展開でも青山周平は切り抜ける
佐藤摩弥が出足・道中の伸びとも絶好調だが、首位は底力に優る青山周平だ。平田雅崇は今節4日間オール2着ながら、レース終盤は1着選手へ差を詰めるシーンを何度も見せており、外枠の4車よりスタート先行すると2連対=優出する可能性が大いにある。1着勝負だった4日目の最終予選で執念の勝利をもぎ取った木村武之が更なる整備に入り試走気配に注意したい。
◎ 3 青山周平
○ 1 佐藤摩弥
△ 4 平田雅崇
▲ 6 篠原睦
穴 5 木村武之
おすすめの買い目
3-1=465
穴なら クランク交換するという木村武之の気配はこのレースのポイントのひとつ。
5=3-146
文/鈴木
首位が残り1周で何度も入れ替わる大熱戦
今月3日~5日に開催された川口デイレースを3戦3勝の完全V。鈴木清はハンデ重化して最重ハンの位置へ戻った今節また3日制のナイトレースも勝ち続けて、先月の前々節から通算6連勝で迎えたこの決勝戦は1番人気に支持された。
前日の準決勝戦では軽ハン勢を追撃する態勢を整える前に鈴木清に捌かれた小椋華恋が、この決勝戦では10メートル前の広瀬勝光と2番人気の相馬康夫をスタート叩いて出ると、2周回1コーナーでは0ハン片野利沙の内を突いて早くも先頭に立った。
そのとき鈴木清は10メートルほど離れた5番手。しかし今節の初日・2日目とも1度の攻撃で複数の車を捌く推進力を披露しており、決勝戦でも着実に番手を上げていくと6周回1コーナーでついに小椋を捕えた。
レースが一段とヒートアップしたのはここからだった。最終回2コーナーの立ち上がりで鈴木清の内にできたわずかな隙間を見逃さなかった小椋は、闘志あふれる突っ込みを敢行。だが3コーナーで今度は自身が少し外へ流れてしまい、4コーナーからゴールへ向かう最後の直線にかけて鈴木清が再びイン伸び返して首位を奪還。通算7連勝、2節連続で通算22度目の優勝を飾った。
文/鈴木
デイ&ナイト制覇へ 鈴木清が突き進む!
唯一、連勝で優出は鈴木清。前節の昼間開催ではオール1着の完全優勝を決めていた。今節からハンデが重くなったが、その厳しい状況を見事に克服している。単独最重ハンでレース展開は厳しくなるが、6連勝中の勢いは軽視できない。1車ずつ差し込んでいき、ゴール線をトップで通過しそうだ。
展開面で絶好なのは広瀬勝。0ハンに3車並んだ中枠からトップスタートを決める。独走力があるのでペース上がれば後続を振り切るかも。序盤の位置取りに難ある相馬だが、エンジンの仕上がりは良い。10線に叩かれないスタートが切れれば、道中巻き返して広瀬勝を交わせる。10線のスタート争いは小椋か。青木治も気配は良さそうだ。
◎ 7 鈴木清
○ 2 広瀬勝光
△ 3 相馬康夫
△ 5 小椋華恋
▲ 6 青木治親
おすすめの買い目
7-2356-2356
穴なら 小椋の速攻
5-2367
鈴木圭一郎がレジェンドに肩を並べるか
2024年のMVP受賞が発表されたばかりの鈴木圭一郎だが、年間114勝した昨年の勢いが今年まだ見られていない。2025年は15走して11勝を挙げているものの、敗戦した4戦はすべて決勝戦。出場4節とも優出を果たしながら優勝はゼロ。ただ、1月30日~2月2日に開催された前回浜松デイレースでは、その前節の浜松デイレースG2『ウィナーズカップ』より試走・本走とも速い時計が出ていたことはプラス要素だ。
SG『全日本選抜』の史上最多Vは、島田信廣(引退)の6度。通算1292勝、SG通算14Vなど、ここに書ききれないほどの記録を残したレジェンドのひとりである。鈴木圭は全日本選抜をもう1度獲れば、島田と肩を並べられる。加えて、同一SGを6度制覇することも島田と、日本選手権6V飯塚将光(引退)に並ぶ史上3人目の快挙となる。
SG全日本選抜V4の実績を持つ高橋貢の勢いが上がってきた。1月の伊勢崎デイレースG1『シルクカップ争奪戦』最終日に本走3.357秒を出して中村雅人以下に大差をつけて勝利すると、続く伊勢崎デイレース一般開催も初日予選~2日目準決勝戦ともに2着以下をブッチぎる圧勝。3日目の決勝戦は10メートルに7車の並んだ外寄り枠からスタートが決まらず4着ゴールとなったが、近況も順調に勝ち星を積み重ねており、今年中の通算1700勝到達が極めて有望だ。
青山周平はSG全冠制覇へ足踏みの続いていた時期もあったが、2021年にこのSG全日本選抜を初制覇して史上6人目のグランドスラマーに輝いた。現存する他4タイトルのSGはすでに複数回優勝しているので、全日本選抜V2が成ればダブルグランドスラムとなる。
直近の浜松参戦は昨年暮れのデイレースG1『スピード王決定戦』で、5戦5勝の完全V。決勝戦は本走タイム3.338秒で伊藤信夫以下を突き放し、鈴木圭一郎を5着に沈める圧勝劇だった。
直近の出場レースは1月末の伊勢崎デイレース一般開催で、ここも3戦3勝の完全V。決勝戦6周回の勝ち時計3.338秒は、8周戦で実施された浜松G1決勝戦と同タイムであり、現状のスピードの充実度を物語る。
青山周・高橋貢とともに伊勢崎3強を形成する早川清太郎は、かつては他レース場と比べて浜松での実績が見劣る印象があったが、今年のウィナーズカップはひと味違う走りを見せた。初日は、のちに優出する木村武之を捌いて勝利すると、2日目も内外自在にコースを走って2連勝。最終日も1着となり、5日間で3勝を挙げた。浜松での1開催中に3勝したのはデビューから3度目、2018年3月以来7年ぶり。浜松走路との相性が今後改善していく可能性を感じさせた。
そしてウィナーズカップ2日目はスタート巧者の岩見貴史より先行、最終日は10メートルオープン戦の7枠から序盤で好位置に付けており、走路にマッチしただけでなく出足の切れ味も申し分ない。
木村武之はウィナーズカップの2~4日目に3連勝。決勝戦でも見せ場を作って4着に入った。昨年暮れのスピード王決定戦も優出4着。調子に大きな波のない状態がしばらく続いている。
昨年はSSトライアルの出場権利を得られなかった。昨年、同じ浜松所属の金子大輔が9年ぶりのSG制覇を果たしたように、木村武は12年ぶり4度目の栄冠をめざす。そしてSGを優勝すれば、今年末のSSトライアルの出場キップまでも手にできる。
佐藤貴也と鈴木宏和は、1月30日~2月2日の浜松予選ではハンデ30m~50mに置かれたスタート位置から追いきれないケースもあったが、今回SGは短ハンデ戦ばかりになると想定され、追い込み力よりダッシュ力が有効な武器になるので、前節とは異なる活躍ぶりを見せられよう。
金子大輔は今年13走して、着外1度を除けばオール2連対。1月30日~2月2日の浜松決勝戦では、雨走路で栗原佳祐にチギられたものの、岩崎亮一を捲って2着と好走。G2ウィナーズカップ優勝の好機力と勢いを漏れなく維持できている。ダッシュ力は鈴木宏や佐藤貴ほどではないかも知れないが、最近の追い込みの安定度は前記2名を上回っている。
佐藤励は昨年末の『SSシリーズ戦』を2年連続で優勝し、今年はG2ウィナーズカップに優出して3着。0メートルオープン戦5番手発進から佐藤摩弥と木村武之を捌いて番手を上げると、金子大輔と鈴木宏和の先頭争いに仕掛ける動きを見せた。
まだデビューして3年と少しなのに、黒川京介に続く川口所属SGレーサー誕生を予感させるほどの風格とスケールをすでに身にまとっている。今大会で、その機会が早くも訪れるかも知れない。
その黒川は過去の当欄グレードレース展望で述べたように浜松は相性の良い走路だが、先月ウィナーズカップは今ひとつな結果で終えた。最終日は笠木美孝に何周回も大苦戦したうえ岩科鮮太に競り負けるという内容。2冠目のSG獲得をめざすには勢いに欠ける印象だが、開催5日間とも試走タイム3.2秒台が出ていたのは好材料。あとは歯車が嚙み合えば、良い流れを引き寄せられるはず。
佐藤励は昨秋から暮れにかけて自身初の10連勝、その8日後には青山周が自身7度目の10連勝をそれぞれ達成した。
SG連続優出記録19回という、空前絶後の金字塔を2000年代に打ち立てた有吉辰也。それほどの安定感を今に至るまで保ちながら、実は10連勝した経験がない。だが今大会は川口デイレース→飯塚ミッドナイトの2節を完全Vで9連勝して臨むことになり、新たな記録を加えられるか注目の一戦となる。川口デイレース決勝戦では本走タイム3.340秒をマーク。勢いとスピードに乗っている今こそ大チャンスであり、達成すれば今大会の活躍にもつなげていけるだろう。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
木村 武之〔浜松 S-22(26期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-4(25期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-6(22期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-17(29期)〕
文/鈴木