
有吉辰也が勝負強さを発揮した
この日の雨は1レースの開始時点ですでに上がっていて、開催が進むとともに走路は少しずつ乾いていき、終盤レースへ差しかかる頃には3秒台の試走が多く見られるようになり、12レース決勝戦はほぼ良走路といえるコンディションまで回復した。
レースは20線の最内枠から山本翔が鋭くダッシュすると、1周目で10メートル前の前田淳を突破。そして2周目で0ハンの道智亮介と矢野正剛を1車ずつ捌いて、早々と逃げ展開に持ち込んだ。
今節ただひとり無敗で優出した有吉辰也も3周目に2番手へ上がり追撃態勢を整えたが、3.369秒のハイペースを作る山本翔との車間が常に2車身ほど開いていてなかなか仕掛けられない。しかしそこで終わらないのが有吉の強さ、凄さだ。最終6周回2コーナーを強力に立ち上がると、狙いすましたような差し。ワンチャンス、ラストチャンスで獲物をきっちり仕留める、さすがのレース運びだった。
通算1010勝目で68度目の優勝を飾った有吉は、17年ぶり2度目のSGオールスター優勝をめざして川口レース場へ向かう。
文/鈴木